Night/Knight 第15話 裏切りと代償 作:福山漱流

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マルリス・アヴィラ:純血吸血鬼であり、吸血鬼界の名家『アヴィラ家』の子女。見た目18歳くらいの少女だが、実年齢は200オーバー。
          生粋のお嬢様であり、口調もお嬢様。しかし、怒ると地が出てしまい荒い口調になる。

ダレル・ハイド:吸血鬼であり、マルリスの側近。ヘブリニッジの治安維持を務める『アヴィラ家』の重役。筋骨隆々の大男。
        見た目30代後半。荒事対応や事件現場整理などの外役の責任者を務める。
        荒っぽい口調だが、身内に対して義理人情の厚い人物。

ウォリス・ヒューズ:吸血鬼であり、マルリスの側近。ヘブリニッジの治安維持を務める『アヴィラ家』の重役。細身の男性。
          見た目、30代前半。事務処理や、情報管理などの内役の責任者を務める。
          折り目正しい人物だが、神経質が欠点。

ルドルフ・シモーヌ:純血吸血鬼であり、吸血鬼界の名家『シモーヌ家』の子息。見た目は20代前半だが実年齢120歳。
          つねに偉そうな態度で人に接するヤクザ者。その割に、行動は臆病者そのもの。鎮曰く「口先だけの男」


部下1:文字通り。別の名をモブ。

部下2:上に同じ

部下3:同上


♀マルリス・アヴィラ:
♂ダレル・ハイド:
♂ウォリス・ヒューズ:
♂ルドルフ・シモーヌ:
♂or♀部下1:
♂or♀部下2:
♂or♀部下3:

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マルリス:今日もお疲れ様。ダレル、ウォリス。

ダレル :うぁー。疲れたぜぇー。

ウォリス:ほら、ダレル。

ダレル :お、気が利くじゃねぇか。久しぶりの酒だ。

マルリス:呑み助ね。まったく。昼間にも一杯やってたでしょう?

ダレル :俺にとっちゃ、6時間も経てば久しぶりなんだよ、お嬢。
     (飲む)くぁー、生き返るぜ。

マルリス:街はどんな様子?

ウォリス:相変わらずですね。どこも緊張感にあふれています。

ダレル :ま、それでも商売が続くんだから、この街の奴らはほんと、肝が据わってらぁ。

ウォリス:とはいえ、本当に戦闘になったら彼らもどこかに隠れるんでしょうけれど。

マルリス:当たり前ね。まぁ、そういった関係のない同胞を守るために、私たちがしっかりとしないといけないのだけどね。(横眼でダレルをにらむ。

ダレル :ん?どうした?お嬢(缶ビールを飲み干す)

マルリス:・・・はぁ。なんでもない。

ウォリス:お嬢様。

マルリス:なに?ウォリス

ウォリス:この後のご予定は?

マルリス:今は・・・夜の二時、ね。んー。特にないかしら。
     手元の書類を片付けたら寝るわ。

ダレル :お?寝るのか?お嬢。

マルリス:ダレルと違って、私は昨日の夜から一睡もしてないの。

ウォリス:そうだったのですか?

ダレル :なんでまた?

マルリス:鎮(まもる)様の言ってたことよ。シモーヌ家を洗い出してたの。

ウォリス:っ!(シモーヌ家と聞いて緊張するウォリス。気づかず話を続けるマルリス

マルリス:一応、念のためっていうことで洗い出しをしてみたけれど。まぁ、裏でいろいろこそこそとしていた証拠がボロボロとでてきたわ。

ウォリス:・・・例えば?

マルリス:そうね、「街の外」との通商許可リストにないものがあってね。

ダレル :そりゃ、人間共との通商リストか?でもよぉ?

マルリス:そんなものを我々が守るとでも思うか?といいたいんでしょう?

ダレル :おうよ。そのとおり。

マルリス:ま、ダレルの言う通り。守るわけがないわ。むしろ、そうしなけりゃ私らがこの街で食っていけない。けど、これはマズい。

ウォリス:それは・・・ウチがシモーヌ家に出したリストですね。

マルリス:その通り。大半は魔術薬物の類(たぐい)だが・・・向うに渡ると少々マズいものも混ざっていた。こっちがそのリスト。

ダレル :たとえば?

マルリス:フェニックスの羽根。ペガサスのたてがみ、ピクシーの髪の毛。

ダレル :超一級品じゃねぇか。

ウォリス:使い様によっては、死んだ者さえ蘇らせることができます。

マルリス:まったくだ。だが、街の外では使い方を知らないみたいね。

ダレル :はぁ?どう使うってんだよ?

