Night/Knight 第4話 ポルターガイスト 作:福山漱流
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夜巳 鎮(やみ まもる):純血の吸血鬼。見た目17歳くらいだが、実年齢は200オーバー。感情の起伏が浅く、常に怒っているように思われる。
水原 裕美(みずはら ひろみ):夜巳に仕える吸血鬼。20代の見た目をしている。
人間との混血である故に、捨てられて居たところを鎮に拾われる。瀟洒で人付き合いの良いタイプ。
ローランド・ワインバーガー:封滅騎士団第一装甲騎隊 隊長。20代にして隊長に就任した天才。
基本の戦闘は中身の無い空の鎧を操っての傀儡術式。
どこか相手を見下した言い方をするタイプ。
サンタナ・A・スミス:魔界にあるBar『ファンタズム』のオーナーであり亡霊。お調子者な性格で盛り上がることが大好き。
ルドルフ・シモーヌ:純血吸血鬼であり、吸血鬼界の名家『シモーヌ家』の子息。見た目は20代前半だが実年齢120歳。
つねに偉そうな態度で人に接するヤクザ者。その割に、行動は臆病者そのもの。鎮曰く「口先だけの男」
アルマ・フォン・ターク:純血吸血鬼であり、吸血鬼界の名家『ターク家』の家長。見た目20歳くらいだが、実年齢は300オーバー。
騎士道に準じた在り方を重んじる。
マルリス = アヴィラ:純血吸血鬼であり、吸血鬼界の名家『アヴィラ家』の子女。見た目18歳くらいの少女だが、実年齢は200オーバー。
生粋のお嬢様であり、口調もお嬢様。しかし、怒ると地が出てしまい荒い口調になる。
♂夜巳 鎮(やみ まもる):
♀水原 裕美(みずはら ひろみ):
♂ローランド・ワインバーガー:
♂サンタナ・A・スミス:
♂ルドルフ・シモーニ:
♀アルマ・フォン・ターク:
♀マルリス=アヴィラ:
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鎮 :裕美。
裕美 :なんでしょう?
鎮 :今日の予定は?
裕美 :バー『ファンタズム』にて四名家会談がありま・・・
鎮 :行かない。
裕美 :・・・マスター?
鎮 :なんだ。
裕美 :なぜです?
鎮 :うるさいからだ。
裕美 :・・・はぁ。
鎮 :なぜ、溜め息なんか付く。
裕美 :今回ばかりはそのような我が儘は通りませんよ。
鎮 :フン。お前は母親か。
裕美 :いかようにでも。
マスターもご存じの通り、名家会談は、夜巳家、シモーヌ家、ターク家、アヴィラ家の四家によって開かれます。
各々の統べる魔界地域や人間との同盟関係をどうするか等を決める重要な会議です。
鎮 :それがどうした?
裕美 :ですから、この会議は基本的に、絶対参加ですので・・・。
鎮 :俺が嫌なのはそう言う訳ではない。
裕美 :はい?
鎮 :会議に付いては異論はない。だがな、場所が問題なんだ。
裕美 :場所・・・ですか?
鎮 :なぜ、あの騒霊のバーなんだ?
裕美 :『ファンタズム』ですか?
鎮 :どこの誰に聴かれるか分からない様な公の場所で会議を開くんだ?どこかの家の敷地内でやればいいだろう。なぜ、中立地帯の『ファンタズム』でやる?
裕美 :中立だから。じゃないでしょうか?
鎮 :理解出来ん。
裕美 :とりあえず、何を言おうと、この会議は絶対参加なので行きませんと。
鎮 :ちっ・・・しかたないな。
裕美 :それでは、支度をいたします。
マルリス :Night/Knight 第4話 ポルターガイスト
裕美 :にしても、なぜそこまで『ファンタズム』を嫌うのです?
鎮 :ああ、そうか。裕美は行ったことがないんだったか。
裕美 :ええ。名前を聞いた程度で。
鎮 :このドアをくぐれば分かる。
裕美 :は…はぁ。そうですか。では。
サンタナ :ようこそようこそーぅ!俺様のバー『ファンタズム』へようこそーぅ!
鎮 :わかっただろう?
裕美 :な、なるほど。
サンタナ :おーぅ!これはこれは、夜巳の御当主様じゃねぇか!こんなヘンピな所に何用だい?
それに、どーしたんだぁ?このべっぴんさんは!なんだなんだぁ?今日は結婚記念日かぁ?
