Night/Knight 第12話 魔術師として 作:福山漱流
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マシュー・フランクリン:22歳。聖十字協会の魔術師。爵位は無し。
新米魔術師であり、ブランドンの部下としてヘブリニッジに派遣された。
使用魔術は基礎的なものを幅広く扱い、威力も平均的。典型的な知性派であり、近接戦闘には向かない。
優等生タイプで、頭もよく回るが、ルールに縛られやすく、柔軟に対応できない面を持つ。
ブランドン・マールスフェルト:20代後半。聖十字協会所属の魔術師。男爵の爵位を持つ。
鎮とは腐れ縁のライバルであり、しょっちゅう小言をいう保護者の様な存在。
術式形態はアゾット剣を用いた魔術を織り交ぜた近接攻撃。及びアゾット剣に封印された人工魔獣をつかったもの。
ブランドン♂:
マシュー♂:
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マシュー :前回のNight/Knight
ブランドン:鬼との衝突を避けられない状態になった吸血鬼たちは。
マシュー :裏でこの衝突を引き起こした犯人をあぶり出すことを決める。
ブランドン:Night/Knight 第12話 魔術師として
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マシュー:ブランドン卿!
ブランドン:ん・・・んあー?(欠伸)よう、マシュー
マシュー :よう・・・じゃないですよ!全く!
ブランドン:どうしたよ。そんな切羽詰まった顔して。
マシュー :切羽も詰まりますよ!鬼と吸血鬼が戦闘を行ったんですから!
ブランドン:へぇー?・・・ついにか。
マシュー :すぐに介入しましょう!
ブランドン:ほっとけ。
マシュー :はい!?
ブランドン:だから、ほっとけ。
マシュー :何を言っているんですか!そんな事をしたら、戦闘が拡大してこの街を呑み込みますよ!?
ブランドン:びびり過ぎなんだよ、マシュー。そんなことはねぇから安心しろ。
マシュー :なんで・・・なんで、ブランドン卿はそんなに余裕なんですか!?
ブランドン:強いて言うなら『経験』だな。それに、鬼と吸血鬼は今までもいろいろと衝突してきたんだ。
今、抗争状態になってもほどほどの所で収まるだろうよ。
マシュー :当時がそうだとしても、今回は違うかもしれないじゃないですか!
ブランドン:今回も同じことだっての。あのお節介焼きの『夜の王』も居ることだしな。
マシュー :ですが、我々の職務は人々を守ることであって・・・
ブランドン:俺らが手を出したら、逆にマズい事だってあんの。
んで、今回がその時。だから、俺らは見てるだけで良い。
マシュー :そんな・・・。じゃあ、なんの為に僕たちはこの街に居るんですか!
ブランドン:もちろん。お前さんが言う様に『人々を守る為』だよ。
マシュー :その思いがあって見てるだけですか!?衝突がこうやって起ころうとしているのに!
ブランドン卿!あなたにプライドはないんですか!
ブランドン:なぁ、そろそろ黙れよ。(威圧
マシュー :っ!
ブランドン:言ったはずだぞ?この街にはこの街の仕組みがあるってな。
この街の外のルールなんてものは、ここでは通用しない。
マシュー :確かに、そう言われました。ですが!僕たちは魔術師です!
外の、力を持たない人達の暮らしを守る為に僕たちはここに居るんです!
ブランドン:じゃあ、テメェはこの街に住む魔族は守らねぇってことか。
どっちの味方だ?お前は。街の外か?内か?
マシュー :それとこれとは話は違いますよ!
ブランドン:いいや、違わない。少し考えたら解るはずだぞ?
マシュー :そんなこと・・・
ブランドン:もういい。面倒だ。マシュー。表に出ろ。
マシュー :・・・はい?(気圧され
ブランドン:そんなに納得がいかねぇから、力で俺をねじ伏せてみろ。
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マシュー :は、離してください!何をするつもりなんです!?
ブランドン:だからさっきも言ったろ。気にくわねぇなら俺をねじ伏せろって。
(ブランドン。マシューを突き飛ばす)
マシュー :本気で言っているんですか!?
ブランドン:冗談で言うほどバカじゃねぇ。ホレ、抜けよ。
マシュー :はい?
ブランドン:剣だよ。その腰に下げてるレイピアは飾りか?
マシュー :抜くったって、このレイピアは魔術道具で・・・
ブランドン:抜かないならこっちから行くぞ?・・・そらっ!(殴る
マシュー :がはっ!?
ブランドン:ボーっとしてんじゃねぇよ。
マシュー :ゲホッゴホッ・・・。なに・・するんですかっ・・・
ブランドン:何回も言わせんなよ。
マシュー :僕らは、戦い合っている場合じゃ・・・
ブランドン:ごちゃごちゃうるせぇ。さっさと立て。
手加減してやっから、掛かってこいよ。
マシュー :ブランドン卿・・・。どうなっても知りませんよ・・・?
