箱庭の世界で 第二十三話 邪教支部潜入作戦

焔♂ 18歳 (ほむら)
氷雪♂ 18歳 (ひゆき)
会長♂ 19歳 (かいちょう)
空♀ 15歳 (そら)
藍♀ 19歳 (らん)
ジラルザ♂ 35歳 邪教の支部長、狂気にじみ出る悪役 エリストと被り
エリスト♂ 41歳 邪教の神父、包み込むような優しさを持った善人
イリーク♂ 18歳 焔や氷雪の元クラスメイト、暗い一面を持った好青年

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焔♂:
氷雪♂:
会長♂:
空♀:
藍♀:
ジラルザ&エリスト♂:
イリーク♂:





会長「やぁ空ちゃん、おはよう」

空「あれ、会長に藍じゃん、おはよう、どうしたの?」

藍「おはよう空ちゃん、実は協力して欲しいことがあって来たのよ」

空「まぁわざわざ城にまで来るんだもんね、その手の話だとは思ったけど、緊急?」

会長「緊急という形では書かれてはいないのだが、学園に一通の手紙が届いてな」

空「学園に?」

藍「えぇ、生徒さんのご両親からなのだけど、家に帰ってこないそうなの」

空「単なる家出、なら私の所までは来ないか」

会長「あぁ、どうやら帰らなくなる少し前から教会に通っていたらしくてな」

藍「臭うと思わない?」

空「そう・・・だね、教会か・・・、場所は?」

会長「もちろん調べだしている」

藍「連れて帰るのはもちろんの事、敵の実態を調べる意味も込めて、
  空ちゃんに協力を仰ぎたいと思ったの」

空「それなら早い方がいいね」

会長「おぉ、ありがたい!では日取りはどうする?」

空「そうだね、じゃあ・・・今日にしようか!」

会長「・・・・・・なんですと?」


ジラルザ「箱庭の世界で 第二十三話 邪教支部潜入作戦」


焔「・・・で、なんで俺たちなんだ?」

氷雪「そうそう、人選が謎過ぎね?」

会長「深い意味はない!」

焔「帰ろうぜ氷雪」

氷雪「飯なんにするー?」

会長「あー!私が悪かった!冗談だ冗談!」

藍「本当の事を言うと、機転の利く常識人で、
  目立たないように出来る人っていう条件だったのだけど・・・」

氷雪「余計に謎チョイスなんだけど」

空「そうそう、だからフィオちゃんとかインが適任かなぁって私も思ったんだけど」

焔「だったら何で?」

会長「イリーク、1年の時に同じクラスだっただろう?」

氷雪「あぁ、進級の時にクラス分かれちまったけど・・・」

焔「っ、まさか」

藍「えぇ、彼が今回帰ってこない生徒なの」

氷雪「はっ!?あいつが!?」

焔「そんな訳ねぇ、なんかの間違いだろ」

会長「ご両親からの連絡だ、件(くだん)の教会にいるかどうかは別として、
   帰っていないのは確かだぞ」

焔「っ・・・!」

空「向こうのお偉いさんとは私たちが話すから、
  2人にはイリーク君をお願いしたいんだ」

氷雪「分かった、任せとけ」

藍「あくまで私たちは何も知らず、ただ教会を見学に行くという名目で行くの、
  イリーク君がいる事も知らない、空ちゃんはそもそもその存在自体知らない」

空「っていう体で、ね」

会長「口裏合わせというヤツだな」

焔「そういうの苦手だなぁ・・・」

空「変な態度も表に出さないこと」

氷雪「善処します」

藍「自分の選択に自信がなくなってきたわ・・・」

会長「やる時はやる男たちさ、さぁ、そうと決まれば行くぞ」

藍「そうですね、それじゃ、打ち合わせどおりよろしくね」


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エリスト「こんにちは、今日は見学に来てくれてありがとう」