鎮 :・・・相変わらずだなサンタナ。今日、ここで名家会議を執り行うと聞いたんだが?
サンタナ :そうだったそうだった!忘れてたぜー。奥の個室を使ってくれ二番だ。
鎮 :わかった。・・・あと、誤解が無いようにいうが、コイツは俺の使用人だ。
変な噂をながすなよ?
サンタナ :なるほどなるほど。了解ー。可愛いメイドさんも善く来てくれた。
ここにいる間はこーんなむすっとした主人のことは忘れて楽しんでいってくれやー
裕美 :あ、ありがとうございます・・・。
鎮 :ほら、行くぞ、裕美。
裕美 :はい。それでは、失礼します。
サンタナ :おーぅ、ごゆっくりぃー。
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アルマ :ん?来たか。久方ぶりだな。夜巳の。
鎮 :アルマか。相変わらず律儀だな。集合の10分は前だぞ?
アルマ :当然だな。いつ、何が起こるか分からない。迅速に行動すれば、何が起こったとしても対処が出来るだろう?
鎮 :その口調も相変わらずだ。・・・シモーヌとアヴィラの家はどうした?
アルマ :いずれ来ると思うぞ。・・・とりあえず、座れ。いつまでも立っていても疲れるだろう。
鎮 :言われなくとも。
アルマ :・・・して、そこのお嬢さんは誰なのだ?
鎮 :ん?ああ、初対面だったな。
裕美 :ご挨拶が遅れました。私は水原 裕美と申します。夜巳家に使用人として仕えております。
アルマ :ほう。ヒロミ・・・か。良い名だ。響きが良い。
裕美 :ありがとうございます。
アルマ :私は、ターク家が家長。アルマ・フォン・タークと言う者。以後お見知りおきを。
鎮 :で、今日の会議は何なんだ?
アルマ :それは、私も聞かされていない。シモーヌ家の者が当日に話すとしか聞かされていない。
鎮 :度し難いな。だとしたら本来、シモーヌの奴が俺らより先に此所にいるべきじゃないのか?
マルリス :全く持ってその通りですわ。
鎮 :フン・・・やはりか。
アルマ :おお、久方ぶりにお目に掛かる。マルリス嬢。
マルリス :ええ。お久しゅうございますわ。アルマ様。それに、鎮様?
鎮 :よりにもよってアヴィラからはお前が来るのか。マルリス。
マルリス :あら?ワタクシが来るとなにか不都合でもございまして?
鎮 :いや、てっきり部下に来させるものと思っていたからな。
家守がお前の仕事ではなかったのか?
マルリス :フフン。相変わらずワタクシには冷たいですわね。ま、良いのですけど。・・・あら?見ない顔ですわね?
アルマ :夜巳のが抱える使用人だそうだ。
裕美 :お初にお目に掛かります。私は・・・
マルリス :結構。いちいち自己紹介を聞くのも面倒です。どこの者かがわかればそれで充分。
裕美 :し、失礼しました。
マルリス :で、あと来ていないのはシモーヌ家ですの?
アルマ :そうだな。所定の時刻にはまだ余裕はあるが、これでは暇だな。
鎮 :俺は今すぐにでも帰りたいんだが。
マルリス :あら?折角の機会ですわよ?もっと旧知の仲を深めるために歓談したら良いじゃないですの。
鎮 :これ以上深めてなんの得になる。
マルリス :100年前のお互いがギスギスとして睨みあう関係より良いのでは無くって?
鎮 :実にもならない交流も波乱の火種になりえると言う事を知っておいた方が良いぞ。
マルリス :実になるかならないかは、行動してから決めるのがワタクシの流儀ですので。
アルマ :ふむ・・・来たようだな。
鎮 :やっとか。
ルドルフ :なんだ。俺が一番乗りかと思っていたのに、もうそろってやがったのか。
アルマ :やあ、シモーヌの。予定には余裕をもって行動するのが一番だからな。
マルリス :時間通りとはいえ、主催者が一番最後とはどういうことですかしら?
ルドルフ :ハッ。俺はアンタらと違って忙しいからな。どうしても遅くなっちまうんだよ。
鎮 :ふん。くだらない良い訳だな。
ルドルフ :おうおう。声がすると思ったら夜巳家のお坊ちゃんじゃねぇか。居たのかよ?ちびっ子過ぎて見えなかったぜ。
鎮 :喧嘩を売るのならもっとマシなセリフを選んだらどうだ?ルドルフ。それじゃあ、犬も寄ってこないぞ?
