箱庭の世界で 第三十九話 氷の姫が動く時

焔♂ 18歳 (ほむら)
火炎♀ 18歳 (かえん)
スノウ♀ 18歳

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焔♂:
火炎♀:
スノウ♀:



火炎「大丈夫?荷物、半分持とうか?」

焔「余裕だって、こんぐらい持てる持てる」

火炎「落さないでよー?卵とか入ってるんだからね」

焔「大丈夫だって、ちょっと持ちにくいけど重くはねぇし」

火炎「お、重くないんだ、結構生ものとかも入ってるのに、さすが焔だね」

焔「任せとけって、久しぶりの晩飯当番だからな、気合入ってるぜ」

火炎「この食材だと・・・中華?」

焔「正解、炒め物は任せとけ」

火炎「うん、任せとく!」

焔「おぅよ!・・・・・・あ」

火炎「ん、どうしたの?」

焔「食いモンばっかでその他雑貨買ってなくね?」

火炎「・・・・・あっ、そういえばシャンプーとか買ってないよね」

焔「ごめん、俺先帰って飯作ってるから買って来てくれない?」

火炎「うん、分かった、それじゃ行ってくるね」

焔「悪いな、頼むぜ、また後でな」

火炎「うん!」

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焔「よっし、出来た!後は火炎の帰りを待つだけ、だな」

焔「っと、インターホン、丁度帰ってきたか、おかえりー、って」

スノウ「えっと、ただいま、で良いのかしら?」

焔「・・・・・・・えっと、どちら様でしょうか?」


火炎「箱庭の世界で 第三十九話 氷の姫が動く時」


スノウ「本当に、覚えてないの?」

焔「あぁ、ごめん、俺、三年より前の記憶がなくて、さ」

スノウ「そっか、あの後の、記憶がないのね・・・」

焔「あの、後?」

スノウ「そう、・・・・・焔は知りたい?」

焔「知り、たい?」

スノウ「自分の、覚えてない自分」

火炎「ただいまー!って、あれ、スノウ、さん?」

焔「お、火炎、おかえり!知り合いだったのか?」

スノウ「えぇ、先日喫茶店で、ね、火炎さん?」

火炎「う、うん、ほら、この間の女子会の時に、ね」

焔「へぇ、また凄い偶然だな」

火炎「そう、だね」

スノウ「ふふっ、本当に偶然なのかしら」

火炎「っ、どういう、こと?」

スノウ「貴女は、どこまで知ってるの?」

火炎「なん、の事・・・」

スノウ「ねぇ、焔」

焔「っ、何?」

スノウ「火炎さんとの出会い、覚えてる?」

焔「え、覚えてるけど・・・」

スノウ「それは本当にファーストコンタクト?」

火炎「やめて!どういうつもりなの!?」

スノウ「私は真実を持ってきたの」

焔「真実?」

火炎「貴女、焔の何なのよ!」

スノウ「三年より前に焔と一緒にいた者、よ」

焔「っ、俺の知らない、俺と一緒に、いた・・・?」

火炎「っ、あ、あ・・・」

焔「火炎・・・?大丈夫か?」

火炎「いや、いや・・・、奪わないでよ・・・、私から焔を奪わないでよ・・・」

スノウ「先に奪ったのは貴女でしょ、火炎さん」

火炎「違う!」

スノウ「何が違うって言うのよ!」

焔「待てよ!」

スノウ「っ、ごめんなさい」

火炎「ごめん、なさい・・・」

焔「訳わかんねぇよ、二人は知り合ったばっかりなんだろ?
  俺はスノウの事は覚えてないし、自分の事も覚えてないし、
  肝心な・・・、かどうかは知らないけど、俺完全に置いてけぼりなんだけど」