藍「いえ、こちらこそ急な申し入れを受け入れてくださり、ありがとうございます」

エリスト「迷える者がいれば手を差し伸べるのが私たちのやるべき事だからね、
     そう畏まらないでくれると嬉しいな、
     っと、自己紹介が遅れたね、私はこの教会で神父をしているエリストだよ、よろしくね」

空「私は空です、今日はよろしくお願いします」

エリスト「うん、今日といわず、あししげく通ってくれる事を願ってるよ、
     それじゃまずはこちらへ」

氷雪「あいあいさー!」

焔「お前なぁ・・・」

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エリスト「ここがお祈りの場所だよ、毎日決まった時間にみんなで集まるんだ」

会長「ほぅ・・・、これは神秘的な場所だ・・・」

藍「そうですね、ステンドグラス素敵・・・!」

焔「建物はちゃんと教会してるんだな・・・」

氷雪「もっとおどろおどろしい所かと思ってたぜ」

エリスト「ん?」

空「2人ともっ」

焔「あ?あ、っと、ご、ごめん!」

エリスト「いえ、良いんですよ。私たちは自ら邪教と名乗っているのですから、
     汚名は甘んじて受けましょう」

空「その、なんで邪教、なんですか?」

エリスト「良い質問をありがとうございます、
     それではまず、私たちが邪神様を崇めているのはご存知ですか?」

会長「はい、それは知っているんですが、
   邪神と聞くとどうしても良い印象を受けない物ですから」

エリスト「なるほど、仰る通りです、それでは僭越ながら少しお話させていただきますね、
     よかったらそちらにお掛けください」

藍「ありがとうございます」

エリスト「では、まず神様とはどういう存在だと思いますか?
     イメージで構いませんよ」

氷雪「全知全能で凄いやつ!」

エリスト「いいですね、他にはありますか?」

空「嫌な事から護ってくれる、とか・・・?」

会長「信じるものは救われる、などはよく聞くフレーズですね」

エリスト「ふふっ、そうですね、ですが邪神様は、信じる者は救われる、
     なんて甘いことは仰らないのですよ?」

氷雪「へぇ、放任主義なのか?」

エリスト「いえ、自ら何かを成さねば状況は変わらないのです、
     目の前にいる訳でもないのに救いの手は差し伸べられないでしょう?」

藍「そうですが、それでは信仰その物の否定になってしまうのでは・・・」

エリスト「そんな事はありません、これが邪神様のお教えなのですから。
     それに神とは信じる物ではなく、導く者ですからね」

焔「教えがあって、それを習って行動すれば救われる、って事か」

エリスト「そうです!邪神様が教えてくださるのは理念!
     明確な物を啓示するのは本人なのです!」

会長「ほぅほぅ、これは理に適った立派な教えだ」

藍「そうですね、信徒の方が増えているのも頷けます」

氷雪「なんか普通に諭された気がしたぞ」

エリスト「おぉ、興味を持っていただけましたか!」

空「はい、素敵なお教えなんですね!
  あの、色んな信徒の方からもお話聞いてみたいのですが、大丈夫でしょうか?」

エリスト「もちろんです、そういう事ならば私はお邪魔になってしまいそうですね、
     ではそうですね、またしばらくしたらお声掛けさせていただきますので、
     一度失礼しますね」

