Night/Knight 第34話 蟲愛ずる姫君

天蚕 美樹(てんさん みき):封滅騎士団 特殊作戦群 諜報班 所属。通称『蟲姫』古風な喋り方であり、振る舞いはどこか貴族然としたものがある。
             その一方、他者に対し高圧的であり、認めた人間以外は「雑草」などと呼び、見下している。女性ながら、蟲を用いた魔術を使うため『蟲姫』と渾名される。

ダレル・ハイド:吸血鬼であり、マルリスの側近。ヘブリニッジの治安維持を務める『アヴィラ家』の重役。筋骨隆々の大男。
        見た目30代後半。荒事対応や事件現場整理などの外役の責任者を務める。
        荒っぽい口調だが、身内に対して義理人情の厚い人物。

ウォリス・ヒューズ:吸血鬼であり、マルリスの側近。ヘブリニッジの治安維持を務める『アヴィラ家』の重役。細身の男性。
          見た目、30代前半。事務処理や、情報管理などの内役の責任者を務める。
          折り目正しい人物だが、神経質が欠点。

チャーリー・ローハン:ワーウルフ。男性。アヴィラ家構成員。外部巡回要員。ヘレエとコンビを組んでいる。正義感に篤いが反面突っ走りがち。

ヘレエ・マディソン:デミヒューマン。虎に変化できる。アヴィラ家構成員。チャーリーとコンビを組んでいる。気転が利く女性であり、理知的。


♀美樹:
♂ダレル:
♂ウォリス:
♂チャーリー:
♀ヘレエ:

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ダレル  :よぉ、現場は?

チャーリー:こちらです。ダレルさん。

ウォリス :遅いぞ。ダレル。

ダレル  :悪いね。すこし立て込んでた。

ウォリス :被害者は「メイズ・ホプコーニ」。職業は魔術師。フリーランスでどこにも所属していない。

チャーリー:居住目的は魔術研鑽となっているが、その実、麻薬中毒者です。この街で手に入る薬草を売りさばいていたようです。

ダレル  :ヤク中かよ。この様子だと、自分でも作って売りさばいていたみたいだな。

ウォリス :ああ、そうだな。これ、『ストロベリーショット』だ。

ヘレエ  :最近、街中で流通してるヤクですね。ハイになれると有名ですよ。

ダレル  :なんだ。ヤッたことあるのか?

ヘレエ  :まさか。常用してるやつらを見慣れただけです。

チャーリー:トリップしてる時間が長く、依存性が高いようですよ。

ダレル  :へぇ?そうかい。俺は酒の方がいいがな。

ウォリス :ほどほどにしておけよ。お嬢様にまた怒られるぞ。

ダレル  :大丈夫だ。お嬢にバレないようにやる。

ウォリス :勝手にしろ。それでこいつの死因だが。

ヘレエ  :はじめは薬物の中毒症状で死んだのかと思っていたんですが。

ダレル  :どうやらそうじゃないって?

チャーリー:そう思わないと、お二人を呼びませんよ。
      ここ、見てください。

ダレル  :どれどれ?・・・こりゃあ、針か、なにかの刺し跡か?

チャーリー:ええ、なにか鋭利な針のようなもので刺した傷です。

ウォリス :首筋に三か所。どれも大きな血管が通っている近くだな。

ヘレエ  :あと、こっちにも。腕と・・・あと、太ももに計四か所。どれも同じものです。

ダレル  :この街に、蜂なんていたか?

ウォリス :いや、人類側の世界の蜂なら迷い込んでくることはあるが。
      それで、魔術師が死ぬとは思えないな。

ヘレエ  :ええ。ちょっとした毒程度なら、魔術で消せますからね。

ダレル  :解毒する前にアナフィラキシーが起こったとかは?

チャーリー:そもそも、アナフィラキシーの原因が毒に対するアレルギー反応です。
      刺されたとわかった瞬間に解毒魔術を施せば、解決する話です。

ダレル  :だよなぁ・・・。ということは。

ウォリス :十中八九。この魔術師は魔族世界で生息する毒虫にやられたということになる。

チャーリー:ですが、そもそも毒虫を仕入れているところなんてありましたか?

