アウトライン サイドツヴァイ 第一話 ツヴァイト・ヴェルト

ジーク♂ 24歳 寒冷地帯にある大国、カルテツォーネの正規軍に所属する騎士、階級は少尉。
若くして小隊長を任されている凄腕。真面目な性格で仲間思い。
アラン♂ 21歳 寒冷地帯にある大国、カルテツォーネの正規軍に所属する騎士、准尉。
戦闘の腕は立つが、部隊を率いるには青い所の残る青年、少し熱くなりやすい。
ソフィ♀ 22歳 寒冷地帯にある大国、カルテツォーネの正規軍に所属する僧侶、准尉。
呪文も近接もこなす。ジークを尊敬してやまない、真面目だがジークの事になると熱くなる。

配役表↓

ジーク♂:
アラン♂:
ソフィ♀:




ジーク「無事だったか二人とも」

ソフィ「はい、隊長もご無事で何よりです」

アラン「無事も何も、人っ子一人遭遇してませんよ、
    俺達の仕事が暇なのは良い事ですけど、これじゃ剣が錆びてしまう」

ジーク「魔物の血で錆びるより、風化してしまうくらいが本当であれば一番なのだがな」

ソフィ「同感です、戦いは少なければその方がいいですからね」

アラン「それもそうなんだけど、こんなんじゃ剣の前に腕がなぁ・・・・」

ジーク「なら帰ったら私が稽古をつけてやろう、足らない分ちゃんとな」

アラン「いぃ!?光栄ですけど体持ちませんよ!」

ソフィ「あら、アランは嫌なの、では代わりと言ってはなんですが、私に付けてくださいませんか?」

ジーク「構わんぞ、私でよければいくらでも相手をしよう」

ソフィ「はい!是非ともよろしくお願いします!」

アラン「待てって!俺が先約だぜソフィ!」

ソフィ「アランは体力を温存するのでしょう?ゆっくり湯浴みでもして寝たら良いわ」

ジーク「二人ともきちんと相手をする、だから争うのは止めだ」

ソフィ「も、申し訳ございません、ジーク隊長・・・」

アラン「申し訳ございません・・・・」

ジーク「分かればよい、さ、そうなれば哨戒(しょうかい)任務もあと少しだ、焦らず急ぐぞ」

ソフィ「はい!」

アラン「了解です!」


ジーク「アウトライン サイドツヴァイ 第一話 ツヴァイト・ヴェルト」


ソフィ「ふぅ・・・・、大分日も落ちてきましたね」

ジーク「そうだな、そろそろ帰還するか?」

アラン「俺はどちらでも構いませんよ、村にいても外回りしてても暇なのは変わりませんし」

ソフィ「また任務を暇だなんて・・・・」

ジーク「仕方あるまい、魔物との遭遇でもあれば別だが、それすらもないとなるとな」

ソフィ「そ、それもそうですね」

アラン「隊長に言われた時だけは素直だよな、お前」

ソフィ「そういうアランだって!・・・・っ!?」

ジーク「地震か・・・・!」

アラン「しかも、これで、でかいぞ!?」

ソフィ「っ、きゃあ!?」

ジーク「くっ・・・、なんだ、今の閃光は・・・・」

アラン「目がいてぇ・・・・」

ジーク「・・・・・おい、アラン、ソフィ、あれはなんだと思う?」

ソフィ「あれ?あれとは・・・・、え、嘘・・・・」

アラン「ん、どうしたんですか、二人揃っ・・・・・て」

ソフィ「あんな所に木造の砦が・・・・?」

アラン「あんなの、昨日あったか?」

ソフィ「いいえ、この道は午前中に単独哨戒でも通ったけどあんな物はなかったわ」

ジーク「だが、あれは一朝一夕で作られたものではないな」

アラン「そんな馬鹿な、突然現れてそんな訳が」

ジーク「いや、証拠はある」

ソフィ「木材の老朽化、ですね、出来たばかりにしては木が腐食しています」

アラン「それじゃ、築数年の建物が突然現れたって事か?そんな非現実的な・・・・」

ジーク「調べてみる必要がありそうだな」

アラン「そうですね、あんな気味の悪いものほっとけやしない」

ソフィ「珍しく同感、隊長、調査は?」

ジーク「早い方がいい、今行こう」

アラン・ソフィ「了解」

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アラン「なっ、ゴブリンの群れがこんな所に!?」

ジーク「しかも統制が取れている、厄介だぞ、気を抜くな!」

ソフィ「はい!まずは数を減らすわよ、吹き飛べ、ホーリーアロー!」

アラン「ナイスだソフィ!俺も負けてらんねぇな、双剣の錆びにしてやる、
    ソニックエッジ!アンドダブル!」

ジーク「フッ、心配するまでもなかったか、ならば私も手加減はしてられんな、
    タイランスラッシュ、はぁぁぁあああああ!」

ソフィ「流石隊長、剣とは思えない破壊力ですね」

ジーク「褒めても何も出ないぞ、ソフィ」

アラン「出るとしたら、更なる大技くらいですか?」

ジーク「ゴブリン程度には勿体無い、こんな所では出さんぞ」