藍「お気遣いありがとうございます、ではまた後程お願いいたします」

エリスト「えぇ、それでは」

会長「・・・行ったな」

焔「ここまでは普通だったな」

藍「表の顔という事でしょうね」

氷雪「え、あの人めっちゃ良い人そうじゃん?」

空「邪教の神父だよ、笑顔の下で何考えてるか分からない」

会長「まぁあの人も利用されているだけという可能性だってある、
   警戒はするに越したことはないが、色眼鏡の掛け過ぎは注意したまえ」

空「それもそうだ、それじゃ調査開始と行きましょうか」

氷雪「あいさ」

会長「各自、重々気をつけてきたまえ」

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焔「・・・・・・どうだった?」

空「色々話聞いてみたけど・・・」

藍「信徒の方は真っ当そうね」

氷雪「でも物騒な話も多かったろ?」

会長「自分を抑圧してはよくありません、自分を許しましょう、
   だが認められぬものを許してはなりません、だったな」

氷雪「確かに気は楽かもしれないけどさぁ」

会長「救いに聞こえるが、ダメ人間の思考そのものだな、これは」

氷雪「会長には言われたくないだろうなぁ・・・」

空「茶々いれない」

氷雪「うぃっす」

焔「はぁ・・・、けど、結局その考え方で、身勝手な行動したり、人に迷惑かけたりってことだろ?」

空「それこそ相手を傷つけてしまったり・・・」

藍「真っ当な教えに聞こえても、邪教は邪教、って事なのね」

空「でも、入信してる人たちには、心の支え、救いになってた・・・」

会長「うぅむ・・・」

イリーク「あれ、お前ら・・・、焔と氷雪・・・か?」

焔「っ!イリーク、イリークじゃねぇか!」

イリーク「おぉ!本当にお前らだったかぁ!久しぶりだなぁ!」

氷雪「久しぶりー!元気にしてたかよ!」

イリーク「当たり前だろ!」

空「えっと・・・知り合い?」

氷雪「おいおい、話しただろー」

会長「氷雪ー?」

氷雪「へ?あ、あぁー、そうだった、ごめん会長!」

イリーク「会長・・・、会長!?会長ってあの会長!?
     ってことはそっちは副会長の藍さん!?」

会長「な、何故私は呼び捨てなのだ・・・」

藍「ふふっ、えぇその会長と、副会長の藍よ、こんにちは」

イリーク「な、なんでお前らがあの生徒会と一緒にいんの?
     いっつもドンパチしてたじゃんか」

焔「ほら、昨日の敵は今日の友って言うだろ?」

氷雪「セクハラだののトラブルがなきゃ争う理由はなしってヤツだ」

イリーク「な、なるほど、そういう事か・・・、いやしかし、予想外だなぁ、
     お前らがここに来るなんて」

焔「ま、まぁな、そういえば最近家に帰ってないって話を親御さんから聞いたんだけど・・・、
  大丈夫なのか?」

イリーク「っ、あ、あぁ大丈夫だよ、ここにいれば寝食にも困んないしね」

空「いや、そういう意味じゃないんだけどね・・・」

会長「うむ、だが元気なら何よりだ」

藍「そうですね、でも、たまにはご両親にも顔を見せてあげてくださいね?」

イリーク「あ、あははっ、まぁ気が向いたらね」

エリスト「あっ、みなさん、こちらにいらっしゃったのですか」

イリーク「神父様、お疲れ様です」

エリスト「お疲れ様です、イリーク君。みなさん、支部長のジラルザがお話をしたいとの事でして、
     よろしいですか?」

空「支部長さんが、なんだろう?」

エリスト「私も内容までは・・・、部屋までご案内できればよかったのですが、
     これからお祈りの時間でして・・・」

イリーク「そこの通路行けば一本道だから、すぐ分かると思うよ」

焔「おぉ、そうなのか、ありがとう!」

エリスト「では行きましょう、イリーク君」

イリーク「分かりました、じゃあみんな、また後でな!」

氷雪「おぅよ!また後でなー!」

会長「支部長ジラルザ・・・か」

藍「問題はここですね」

氷雪「虎穴に入らずんばなんとやら、だ」

空「さ、気を引き締めていこう」

焔「おぅさ」

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空「本日見学させてもらってる物です、お話があると伺ってきたのですが・・・」

