闇ツ世界 第三十五話  Dear my past(ディア・マイ・パスト)



♀壬車 沙耶(ミグルマ サヤ):19歳。(今回は13歳)四班隊長。傲岸不遜な態度。室長以外には上から目線で物を言う。
              四班は特例で、彼女しかいない。能力は『氷結』。氷で作り出した武器や騎士で闘う。

♂壬車 将樹(ミグルマ マサキ):27歳。五班隊長。人柄よく、人望あるタイプ。妹に甘いのが玉にキズ。戦況を的確に見切る頭脳のキレを見せる。
               能力は沙耶と同じ『氷結』レイピアの剣速に合わせた異能攻撃が主な戦闘スタイル。

♂内儀 勝(ナイギ ショウ):30歳。五班班員。気っぷの良い性格で情に厚い。異能スキルは筋繊維を増加させる『身体強化』。

♀早凪 藍子(ハヤナギ ランコ):20代後半。穏やかな性格、言い方を変えれば何事にも無関心。だがその実、人に危害を加えるのが大好きな人物。
                SとMが頻繁にひっくり返る。触れた相手に対しての危害を与える『反射』の能力。

♂ケイ:40代後半から50代。人よさげだが、実は腹黒な狸親父。
    国を代表する製薬会社の社長でもある。
    異能は『異能を統べる異能』異能の能力を持つ人間を洗脳可能。
    かつ、全異能保持者の能力を使用可能。


沙耶:
将樹:          
勝 :
藍子:
ケイ:

_______________________

ケイ(N) :とある一室で、一人の女がベッドに身体を預け横になっている。
     壬車沙耶。彼女は寝苦しそうにうんうんと唸った直後、急に飛び起きた。
     汗をびっしょりとかいている彼女は、のど元を流れる脂汗を拭うと自嘲した。

沙耶(M):私をかばった大きな身体。迸る鮮血。女の高笑い。崩れ落ちる兄の姿。
     泣き崩れる私・・・そして、それを眺めるもう一人の・・・私。

沙耶  :あんな夢、また見るなんてね。どうしたのかしら?私。
     それにしても、腹が立つわ。あの高笑い。・・・いつかあったら殺してやる。
     兄さんの仇は・・・私が。

藍子  :闇ツ世界 第三十五話  Dear my past(ディア・マイ・パスト)


沙耶(N):時間は遡る。6年前、私がまだ、クガタチのヒラ隊員をやっていた頃のこと。


将樹  :沙耶。大丈夫か?少し休憩するか?

沙耶  :いい。大丈夫。まだ動けるから。

勝   :無理はせんでくだせぇ、妹さん。先はまだ長いんだ。

沙耶  :馬鹿にしないでよね!これでも、来年には入班試験を受けるんだから!

将樹  :そうだな。・・・それにしても、遂に沙耶もエリートの仲間入りか。

勝   :おいおい、隊長。もう入った気になってんですかい。まだ試験受けた訳じゃないってのに。

沙耶  :そ、そうだよ!あんまり期待しないでよ!プレッシャーになるから!

将樹  :ごめんごめん。でも、沙耶なら出来る。きっとなれるさ。班員に。

勝   :まったく、妹さんには甘いですなぁ。ウチの隊長は。

将樹  :あ、甘いだけじゃないからな!?厳しくする所はちゃんと・・・

勝   :へいへい。分かってますって隊長。お二人の事はずっと前から見てきてますから。

沙耶  :私、もし班員試験通ったら兄さんの班に入りたいな。

将樹  :ウチの班に?それは、どうかなぁ・・・。

勝   :異能の特性と班の特性が合致すれば、ウチに入る可能性はあるが・・・

沙耶  :ダメなの?

将樹  :コレばっかりは俺にもどうこうできないからなぁ。全ての決定権は、各班隊長と室長による会議にあるし。

沙耶  :他の誰よりも兄さんをサポート出来るもん。

勝   :それは心強いですなぁ。そうなると。

将樹  :そうだな。その時は頼むぞ。沙耶。

沙耶  :へっへーん。任せてー。

勝   :それにしても、なかなかに苦労させられますな。今回のターゲットには。

将樹  :そうだな。霞を掴もうとしてるみたいだ。

勝   :分隊の方はどうでしょう?

将樹  :怪しい拠点を制圧したが、薬剤の制作所だったみたいだ。

勝   :目的の場所じゃないですな。

沙耶  :なんのこと?

将樹  :あれ?沙耶には伝えてなかったっけ?

