箱庭の世界で 第三十六話 散策、錯綜、結論

焔♂ 18歳 (ほむら)
氷雪♂ 18歳 (ひゆき)
イン♂ 21歳
会長♂ 19歳 (かいちょう)


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焔♂:
氷雪♂:
イン♂:
会長♂:




焔N「とある休日、俺たちは会長に呼ばれ、中央区に集まる」

会長「うむ、これで全員だな」

イン「で、呼び出したんだ、何かしらちゃんと用意してあるんだよな?」

氷雪「呼び出すだけじゃなくて、女連中とワザワザ別行動までとってさ」

会長「当然だ、今日の私は珍しく真面目だぞ」

焔「これでふざけてやがったら殴り飛ばしてやってる所だ」

会長「まぁ落ち着け、早速だが、本題に入るぞ」

イン「あぁ、頼む」

会長「分かってると思うが、邪教の手による物であろう事件が増えている」

焔「それの防止だろ、そんなのしょっちゅうやってる事じゃねぇか」

会長「防止、予防なんてどれだけやった所で現状維持でしかあるまい」

焔「・・・・・・何が言いたい?」

氷雪「今回は情報収集に重点を置くって事か」

会長「そうだ、今まで受身だった、これも受身な作戦であることには変わりないが、
    反撃のための準備だ、今まで以上に働いてもらうぞ」

イン「貰うぞって、お前も働くんだよな、もちろん」

会長「当たり前だ、自分の世界のことだ、こんな時までふざけていられる物か」

焔「オッケェ、んじゃ、誰がどこ担当するよ」

氷雪「俺は北区行くよ、自分んち付近だし、地理も分かるからな」

焔「それじゃ俺は南区だな、二人は?」

会長「私は中央区を任せてもらおうか、学園近辺だったら知らない所はない」

イン「俺は空から全域見とくよ、気になることもあるし」

焔「頼む、って言いたい所だけど、大丈夫か?東西フリーだし、お前のキャパシティ的にも」

イン「当ったり前だろ!って言いたい所だが、正直偵察任務は苦手だった」

焔「おいおい、なんなら俺が二地区担当しても・・・」

イン「得意不得意言ってられる状況じゃないだろ、やれるやれないじゃなくてやるんだよ」

氷雪「まぁ、どっかの誰かさんが人払いなんかしなけりゃ人足りたのにな」

会長「だが、女性陣には心労が溜まってる、休んでもらう必要があった」

イン「だな、いろんな事が重なりすぎた、だから今は俺らが踏ん張る時期だ」

氷雪「なんだよー、俺が悪者みたいな言い方するなよー」

焔「してねぇだろ、茶化すなっつうの」

イン「ま、茶化しもいいんじゃね、気張りすぎはミスの元だぜ」

焔「まぁ・・・だな」

会長「そうだ、気合は入れるがリラックスして抜く所は抜くだ」

氷雪「そうそう、んじゃ、早速始めようぜ、ウダウダやってないでさっ」

イン「全く、調子の良い奴、会長、集合時間は?」

会長「午前4時、場所は私の部屋だ」

焔「了解、じゃ、行くとしますか」

氷雪「ラジャ」


イン「箱庭の世界で 第三十六話 散策、錯綜、結論」


氷雪「お邪魔しまーす」

焔「悪い、遅れた」

イン「おせぇぞー」

会長「30分、遅刻だな」

氷雪「ごめんって、来る途中で一件かたしてきたんだよ」

焔「思ったより手間くっちまってさ」

イン「大丈夫だ、ちょっと先に話しておきたい事も話せたしな」

氷雪「話しておきたい事?」

イン「あぁ、会長、地図広げるぞ」

会長「うむ、頼んだ」

焔「地図?」

イン「そっ、これを見てくれ」

氷雪「この町の全体地図、だな、この印、何?」

会長「それを当ててみろ」

焔「当ててみろって、情報少なすぎるだろ、ヒントくれヒント」

イン「じゃあヒント1、どんな場所に多くついてる?」

氷雪「んー、中央区が多いかな、特に学園付近」

焔「後は・・・・俺たちの行動範囲、か?」

会長「そうだな、我々がよく行動する範囲、そしてその付近だ」

焔「・・・・・・・他にヒントは?」

イン「あ、まだいるの?」

焔「こんだけじゃわっかんねぇよ」

会長「氷雪もヒント、欲しいか?」