ジラルザ「あぁ、入ってくれたまえ」

空「はい、失礼します」

ジラルザ「いやぁいらっしゃい、封印師殿御一行・・・」

空「っ、気付いてたのか・・・!」

ジラルザ「当然だ、全て教主様から伺っている、
     情報が行き渡っていないとでも思っていたのかね?」

藍「偽名くらい使うべきだったかしら・・・」

焔「なら何で俺たちを今まで泳がせていた、
  仕掛けるタイミングなんていくらでもあったはずだ」

ジラルザ「見てきたのだろう、ここは真っ当な教会、
     彼らはただの信徒だ、戦闘員ではない」

会長「ならば何故この場でその態度なのだろうな、
   この人数に勝てるとでも思っているのかね」

ジラルザ「クッククク、全ては神の思し召し、マリス様の意志のままに、
     貴様らは既に袋のねずみなのだよ」

氷雪「どういう事だ!?」

ジラルザ「忘れたわけではあるまい、ここは邪教の教会、敵の中心ぞ!」

空「っ、壁が崩れて・・・!?」

藍「あれは、教会にいた・・・!」

氷雪「囲まれたかよ・・・!」

会長「戦闘員ではないと言った側からこれかね」

ジラルザ「クッククク、誰も全員とは言っておるまい、イリーク!」

焔「なっ!?」

イリーク「はっ、ジラルザ様、こちらに!」

ジラルザ「君たち狂信隊に彼奴ら、背信徒の排除を命ず」

イリーク「背信徒の排除、畏まり、っ、なんで、まさか焔たちが・・・?」

ジラルザ「そうだ」

焔「待てよ!俺たちが争う理由なんてある訳ないだろ!?」

イリーク「・・・・・・お前達が背信徒だっていうなら、それが理由になる」

氷雪「なんでだ、なんでそんな事だけで!話せば分かるだろう!」

イリーク「分かんねぇよ」

氷雪「話す前から決め付けんじゃねぇよ、まずは話を・・・!」

イリーク「お前ら出来る奴には一生分かんねぇよ!俺みたいな底辺の気持ちは!」

焔・氷雪「っ!?」

イリーク「ここは、初めて見つけた、俺の力を活かせる場所なんだ、誰にも奪わせはしない!」

会長「待て、落ち着きたまえ!私たちは争いに来たわけではない!」

ジラルザ「耳を貸すな!背信徒を排除するのだ、神のために、そして同胞のために!」

イリーク「分かっております、ですが、少しだけ時間をいただけないでしょうか・・・?」

ジラルザ「・・・良かろう」

イリーク「焔、氷雪・・・」

焔「なんだ、なんか俺たちが悪いことしたなら謝るから・・・!」

イリーク「火炎ちゃんとフィオちゃんは元気かよ?」

焔「っ・・・!」

氷雪「2人とも元気だよ、なんで今そんな事・・・!」

イリーク「焔ぁ、火炎ちゃん、泣かせんじゃねぇぞ」

焔「分かってんよ、お前に言われなくても・・・!」

イリーク「ははっ、だよな・・・、氷雪!フィオちゃんとは進展あったか!?」

氷雪「っ!ば、バカ野郎!あいつとはそんなんじゃねぇって!
   それにお前に心配される筋合いはねぇっての!」

イリーク「バカはお前らだって、見ててもどかしいんだよ、さっさとくっ付いちまえって」

氷雪「大きなお世話だ・・・」

イリーク「ははは・・・、楽しかったよなぁ・・・、あのクラス、最高だったよなぁ!?」

焔「あぁ・・・あぁ・・・!最高だったよなぁ・・・!だから、またみんなでつるもうぜ!?」

氷雪「そうだよ!新しい仲間も増えたんだ、お前も絶対気に入るって!」

イリーク「そっか・・・、そっか!それは楽しそうだな・・・、楽しそうだなぁ・・・」

空「っ、ダメ!その注射!」

イリーク「分かってるよ、帰れなくなることくらい、
     でも、俺が守りたいのは、教団の皆なんだ!」

焔「イリーク!」

イリーク「じゃあな!楽しかったぜ!」

焔「よせっ!イリィイイイイイイイク!!」

イリーク「あ゛・・・、あ゛ぁああああああああああああああ!!!!」