ルドルフ :偉そうにシャシャるんじゃねぇよ没落貴族が。まともに使用人すら囲えねぇくせによ。
鎮 :貴族ぶっている割に『見かけに執着するほどみすぼらしい物はない』という言葉があるのを知らないようだな?
アルマ :口げんかはそこまでにしてもらおうか?ご両人。この会議は口論の場所ではあるまい。
マルリス :その通りですわ。下らない戯れ言は後にして下さる?我々、こう見えて『忙しい』ので。
ルドルフ :ちっ・・・わーったよ。本題に入ればいいんだろ。おい。そこのメイド。ちょっと外に出てろ。
裕美 :では、マスター。用があればお声を。
鎮 :分かってる。
裕美 :では、失礼いたします。
ルドルフ :よし、これで良い。今日、ここに四名家会議を開いた理由だが・・・・。先日、ウチのシマで連続して同胞が殺された。
鎮 :どんな話かと思えば、その程度か・・・どこでもある話だろう。
ルドルフ :ただの殺しじゃねぇんだよ。そもそも、そこらにいる雑魚が死んだならこんなのは開かねぇ。
殺されたのは、ウチのシマから出てる長老会メンバーの一人なんだよ。
アルマ :ほう・・・?それは穏やかじゃないな。
マルリス :長老会は混血吸血鬼を治める自治権力集団として各ブロックから選出されていたのでしたわよね?
ルドルフ :ああ、今出てるのは、ウチのブロックから3人。ターク家の治めるブロックが4人。
鎮 :俺の所から2人とアヴィラの所が4人か。
ルドルフ :計13人。だが、一人殺され、今は12人だ。
これがどういう意味か分かるか?
鎮 :まさかとは思うが、身内を疑ってるのか?
ルドルフ :それ以外になにがある!?勢力の均衡を崩して、混血共を煽って、俺をつぶしに掛かってる奴が居るとしか考えられないんだよ!
鎮 :ふん・・・臆病者が。
ルドルフ :んだとぉっ!?
マルリス :ストップ。いい加減にして下さらないかしら?ルドルフ。それに、鎮様?
喧嘩がしたいのでしたら他所でやってくださいまし。話が進みませんの。
アルマ :長老会の役員が殺されたという事で、うろたえるのは分かるが、こちらとしても疑いを掛けられるいわれはない。
ルドルフ :だが、そう考えた方が辻褄はあうんだよ!
アルマ :シモーヌの。この情報は知らないと思うから言うのだが、ウチのブロックでも一人殺されている。
マルリス :実は、ワタクシの処もですわ。
鎮 :こっちもだ。
ルドルフ :・・・どういうこった。これは一体・・・。
鎮 :どうやら、身内には犯人がいそうにないな?
アルマ :そもそも、ここで勢力図を替えたところで旨味はないしな。
マルリス :となると、この一件はよそ者の仕業ですかしら?
鎮 :もしくは、魔術師の仕業とかな。
ルドルフ :だとしたら!さっさと犯人を狩りだして処刑を・・・
マルリス :どうやって狩り出すのです?犯人の目星でもあるのです?
ルドルフ :それは・・・。
アルマ :この件は、暫く調査が必要だな。
まずは、各々の管理地域を徹底して洗わねば。
マルリス :他種族の反吸血鬼派閥が絡んでいる可能性もありますわね。
そちらは我が家が総力を挙げて探ってみますわ。
アルマ :夜巳のは『人間側との調停者』という立場を使って魔術師側に変な動きが無いか探ってみてくれないか?
鎮 :わかった。出来る限りやってみる。
ルドルフ :お、俺の家は・・・
マルリス :そちらは邪魔にならない程度に動いて下さればいいですわ。
では、そのようにして、活動して参りましょう。
鎮 :了解。
アルマ :承った。
サンタナ :よーぅ、諸君!お話は終わったか-?
マルリス :騒霊・・・。テメェ、まさか聞いていたんじゃネェっ・・・ないですわよね?
サンタナ :んな訳あるかよ。そんな出歯亀する趣味はねぇ。
鎮 :じゃあ、何でここに入ってきた?
サンタナ :おう、それがなぁ?ホールでアンタを名指しして呼んでる奴が居るんだよ。「夜の王」を出せってな。
鎮 :どんな奴だ?
