Night/Knight 第14話 Do or Not(ドゥ・オア・ノット) 作:福山漱流

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鬼島 涼 (きじま りょう):鬼の一族を統率する組織『鬼島組』の組長。人間界では17歳と偽っているが200歳を優に越えている。
                楽観的で浮ついた性格だが、仲間思い。ヘブリニッジを統括していた鬼の一族、鬼島家の現当主。

鬼島 美嘉(きじま みか) :涼の双子の妹。いささかブラコンの気がある、小悪魔少女。
                 15歳と偽っているが兄と同じく200歳を越える。

西魅 孝征(にしみ たかゆき):鬼島組最高顧問。古くから鬼島家を補佐してきた。見た目30代。
                   性格は義に厚く、真面目。これと決めたらそれを貫くタイプ。
                   実質、次期組長となる実力はあったが、その座を前組長の遺志だったこともあり涼にゆずった。

樋高 郁(ひだか いく):鬼島組若頭補佐。見た目20代。涼や美嘉と腹違いの姉で人間との混血。母親の死によって鬼島家に引き取られ、現在の地位に。
              父親との確執はあるが、涼や美嘉との関係は良好。性格は温厚であり争い事はなるべく避ける。

魁村 輝久(かいむら てるひさ):鬼島組直系 魁村組 組長。インテリタイプで神経質。見た目30代前半。
                    元々二次団体の組だった魁村組を一代で直系にまで押し上げた実力者。

♂涼:
♂孝征:
♂輝久:
♀美嘉:
♀郁:
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美嘉:前回のNight/Knightは

輝久:魔術師として、認識を改めたマシュー。

孝征:しかし、その背後では、じわじわと戦闘の時が迫る。


郁 :Night/Knight 第14話 Do or Not(ドゥ・オア・ノット)


孝征:当主。おられますか。

涼 :どうぞ。

孝征:失礼します。

涼 :何の用かな?

孝征:解っているのでは?

涼 :まぁね。吸血鬼との件・・・だろ?

孝征:ええ、そうです。

涼 :見張らなくても、ちゃんと準備してるよ。

孝征:そうですか。

涼 :状況はどう?

孝征:膠着状態です。露天商や、路上販売の裏バイヤーは店を閉じてます。

涼 :交通しやすくなるね。

孝征:吸血鬼側の動きは見えませんが・・・おそらく、対抗するための兵隊を揃えていると思います。

涼 :アヴィラ家にターク家・・・。軍事専門のターク家は怖いな。

孝征:先手を打ちますか?

涼 :それは約束を破ることになるだろ?

孝征:そうですが。このまま放置も危険では?

涼 :西魅さん。心配してくれてるのはわかってる。だけど、わすれてないっしょ?俺らは任侠に生きてるんだってこと。

孝征:それはそうだが・・・ですが。

涼 :だから、期限までは待つ。じゃないと、道理にそむくことになる。

孝征:わかっています。ですが・・・。

涼 :なにか不安でも?

孝征:どうにも、離反組の様子が

涼 :ああ、俺に従いたくないってやつらね。

孝征:今のところは、おとなしいですが、どうにもなにか画策しているようで。

涼 :画策?

孝征:内容はわかりませんが。反旗のきざしはあるかと。

涼 :吸血鬼とやりあってる場合じゃないってか。

孝征:はい。首謀者を裏で探しているところですが、どうにも尻尾をつかめず。

涼 :早めに狩り出して、戦いに備えたかったけど・・・。

孝征:狩り出すと、大事になりますし、戦力の低下が問題に。

涼 :だよなぁ。やっぱり、人徳ねぇのかねぇ?

孝征:あまり、考えすぎるのは。

涼 :わかってるって、西魅さん。

孝征:私のほうで、探りは常に入れておきます。

涼 :わるいね。

孝征:いえ、ロートルにはこれくらいしか。

涼 :まだまだ現役のくせに。

孝征:買いかぶりすぎです。

涼 :そうかなぁ?

孝征:そうですよ。

涼 :とりあえず、苦労かけて申し訳ない。

孝征:謝ることはないです。それでは、なにかあったら連絡します。

涼 :おねがい。

孝征:それでは、私はこれで。

涼 :はぁ・・・どうなることやら・・・。

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輝久:ふむ。なるほど。そうなりましたか。

美嘉:なにが、そうなりました。なのです?

輝久:おや、副党首。どうしました?

美嘉:べつに。なにか、悪巧みしているように見えたので。

輝久:悪巧みなぞしていませんよ。そんなタチにみえますか?

美嘉:気を許せるとは私は思ってないですわ。

輝久:嫌われたものですね。

美嘉:もちろんです。あなたがしてきたこと。私は認めてないですもの。

輝久:親殺し・・・ですか?

美嘉:自分を拾った、前(ぜん) 魁村組組長を殺した罪は、消えませんわ。

輝久:それは、誤解であると、決まったのでは?

美嘉:頭首会議ではね。でも、私はそうは思っていません。

輝久:おや、その理由は?

美嘉:女のカンってやつですわ。

輝久:なんとも、あいまいな。

美嘉:バカにしたいのならすればいいですわ。

輝久:いえ?別にそんなつもりはないです。

美嘉:・・・私は、お父様が認めたのが理解できませんわ。

輝久:実力があった。そう捉えていただけませんか?

美嘉:任侠の一族に、親殺しはいりませんわ。

輝久:辛辣ですね。

美嘉:本当のことでしょう?

輝久:ま、どう思われようと。私は、鬼島組のために働きますがね。

美嘉:・・・それが、嘘じゃないといいですが。

輝久:それは、行動を見て判断していただきましょう。

美嘉:フン。勝手にすればいいですわ。

輝久:おや?もうどこか行かれるので?

