箱庭の世界で サイドストーリー 空

空♀(そら) 15歳&10歳 10歳時、父親に対して超反抗期、母親には懐いており、
シィルには完全に依存している。
今とは違い、世間知らずで生意気な思春期の歳相応の少女だった。
台詞数:82
シィル♂ 18歳 今は亡き空の思い人、丁寧な物腰で、大人しい青年。
捨て子で空の両親に拾われ、一緒に暮らしている。
台詞数:56
次弦♂(じげん) 32歳 空の父親、厳格で頑固な性格。
一人娘が可愛くて仕方ないのだが、素直になれず、
反抗期な娘に凹んでいる。
台詞数:34
未来♀(みらい) 30歳 空の母親、やんわりとした雰囲気の人、自他共に認める本の虫。
次弦とは誰もが認めるおしどり夫婦。
台詞数:42
レスタ♂ 23歳 今回は出番少ないので被り推奨。
役で選ぶならシィルと、セリフ数で被らせるなら次弦をオススメ。
台詞数:18

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空♀:
シィル♂:
次弦♂:
未来♀:
レスタ♂:


空「ん・・・、ここ、は・・・」

レスタ「やっと目が覚めたか、ほらな、人の体は脆いって言ったろ」

空「やっと・・・、私、どれだけ寝てた?」

レスタ「3日くらい、かな」

空「そっか、思ったより寝てたんだな・・・」

レスタ「そうだな、それより、大丈夫か?」

空「なに、が?」

レスタ「寝てる間泣いてたけど」

空「あぁ・・・、うん、ちょっと、昔の夢見ちゃって、ね」

レスタ「そ、っか・・・」

空「きっと、仇に会ったから、かな」

レスタ「ケイオス、だな」

空「うん・・・、そうだ、良かったらちょっと思い出話に付き合ってよ」

レスタ「あぁ・・・」


空N「これは、私が幼かった頃の話、そして、今の私に繋がるお話」

シィル「箱庭の世界で サイドストーリー 空」

次弦「・・・・であるからして・・・、空、おい空、ちゃんと聞いているか?」

空「聞いてなーい、魔術の勉強なんて面白くないよー」

次弦「はぁ・・・、次期後継者であるお前がそんなことでどうする」

空「知らないよっ、私はそんなのになんてなりたくないんだもん!」

次弦「おい空!どこに行く!まだ授業は・・・、はぁ・・・」

未来「あなた、また逃げられちゃったの?」

次弦「未来・・・、あぁ、どうやらやはり俺の授業は面白くないらしい」

未来「仕方ないわよ、私も分かるもの、あの子の気持ち」

次弦「そうか、そうだったな、未来も同じ道を歩んだのだからな」

未来「そうよぉ、私だってあの子くらいの年の頃は何が面白いか分からなかったもの」

次弦「今ではスペシャリストだがな」

未来「そりゃああれから20年経ったし、12,3の位の時にはもう楽しかったしね」

次弦「丁度俺と会った頃、だな」

未来「うん、シィル君が、私にとってのあなたになると良いんだけどね」

次弦「年が遠いからな、不安ではあるが、上手くは行っているみたいではないか」

未来「そうね、シィル君には期待ね」


空「もー!つまんないし面白くないしムカツクー!もぅ親父なんて大嫌いだ〜!」

シィル「空、また抜け出したのか?」

空「うわわ、シィル、いつのまに!」

シィル「うん、ついさっきね」

空「そ、そっか、ねぇねぇ、今日もまた教えてよ、抜刀術!」

シィル「もう、剣だったら次弦さんからも教えて貰えるだろ?」

空「知らないよ、親父の剣は私好みじゃないし、それに親父嫌いだし」