氷雪「ダメ?」

会長「だそうだ、イン」

イン「まぁ、いいか、今日の行動範囲を思い返してみ」

氷雪「行動範囲・・・・」

焔「これ、俺らが、戦闘した場所、か?」

イン「惜しい」

焔「惜しいかぁ」

イン「お前な、自分の戦闘してない場所にも打ってあんだろうが、印」

焔「だって、俺以外の奴もいるだろ?」

会長「まぁ、惜しいのだから言い訳をせず次の答を考えたまえ」

焔「うっせ、お前は分かったのかよ」

会長「分かったぞ、それもすぐにな」

氷雪「んー・・・・、あっ、もしかして・・・」

イン「氷雪、どうぞ」

氷雪「これ、事件の起こった場所、か?」

イン「ご名答、本当はもうちょっと整理したかったんだけど、状況証拠はあるからいいかなって」

焔「どういう事だ?」

会長「インが空と一緒に調査したらしいのだが、邪教絡みの事件を印しているらしい」

焔「邪教、だって?」

氷雪「なんでそんな事を?」

イン「色々引っかかる事もあったし、後は方向性やパターンが分かれば対処もしやすいかと思ってな」

会長「もちろん、今日の分に関しては精査してないから違うのも混ざっているだろうが」

イン「事前調査分は空の知り合いの刑事に協力してもらってるから間違いないはずだ」

焔「なるほどな・・・」

氷雪「そういう事か」

会長「ん、どうした氷雪?」

氷雪「俺達が、ターゲットって事、だろ」

イン「恐らく、な」

焔「どういう事だよ」

イン「片寄ってるって事は、ワザとこの辺りを狙ってやってるんだろ、多分だけど」

会長「目的がなんなのかは、正確に分からんがな」

氷雪「濁さなくていいよ、そこまで言えば大体予想なんてつく」

焔「だから、どういう事だって聞いてるんだっつうの!」

氷雪「奴ら、憎しみや悲しみを集めてるって言ってた、
    その対象を俺たちに絞ってるって事だろ」

イン「俺達も、その結論にたどり着いた訳だ」

焔「だから、感情を殺して戦えって事か?」

氷雪「そういう事だろ、わざわざ相手の為になるようなことをする事ない」

会長「その上で敵を速やかに止めれば良い、敵のパターンも読めれば楽になるしな」

イン「俺達が周りで起こってる事に怒れば怒るほど相手さんが目的に近づく、と思うし」

焔「だからって出来ると思うか、そんな事」

氷雪「だから、やるんだろ」

焔「テメェは出来んのかよ!?」

イン「おい焔!」

氷雪「手、離せよ、話聞いてたのか?こういうのを敵は狙ってるんだろ?」

焔「お前は、忘れられるのかよ、イリークの事」

会長「焔、よせ」

焔「会長も!あの教会であったこと、忘れられるのかよ!?」

会長「忘れられる訳なかろう、だが、それも敵の思惑であろう」

焔「じゃあなんだよ!俺達が狙われてたからあいつが、あんな目にあったって言うのかよ!?」

氷雪「そうだって言ってるだろ、落ち着けよ」

焔「なんだと、テメェ!」

イン「焔!」

焔「あぁ?インもなんか言いたいことあんのかよ!?」

イン「手、下ろせよ、ここで氷雪殴っても何も変わんないだろ、
   氷雪もだ、焔を挑発するような事言うなよ」

会長「仲間割れしてる場合ではないだろう、まずは冷静になれ、二人とも」

氷雪「俺はこれ以上ないほど冷静だけど?」

焔「くっ、じゃあ、二人の意見はどうなんだよ」

会長「敵の計画が遅れるのであれば、出来る限り感情を抑えればよい、
    人間なのだ、ゼロにするのは無理だからな」

イン「同意見だ、出来ることはやっとくにこした事はないからな」

氷雪「そういう事だ、焔、お前が少数派だよ」

焔「じゃあお前らさ、大切な人が傷つけられて平気なのか?」

会長「それとこれはまた別の・・・」

焔「一緒だろうがよ!俺達が狙われてるって事は十分ありえる話だろうが!」

会長「それは・・・」

焔「今まではたまたま、近くで関係のない人が、事件に巻き込まれただけけかもしれない、
  イリークだって会長からしたら他人だもんな!知り合いの知り合い、同じ学校の生徒ってだけだもんなぁ!」

