箱庭の世界で 第四十話 残酷な真実
氷雪♂ 18歳 (ひゆき)
フィオ♀ 18歳
火炎♀ 18歳 (かえん)

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氷雪♂:
フィオ♀:
火炎♀:


氷雪「いやぁ、今日は平和だねぇ」

フィオ「そうだね、今日は平和だね、これならパトロールいらなかったかもね」

氷雪「あぁ、なんかあんまりそういう気配もないしな」

フィオ「不気味なくらいに静か、嵐の前のなんとやら、じゃないといいなぁ」

氷雪「だな、っ!爆音!?」

フィオ「大きかったよ、火炎の家の方!」

氷雪「急ごう」

フィオ「うん!」


火炎「箱庭の世界で 第四十話 残酷な真実」


フィオ「火炎、大丈夫!?」

火炎「ほむら・・・ほむらぁ・・・」

氷雪「くっ、酷いな・・・、おい火炎!何があった!」

火炎「ぇ・・・、フィオ、ちゃん、氷雪・・・?」

フィオ「怪我ない?大丈夫?」

火炎「私なんかより、焔が、焔が・・・」

フィオ「焔?焔がどうしたの?」

火炎「あ、いや、嫌・・・!」

フィオ「っ、火炎!」

氷雪「フィオ、お前までテンパってどうする、落ち着け」

フィオ「う、うん、でもっ」

氷雪「でもじゃない、落ち着け、お互いに干渉しあうぞ」

フィオ「ご、ごめん」

氷雪「火炎、落ち着け、大丈夫だから」

火炎「あぁ、あぁ・・・、ほむらぁ・・・」

氷雪「焔の為だから、落ち着いて、な?」

火炎「ほむら、のため・・・?」

氷雪「あぁ、焔の為だ、だから落ち着け」

火炎「うん・・・うん・・・」

フィオ「ね、ねぇ、何が・・・」

氷雪「お前も落ち着けって、まったく・・・、メイク・クール」

フィオ「あ、ひんやりする、気持ちいい・・・」

火炎「落ち着く・・・」

氷雪「冷静に、な?」

フィオ「う、うん」

氷雪「なぁ火炎、ここで何があったか、話せるか?」

火炎「っ!や、いやぁ!」

フィオ「火炎、ねぇ、何があったの?そんなに怖い事があったの?」

火炎「ごめんなさい、ごめんなさいぃ・・・」

フィオ「火炎・・・」

氷雪「・・・・・・火炎、飛んでったデカイ気、あれか?」

火炎「っ・・・!」

フィオ「気・・・あの、火と氷の・・・?」

氷雪「あぁ、とんでもない気のな」

フィオ「あれ、誰なの・・・?」

火炎「氷の方は、スノウさん、だよ・・・」

フィオ「スノウって、こないだの!?」

火炎「うん・・・」

氷雪「火の方は?」

火炎「っ、それは・・・・」

氷雪「赤い、悪魔か?」

火炎「っ!」

フィオ「赤い悪魔!?」

火炎「や、あの、えっと・・・」

氷雪「・・・・・・そうか、無事でよかった」

フィオ「追おう」

氷雪「待てよ」

フィオ「やっと、やっと会えたお兄ちゃんの仇・・・」

火炎「だ、め、フィオちゃん、危ない、から」

フィオ「何で二人して止めるの!?知ってるでしょ、私がずっとあいつを探してたって!」

氷雪「あの気を感じて分からないか、今の俺らじゃ無理だ」

フィオ「それでも!このまま見逃すなんてできない!」

火炎「おね、がい、二人が殺しあうのなんて、見たく、ないよ・・・」

フィオ「二人?二人って、どういう事よ」

氷雪「あぁ・・・こういう時だけ冴えてるの、本当に勘弁して欲しいよな・・・」

フィオ「氷雪、どういう事?」

氷雪「あれ、焔なんだろ、火炎」

火炎「っ!」

フィオ「あれ・・・?あれってまさか・・・」

氷雪「そうだよ、そのまさかだ、赤い悪魔は・・・」

火炎「やめて!言わないで!」

氷雪「どういう事情だったか知らないけど、こうなっちゃったら、どうしようもないだろ」

火炎「そうだけど・・・、でも、でもぉ・・・」

氷雪「フィオ、赤い悪魔は・・・」

火炎「やめてぇぇぇえええええ!」

氷雪「焔、なんだよ」

フィオ「赤い悪魔が、焔・・・?」

火炎「あ・・・あぁ・・・」

フィオ「どういう、事、今まで、ずっと仇と、一緒にいたって事・・・?」

火炎「違う、違うの」

フィオ「火炎は知ってたの?焔が、あいつだって事」

火炎「っ・・・」

フィオ「なんで教えてくれなかったの!?私があいつを探してるの知ってたでしょ!?
    火炎も焔も、協力してくれるって言ってたじゃんか!」

氷雪「おいフィオ」

フィオ「最初からなの?最初から知ってたの?ずっと友達だと思ってたのに!」

氷雪「おいフィオ!」

フィオ「氷雪はショックじゃないの!?」

氷雪「ショックに決まってるだろ!俺だって焔の事親友だと思ってたんだ!」

火炎「ごめん、なさい、ごめんなさい・・・」