ウォリス:観賞用・・・ということですか。

マルリス:そうらしい。まったく、無知とは恐ろしいわね。

ダレル :たしかに。まぁ、活用する技術すらねぇんだろうな。

ウォリス:ほかに、何か気づいたことは?

マルリス:特に、まぁ、今回の一件に関することはないかしらね。・・・どうしたの?ウォリス。

ウォリス:いえ、別に・・・。

ダレル :ま、とりあえずコイツは警戒しておくべきか。

ウォリス:・・・ですね。

マルリス:ばかっぽいにも程があるけれど。この状況じゃ仕方がないわ。

ダレル :だとさ。ウォリス。仕事が増えたな。

ウォリス:・・・あの、お嬢様。

マルリス:なに?ウォリス。

ウォリス:その役割、私を外していただきたく。

ダレル :おろ?

マルリス:なぜ?

ウォリス:あ・・・の、私の家族が今、すこし

マルリス:(断ち切って)わかった。別のを付けるわ。

ウォリス:・・・申し訳ありません。

ダレル :戦力ダウンだなー

マルリス:もう今日はかえっていいわ。家が大変ならそっちを優先しなさい。

ウォリス:・・・はい。すみません。失礼します。

(ウォリス、退場する)

マルリス:・・・ダレル。

ダレル :なぁんか変だったな。

マルリス:後をつけましょう。

ダレル :そう来ると思った。行こうぜ。

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(ウォリス宅)

ウォリス:・・・ただいま

ルドルフ:よぉ。遅かったじゃねぇか。

ウォリス:っ!

ルドルフ:おいおい。そんなに警戒しなくてもいいじゃねぇか。なぁ?

部下1 :ルドルフさん。こいつです?

ルドルフ:ああ、俺の部下だったやつだ。有能だったんだ。

部下2 :へぇ?そうなんっすね。でも、なんかヒョロくてイモい感じがするけど

ルドルフ:おいおい。言い過ぎだぞ。お前ら。

ウォリス:ルドルフ様・・・。

ルドルフ:悪いな。こいつら、最近うちに入った奴らでな。お前の本気を知らないんだ。

ウォリス:・・・なに用で、来られたのですか?

部下2 :なに用?おいおい、聞いたか?

部下3 :よく言えたもんだよなぁ。

部下1 :ちょっと、オニーサンさ。チョーシこいてね?

ルドルフ:ちょっと、黙ってろ、お前ら。
     なぁ、ウォリス。俺がお前に用っていうのは一つしかねぇだろ?

ウォリス:・・・わかりかねます。

ルドルフ:ったくよぉ?仕方ねぇなぁ。・・・おい。

部下1 :はい。・・・おらっ!(腹を殴る

ウォリス:ぐっ!

ルドルフ:なぁ?ウォリス。バカバカしいすっとぼけはやめようぜ?
     俺が望むこと、知ってるだろ?今までも協力してくれたじゃないか。

ウォリス:こ、れ以上は・・・

部下2 :強情だなっ!(さらに殴る

ウォリス:がぁっ!(床に倒れる

ルドルフ:教えられないってか?それは、今の飼い主に対しての忠誠ってわけか?

部下2 :でもさぁ、オニーサン。今の立場があるの。誰のおかげか知ってるよなぁ?

部下3 :ルドルフさんのお・か・げ。だろ?知ってるんだぜ?オレタチ。

部下1 :なぁ?ウォリスさんよ。お前がルドルフさんから受けた昔の恩は「でかい借り」だ。
     こういう時に、返すのがスジってもんじゃねぇか?なぁ!?(ウォリスを蹴る

ウォリス:がはっ!・・・恩は、確かに。感じています。ですが・・・。

部下1 :おい!いい加減にしねぇとぶち殺すぞコラ!

ルドルフ:おいおい。よせってお前ら。(呆れたように

ウォリス:・・・すみません。

ルドルフ:謝る必要はねぇよ?だってなぁ?嫌なものは嫌っていうのが世の中の道理だもんな。
     だがなぁ? 俺がどれだけ、お前に目をかけてきたか。忘れたわけじゃねぇよな。

ウォリス:はい・・・。それは・・・わかっています。魔界で、行き場を無くしていた私を拾ってもらったのも。
     今、自分がアヴィラ家に奉公できているのも、すべて・・・ルドルフ様の・・・。

ルドルフ:(食い気味に)だよなぁ?俺が居たから今のお前がいるんだ。だろ?
     だからよ。その恩を返すためにも教えろよ。今、マルリスがウチの何を嗅ぎまわっているのか。

ウォリス:そ、それは・・・。

部下2 :・・・ほら、さっさと吐けよ!(蹴る

ウォリス:がはっ!・・・できません。

部下3 :強情なやつだなぁ、おい。いいのかよ?このまま吐かねぇんなら、ホントにぶち殺すぞゴラァ!