サンタナ :わからねぇ。けったいな鎧を着込んだヤツらだ。ウチのパーティ・ホールをめちゃくちゃにしやがった。
鎮 :鎧・・・。奴か。
マルリス :知り合いですの?
鎮 :分かった。そっちに行く。その間にこいつ等を逃がしてくれないか?
マルリス :逃がすって・・・鎮様。あなた一人で戦うつもりですの!?
アルマ :相手は複数なのだろう?助勢が必要ではないのか?
鎮 :大丈夫だ。種は分かってる。それより、今はここで四名家会議が開かれていたことを秘匿するのが先決だ。
ルドルフ :そうとなったら、さっさとバックレようぜ。
サンタナ :そこのレバーを引いてくれや。お嬢さん。
マルリス :・・・これですの?よいっせと。
アルマ :ほう・・・暖炉の裏が隠し通路になっていたか。
サンタナ :お宅等三人はここから逃げてくれ。あ、あとメイドちゃんもな。
裕美 :いいえ。・・・マスター。お伴します。よろしいですね?
鎮 :・・・構わない。
サンタナ :やーれやれ・・・じゃー、三人さん。さっさと行った行った!
ルドルフ :おう、いわれなくともだぜ。
アルマ :後は頼んだ。夜巳の。
マルリス :ご武運を。鎮様。
サンタナ :さって、と。それじゃ、行きますかぁ。
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ローランド:やはり居たか。「夜の王」。
サンタナ :ほれ、奴だよ。お宅を呼んでるのは。
鎮 :やっぱり、お前だったか。先日の鎧野郎。
サンタナ :おいおい。やっぱり知り合いだったのかよ!?
ローランド:先日の礼をしに来たぞ?今度こそ、お前を殺してやる。
鎮 :俺はお前に恨まれる謂われないんだが?
サンタナ :おい!お前等俺様を無視するなって!
ローランド:黙れ。貴様は俺の顔に泥を塗った!それこそが罪!
鎮 :やれやれ・・・やるなら容赦はしないぞ?
ローランド:封滅騎士 装甲騎隊 隊長。ローランド・ワインバーガー。参る!
裕美 :させませんっ!はぁっ!
サンタナ :おいおい。俺の店で喧嘩すんなって!・・って誰も聞いてねぇ!
メイドちゃんまで加勢すんなっての!
ローランド:ちっ!下僕が来たか・・・だがっ!まだ、駒はあるのだよ!
裕美 :くっ・・・増援がっ!?マスターっ!そちらに4体行きました!
鎮 :ふん。甘いんだよ。ブラッド・エッジ!
ローランド:ぐっ!2体沈んだか!
鎮 :ハッ!この程度か!臆病者が!
ローランド:ちぃっ!まだまだぁっ!
裕美 :行きなさい!眷属たち!
ローランド:使い魔風情が邪魔立てするな!
裕美 :この程度では相手になりませんか・・・!
鎮 :数だけ多いな!
サンタナ :おいおい!おめぇら!いい加減に・・・!
ローランド:陣形変更!散開!波状突撃形態!削り切れ!
裕美 :くっ!
鎮 :次から次へと!スラッシュ・ウィンド!
ローランド:させん!防御形態!守備を・・・
サンタナ :すぅぅぅぅぅぅとぉぉぉぉぉっっぷ!
鎮 :ちっ・・・、やっぱりこうなるか。
ローランド:ぐっ・・・な、なんだこの耳鳴りはっ・・・。う、うごけん・・・。
サンタナ :ったく!おい、夜巳のお坊ちゃん!ここは俺の店だ。公共施設だ!
殴り合いをする場所じゃないんだぜ?荒らすのは止めてくれや。
鎮 :知らん。先に手を出してきたのはアイツだ。俺は自分の身を守ったまでだ。
サンタナ :くっそ。店をめちゃくちゃにしやがってヨォ。賠償はどこにむけりゃあいい?
どうなんだい?メイドちゃん!お宅で払ってくれんのか!?
裕美 :それは・・・無理ですね。お金に余裕があるのはあちらの方かと。
サンタナ :ったく、オイあんた!ワインだかバーガーだか美味しそうな名前してるアンタ!
ローランド:き、貴様・・・私の名を嘲る気かっ!