ヘレエ  :我々の世界の毒虫は非常に危険で、手なずけることなんてできないはずです。

ダレル  :ああ、そして、この街自体に生息しているわけもない。

ウォリス :だが、仕入れも手なずけも「絶対にできない」訳じゃない。

チャーリー:それは一体どうやって・・・。

ダレル  :ま、仕入れ先はわかる。シモーヌ家だ。あそこは魔獣やらなにやらも商品にしてたからな。
      虫を手に入れることもできるだろう。

ウォリス :手なずけ方は簡単なことだ。魔術を使えば虫くらいなら言うことを聞かせられる。

チャーリー:それは、そうですけど。

ヘレエ  :そんな魔術を使う種族が魔族に居ますか?

ダレル  :いるわけねぇだろ。いや、スプリガン当たりならできそうだが、それは別だ。
      これをやったのは魔術師だ。

ヘレエ  :つまり、同族狩り?

ウォリス :ああ、門の外から入ってきた魔術師の仕業だ。

ヘレエ  :しかし、封滅騎士からも聖十字協会からも摘発の話は来てません。

ダレル  :流れの魔術師の仕業かもしれない。とりあえず、聖十字協会に連絡を入れるか。

ウォリス :そうだな。それからこの事件の犯人である「蟲使い」を洗い出すか。

チャーリー:では、我々は聞き込みを?

ウォリス :いや、まずは聖十字協会との連携が先だ。とりあえず、お前たちは元の仕事に戻ってくれ。

ダレル  :今日はこの後、拘置所の監視だったろ。

ヘレエ  :ええ、そのシフトでした。

ウォリス :なら、その仕事に戻っていい。連携が決定したのち、捜査に加わってほしい。

チャーリー:了解しました。

ダレル  :んじゃ、後は聖十字協会の魔術師に任せるかね。

ウォリス :結界だけはつくっておこう。二人はもう、戻っていいぞ。

ヘレエ  :はっ、失礼します。

チャーリー:失礼します。

ウォリス :・・・やれやれ。

ダレル  :ん?なんか言ったか?

ウォリス :いや、少し、厄介なことになりそうだと思っただけだ。

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美樹   :さて、次の目標はここだったのぅ。
      しかし、あの男も厄介な仕事を投げつけよって。
      この我がなにをすき好んでこんな場所で裏切者の始末をせねばならん。
      獣の檻に相応しいのは下賤な者どもの仕事だろうに・・・。
      ともかく、早急に終わらせ、この家畜共の檻から出たいものだの。

ヘレエ  :ん・・・?あっ!おい!そこのお前!

美樹   :はぁ、やれやれ。獣に見つかってしもうたか。

ヘレエ  :ここで何をしている!

美樹   :おや、なんぞ?ここは我が居てはいけぬのか?

ヘレエ  :両手を上に上げて!頭の上で手を組め!

美樹   :騒がしいのぅ。そんなに喚かずともよい。手を上だの?

ヘレエ  :そうだ、ゆっくりとだ!

美樹   :ほれ、これでよいかえ?

ヘレエ  :そのままこちらを向け

美樹   :ほぅ、よかろう。こうか。

ヘレエ  :そのまま膝まづけ!

美樹   :なにをそんなに怯えておる?我は何も持っておらぬぞ?

ヘレエ  :黙れ!ここは進入禁止区域だ。なにをしていたか吐け!

美樹   :吐けと申すか。しかし、困ったのう。お主に伝えられることは何も持っておらぬ。

ヘレエ  :戯言を!いいから目的を話せ!

美樹   :五月蠅いのぅ。分を弁えよ、獣風情が。

ヘレエ  :っ!動くな!

美樹   :何を言うておる。我は動いておらぬぞ?

ヘレエ  :至急。進入禁止区域で身元不明の人間を補足!応援を・・・

美樹   :ふむ、これ以上、獣臭くなっては困るのぅ

ヘレエ  :なにを・・・

美樹   :滅ぶがいい、雑草共め。我が子らの糧になるがいい。

ヘレエ  :蟲っ!?しまった!コイツが・・・!