シィル「そっか、それじゃ仕方ないな、じゃあこの後未来さんの授業もあるんでしょ?」

空「う、うん」

シィル「じゃあ、次の授業をちゃんと聞くんだったら、教えてあげてもいいよ」

空「え、えぇ〜、んぅ、んー、わ、分かったよ、シィルの言うことだったら聞いてあげる」

シィル「でも、次の授業が次弦さんだったら約束守らないでしょ?」

空「ぅ、そ、そんなことないもん」

シィル「どうだか、ま、いいけどね、ほら、修練場に行こうか」

空「うん!」


未来「空ちゃん、シィル君、元気でやってるみたいね」

シィル「未来さん」

空「あ、お母さん」

未来「やっほ、どう?体動かしてすっきりした?」

空「うん、とりあえず・・・ね」

シィル「そろそろ時間ですか?」

未来「残念ながら、ね、空ちゃん」

空「はぁ〜い・・・、じゃあ先に部屋行ってるねぇ、準備してるから後から来てー」

未来「はいはい、行ってらっしゃい」

シィル「うん、行ってらっしゃい、ふぅ、でもやっぱり、あの子は青空の下で笑っていて欲しいですね」

未来「そうだねぇ、刀振り回してた方が楽しそうだもんねぇ」

次弦「だが、そういう訳にも行かんだろう」

未来「あなた・・・」

次弦「別に剣にうつつを抜かすのは構わんが、あくまで本分は魔術だ、それに、家としての宿命だ」

未来「日陰に生き、世のために生き、分かってはいるんだけど、あの子には向いてないわよね」

次弦「全く、誰に似たんだか・・・」

シィル「くすっ、お二人の向いていない所を合わせ持ってるだけですよ」

未来「あら、言い得て妙ね」

シィル「未来さんの明るさ、次弦さんの剣へ対するこだわり、あの子は魔術師向きじゃない」

次弦「ふむ、なるほどな、そう言われればまごうことなき我らの娘だな」

未来「それなら、きっと2・3年後には好きになってくれるわね、きっと」

次弦「そうそう全く同じ道を歩くとは思わんがなぁ」

シィル「大丈夫ですよ、空はきっともっと早く真面目に取り組むようになりますよ」

未来「あら、その自信はどこから?」

シィル「なんとなく、予感、ですかね」

次弦「予感、かね、またあやふやなのだな」

未来「いいじゃない、良い予感なら」

次弦「それもそうだな、ならば、シィルを信じ、期待するとしようか」

シィル「き、期待ですか」

未来「そうそう、第二の次弦になれると良いわね」

次弦「俺と未来、空とシィル、よく似ているからな」

シィル「それじゃ、将来はおしどり夫婦ですね」

未来「ふふっ、間違いないわね」

次弦「ま、あのじゃじゃ馬を扱えるのはお前くらいだ」

シィル「ふふっ、お任せください」

空「お母さ〜ん!は〜やく〜!気が持ってるうちにぃ〜!」

未来「はいは〜い、今行きますよ〜」

次弦「では、頑張ってこい」

未来「はいは〜い」


空「あぁ〜!わっかんないよぉ〜!難しいよ〜!」

未来「大丈夫よ、あなたは私の娘だもの、出来る出来る」

空「簡単に言ってくれるよねぇ・・・」

未来「だって、私も空くらいの時はお勉強なんて大嫌いだったもの、本の虫ではあったけどね」

空「へぇ、お母さんも嫌いだったんだ」

未来「そうそう、私も毎日こんなのいやだぁ〜って泣いてたくらいなんだから」

空「じゃあ、どうして?」

未来「それがねぇ、ある日次弦が「ん、未来っていつもこんな本読んでたのか、面白そうじゃないか、
    俺も一緒にやってもいいか?」なぁ〜んて言うのよぉ、もぅあの時の次弦はかっこよかったわぁ」