イン「焔!お前いい加減に・・・」

焔「テメェもだよ!イトがボコボコにされて、殺されても、感情抑えようとすんのかよ!?」

イン「なっ・・・」

焔「一緒の事だろうが!他人だろうが仲間だろうが!俺達のせいでやられてる奴らがいるんだろ?
  そいつらにだって家族や大切な人がいるんじゃねぇのかよ!?」

氷雪「けど、邪神が復活したら身の回りじゃ済まないんだぜ、なら抑えて少しでも遅らせればいい」

焔「遅らせる?止めんだろ、感情を抑えりゃそういう結論に行くんだよ、消極的になっちまってんじゃねぇか」

氷雪「それがどうしたよ、やる事は変わんないだろ?」

焔「それが問題なんだって!現状維持じゃいけねぇんだよ」

イン「あー、分かった、焔、分かったから落ち着け」

焔「落ち着いてられるかよ!」

イン「落ち着けって言ってんだよ!抑えられねぇなら殴ってでも抑えんぞ!」

焔「やれるもんならやってみろよ」

会長「イン!焔!」

イン「ちっ、いけねぇ、俺まで熱くなっちゃ収拾つかなくなる、
   分かったって言っただろ、お前の言うとおりなんだよ、焔」

焔「あ?」

イン「俺達人間だからよ、感情抜きには行動できない、正義の味方でもねぇし、
   正義感だけで戦えるほど出来ちゃいない」

氷雪「おいおい、イン、今更意見変えるつもりかよ」

イン「変えるつっても、推測は変わんねぇよ、でも、俺も焔と一緒だ、我慢できるような人間じゃない」

会長「私も、藍が何かされて抑えられるとは思ってはいないぞ、だが抑えるところは抑えるべきでは?」

イン「抑えるべき時が来る前に抑えればいいんだよ、もしくは根元を叩く」

焔「邪教を、だな」

イン「あぁ、そういう事だ、全部焔の言うとおりだったろ?会長も、止めに行くって考えなかっただろ」

会長「ぬ・・・、確かに、な」

氷雪「けど、また繰り返すのかよ、あんな事、言われただろ、俺達が余計な詮索さえしなけりゃって」

焔「けど、事件を起こしてるのは、あぁいう所にいる奴らなんだよ」

イン「騙されていたから、利用されてたから、それは冤罪じゃない、立派な罪なんだよ」

会長「なれば、大本を叩く、という事か」

イン「そういう事、お偉いさんとっ捕まえれば、一人くらい上との繋がり吐くだろうよ」

氷雪「納得いかないな、俺達全員が感情抑えればかなり敵の計画も遅くなるだろ?」

会長「相手は、私たちじゃなくてもいいのだよ、結局は、源流を止める必要がでてくる、であろう?」

イン「あぁ、だから、抑えずに、広がらないように、俺達は感情に任せてでもいいから全部止めればいい」

氷雪「・・・・・・・・」

焔「まだ、言いたいことありそうだな」

氷雪「いや、理解はしたよ、でも、俺だって間違ってるとは思わない」

焔「テメェ、まだ・・・」

会長「よせ、意見の違いが出る事は仕方ない、人間なのだから」

イン「氷雪の言うことも間違ってはいないんだ、だから、考えがそれぞれあってもいいんだよ」

焔「ちっ、じゃあこれからどうするつもりだよ?」

会長「教会を止めていく、しかないか」

イン「それが一番早いだろうな、リスクは伴うけどな」

氷雪「邪教は大分広まってる、隠れてやってる訳じゃないから一般人にも知れてる」

会長「必ずしも、善として映るわけではない、という事だな」

イン「あぁ、学園や天界の関係だと思われると他にも迷惑がかかる」

焔「分かってる、当然だろ、これは俺たちの独断だ、どこの組織とも関係ない」

氷雪「それが通ればいいんだけど」

会長「世間様はそう見てくれないだろうな」

イン「なんとか、上手いことやるしかねぇか」

焔「いつか、動いてれば本丸が動く、出てきたとき、次あったときに潰せばいい」

氷雪「それまでに強くなれればいいけどな」

焔「それが消極的だって言ってんだって」

イン「自惚れも強くなれないけど、弱気も伸びねぇぞ」

会長「うむ、そうだな、なれれば、ではなく、なる、で良いのだ」

氷雪「それもそう、だな」