ブランドン:俺に膝を付かせる事が出来たら、お前の言う様に動いてやるよ。
マシュー :言いましたね?本気でやらせて貰います!
ブランドン:良いツラするじゃねぇの。
マシュー :はあぁぁぁっ!たぁっ!せいっ!
ブランドン:突きもなかなか速いな。・・・だがっ!(レイピアをはたき落とし、マシューを投げる
マシュー :なっ!?ぐがっ!(地面に叩きつけられる
ブランドン:魔族との実戦で使うにはまだまだ遅い。
マシュー :ま、まだまだっ・・・!
ブランドン:ふん、根性だけはあるな。そうじゃねぇと困るが。
マシュー :こんのぉぉぉっ!
ブランドン:むやみやたらと突っ込んで来るだけかよ。
マシュー :僕は、間違ってなんか・・・ないっ!
ブランドン:ほう?今の一撃は良かった。俺に当たっていればの話だがな。
マシュー :今、こうやって、戦っている間にも!街は危機に、なっていくんですよ!?(攻撃しながら
ブランドン:この街で『危機』なんぞは朝の挨拶とかわらねぇ。こん中じゃあ何時でもどこでも『危機』なんだよ(回避しながら
マシュー :それを、未然に防ぐのが!我々の役目でしょうッ!
ブランドン:だから、その『役目』ってのは『街の外側』の発想なんだよっ!
(ブランドン、掌底を顔に向かって放つ。とっさに腕でガードするマシュー
マシュー :ぐっ・・・!
マシュー(M):ガードしたのに腕がビリビリする・・・一撃が重いっ!
ブランドン:どうしたよ。俺はまだ息も上がってねぇんだが?
マシュー :・・・どうして、なんです?
ブランドン:はぁ?
マシュー :どうして、そんなに動かないんです!
ブランドン:分からず屋にも程があるな。マシュー。
お前にはとてもよろしい「オツム」が乗ってるんだろ?
マシュー :バカにしているんですか?
ブランドン:そうじゃねぇとこんな事は言わねぇよ。
マシュー :そうですか・・・。
ブランドン:力も理解力もねぇクソガキがこんな街に良く居られるもんだ。
マシュー :まだまだ僕は、未熟です。でも、間違った事は言ってないはずだ!
ブランドン:その思い込みが間違ってんだよ!
マシュー :ぐあっ!
ブランドン:・・・俺は、お前がこの街に来た時。
魔族も「人」だって言ったはずだろうが。それすら忘れたか?
マシュー :それは、解ってます。でも、今はそんな事は関係無いでしょう。
ブランドン:関係あんだよ。バカタレ。
マシュー :なにを・・・言っているんですかあなたはァァァッ!
ブランドン:フン。短調で直情的なんだよ!攻撃が!
マシュー :防がれた!?ぐっ!
(ブランドンとマシュー。組み合った状態になる
ブランドン:つまりだ。マシュー。・・・よく聞けよ?
人は人。外も内も守るのが俺らの役目だって言ってんだよ。俺はな。
マシュー :解って・・・ます・・・
ブランドン:わかってるなら、さっきみたいな巫山戯(ふざけ)たことは言わねぇはずだ。
マシュー :じゃあ、いつ介入するんですか!このままじゃ、人が・・・死ぬかも知れないのに!
ブランドン:死なねぇよ。俺らが大人しくしてたらな。
マシュー :それが、わからないって、言っているんです!
(マシュー、ブランドンの拘束から抜け出し、攻撃
ブランドン:っと、危ねぇな!
マシュー :僕には、詭弁を言ってるようにしか聞こえないんです!
ブランドン:だったら、この街からは出て行くんだなっ!(マシューの攻撃を躱し、カウンター
マシュー :があっ!?
ブランドン:出てけよ。その方が身のためだ。後のことは俺がやっておく。
マシュー(M):脚に・・・力が入らない・・・。
ブランドン:もう少し、お前は利口だと思ったんだがな。
マシュー :まだ・・・です。まだ、僕はっ・・・
ブランドン:・・・めんどくせ。
マシュー :僕はまだ、納得なんて・・・っ!
ブランドン:いいから寝てろっ!
マシュー :ぐがっ!
ブランドン:ったく、やっとノビたか。
手間かけさせんじゃねぇよ
(ブランドン、辺りを見渡す。
ブランドン:よし、コイツほっといて帰るか。
その方が良さそうだしな。
あー、動いたら疲れた。寝直すか。
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マシュー :次回予告
ブランドン:衝突した師と弟子。
マシュー :それぞれの溝は埋まるか。
ブランドン:Night/Knight 第13話 街の仕組み
マシュー :郷に居らば郷に従え
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