ウォリス:ぐ、づぅっ・・・

ルドルフ:痛いか?ウォリス。痛いよなぁ?この痛みから逃れる方法は一つだぞ。
     俺に、アヴィラ家の情報を、流せ。

ウォリス:・・・断ります。

ルドルフ:・・・そうか。なら、仕方ないな。こうなっちまったからには、言いたくなるようになってもらうしかないな。
     おい。お前ら。

部下3 :へい。

ルドルフ:死なねぇ程度に締めろ。

部下2 :うっす。任せてください!

ルドルフ:んじゃ、俺は家に帰ってるからな。聞き出したら帰ってこい。

部下1 :うす。じゃ、仲良くしよーぜ。ウォリスさんよ。

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マルリス:ここが、ウォリスの家ね。

ダレル :小奇麗な家だな。

マルリス:ねぇ、ダレル。

ダレル :ん?なんだ?

マルリス:ウォリスって家族いたかしら?

ダレル :いんや。聞いたこともねぇ。

マルリス:そうよね。なんであんなわかりやすい嘘をついたのかしら。

ダレル :わざと気づかせるためじゃねぇの?

マルリス:それか。ほんとうにバレないと思ったんじゃなくて?

ダレル :それは・・・ねぇだろぉ。いくらなんでも。

マルリス:ワザとってこと?それにしては挙動不審だったけれど

ダレル :で、どうするんだ?お嬢?入るのか?

マルリス:もちろん。そのために来たんじゃない。

ダレル :だよな。んじゃ、さっそく。(ノックして)おーい。ウォリス。俺だ。開けてくれ。

マルリス:・・・反応がないわね。

ダレル :留守か?・・・ん?鍵が開いてる。

マルリス:入りましょう。失礼するわよ。

ダレル :お、おいお嬢!いいのかよ!

マルリス:問題はないわ。

ダレル :お、おう・・・。

マルリス:ウォリス。いるの?返事をしなさい。

ダレル :おーい。いねぇのかー?

ウォリス:お嬢・・・様

マルリス:ウォリス!?

部下3 :あ?なんだ?

部下2 :おやぁ?かわいいお嬢ちゃんじゃねぇか。

部下1 :お嬢様ってことは・・・もしかして、こいつが今のお前のアタマか?

部下2 :ずいぶんひ弱そうだな!アハハハハ

ダレル :おい、テメェらっ・・・!

マルリス:いいわ。ダレル。黙ってて。

ダレル :でも!

マルリス:いいの!私に任せなさい。

ダレル :・・・うす。

マルリス:・・・聞くまでもないかもしれないど、あなたたち、そこで何をしているの?

部下2 :なにしてるって?見りゃあわかるだろ?遊んでるんだよ。

部下1 :ウォリス君でな?

マルリス:どこのシマの人間かしら?

部下1 :どこって。俺らはどこにも属してねぇ。

部下3 :ってか、このお嬢ちゃんさぁ。よく見るとかわいーじゃん。ちょっと後でいただかねぇ?

部下2 :はぁ?ロリコンかよ。オメェ。

部下1 :ま、穴としては使えんじゃね?

部下2 :あ、確かにな

ダレル :こいつら・・・ゼッテェ殺す。

部下2 :黙ってろよ。オッサン。

部下3 :チョーシこいてると、オッサンから殺すよ?

マルリス:話にならないわ。ダレル。ウォリスを連れて帰りましょう。

(横たわるウォリスに向かって歩き出すマルリス。それを遮る部下1・部下3)

部下1 :おっとぉ。ウォリス君は渡せねぇんだよ。

部下3 :ま、俺らとヤってくれるっていうんなら話は別にしてもいいけどな。

マルリス:テメェら・・・

部下3 :お?怒っちゃった?

部下2 :そんな怖い顔すんなよ。かわいー顔が台無しになっちまうぜ?

マルリス:ウォリス。

ウォリス:・・・お嬢・・・様。

部下3 :おいおい。俺らガン無視かよー。

マルリス:後で詳しいことを聞かせてもらうからな。覚悟しとけ。

ウォリス:・・・はい。

マルリス:あと、謝っておくぞ。少し暴れさせてもらう。

ダレル :お嬢。やるのか?

マルリス:ええ、ちょっと頭に来たからね。手は出さないで。

ダレル :うい、了解。

部下1 :あっれ?お嬢ちゃん。まさか俺らとやろうっての?