焔「よっしゃ!そうと決まれば明日からまたいっちょ気合入れて特訓しようぜ!」

イン「オッケェ!まずは仲間内で最強にならねぇとな!」

会長「小さい目標だな」

イン「バッカ、最強が変わったらまたそいつより強くなればいいんだよ」

焔「最強は最強で追い抜かれないように修練修練!」

会長「なるほどな、常に目標を持ち続ければよいのだな」

イン「そういう事だ、んじゃ、それとなしに指針も出来たし、今日は解散で良いか?」

会長「私は構わんぞ、二人は?」

焔「ん、俺も問題ない」

氷雪「了解」

イン「んじゃ、お疲れさん、また明日な!」

会長「うむ、お疲れさま」

氷雪「お疲れ」

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焔「おい氷雪!待てよ!」

氷雪「なんだよ、焔」

焔「お前、本当に忘れられるって言うのかよ」

氷雪「まだ、引っ張るのか?」

焔「当たり前だ、俺は、納得できない」

氷雪「はぁ・・・・、俺だって、忘れた時はないよ」

焔「え?」

氷雪「俺だって悔しいさ、許せないさ、イリークがあんな目に遭わされて、
    しかも、それが俺達に関係してたからかもしれなくて」

焔「けどお前、じゃあなんでそんな冷めた態度取れるんだよ」

氷雪「俺にもわかんないよ、昔からだからな、氷、だからじゃないか?
    感情なんて、どうにでもなるんだよ、しようと思えばな」

焔「・・・・・本音は?」

氷雪「殺してやりたいよ、今すぐにでも、あんな事した連中を、
   でも、熱くなってちゃ、計画が早まるんだろ、じゃあ俺一人でも、冷たくなるさ」

焔「・・・・・・そっか」

氷雪「あぁ」

焔「ったく、めんどくせぇ奴だな!お前って奴はよ!」

氷雪「いって、何すんだよ!」

焔「これでこの話はおしまいだ、もう普段どおりでいいだろ?」

氷雪「ちぇ、めんどくさいのはどっちだっつぅの!」

焔「いいんじゃねぇの、どっちでも、うら、どっちが先に家に着くか競争しようぜ、
  先に写メ送りつけた方が勝ちな、スタート!」

氷雪「あ、バカヤロウ!フライングだろそれ!」

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イン「なんだ、心配する事なかったか・・・、よし、俺も急いで帰るかな、
   イトの奴、どうせ、晩飯も作れねぇで待ってんだろうしな」

会長M「こうして、今日も夜は更けていく、焔の消えない炎、氷雪の融けない氷、
     相容れないように見えるが、お互い消えないからこそ、
     融けないからこそ同じ場所に存在できるのであろう、
     両極端な二人がいるからこそ、私たちも冷静になれるのであろう、
     出た結論はこれからの道が困難極める事を示唆するようなものだったが、
     何故だか、上手くいくような気がするのだ、私らしくもないが、たまにはこんな物も良いものだ」


イン「次回予告」

焔「そう言えば、今日他の連中はどうしてたん?」

氷雪「だよな、こういうイベントだったらフィオとか空とかいてもおかしくないんだけど」

会長「だから休んでもらっていると言っているであろう」

イン「藍の引率で喫茶店行ってるんだっけ?」

会長「うむ、女子会だな」

氷雪「いいなー、俺も行きてーなー」

会長「女子会と言ってるであろう!」

焔「お前が混ざったらアウェイすぎるだろうが!」

氷雪「だって、こんなムサイ話やだー」

会長「言うな、誰もが思っていることだ、悲しくなるであろう」

焔「次回 箱庭の世界で 第三十七話 箱庭な女子会で」

イン「それは、男子は立ち入れぬ、禁断の花園・・・」

会長「クソゥ!行きたいぞ!私をそこへ行かせろ!」

焔「黙れヘンタイどもが!」

氷雪「え、俺も?」

焔「ったりめぇだ」

氷雪「えー」

とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w