スノウ「そう、ね、それじゃ、少しずつ、説明してくわ」

焔「あぁ、頼む」

スノウ「焔はね、記憶を失う前は私と付き合ってたの」

火炎「っ・・・」

焔「・・・・・・マジかよ」

スノウ「えぇ、本当よ、これは、火炎さんも知らない事よ」

焔「火炎?」

火炎「うん・・・、知らなかったよ」

焔「俺、最悪だな、二股かよ・・・」

スノウ「気にしなくていいの、記憶を失ってたのだもの」

焔「っ、そうだよ、まずそこだ、俺、なんで記憶が?」

スノウ「それは、火炎さんの口からどうぞ」

火炎「っ、・・・・焔、知りたい?」

焔「・・・知ってるんだな?」

火炎「・・・・うん」

焔「教えてくれないか?今の生活に不満がある訳じゃない、
  けど、俺だって知らないままは嫌なんだ」

火炎「分かった、話す、よ、三年前、この町で何があったかは、知ってるよね?」

焔「赤い悪魔の、暴走、か?」

火炎「・・・うん、焔はね、・・・・その、赤い悪魔、なの」

焔「は・・・、なんの、冗談、だよ、それ・・・」

火炎「本当、だよ・・・、冗談だったらこんな事言わないよ・・・」

焔「だって、待てよ、ほら、赤い悪魔って、死神の集落ぶっ潰して、フィオの兄貴の仇で、
  氷雪の昔住んでた町を滅ぼして、この町だってすっげぇ被害だったんだろ?」

火炎「・・・・そう、だね」

焔「そんな、そんな奴が俺だってのかよ、しかも、それが本当なら俺、魔族じゃねぇかよ!」

スノウ「えぇ、貴方は魔族よ、だって、私が魔族ですもの」

焔「なんだよ、なんだよ、俺は、殺戮者だって言うのかよ、仲間の、仇だってのかよ!」

火炎「・・・・ごめんなさい」

焔「なんで火炎が謝るんだよ」

火炎「私が助けたのが、全部始まりだったんだよ」

焔「火炎が、俺を?赤い、悪魔を?」

火炎「うん、助けて、かくまって、怪我治して、あの時、焔はほっといてって言ってたのに」

スノウ「焔は色んな所から追われてたの、あれだけの事をしたから」

火炎「天界からの追っ手に囲まれて、流れ弾に当たりそうな私をかばって、
   焔はまた重傷を負っちゃった、私は、貴方を失いたくなくて、天界と、取引したの」

焔「・・・取引?」

火炎「うん、記憶と、力を封印して、更生させる、って」

焔「そう、か・・・」

火炎「私も、全部過去を捨てて、貴方と一緒に生きていこうとしたの」

スノウ「貴女は、利用したのよ、その状況も、天界との取引も!」

火炎「違う!私は!私は・・・」

焔「火炎・・・」

スノウ「私は、取り返しに来たの、ずっと探してた、会いたかった」

焔「スノウ・・・、ごめん、でも俺」

スノウ「大丈夫よ、すぐに、全部思い出すわ」

焔「え・・・?」

スノウ「これが、本当の貴方・・・」

火炎「っ、やめてぇ!」

焔「ぐっ、あ、あぁぁぁぁあああああああああああああ!」

火炎「焔ぁ!」

スノウ「黙りなさい、全てを欺(あざむ)いてきた貴女に、心配する資格なんてない!」

火炎「っ!」

焔「なん、だよこれ・・・!違う、違う違う違う!俺じゃない、こんなの俺じゃない!」

火炎「焔!焔ぁ!」

スノウ「私の焔に触れるな!」

火炎「きゃぁ!」

焔「頭が、ぐぅ、あ、あが、あぁ、あぁあああああああ!」

スノウ「ほら、大丈夫、全部、記憶にゆだねて・・・」

焔「っ・・・!っはぁ、はぁ・・・・、ここ、は・・・」

火炎「つ、ぅ・・・、ほむ、らぁ・・・」

焔「どこ、だ、ここ・・・?」

スノウ「焔、私のこと、分かる?」

焔「スノ、ウ?なんだ、でかく、なったか?」

スノウ「焔!」

焔「っ、どうしたんだよ」

スノウ「うれしくて、うれしくて仕方がないの・・・」

火炎「いや、嘘、でしょ、ね、ねぇ焔?」

焔「・・・・・お前、誰?」

火炎「っ・・・・・!」

焔「スノウ、ここ、どこだ?」

スノウ「地上よ、私が借りてる場所があるの、こんな所にいつまでもいる必要ないわ」

焔「分かった、案内、頼めるか?」

スノウ「えぇ、行きましょ」

火炎「待って!いや、いやだよ、待ってよほむらぁ!」

焔「スノウ、あいつ、何で俺の名前知ってるの?」

スノウ「だって焔、有名じゃない」

焔「あぁ、それもそうか」

火炎「本当に、私のこと、わから、ないの・・・?」

焔「・・・・・・行くぞ、ん、よっ」

スノウ「赤い魔族の翼・・・、体も戻ったの?」

焔「戻った?翼があるのはもとからだろ」

スノウ「ふふっ、そうね」

焔「出口は・・・」

スノウ「あ、それならあっちに・・・」

焔「面倒だ、開けるぞ」

火炎「え、いや、待って!」

焔「エクスプロード」

火炎「きゃぁ!」

焔「じゃあな」

火炎「待って、焔、ほむらぁああああああああああ!」

スノウ「さようなら、火炎さん」

火炎「いや・・・焔、焔を返してよ、いや、いやぁ・・・」


火炎N「私は、焔を失った、全てだったのに、世界そのものだったのに、
    彼がいないと、私には、何もないって言うのに・・・、
    主役を失った私の世界は、これからどうなるんだろう・・・」


焔「次回予告」

スノウ「昔の記憶を取り戻し、今の記憶を失った焔」

火炎「この騒動は、また新たな波紋を呼ぶ事になる」

焔「次回、箱庭の世界で 第四十話 残酷な真実」

スノウ「嘘と隠し事で覆い隠された調和が、今崩れる」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w