サンタナ :アンタの名前がどうだかなんてしらねぇよ。ただ、俺は、店を直してもらいたいだけだ。
じゃねぇと、トんでもねぇことになるぞ?
ローランド:だれが、貴様みたいな騒霊風情の言う事を聞くか!お前も排除するっ!
鎮 :実力行使でもしないとわからないみたいだぞ?
サンタナ :おいおい。マジかよ。俺のことを知らないなんてモグりの魔術師かよ。
裕美 :あの・・・マスター。
鎮 :ん?どうした?
裕美 :私も、彼の事知りませんが・・・
鎮 :ま、今知れば良い。良い実験台も居ることだ。
ローランド:たかだか騒霊如きが俺を倒せると思うのか!排除する!オーダーっ!密集突撃陣形!
サンタナ :さぁて、さてさて。モグリの小僧にお仕置きだ。世間の広さを教えてやるよ。
ローランド:ほざけ!ショット・ランス!
鎮 :くるな。裕美、耳塞いでろ。
裕美 :は、はい。
サンタナ :イエェェェェェェェア!!ロックンロォォォォォル!
ローランド:がっ!?な、何だこのノイズはっ!?
サンタナ :超クールでヘビィなサウンドで盛り上がっていくぜぇっ!イエェェェェアァァァァッ!!
ローランド:ぐっ・・・な、なんだ・・・。魔術構成が・・・崩れる!?
鎮 :大丈夫か?裕美。
裕美 :な、なんとか・・・。
サンタナ :ドォしたんだァ?ハンバーガー君?俺様、サンタナを倒すんだろゥ?
ローランド:くっ・・・、逃げ帰る訳にはっ・・・
サンタナ :粘るねぇ。んじゃあ、もぉぉぉっとボリューム上げてくぜぇ!?
Fooooooo!!
ローランド:ぐ、封滅騎士をなめるなぁっ!!
裕美 :あ、あぶないっ!
鎮 :大丈夫だ。見てろ。
サンタナ :ハッハー!無駄無駄ァっ!
ローランド:なっ・・・すり抜けただとっ!?魔術霊装を施した槍だぞ!?
サンタナ :おいおい、俺様は幽霊だぜ?実体物なんてあたらねぇよ。
ローランド:霊装を無効化するのか・・・っ!くそっ!
サンタナ :さっさと帰った方が身のためだぞ?赤ワイン君?
ローランド:ちぃっ!覚えていろ!貴様等・・・この借りは必ず貴様等の命で償ってもらうからな!
サンタナ :あーん?何言ってッか聞こえネェよ。ったく、逃げ足だけは速いな。あの鎧。
鎮 :いい加減、このノイズ終わってくれないか!
サンタナ :おーっと、わりぃわりぃ。ロック・パーティ終了だ。
鎮 :ったく、だからお前の側には居たくない。
サンタナ :んなこと良いながら、実は好きだったりするんだろ?
鎮 :そんな訳ないだろ。
裕美 :能力の無力化・・・ですか?
サンタナ :あ?俺のさっき使った能力か?そう!その通り!
鎮 :サンタナはあの騒音を使って、相手の魔術構成をぶつ切りにして能力を発動不可能にするんだ。
裕美 :霊装が発動しなかったのもその所為ですか?
鎮 :ああ、霊装自体の魔術構成を切ったからな。あれは単なる槍に成り下がった訳だ。
裕美 :そして、サンタナさんは、幽霊だから実体物は効かない・・・。最強じゃないですか。
サンタナ :ハッハハハハ!最強か!ま、守りにおいては最強かもな!
鎮 :あまりコイツを褒めるな。後が面倒だ。
サンタナ :たまには褒めてくれたっていいだぜ?っと、それにしても、この店の散らかりよう・・・どうすっかな。
鎮 :とりあえず、破損した家具については俺が責任もって手配する。いいツテがあるからな。
サンタナ :それくらい当然してくれ!やっかいものを呼んだんだからな。
鎮 :すまなかった。後、厄介ついでで頼みたいことがあるんだが。
サンタナ :あ?なんだ?
鎮 :・・・・・の監視を頼みたい。
サンタナ :ふむ。それくらいならお安いご用だ。それについての報酬は?
鎮 :お前の要求を1つ呑んでやる。
サンタナ :お、太っ腹。そうだな・・・。1日だけ、このメイドちゃんを貸してくれ。
裕美 :わ、私ですか!?
鎮 :・・・どうするつもりだ?