空「あの堅物親父がそんな事をねぇ、人って変わるもんだね」

未来「そうね、気をつけないとシィル君も堅物になっちゃうわよ、あの子、若い頃の次弦にそっくりなんだから」

空「いやぁ!それはいや!断固阻止!」

未来「それじゃ、力をつけてシィル君より強くならなくちゃね」

空「う、うぅ〜、いいよっ、頑張るんだもん!」

未来「その調子その調子、それじゃ、頑張りましょ」

空「うん!」


未来「うん、そろそろ時間ね、お疲れ様」

空「うな〜!やっと終わったぁ〜!」

未来「さてさて、それじゃ、ご飯作ってくるわね」

空「あ、うん、じゃあ私はシィルと遊んでこようかなぁ」

未来「また居合いの練習?」

空「うんっ、文字と向き合ってるより、剣でギリギリのやり取りしてた方が楽しいんだもん」

未来「ふふっ、そー言う所は次弦にそっくりなのねぇ」

空「うっさいなぁ、いいのー、私は抜刀術が好きなのー」

未来「はいはい、分かった分かった、それじゃ、頑張っといで」

空「むぅ・・・、まいっか、それじゃまた後でね〜」

未来「んー、青春ねぇ〜」


空「シィ〜ッルっ、あ〜っそぼっ!・・・ってもうお相手がいたのか」

次弦「おぉおおおおおお!」

シィル「はぁあああああああ!」

次弦「フン!その程度か、シィル!」

シィル「くっ、まだまだぁ!」

空「ちぇ、面白くないなぁ・・・」

次弦「ん、どうやら主賓が来たらしいぞ、さっさと終わらせるとしようか」

シィル「同感です、それじゃ、決めますよ!」

次弦「さぁ、行くぞ!」

シィル「はぁ!」

次弦「フン、甘い、そこだ!」

シィル「ぐっ!・・・・はぁ、やっぱり次弦さんにはまだかないませんか」

次弦「いや、詰は甘かったが途中は良かったぞ、そのまま精進するといい」

シィル「はいっ!」

空「ねぇねぇ〜、終わったぁ〜?」

シィル「うん、ごめんな、じゃ、次は空の番だ、やろうかっ」

空「うん!待ってました!」

次弦「はぁ、それでは、邪魔者はお暇するとしようか」

空「イーッダ!そんな嫌味いらないってのー!」

次弦「ふん、勝手にそう思ってるといい」

シィル「はぁ・・・、素直じゃないな・・・」


未来「ごちそうさまぁ」

空「ごちそうさま」

次弦「うむ、今日も美味かった」

未来「はい、お粗末さまでした」

シィル「やっぱり未来さんのご飯は美味しいなぁ」

未来「本の虫を舐めちゃいけません、お料理の本だって丸暗記してるんだから」

空「だからって料理が出来るのはまだ別の話の気がするんだけど・・・」

次弦「まぁ、出来るものは出来るんだ、それにケチをつける必要なんぞあるまい」

空「あぁ、そうですかー」

シィル「まぁまぁ、空も突っかからない」

空「むぅ、シィルの言うことなら聞くー」

未来「あはは・・・、っと、そろそろ行く?」

次弦「それもそうだな」

空「なに、また仕事?」

シィル「またって言うか、こないだからの仕事が長引いててね」

未来「なかなか尻尾出さないのよね、今回のターゲット」

次弦「だが、逃げ、隠れ、隠匿するにはあまりにお粗末だ、その内ボロをだす」

シィル「早く出してくれると良いですね」

空「待ってよ、私最近ずっと夜一人なんだよ?シィルぅ、今日は一緒に残ってよぉ」

シィル「空・・・」

次弦「空、貴様・・・!」

シィル「次弦さん」

次弦「・・・・あぁ、分かった、ここはシィルに任せよう、行くぞ未来」

未来「う、うん・・・」

空「えっと、今日は残ってくれる・・・んだよね?」

シィル「ごめん、今回の仕事はそういう訳にも行かないんだ」

空「え・・・、なんで?」

シィル「まだ、正確なことはわからないけど、ターゲットは取り返しの付かないことをしようとしてるらしいんだ」

空「なにそれ、私分かんないよ、今日一日くらい良いじゃんかぁ」

シィル「でもね、世界が滅亡するかもしれないことをやろうとしてる人を追っているんだ、
     彼らを止める事は、空を守ることにも繋がるんだよ」

空「イヤだ!今日一緒にいてくれなきゃヤダ!」

シィル「空・・・」

空「お願い、なんかいやな予感がするの、一緒にいてぇ・・・」

シィル「・・・・・・・ごめん、でも」

空「もぅいいよ!シィルは私のことなんて大切じゃないんだ、行ってよ・・・、
  そんなに行きたいなら早く行けばいいじゃんかぁ!」

シィル「空、待って、話を・・・」

空「聞きたくない!早くでてってぇ!」

シィル「分かった・・・・」

空「・・・・・・・・・・・・ばかぁ」


未来「大丈夫?」

シィル「はい・・・」

次弦「仕事に支障はないだろうな、我らの仕事は命にかかわるのだぞ」

シィル「大丈夫です、仕事は、別ですから、公私混同するつもりはありません」

次弦「そうか・・・」

未来「それじゃ、行きましょう」

シィル「はい」


空「くすん・・・シィルのばかぁ・・・、でも、どうしよう・・・、ケンカしちゃった・・・
  本当に嫌われたらどうしよぅ、やだやだ、そんな事になったら生きていけないよぉ、
  ・・・・うん、気にしてたって仕方ないや、シィルの部屋で待ってよ・・・」