藍「っ、体が、どんどん変わって・・・!?」

会長「回りも全員か!一体何なんだアレは!」

ジラルザ「ッククク・・・アーッハハハハハ!さぁやれ、やってしまえ!狂信徒たちよ!」

イリーク「ア゛ァァァ・・・、ホムラ゛ァ・・・、ヒユギィ・・・・、ゴロズ、ゴロズゥウウウウウウ!」

空「っ、来るよ!」

会長「くっ、あの、なんの罪もない信徒たちと戦えというのか・・・!」

ジラルザ「そうだ!こうなってしまえば戻るすべなど皆無だ!
     救いを与えたかったら殺せ、殺してみろ!出来るものならなァ!アッハハハハハ!」

藍「そんな・・・!空!どうにかならない!?何か方法は!?」

空「あんな、あんな人を化物に変えちゃう薬なんて!
  レスタに聞いてみないと分かんないよ!」

ジラルザ「無駄だ!邪神の血を注射した人間に残された運命など破滅に決まっておろうが!」

氷雪「許さねぇ・・・、焔!あいつ絶対許さねぇ!俺たちのダチを!」

焔「あぁ・・・、殺してやる・・・、殺してやる!」

イリーク「グ、ギギ・・・!グルァアアアアアアア!」

ジラルザ「狂信徒たちよ、その苦しみは神の苦しみ、同胞の苦しみだ、
     彼奴らを消し去るまでなくなる事はない、さぁ皆に救いを!」

イリーク「グゥゥウウウウ、ホムラァァァアアア!」

焔「くっ!」

氷雪「行くぞ焔!」

焔「分かってる、待ってろイリーク・・・、すぐに楽にしてやるから、うぉぉおおおおおお!」

イリーク「っ、グギャア!?」

会長「我々も行くぞ、焔の言うとおりだ、彼らをあの苦しみから解放するぞ!」

藍「でも!」

空「くっ、躊躇ってたら、私たちが殺られる!」

ジラルザ「ククク、貴様らは殺せるのか?罪も無き者達を!」

氷雪「それを、お前が言うかよぉおおおおお!」

ジラルザ「アッハハハハ!憎め憎め!苦しめ苦しめ!その全てが我らの糧となる!」

氷雪「お前たちは、人の人生をなんだと思ってんだ!」

会長「氷雪!言っても無駄だ!藍、こんな鬼畜生(きちくしょう)は、地獄へ送り返してやるぞ!」

藍「はい・・・・、行きます・・・、行きます!」

ジラルザ「来い!地獄を謳歌しろ!」

焔「テメェが・・・地獄に落ちろよ!エクス・・・・プロォオオオオオオオオオド!!!」

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焔「はぁ・・・はぁ・・・」

ジラルザ「フハハ・・・、友人を自ら手にかけ、罪も無き人々を皆殺しか・・・」

焔「テメェ・・・、まだほざくかよ!」

ジラルザ「あぁ、いつまでも、ほざいて見せよう・・・、我は死ねど、
     邪教は死なぬ・・・、これはまだ氷山の一角に過ぎぬのだ・・・から・・・」

会長「ちぃ、最後まで舐めた事を・・・」

空「いつまで・・・いつまでこんな事するつもりなんだよ・・・、あいつら!」

藍「後味・・・悪いわね・・・」

イリーク「ぐ・・・ぅ・・・」

氷雪「イリーク!?おぃ焔!まだ、まだ息があるぞ!」

焔「っ!?本当か!イリーク!」

イリーク「はは・・・、お前ら・・・やっぱ・・・強いんだな・・・、俺なん、かが・・・
     人止めたくらいじゃ、勝てない、よな・・・、ぐっ、ゲホッゲホッ!」

焔「喋るな!すぐ、すぐケア先生の所まで連れてくから、待ってろよ!」

イリーク「いいよ・・・もぅ・・・、どうせ、戻れないんだし・・・手遅れ、だよ・・・」

焔「イリーク・・・、なんで、なんでこんな事になっちまったんだよ、俺たち!」

氷雪「俺たち、あんなに仲良かったじゃねぇかよ・・・、
   楽しかったじゃねぇかよ・・・、なんでお前がこんな・・・」

イリーク「俺が・・・弱かった・・・だけだよ・・・」