サンタナ :怖い顔すんなよ。別に身体を売らせようって訳じゃない。それはサキュバスのヤツらで間に合ってるからな。
鎮 :じゃあ、なんだ?
サンタナ :歌だよ。歌。ソングだ。
裕美 :歌・・・ですか?
サンタナ :そう。セイレーンのヤツらが今休暇を取って居ないんだよ。で、そのピンチヒッターで。
裕美 :で、でも、私ロックンロールなんて知りませんけど。
サンタナ :それはノープロブレムだ。別に曲はなんでもいい、ジャズでもポップスでもな。
客を楽しませればそれで万事OKなのさ。
裕美 :で、でもですね・・・
サンタナ :歌が下手とか言わせないぜ?会議の最中、ずっと廊下で歌ってたの聞いてたんだ。
裕美 :なっ・・・そ、そそそんなっ(動揺
鎮 :構わない。
裕美 :ま、マスター!?
鎮 :そのくらいだったら使っても構わない。だが、1日だけだぞ。
サンタナ :おう、それでいい。あさってにはセイレーン達は帰ってくるからな。
裕美 :い、良いのですか?マスター。
鎮 :ああ。息抜きついででやってこい。
裕美 :マスター・・・。
サンタナ :よぉーし!交渉成立だぜ!よろしくな!メイドちゃん!
ナーッハハハハ!
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マルリス :まったく、厄介なことこの上ないですわね。
アルマ :封滅騎士の横槍か。ここのところなかったが。
ルドルフ :夜巳のクソガキが下手をうったんじゃねぇだろうな
魔術師どもを刺激したとかよぉ?
アルマ :そこは知らん。
ルドルフ :だとしたら、奴の責任問題って訳だなァ!
あいつは仮にも調停者なんだからよぉ!
アルマ :そんなことを言っている状況ではないだろう?ルドルフ。
ルドルフ :あぁ?
マルリス :封滅騎士がワタクシたちの動向を察しているかもしれない今。
我々は団結しなければならないということですわ。
アルマ :魔術師の一団と戦える規模を我々は持っていないだろう?
有事となれば、一家だけであいてはできんぞ?
マルリス :ま、シモーヌ家が一家のみでできるというのでしたら止めませんが?
ルドルフ :そ、そりゃあ・・・。
マルリス :無理でしょう?なら、ぐちぐち言うのはやめときなさいな。
しかし、さっきはサンタナの気転でどうにかなった訳ですわね。
アルマ :ああ、そうだな。
ルドルフ :これから、どうすんだよ。
マルリス :どうするもこうするもありませんわ。
先ほど言ったことをやりましょう。
アルマ :ああ、厄介なことはなるべく避けていこう。
マルリス :あくまで影として潜むわけですわね
アルマ :もちろん。我々は人間にとっては悪役だからな
マルリス :ですね。では、ワタクシはここらへんで失礼させていただきますわ。
アルマ :気を付けてな、マルリス嬢。先ほどの件もある、身の回りには気を付けたまえ。
マルリス :ええ、アルマ様も。それでは。
アルマ :では、我々も散るとしよう。
ルドルフ :あ?ああ。とんだ災難だったぜ。
アルマ :まったくだな。・・・シモーヌの。
ルドルフ :なんだよ。アルマ。
アルマ :忠告だ。口は災いの元。慎むことを提言するよ。
ルドルフ :あ?んだよ、説教か?
アルマ :いや、君の身を案じたまでの事だ。
受け取るか否かは君に任せる。
ルドルフ :フン、そうかよ。じゃあな、アルマ。
アルマ :ああ。・・・ルドルフ・シモーヌ・・・。奴は、邪魔だな。
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ローランド:クソッ!クソッ!一度ならず二度までも!!
なぜだ!なぜ敗れる!!これまで、俺は悪の権化である魔族どもを滅ぼしてきた!何度も!
なのになぜ!封滅騎士の中でもエリートであるこの俺が・・・っ!
・・・夜巳鎮。すべての元凶・・・。奴は俺がこの手で殺す。そうでもしなければ、気が済まん!
総統閣下に賜ったこの命・・・貴様の死でもって達成させてもらうぞ!
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ルドルフ :次回予告
アルマ :鬼の一族
マルリス :その絆は今、試される。
鎮 :派閥と野望
裕美 :主のなすべきことは
ローランド:Night/Knight 第5話 家族
サンタナ :想いは友を止められるか
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