シィル「はぁはぁ・・・、ぐっ、次弦、さん、未来、さん・・・・、ごふっ、くそ、ありえない、
     このままじゃ、世界が、危ない、せめて、せめて情報、だけでも・・・」


空「っ、シィル!おかえ・・・り・・・、シィル!そ、その傷・・・」

シィル「やっぱり、ここに、いた・・・」

空「シィル!ど、どうしたの、どうしたのそれ?」

シィル「ごめ、ん、勝てな、かった、二人を、守れな、ぐ、ごほっごほっ!」

空「二人・・・、もしかして・・・」

シィル「あぁ、三人がかりでも、倒せなかった、こ、これを・・・」

空「手帳・・・?」

シィル「そこに、僕たちが集めた、情報が書いてある・・・、後は・・・」

空「やめて!もう聞きたくないよ!諦めないで、すぐにお医者さんを・・・」

シィル「無駄、だよ、僕の命なんて、とうに尽きてる・・・」

空「え・・・」

シィル「リビングデッドみたいな物だよ・・・、あいつの魔術で、仮初の命で動いてる・・・、
    あいつの言うことが本当なら・・・、僕が動いてられるのも、後数分・・・」

空「いや・・・、やだょ、シィル・・・、なんで、なんでぇ・・・、いっちゃいや、私一人でなんか生きてけないよ・・・」

シィル「ごめん、悪いとは、思ってる・・・、でも、お二人の、僕の遺志を継げるのは、君だけなんだ・・・」

空「そんなの無理だよぅ!シィルが死ぬなら、私も・・・」

シィル「そ、ら・・・、ダメだ、空は、生きて・・・、じゃないと、僕・・・」

空「シィル・・・」

シィル「もう一つ、ごめん、こんな時に言う言葉じゃないのは、分かってる、でも、これだけは・・・」

空「うん・・・、なに?」

シィル「空、ずっと、好きだった・・・、愛、してる・・・」

空「え・・・、今、なんて・・・」

シィル「愛してる、空・・・」

空「やだ、今更そんなの聞きたくないよ・・・」

シィル「そう、だよね、ごめん、でも、もう時間が、ぐ、ごふっ・・・、最期に、伝えたかったんだ・・・」

空「待ってよ!まだ、まだ私だって伝えてない事がっ、ん・・・」

空M「シィルの唇が、私の言葉を遮る、初めてのキスは、血の味だった・・・」

シィル「ははっ、空の唇、柔らかいな・・・、こんな事なら、もっと、恋人らしいこと、しとけば・・・」

空「シィル?待ってよ、まだ今日のこと謝ってないよ・・・、私の気持ちだって伝えてないよ・・・、
  自分ばっかり、ずるいよぉ・・・、ずるい、よ・・・、ひっく、あ、あぁあああああああああ!」


レスタ「そ、っか・・・、そんな事が、ね・・・」

空「ぐずっ、うん、ははっ、話してたら、また涙出てきちゃったよ・・・」

レスタ「そういう時は我慢しない方がいいんじゃないのか?」

空「いいのっ、それに、泣き叫ぶ元気もないもん」

レスタ「そっか」

空「うん・・・・、それからかなぁ、真面目に勉強し始めたのも、男のふりして人前に出始めたのも」

レスタ「彼との約束を果たすため?」

空「ううん、復讐のため」

レスタ「空、そんな事しても彼らは・・・」

空「分かってるよそんな事、でも、こんなことでも、目標を持ってなかったら、一人じゃ生きてられなかった・・・」

レスタ「でも、空はもう一人じゃないだろ?」

空「うん・・・」

レスタ「もう止めないか?復讐なんて悲しいだけだよ」

空「でも、まだこの支えを外せるほど、私は心からみんなを頼れない・・・」

レスタ「そっか・・・」

空「・・・・・・」

レスタ「・・・・・・・じゃあ、勝手に支えるから」

空「え・・・」

レスタ「どうせ奴らは俺からしても倒すべき敵だ、復讐のためじゃなくて、
    俺は守るために奴らを倒す」

空「そっか・・・、勝手にすれば・・・」

レスタ「あぁ、勝手にするよ」

空「・・・・・うん」


空N「本当は分かってる、復讐なんて意味がないって事も、みんなの気持ちも、
   でも、自分の気持ちを抑えることなんて出来ない、あいつを、殺したい、
   けど、復讐を果たしてなんになるんだろう・・・、いつか、私にも心の底から笑える日が来るのかなぁ・・・」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w