フィオ「謝らないでよ、そんなの、騙してたって認めてるようなもんじゃんか!」

火炎「私だって、私だって友達だと思ってた、これからだってそうありたかった!」

フィオ「じゃあ何で!」

氷雪「二人とも落ち着けよ!」

フィオ「だって!だって、親友だと思ってたんだよ!?」

氷雪「落ち着けって言ってるだろ!冷静に考えてみろよ」

フィオ「冷静にって何を!」

氷雪「赤い悪魔が仇だって話したのは仲良くなってからだろ!
   最初から騙してた訳じゃないだろう、少なくとも友達という気持ちに偽りはないだろ」

火炎「でも、知ってからも黙ってたのは私だよ・・・、全部悪いのは私なの・・・」

フィオ「やめてよ、何よ、自分ばっかり悪者ぶって」

氷雪「待てって!なんでお互いにちゃんと確認しあわねぇんだよ、誤解があるかもしれないだろ」

火炎「・・・・・私は、最初から焔が、あの事件の犯人だって、知ってたよ・・・」

氷雪「なんで、火炎が赤い悪魔と一緒にいたんだ?」

火炎「それは・・・」

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フィオ「・・・・・・」

氷雪「悪魔にも人の心があった、ってことか」

フィオ「訳わかんないよ、あれだけ沢山の人殺して、自分だけのうのうと生きてるなんて、
    そんなの、許せるわけないじゃない!」

火炎「・・・・・うん、そう、だよね」

氷雪「けど、焔はなんでスノウと・・・?」

火炎「今の記憶がなくなって、昔の記憶がよみがえった、んだと思う」

フィオ「それじゃ、今のあいつは、私たちとの記憶はなくて、昔の記憶だけ・・・」

氷雪「そうだな・・・」

フィオ「それじゃ、殺しても、問題ないよね」

氷雪「それ、本気で言ってるのか」

フィオ「本気だよ、私にとって、復讐が何よりも大切なんだから」

火炎「フィオ、ちゃん・・・」

フィオ「これが私だよ、火炎、こうさせたのは、焔、あいつだ」

火炎「っ、ごめんなさ」

フィオ「あんたに謝られた程度で収まってたら苦労してないよ!
    ウザイから、もう謝らないで」

火炎「・・・・・・うん」

フィオ「氷雪も分かってるよね」

氷雪「・・・・・・・」

火炎「いや・・・もうこんなのいやぁ!」

氷雪「っ、おい火炎!?」

フィオ「っ、包丁?」

氷雪「バカ、よせ!」

火炎「放して!こんなのもう嫌なの、死なせてよぉ!」

氷雪「くっ、なに、バカな事言ってんだ!」

火炎「だって焔はもういない!私が愛した、私を愛してくれた焔はもういない!
   仲の良かったみんなだってこれからいなくなるんだ!そんなの耐えられない!」

氷雪「だからって諦めるのかよ!ここで死んで何になるってんだ!
   取り戻そうとか思わねぇのかよ!」

火炎「だって・・・だって・・・」

フィオ「・・・帰る」

氷雪「は、おい」

フィオ「追わないわよ、帰るって言ってるじゃない」

氷雪「くっ、そうじゃなくてさ」

フィオ「氷雪、一つ教えて」

氷雪「あぁもぅ・・・、なんだよ」

フィオ「氷雪は誰の味方?焔?火炎?それとも、私?」

氷雪「・・・・・全員のって選択肢は」

フィオ「なし」

氷雪「はぁ・・・、その中の誰かを選んで誰かを捨てるくらいなら、誰も選ばない」

フィオ「・・・・・そ、分かった、それじゃあね、氷雪、また明日」

氷雪「あ、おい、待て!・・・・はぁ、行っちまったよ」

火炎「私には・・・またねもないんだ・・・、はは、当然、だよね・・・」

氷雪「火炎・・・」

火炎「氷雪も帰ってよ・・・」

氷雪「こんな火炎を、一人に出来ないって」

火炎「大丈夫、だよ、自殺なんて、しないよ」

氷雪「本当だな?」

火炎「本当だよ、だから、また明日、学校で、ね」

氷雪「・・・・・あぁ、また明日な」


フィオM「この日は眠れなかった、仇を見つけたから、裏切られたから、・・・・不安だから、
     変わったはずだった、変われたと思ってた、でも、そんな事なかった、
     私の根底にあるのは復讐、例え相手が今まで仲間だったとしても、
     お兄ちゃんを私から奪ったのは、あいつなんだから」


火炎「次回予告」

氷雪「歯車はどこから狂ってたのだろうか」

フィオ「出会った時から、それとも出会う前から?」

火炎「彼女の歯車が狂った時、それは・・・」

氷雪「次回、箱庭の世界で 第四十一話 フィオの過去」

フィオ「お兄ちゃん、待ってて、もうすぐ、もうすぐだから・・・」



とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w