空「違うよ!あいつらが、それに付け込んだあいつらが全部悪いんだよっ!」

会長「そうだ、君は、救いが、居場所が欲しかっただけなんだろ?」

イリーク「いい、よ、慰め、なんて・・・、これが、結果だ・・・」

藍「そんな、そんな悲しいこと、言わないでよ・・・」

イリーク「副、会長・・・、泣かないでくださいよ・・・、女性は、笑顔が一番ですよ・・・?」

藍「くっ・・・、そ、そんな事、言われたら・・・、笑うしかないじゃない・・・」

イリーク「ははっ・・・、すみ、ませんね・・・、でも、でも・・・最期に、みんなに会えてよかった・・・」

焔「っ、バカ野郎!まだみんなじゃねぇだろ!?火炎も、フィオもいねぇじゃねか!」

氷雪「そうだよ・・・、それに、まだ紹介したい奴らもいるんだよ!」

イリーク「そっか・・・、そうだよな・・・、ごめん・・・、でも、良かったよ・・・」

焔「はぁ!?何言ってんだよ!なんにも良くねぇじゃねぇか!」

イリーク「良かった、んだよ・・・、お前らに・・・殺されるなら・・・ほん、もう・・・」

焔「イリーク?おぃ、イリーク・・・?なん、だよそれ・・・、ふざけるなよ・・・」

氷雪「畜生・・・・、畜生!なんで、なんで・・・!」

焔「目ぇ覚ませよ、ほら、こんな時に冗談なんて・・・じょう、だんなんて・・・、
  くそ、うわぁあああああああああ!」

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エリスト「・・・・・これは・・・、そうですか、やはりこうなりましたか・・・」

空「っ!キサマ・・・良く僕たちの前に出てこられたなぁ!」

会長「私たちの前からいなくなったほうがいい、特に、焔と氷雪の前から」

藍「言っておくけど、私たちも止まれませんよ?」

エリスト「消えるのは貴方たちです」

焔「なんだと!?テメェ!」

エリスト「自分の胸に手を当てて考えてみてください、貴方たちがこなければ、ここは平和だったんです、
     彼らは、自分の居場所を、仲間たちの居場所を守るために戦ったのです」

氷雪「そうかもしれねぇけど!騙してたのはテメェらだろうが!」

エリスト「えぇ・・・そうかもしれませんね、でも、私は、心の底から彼らを救いたいと思ってました、
     彼らは、ここを本当に心の拠り所としていました、貴方たちが要らぬ詮索さえしなければ、こうはならなかった」

焔「そんなのは、そんなのは言われなくても分かってんだよ!けど、けど!納得なんて出来るかよ!」

エリスト「そう、納得なんて出来ません、お互いに、だから、貴方たちがここを去るべきなのです、
      ここは、私たちの拠り所、彼らの居場所なのですから・・・」

焔「っ・・・、クソ・・・、こんな事・・・、こんな事ぉ・・・・、ちっくしょおおおおお!」

空M「こうして、今回の依頼は一応の決着を迎えた、私たちは、間違ってたのかな?
   私たちが来なければ、本当にみんな幸せに過ごせてたのかな?
   でも、邪教さえなければもっと違った今もあったはずなんだよね?
   ・・・・こんな悲しいことは繰り返しちゃ行けないんだ、次は、絶対に止める・・・」


エリスト「次回予告」

氷雪「少しずつ動きが表層化してきた邪教」

会長「だが、動きはあくまで水面下に、氷山の一角を見つけたときには時既に遅し」

藍「巧妙に隠された計画は、すこしづつ、だが確実に世界を蝕んでいく」

空「こんな事を繰り返さないと心に誓いながらも、何も出来ぬ歯痒さを胸に、彼らは自らを高めていく」

焔「次回 箱庭の世界で 第二十四話 鍛錬の日々」

イリーク「みんな、楽しかったよ、ありがとう、・・・・じゃあな」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w