部下2 :オレ達。案外強いよ?

部下3 :泣きべそかいてもしらないよ?

マルリス:図に乗るなよ雑種風情が。私に触れるつもりなら、それ相応の覚悟で来い。

   (マルリスの足元に風が渦巻く。それを見て嘲笑する部下たち)

部下1 :うわ、こえー

部下2 :それが本気?やめときなって。お嬢ちゃん。

マルリス:「魔風(まふう)」の存在すら知らないか。とんだ三下だな。

部下2 :あ?三下だ?何言ってんだ?こいつ。

部下1 :あーあ。怒らせちゃった。こいつ、キレっとなにするか、わっかんねぇよ?

マルリス:できるもんならやってみろ。
     ・・・ちなみにすこし、教えてやろうか。
     「魔風」ってのはな?「人間の世界」で高い魔力を持つ奴が、力を解放した時にできる風のことだ。
      つまり、どういうことか、わかるよな?

部下1 :えー?オレタチバカだからわかりませーん

部下3 :おいおい。そろそろやめとかねーとこの子泣くぜ?
     頑張って粋がってるんだからよ。

マルリス:フン、屑どもが。その言葉、後悔させてやる。

部下2 :いいぜ、後悔したって遅せぇんだかんな!ウラァッ!

   (殴りかかる動作を取る部下2.その瞬間、部下2の視界から消えるマルリス)

部下2 :なっ!?消え・・・がはっ!?

   (懐に潜り込み、手刀を腹部に突き刺すマルリス。)

マルリス:私の姿。捉えきれない屑が、うちの家族によくも手を出してくれたな。

部下2 :な、なんなんだ・・・こいつ・・・(喀血

   (マルリスが腹から手を抜き去ると同時に倒れこむ部下2。おびえる部下1、部下3)

マルリス:私は、ヘブリニッジ四名家(よんめいけ)が1つ、アヴィラ家当主代行。マルリス・アヴィラだ。
     如何に三下だろうが、名前くらいは聞いているだろ?

部下1 :マルリス・・・アヴィラ・・・

部下3 :し、知ってんのか!?

部下1 :お、おう。あいつは純血種の中でもトップのスピードを持つ吸血鬼・・・。くそ、どうすれば・・・。

部下2 :く・・そが。どうするも、こうするも。殺すしかねぇだろ!

マルリス:ほう?超回復くらいはできるようだな。雑魚のくせに。

部下1 :で、でもよ。俺らが敵う相手じゃ・・・。

部下3 :そうだぜ!ここは逃げて・・・

部下2 :やってみねぇとわかんねぇだろうが!それに!俺らがここで逃げたら、今度はルドルフさんに殺されんぞ!

ダレル :ルドルフ・・・。シモーヌ家か。

マルリス:ふん。余計なことを言わなければよかったものを・・・。より一層、お前らを逃がすわけにはいかなくなったな。

部下2 :やるしかねぇんだよ。全員でかかれば、ゼッテェ勝てる!

部下3 :お、おう。

部下1 :や、やってやる。

マルリス:どこからでもかかってこい。汚ねぇ臓物を引き抜いて晒してやる。

部下3 :くそっ!おらぁぁぁ!

マルリス:フンッ!

   (マルリス、殴りかかりをかわし、カウンターをたたきこむ。)

部下3 :がはっ!?

部下1 :フォースショット!

マルリス:遅い!

   (放たれた魔術を回避するマルリス。その先に、部下2が待ち構える)

部下2 :おら、死ねぇ!

マルリス:甘い

   (ビンを持ち殴りかかる部下2。その動作を受け流し、投げ飛ばす)

部下2 :ぐあっ!?

部下3 :こ、こんのぉっ!スプラッシュフォース!

マルリス:ハァっ!(魔力を放出する)

部下3 :はじき返された!?

部下2 :なに、ボケてんだ!撃ち続けろ!だぁぁりゃぁっ!(突進し、掴み掛る

マルリス:私に触れるな、下種が。

 (さらに魔力を放出するマルリス。掴んだ腕が弾け飛ぶ部下2)

部下2 :ぎゃあぁぁぁぁっ!う、腕・・・俺のうでがぁっ!?

部下1 :てめぇ!よくもっ!お・・らぁっ!(椅子をつかんで投げつける)

部下3 :フォースショット!

マルリス:まったく・・・よっと。(回避行動)ほんっとバカっぽい。

ダレル :あーあ、なんだこれ。相手にならねぇな。

マルリス:ダレル。貴方が出るまでもないでしょう?