美樹   :もう遅いわ。

ヘレエ  :づっ!?・・・しまっ・・・蜂か・・・ッ!

美樹   :ふむ、普通なら昏倒するのだが・・・やはり獣は頑丈だの。

ヘレエ  :人を獣と・・・馬鹿にしているのか・・・っ!

美樹   :獣を獣と言って何が悪い?そもそもだ、貴様らは『人』ではなかろう?

ヘレエ  :このっ・・・ぐっ・・・!

チャーリー:どうした!何があったヘレエ!?

美樹   :おや、お仲間か。面倒だの。もっと早めに潰しておくべきだったか。

ヘレエ  :チャーリー・・・逃げて。コイツ・・・例の蟲使い・・・

チャーリー:なにっ!?

美樹   :煩わしいのぅ。鎧百足(よろいむかで)。食いちぎるがいい。(両袖から巨大な百足が伸び出てくる。)

チャーリー:なっ!?鎧百足だと!?こんなデカいの見たことが・・・

美樹   :では、さらばじゃ。・・・行け。

チャーリー:ちぃっ!(回避)

美樹   :ほう、流石は獣。逃げ足は早いの。

チャーリー:ヘレエ!逃げるぞ!俺らじゃ相手出来ねぇ!

ヘレエ  :むり・・・毒が回って・・・思うように・・・っ!

美樹   :いい加減あきらめよ。

チャーリー:仕方ねぇ・・・。悪いな、ヘレエ!

   (ヘレエを抱きかかえるチャーリー)

ヘレエ  :ちょっ!?チャーリー!?なにを!?

チャーリー:動けねぇんだろ!だったら抱えて逃げるしかねぇ!

ヘレエ  :見捨てていきなさいって!かっこつけてる場合じゃ・・・

美樹   :逃さんよ。行け、百足たちよ。

チャーリー:一匹だけじゃなかったってか!いいから逃げるぞ!ふっ!

   (跳躍して離脱するチャーリー。残される美樹)

美樹   :ふむ、逃げおおせたか。まぁ、良い。我は本来の目的を達成するとしよう・・・。

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ウォリス :聞いたか。ダレル。

ダレル  :ああ、進入禁止区域って言ってたな。

ウォリス :侵入禁止区域はこの街には一つしかない。

ダレル  :ウチの重犯罪者拘束棟だな。

ウォリス :そこに侵入とは・・・警備は何をしていた。

ダレル  :言ってても仕方ねぇ!行くぞ!

ウォリス :ああ。

チャーリー:ダレルさん!ウォリスさん!

ダレル  :チャーリー!?それに、ヘレエじゃねぇか!どうした!?

チャーリー:侵入者が・・・侵入者がヘレエを・・・!

ウォリス :冷静に)待て、落ち着いて話せ。いや、それよりも看護か。

ヘレエ  :だい・・・じょうぶです。私は・・・ぐっ!

チャーリー:ヘレエ!無理するな!

ウォリス :毒虫にやられてるな。魔火蜂(まひばち)か。

ダレル  :わかるのか!?

ウォリス :刺された患部を見たらわかる。見ろ。朱い斑点が出てるだろ。
      魔火蜂の毒による症状だ。

チャーリー:治るのか!?

ウォリス :直ぐにちゃんとした治療を受ければだ。とりあえず、チャーリー。
      今すぐアヴィラに戻って治療を受けさせろ、そして、このことをお嬢様に連絡を。

チャーリー:りょ、了解!

ヘレエ  :待って。ダレルさんたちは・・・

ダレル  :俺らはさっきお前たちが遭った侵入者を追う。

ヘレエ  :だめです・・・二人だけでは・・・

チャーリー:あれは化け物です。二人でどうこう出来る相手じゃ・・・

ダレル  :だとしてもだ。大丈夫だ。俺らはお嬢にしごかれてんだ。イケるイケる。

ウォリス :このまま放置もできないからな。いいからお前たちはアヴィラに。

チャーリー:・・・すぐに戻ります!

