箱庭の世界で 第十三話 行く者、行かざる者 後編

火炎♀ 18歳
イト♀ 20歳
会長♂ 19歳
藍♀ 19歳

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火炎♀:
イト♀:
会長♂:
藍♀:


藍N「邪学の病室、いまだ目覚めぬ焔の横で火炎がリンゴの皮を剥いていた・・・」

火炎「もうすぐ剥けるから、もうちょっと待ってね・・・」

イト「は〜い、待ってま〜す」

火炎「ひゃあ!い、イトちゃん、お、起きてたの?」

イト「うん、色んな意味で寝れないんだー」

火炎「そっ・・・かぁ」

イト「だって納得行かないよねぇ、故郷がまた戦場になろうとしているのに、
  こんなとこで指咥えてる事しか出来ないんだからさ、それに、インにも置いてかれるしぃ・・・」

火炎「あっはは・・・、そう、だねぇ・・・」

イト「そうだよぅ、あっ、一個ちょ〜だい」

火炎「うん、はい、あ〜んして?」

イト「ちょ、僕の方が年上なんだよ〜、子ども扱いしないでよぅ」

火炎「子ども扱いなんてしてないよ?絶対安静なんだから少しでも動かないで済む様に、ね?」

イト「むぅ・・・、分かったよぅ、あ、あ〜ん・・・」

火炎「ふふっ、イトちゃんってやっぱり可愛い」

イト「なんか嬉しくな〜い」

火炎「ごめんね」

イト「別に良いよー、慣れてるしー」

火炎「あぁ、拗ねないでよぅ、ごめんってばぁ」

イト「ふふん、良いよー、慌ててる火炎ってば可愛いんだ〜」

火炎「むぅー、イトちゃんってばぁ〜」

イト「あはははっ」

藍N「その時、扉が開き、見知った顔が二人入ってきた」


火炎「箱庭の世界で 第十三話 行く者、行かざる者 後編」


会長「やぁ、お二人さん、お見舞いに来たぞ」

藍「どうも、こんばんわ」

火炎「会長、藍ちゃん、ありがとうね」

イト「やっほ〜、こないだぶりだね」

会長「そうだな、改めて挨拶する前にこんなことになるとは思いもしなかったが・・・」

藍「そうですねぇ・・・、まぁ、死人が一人も出なかったのが救いですね、感謝してます」

火炎「確かにそうだよね、イトちゃんとインがあそこで来てなかったら
    焔も間に合ってなかっただろうしね」

イト「いやいや、僕としても誤算だらけだったよー、まさか機族だなんて思わなかったからねぇ」

火炎「ねぇねぇ、その、機族って・・・なに?」

会長「意思を持ち人型をした物の部族、だったかな、通説は」

藍「どうやって意思を持って、どうやって人型になったかは、
  知られてはいないみたいですけどね」

イト「今回来てたのは剣の機族だよね、多分、触った感触とか温度とかは人なんだけど、
   性質は鉄って言う厄介さ、確かに人が剣持った所で勝てないよね」

火炎「うぅ〜ん、じゃあ、生き物・・・ではない・・・の?」

藍「そこは結構色んな所で議論されてるわ、意思はあるのだから生き物だ、
  っていうのと、元々物なんだから意思があろうと生き物では無い、って言う二論に分かれてる感じね」