ダレル :それ、むしろ俺がお嬢に言うべき言葉じゃないか?

マルリス:そうかしら?

部下2 :ち、ちくしょうが・・・っ!

マルリス:フフフ・・・まさか、この程度で終わりかしら?

部下1 :つ、強い・・・

部下2 :こんなはずじゃ・・・。

部下3 :や、やってられるか!俺は降りる!

部下2 :おい、てめぇ!逃げる気か!

部下3 :俺は、死にたくない!

マルリス:逃がすとでも?

部下3 :ひっ!

マルリス:ウチの人間に手を出した落とし前。きっちり返してもらうぞ?
   
部下3 :がはっ・・・し、死にたくな・・・

  (手刀を胸部に突き刺す。その流れでもう一方の手で首を掻き切る)

マルリス:まず・・・1つ。

部下1 :ひ、ひぃっ!?

マルリス:ほら、次はどっちだ?

部下2 :くっ・・・そがぁぁぁぁぁっ!

マルリス:無謀な吶喊か。くだらない。・・・ブラッドエッジ。

部下2 :がっ!?なん・・・だと・・・(突然、足元から現れた剣に串刺しになる部下2)

マルリス:これで、2つ。

部下2 :そ、そんな・・・バカな・・・

マルリス:そら、残ったのはお前だけだぞ?

部下1 :わ、わるかった。謝るから!ゆ、許して・・・

ダレル :どうするんだ?お嬢。

マルリス:・・・行きなさい。

部下1 :・・・へ?

マルリス:さっさと失せろ雑種。私の目の前に現れるな。

部下1 :は、はいっ!

ダレル :・・・いいのかよ?

マルリス:どうせ、飼い主に捨てられる。放っておけばいい。
     ・・・ウォリス。大丈夫?

ウォリス:・・・はい。すみませんでした。

マルリス:謝罪はいいわ。とりあえず、家に帰るわよ。ダレル。連れて行ってもらえる?

ダレル :おうよ。ほれ、肩貸すよ。

ウォリス:す、すまない・・・。

マルリス:・・・ルドルフ。絶対に殺す。

ダレル :お嬢?

マルリス:大丈夫。行きましょう。

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部下1 :はぁっ!はぁっ!はぁっ!ル、ルドルフさん!

ルドルフ:お?どうした?ウォリスからなにか聞けたか?

部下1 :そ、それどころじゃねぇっす!アヴィラの代行が!

ルドルフ:あー。マルリスか。あいつがどうした?

部下1 :あいつが入ってきて、仲間を、仲間を殺しやがった!

ルドルフ:ふぅん?で?

部下1 :で?って・・・。

ルドルフ:マルリスとカチ合って、ぼろ負けしたのはよぉーくわかった。
     けどよ、俺が聞きたいのはそういうことじゃねぇ。

部下1 :で、でも・・・

ルドルフ:グチグチうっせぇんだよ!(殴る

部下1 :ぐあっ!す、すいませ・・・

ルドルフ:謝罪がほしい訳じゃねぇんだよねぇ。ほしいのは情報。
     で、なにか俺が喜びそうな情報は?もちろん、有ったんだろうな?

部下1 :・・・ないです。

ルドルフ:あ?よく聞こえねぇんだけど。今、なんつった?

部下1 :情報は・・・ないです。

ルドルフ:あ?情報がねぇだ?おいおい、寝言を言ってるんじゃねぇだろうな?

部下1 :すいません!ですが!ダチが殺られて!命からがら逃げてきて!

ルドルフ:俺は、情報が手に入ったら戻ってこいって言ったよな?

部下1 :は、はい・・・。

ルドルフ:言うことが聞けない駄犬はどうなる?(近くに置いてあったサーベルを手に取り、抜き放つ)

部下1 :それは・・・

ルドルフ:・・・死ね。

部下1 :がはっ!・・・・ルドルフ・・・さん

ルドルフ:ったくよぉ。使えねぇなぁ。せっかく、魔界から呼んできてやったってのに。
     こうなったら、あのクソガキがこっちに来るな。その前に、逃げの手をうっておかねぇと。
     だが、まだ挽回はできる。俺には秘策があるからな。くくっ・・・はははははっ!


部下3 :次回予告

部下2 :日ごとに緊張感の高まるヘブリニッジ

ウォリス:戦火のさらなる巨大化を目論む者。

ルドルフ:その悪の一手が、鬼の少女へと向けられる

ダレル :次回、Night/Knight 第16話 蛇の一策(いっさく)

マルリス:強き思いは、仄かな闇へと閉ざされる。






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