美嘉:私は忙しいので。くれぐれも、鬼島組の足を引っ張らないでくださいませ。

輝久:肝に銘じておきますよ。
   副党首、鬼島 美嘉・・・どうにも、嫌われてますね。お子様の癖にどうにも鼻が利く。
   近々、動きを封じたほうがいいかもしれない。
   さて、どうしたものか。

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郁 :涼くん。居る?

涼 :ん?あー。義姉さん。居るよ。いいよ、入ってきて。

郁 :お邪魔します。

涼 :どうしたの?

郁 :ん、何か用事があるって訳じゃないんだけど・・・。

涼 :あ、そう。

郁 :涼くん。・・・大丈夫?

涼 :大丈夫って?

郁 :いや、えっと。

涼 :どうしたのさ、義姉さん。歯切れが悪いよ?

郁 :・・・ただ、心配なの。

涼 :心配?なんの?

郁 :最近、涼君。怖い顔してるから・・・。

涼 :あ、そうかな?
   やっぱり、最近情勢が危ういし。

郁 :それだけじゃないでしょ?

涼 :それだけだって。

郁 :壊れてしまいそうに見える

涼 :し、心配しすぎだって。大丈夫だから。

郁 :本当は、嫌なんじゃないの?鎮君と戦うの。

涼 :っ!

郁 :涼君は鬼島家のこととか、しがらみがあるのはわかってる。でも、それにつぶされてほしくないの。

涼 :・・・だったら、どうすればいいんだよ!

郁 :っ!

涼 :やりあいたくない!当たり前だ!だけどもうやるしかねぇんだって!

郁 :それは・・・そうだけど・・・。

涼 :もう、やるしかねぇんだ・・・。組を守るためには。

郁 :涼君・・・。ごめんね。(涼を抱きしめる

涼 :あっ・・・。

郁 :なにもしてあげられないから。

涼 :そ、そんなことはないって。

郁 :一番つらいのは、涼くんって知ってるんだけど。
   でも、そんな擦り切れそうな涼君をみてられなくって・・・。

涼 :・・・ごめん。義姉さん。頼りなくって。

郁 :いいんだよ。涼君。ただ、無理はしないで。

涼 :わかってはいるんだよ。だけど、もう、どうしようもないから。

郁 :それはそうだけど・・・。

涼 :避けたかった争いだけど、もうこうなったからには腹を決めるしかない。
   でも、大丈夫だから。義姉さん。

郁 :え?

涼 :義姉さんのことは絶対守るから。

郁 :涼君・・・。

涼 :ありがとう、義姉さん。俺、頑張るから。
   あっ、そだ!ちょっとこれから出なきゃいけなかったんだ。
   悪い、義姉さん。また後でいい?

郁 :え、あ、うん。そっか。邪魔だったね。

涼 :いいんだ。また、暇になったら来てよ。

郁 :うん。またね。涼君。

涼 :うん。また!義姉さん!

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(少しの間)

輝久:ほう?なんともいい姉弟愛ですね。
   なんとなく、これは使えそうなカードだ。
   「義理の姉弟同士が相愛」嘘か誠かわからずとも、これを離反組が知ればどうなるか・・・。
    フフフフ。風は、やはり私に向いているようだ。

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美嘉:西魅さん。

孝征:おや、副党首。どうされました?

美嘉:最近、魁村ってどう動いてる?

孝征:どう動いてる・・・といっても。いたって普通ですが。

美嘉:兵隊をそろえてるとか、なにか変ったことは!?

孝征:ないですね。それに、兵隊をそろえるという行動は、この情勢だと普通でしょう?

美嘉:あっ・・・そうか・・・。

孝征:どうしたんです?そんなに焦って。

美嘉:いえ、たいしたことはありませんわ・・・。

孝征:魁村が・・・なにかしましたか?

美嘉:いえ、別に・・・。

孝征:なにを考えているか読めないやつですが。
   忠誠はある奴です。

美嘉:本当にそうおもう?

孝征:ええ、私はそう思っています。

美嘉:私は、信用ならないの。あの男。

孝征:といいますと?

美嘉:はっきりとはわからないけど・・・なんとなく「蛇」みたいで。

孝征:「蛇」ですか・・・。とはいえ、実証がないでしょう。

美嘉:私の感覚の問題っていうのはわかってますわ。だけど、なにか気になるのです。

孝征:ふむ・・・。わかりました。それでは、すこし深く魁村のあたりを探ってみましょう。

美嘉:やってもらえる?

孝征:しかし、あまり、人を色眼鏡でみたらだめですよ?

美嘉:・・・わかってます。

孝征:なら、いいです。それで、用件はそれだけですか?

美嘉:あ、ええ。ごめんなさい。

孝征:いえ、かまいません。・・・それより、張り詰めすぎないように。

美嘉:そ、そう?

孝征:近頃、お前の纏うオーラ「纏気(てんき)」が乱れている。あわただしいのはわかるが、いつでも戦えるよう調整しておくのもお役目の1つだ。

美嘉:あっ・・・はい。気を付けます。師匠。

孝征:よろしい。『魔力放出型』の力を持つ鬼は、気を付けておらねばすぐに力を体から逃がしてしまう。難しいと思うが・・・。

美嘉:はい。わかってます。

孝征:そうか・・・。では、先ほどの件は承りました。何かあれば伝えましょう。

美嘉:お願いします。

孝征:それでは。

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輝久:次回予告

郁 :画策がちゃくちゃくと進んでいく

美嘉:悪意の手は善意の欠片に手を伸ばす。

涼 :Night/Knight 第15話 裏切りと代償

孝征:家族として忠に生きるか、主に従うか。





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