アラン「残念、それじゃサクッと片付けますか!」

ソフィ「そうね、折角稽古の約束していただけたのに、ゴブリンなんかに取られたんだもの、
    この恨みは大きいわよ、はぁ!」

アラン「お前の基準そこか!」

ジーク「なんにせよ、戦闘のモチベーションに繋がっているのであれば動機に貴賎(きせん)はない、
    さぁ、私たちも行くぞ!」

アラン「了解、うぉぉぉらぁあああああ!」

ジーク「はぁぁぁああああああああ!」

ソフィ「はぁ!っと、隊長!アラン!」

アラン「なん、だよ!」

ソフィ「これ、おかしく、ないですか!」

ジーク「あぁ、私もそう、思っていた所だ!」

アラン「何が、ですか!」

ジーク「敵が、減らん!」

アラン「そう言われてみれば、そう!ですね!」

ソフィ「っと、この統率力、指揮官がいるはずです、探しましょう」

ジーク「この砦の作りは単純、指揮官がいるとしたら、あそこだ!」

アラン「よっしゃ、俺が切り開く、レッドバイソン、うぉぉぉおおおおおお!」

ジーク「ソフィ!アランに続くぞ!」

ソフィ「はい!」

アラン「ここの部屋だな・・・・、おらぁ!」

ジーク「いたぞ、あいつだ」

ソフィ「オーガ!?なんでこんな辺境の村に・・・・」

アラン「っ!?扉が閉まった!?俺思いっきり蹴破ったはずだろ!?」

ジーク「退路が断たれたか・・・」

ソフィ「好都合です、背水の陣、燃えるじゃないですか」

アラン「まぁ、俺も嫌いじゃない」

ジーク「ふっ、哨戒任務より活き活きしているな」

アラン「当然ですよ!働いてるって実感がありますからね!」

ソフィ「人の為にって実感が素敵ですよね!」

ジーク「あぁ、そうだな、よし、アランは右舷、ソフィは術で援護!」

ソフィ「はい!足元から崩してあげる、ホーリーバニッシュ!」

アラン「中々しぶといじゃねぇか、こいつで、どうだ!」

ジーク「ナイスだ、これで!グランスマッシュ!」

アラン「やった!」

ソフィ「っ、隊長あぶない!」

ジーク「マズイな、ぐぅ!?」

アラン「隊長!」

ソフィ「ヒーリング!」

ジーク「くっ、すまない、っと」

アラン「あそこから反撃するかよ、厄介な・・・」

ジーク「このオーガ、今までのより数段強い」

ソフィ「隊長、やはり出し惜しみはやめましょう」

アラン「そうですよ!あの技を!」

ジーク「仕方ないか、念には念をだ、ソフィ、補助呪文を」

ソフィ「分かりました、ワイルダー!」

ジーク「ありがとうソフィ、さぁ、オーガよ、この技を受けて立っていられるか!
    ゆくぞ、グランゲイル・ブレイドォォォォォオオオオ!」

アラン「すげぇ・・・・、流石隊長!やっぱ隊長最強ですよ!」

ソフィ「隊長、カッコイイです・・・・・」

ジーク「褒めてくれるのはありがたいが、疲れるのだぞ、これ」

アラン「いやでも、本当に一撃必殺ですね、その技」

ソフィ「私たちもそれくらい強い技があればいいんですけどね・・・・」

ジーク「いつか使えるようになるさ」

アラン「楽しみですよ!・・・・て、あれ・・・?」

ソフィ「何、あれ・・・・」

ジーク「魔物の死体が、消えていく・・・・?」

アラン「扉の外にいた気配も・・・・」

ソフィ「吹き飛ばしたのは別として、なんで?」

アラン「何かの魔術で召喚されたのか・・・・?」

ジーク「いや、如何に召喚術とは言えど、死ねば死体は残る、
    そこに生物を呼び出すのだからな」

アラン「じゃあ、何が起こってるって言うんですか?」

ソフィ「そんなの分かる訳ないじゃない」

ジーク「可能性として考えられるのは、これと同じものが他の場所にも発生している、という事だな」

アラン「そんな馬鹿な、こんな非現実的なことが同時に起こる訳が・・・・」

ソフィ「可能性の一つよ、二度あることは三度あるっていうじゃない」

ジーク「これは近い内に本国へ報告する必要がありそうだな」

アラン「そうですね・・・・・」


ジークN「その後、我々は哨戒作戦の結果を報告する為に村に戻った、
     もちろん、ゴブリンの群れと戦った事も含め、だ、
     だが、突然砦が現れた、死体が消えてしまった、などと話せるわけもなく、
     蟠(わだかま)りを胸につかえたまま、我々は床に付くのだった・・・」



ソフィ「次回予告」

アラン「過酷な環境で生きる村人たち」

ジーク「辺境であればあるほど、戦いの危機に晒される機会は増える物なのである」

アラン「次回、アウトライン サイドツヴァイ 第二話 劣悪な日常」

ソフィ「神はこの世界に、これ以上何を求めるというのでしょうか・・・・」




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