イト「ただ、彼らは死んでも天界をかいして輪廻しないから、天界では後者を唱えてる人が多いよね」

会長「偏見と差別の対象によくされているからな、彼らは閉鎖的な者が多いんだよな」

火炎「そっかぁ・・・、難しいよね、種族間の確執って」

イト「話してみれば案外普通なのにね、お互い」

会長「まぁ、イトちゃんはまさしく天使の様な子だったがな、ハァハァ」

藍「会長、今回は自重しましょうね、ケア先生にも止められてますし」

会長「そ、それもそうだな」

イト「お、おっかないょぅ、僕みたいな子供触っても楽しくないょ?」

火炎「あれ、さっき子ども扱いするなって言ってなかったっけ?」

イト「あれ?そうだったっけ?」

藍「ふふっ、私たちより年上ですものね、イトさんって」

会長「ロリ先輩!なお萌えるじゃないか!」

イト「そ、そういう物なんだぁ・・・、っと、さんとか止めてよぅ、呼び捨てかちゃんでいいよぅ?」

藍「そぅ?それじゃ、イトちゃんって呼ばせてもらうわね」

イト「大歓迎だよぅ」

火炎「ふふっ、あっ、そう言えば・・・」

会長「ん、どうしたんだい?火炎ちゃん」

火炎「こんな時間に来てくれたって事は、明日天界行かないの?」

藍「えぇ、フィオからメールが届いてね、「私たちがいない間、学校をよろしくね」って」

イト「あっれ、あの二人がいなくなったらこないだの僕みたいな事になったら・・・?」

火炎「そう、だよねぇ、会長の餌食に・・・」

会長「安心してくれたまえ、そこはしっかり釘を刺されてある!」

藍「会長、威張って言えることじゃありませんよ」

会長「ふふん、褒めるな褒めるな」

藍「褒めてません!」

火炎「フィオちゃんから釘刺されてるなら安心、かな?」

会長「当たり前だ!フィオの本気なんぞ一生見たくないわ!」

イト「えっと、あの子、そんなに怖いの?」

火炎「うん、まさに死神!って感じだよ」

藍「正直、漏れちゃいそうだったもの・・・、別人って言っても良いくらいよ」

イト「ほぇ〜、おっかないんだねぇ」

会長「だから、正直な話、今回はあんまり心配してないのだよ」

火炎「そうだねぇ、そっちはあんまり心配ないかもしれないね」

藍「火炎が今心配なのは焔だものね」

火炎「・・・・・・うん」

イト「でも、命には別状ないんでしょ?ならすぐ起きるんじゃない?」

火炎「分かんない、先生が言ってたんだけど、目が覚めないのは外的な要因じゃないんだって・・・」

会長「ふむ、つまり精神的な何か、っという事か」

火炎「うん・・・、目が覚めたら、何か変わっちゃいそうで、凄く不安なの・・・」

藍「・・・・・・・・・」

イト「火炎ちゃん、色々隠し事してるでしょ?」

火炎「っ!?」

イト「別に詮索はしないけどさ、あんまり一人で抱え込んでると潰れちゃうよ?」

火炎「別に・・・隠し事なんて・・・」

イト「隠してることまで隠さなくて良いよ、そんなの辛いだけでしょ?」

会長「そうだ、別に言いたくない、言えないなら言わなくてもいい、
    ただ辛い時は私たちに遠慮なく頼ってくれたまえ」

藍「相談とかは乗れないかもしれないけど、支えにはなりたいから、ね?」

火炎「・・・・・・・・うん」

イト「そー言うこと、それに、心配ばっかりしてても楽しくないでしょ?
   今は忘れよ?起きてから、それで決めればいいよ」

火炎「・・・・うん」

会長「まぁ、無理にとは言わぬが、元気を出したほうが良いぞ、火炎ちゃんは笑顔が一番だ」

藍「悔しいかな、焔といる時しか一番の笑顔が見えないんだけどね」

イト「そんなもんだよっ、僕だってインがいないと元気でないんだから」

火炎「イトちゃんはいつだって元気でしょ?」

イト「まぁねっ、っと、言い返す元気出て来たみたいだね」

会長「だなっ、では、時間も時間だし、私たちも帰るとしようか」

藍「そうですね、それじゃ、お大事にね?」

火炎「うん、藍ちゃん、会長、ありがとうね」

イト「今度は何かお見舞い品もってきてよっ?」

会長「任せてくれたまえ、そうだな、藍にフルーツを盛ってこよう、うんうん」

藍「え゛、わ、私で女体盛りですか?」

会長「嫌か?」

藍「二人の時だったらまだしも・・・、じゃなくて!何言わせるんですか!」

イト「いいなぁ、藍ちゃんの女体盛り、楽しみかもっ」

火炎「い、イトちゃん、ちょっとぉ」

イト「冗談だって、気にしない気にしない」

藍「もぅ、皆して・・・、ほ、ほら、帰りますよ?」

会長「あぁ、今夜もたっぷり可愛がってやるからな」

藍「自宅に帰りますって!」

会長「あ〜っはっはっはっは!!」

火炎N「二人は、高笑いとともに病室から出て行った・・・」

イト「ははっ、あの二人おもしろいかも、ねっ?火炎ちゃん」

火炎「うん、二人とも、私の大切な友達だよ」

イト「そっか、ふふん、それだけ笑えれば上等かなっ」

火炎「うん・・・、そうだねっ」

イト「それじゃ、僕はもう寝るね、おやすみ〜」

火炎「うん、おやすみ」

火炎M「こうして、私は色々な不安を拭い去れぬまま夜を迎えた・・・、
     天界に向かう皆のこと、大怪我を負ったイトちゃん、まだ町にいるであろうあの男・・・、
     そして、目覚めない焔のこと・・・、眠れない夜をすごすのかな?とも思ったけど、
     みんなのおかげで、なんとか寝れそうかな・・・」


イト「次回予告」

藍「天界に乗り込む四人、目指すは宰相マリス」

火炎「だが、そこはすでにマリスの手の内となった嘘の楽園」

会長「次回 箱庭の世界で 第十四話 天界への突入」

イト「生きて帰ってこなかったら、もぅ一回殺してあげるんだから・・・、ちゃんと帰ってきてよ・・・」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w