ダレル  :さて、いきますか。

ウォリス :ああ、敵討ちってガラじゃないがな。・・・行こう。

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美樹   :手間取ったのぅ。だが、これで終い。
      さて、次の目標は・・・。

ダレル  :テメェか!チャーリー達をやったのは。

美樹   :ふん、新しい獣か。厄介じゃのう。このヘブリニッジという街は。

ウォリス :ここで何をしていたか・・・は。聞かなくてもよさそうだな。

ダレル  :ああ、やりやがったなテメェ。

美樹   :ん?ああ、これか。こやつ、魔術師だろう?
      ミケロ・ハバニ。この街で何やら商売をしていたようじゃが。

ダレル  :麻薬取引だ。その犯人として俺たちが捕まえてた。

美樹   :あぁ、そうだの。そして、我が処罰した。裏切者としてな。
      よかったのぅ。獣共。処刑の手間を省いてやったぞ?

ウォリス :そんなことを許した覚えはないが。

美樹   :なぜ、獣に許可を得ねばならん?

ダレル  :獣、獣って・・・バカにしてんじゃねぇぞ!来い!ブラッドエッジ!

ウォリス :よせ!ダレル!

ダレル  :ハァァァッ!

美樹   :・・・フン。

(袖から伸びた百足が、ダレルの鎚を防ぐ)

ダレル  :なっ!?

ウォリス :ダレル!下がれ!

美樹   :逃がすと思うか?

  (百足を伸ばし、追撃する美樹)

ウォリス :アース・ディフェンド!

  (床が盛り上がり、百足を防ぐ)

ダレル  :・・・ふぃ。助かったぜ。ウォリス

ウォリス :なら、先走るのはやめろ。

美樹   :煩わしい。飼われた獣の分際で我に楯突くとは。

ダレル  :ここにいる誰一切!お前に飼われてるつもりはねぇがな!

ウォリス :その無礼な言動、謝罪してもらおう。

美樹   :ハッ!謝罪とな。これはまた異なことを言う。
      貴様らは所詮、檻で飼われた畜生だろうに。家畜に垂れる頭(こうべ)はないぞ?

ダレル  :話しても無駄だぜ、ウォリス。この手合いは。

ウォリス :ああ、わかってる。・・・バックアップする。

ダレル  :いつもので行くぜ!

美樹   :何をするやら知らぬが、道を空けよ。さもなくば・・・

ダレル  :はぁっ!(距離をつめる

美樹   :ふん。甘い。

ウォリス :アイシクルレイ!

美樹   :くっ・・・避けざるをえぬかっ

ダレル  :逃がすか!だぁぁぁらっ!

美樹   :貴様は甘いと言った!

ダレル  :なっ!?ぐぅっ!?

ウォリス :ダレル!

ダレル  :な、なんだ・・・俺が人間の女に飛ばされた・・・?

美樹   :我を誰だと思うておる。魔術師が魔術のみしか使えんと思うでない。

ウォリス :ダレル。下手に近づくな。奴は体術も使えるようだ。

ダレル  :わかってる。タダもんじゃねぇってのもな。

美樹   :やれやれ。力量の差を見極めることができぬ愚か者よ。
      我が手を抜いているうちに、さっさと失せよ。

ウォリス :ここまで我らをバカにされて、引くわけにはいきません。

ダレル  :それに、本気を出してねぇのはお前だけじゃねぇんだよ。

美樹   :ほう、左様であったか。
      では、よかろう。天蚕(てんさん)の家に伝わる魔術の片鱗。
      とっくりと味わうがよい。

ダレル  :ウォリス!フォーメーション・デルタで行く!

ウォリス :シャドウ・エッジ!

美樹   :ぬるい。

ダレル  :吹き飛べ、小娘が!ショック・ハンマーっ!

美樹   :づっ!だが、この程度。

ダレル  :今だ!

ウォリス :ダウンフォース!

美樹   :っ!?重力魔術・・・っ!

ダレル  :その頭割らせてもらぁぁう!

美樹   :舞えや、我が子。白帰蝶(しらきちょう)。

ウォリス :っ!ダレル!避けろ!

ダレル  :ちっ!ぐうっ!

美樹   :おお、よくぞ我が子らの鱗粉を回避した。褒めてやろう。

ウォリス :白帰蝶だと・・・?まさか、その飛んでる蝶すべてが・・・?

ダレル  :触れるだけで死に至るレベルの毒を持つ蝶。だったよな・・・?それをやつは・・・

美樹   :なんじゃ?白帰蝶のことを知っておるのか。なら、話は早いのぅ。

ダレル  :なんで、平然と立ってられるんだ・・・。

美樹   :当たり前だろう?この子らはすべて我が子よ。
      子が母に尽くすは道理。そして、子は母を殺さぬ。

ウォリス :ありえない。十匹は居る。致死毒の鱗粉はとっくに吸い込んでいるはず・・・。

美樹   :分かりが遅いのう。やはり獣は愚かでしかない。

ダレル  :どうする。下手に戦闘して、あの蝶に飛び回られたら。俺らが死んじまう。

ウォリス :あの蝶をどうにかできればいいが、この閉鎖された場所じゃあ、どうにも。

美樹   :そろそろ、飽きたの。・・・獣らよ。道を空けよ。
      我は貴様らを殺すつもりで来てはおらぬ。

ウォリス :同族狩りのため、だと?

ダレル  :それを「はい、そーですか」で済ませられるかよ。

美樹   :では、お互いににらみ合うか?我はかまわんぞ?その時は奥の手を使うまでじゃからのぅ。

ウォリス :奥の手・・・?

ダレル  :まだ、なにか・・・。

美樹   :そういえば、さっき我が子が一匹の獣を仕留めての。
      魔火蜂の毒に侵された雌がおったろう?

ダレル  :っ!ヘレエのことか!

美樹   :その様子だと、知り合いか。様子はどうだ?苦しんで死んだか?

ウォリス :今は治療させている。死には至っていない。状態は初期症状だった。治癒は可能だ。

ダレル  :残念だったな。俺らはしぶといんだ。

美樹   :そうか、では大変だの。これから我が「あること」をすればお主らの仲間が大勢、死ぬことになる。

ダレル  :は?何を言って・・・

美樹   :そこのお主。貴様ならわかろう?どうやらお主はある程度、毒虫に明るいようだからな。

ウォリス :・・・まずい。ダレル!アヴィラに戻るぞ!

ダレル  :はぁ!?こいつを放ってか!?

美樹   :ククっ。気づいたようだの?

ウォリス :魔火蜂の毒は経口感染する!しかも、毒に侵された対象は、近くの存在を攻撃する!本人の意思とは無関係にだ!

ダレル  :ど、どういうこったよ!?

美樹   :つまり、文字通り、熱に浮かされるということよ。あの虫の毒は、深刻になればなるほど、対象の知性を奪い、攻撃的にさせる。
      そして、その毒は対象が死に至る、もしくは解毒するまでその者の体内に残る。

ウォリス :つまり、今ここで、コイツが魔火蜂の毒の程度を進行させたら

ダレル  :アヴィラでパンデミックが起きる・・・ってことかよ。

美樹   :名答じゃ。褒めて遣わす。それで、どうする?
      我は天蚕。虫を操り、その毒すらも統べる魔術を修めた者ぞ?
      脅しでなく、本当にやってみてもかまわんが?

ウォリス :撤退だ。アヴィラを人質に取られてはどうしようもない。

ダレル  :ちくしょうが・・・。

美樹   :決まりだの。では、早急に去るがよい。

ウォリス :・・・このままで、終わると思わないでもらおう。

ダレル  :ぜってぇ、テメェに後悔させてやる。

美樹   :おうとも、出来るものならの。

ウォリス :・・・行くぞ。

ダレル  :ああ。

美樹   :・・・やれ。なんとかなったのぅ。
      しかし、斯様(かよう)な厄介も見越しての指図だろうの。
      ・・・クレメント・アッカーソン。やつの首を取るまで、せいぜいしたがってやろう。

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ヘレエ  :次回予告。道化の嘲笑。

チャーリー:それは、不意の一撃を王へと叩き入れる。

ダレル  :狂気の刃は届くや否や。

ウォリス :Night/Knight 第35話 嘲(あざけ)りの笑み

美樹   :狂人の前に鐘の音(ね)が鳴る。



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