勝   :おっと、すいません。伝達をしきれてなかったですわ。

将樹  :そうか、ならここで伝えておいた方が良いな。
     今回、俺たちが目的にしているのは、ウィジの生物実験施設の壊滅だ。

沙耶  :生物実験・・・

勝   :それも、単なる生物実験じゃないんでさ。人体実験の現場らしい。

沙耶  :人体実験!?

将樹  :そう、だからこそ、きっちりと見つけて潰さないといけない。
     異能力者なんて言う実験被害者を出してはいけないんだ。

沙耶  :兄さん・・・。

将樹  :・・・・。

勝   :そのためにもだ!俺らが頑張って悪さできねぇ様にぶっつぶしてしまいましょうや!
     でしょう?隊長!

将樹  :ああ、きっちりと。気を引き締めていこう。

沙耶  :うん!

将樹  :よし、それじゃ、次の目的地に行こう。

勝   :次はこの先にある造船ドックでさぁ。既に分隊が制圧に掛かってます。いきやしょう。

沙耶  :了解!

将樹  :よし、いくぞ。

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藍子  :ここは・・・どこかしら。工場?研究所?
     なんで、私はここにいるのかしら?
     
ケイ  :ようやく目覚めたか。おはよう。

藍子  :あなたは?

ケイ  :私は、ケイ。君の産みの親だ。

藍子  :産みの親?

ケイ  :そう、私の持つ、技術により、お前は生まれた。今、この瞬間に。

藍子  :へぇ、そう。

ケイ  :驚かないのだな?

藍子  :ええ、別に驚いたってどうしようもないからね。今置かれてる状況が全く飲み込めないのは苛立つけれど。

ケイ  :お前は、私の手で作られた人間だ。私の計画の重要な要(かなめ)となるために作られたのだ。

藍子  :つまり、私はあなたの駒として作られたってこと?

ケイ  :悪い言い方をすればそうなるな。イヤか?

藍子  :別に、興味無いわ。

ケイ  :そうか。ならばよい。しかし、良い物で生まれてくれた。これで、私の計画は大いに進むだろう。

藍子  :えらく悦に入ってるところ悪いんだけれど。何か着るものないかしら。
     寒いのよ。

ケイ  :それは済まなかった。コレを着ると良い。

藍子  :・・・なにこれ?ライダースーツ?

ケイ  :手近にあったモノがそれくらいでね。

藍子  :趣味の悪い服。

ケイ  :それは否定しないさ。私も気に入っていない。

藍子  :ぴっちりした服って嫌いよ。体型が出ちゃうし。

ケイ  :比較的、動きやすい素材で出来ているようだが?

藍子  :そこらへんはどうでも良いわ。私に取っては。

ケイ  :そうか、それは失礼。

藍子  :で、あなたはなんて呼べばいいのかしら?創造主様?

ケイ  :ケイと呼びたまえ。それがコードネームだ。

藍子  :ケイ・・・ね。ありきたりね。

ケイ  :ありきたりがちょうど良いのだよ。さて、藍子。君に1つ仕事をやろう。

藍子  :仕事?

ケイ  :そうだ。なに、君にとっては簡単なものだ。

藍子  :面倒ごとは嫌いなんだけど?

ケイ  :しかし、放置するとさらに面倒になるぞ?

藍子  :わかった。なにすればいいの?

ケイ  :これから、人がここに来る。おそらく、そいつ等は揃いの制服を着たヤツらだろう。
     そいつ等を、殺せ。

藍子  :殺すの?なんで?

ケイ  :ヤツらが私達の敵だからだ。私の計画を壊すために動いている邪魔者だからだ。

藍子  :そんなこと、自分でやりなさいよ。

ケイ  :藍子。これは、お前の力を見る試験でもある。
     これに合格しなければ、お前を廃棄処分しなければいけなくなる。

藍子  :廃棄・・・ねぇ。

ケイ  :それはイヤだろう?

藍子  :・・・そうね。折角の命を捨てたくはないわ。

ケイ  :よろしい。では、私はここで失礼する。良い結果を見せてくれよ?藍子。

藍子  :へんな男。気味が悪いわ。
     それで。・・・いい加減、姿見せたらどうかしら?敵さん達。
     それとも・・・こちらから暴く方が好みなのかしら?

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将樹  :ここか?目的の建物は。

勝   :そうでさぁ。分隊が包囲をしてるはず・・・

沙耶  :だれもいないじゃない。

勝   :・・・既に制圧に入っているのかもしれませんなぁ。

将樹  :いや、それは無い。静かすぎる。

沙耶  :敵に気付かれてやられちゃった?

勝   :まさか。そんなはずは。

将樹  :確認のためにも、入るぞ。俺が先陣を切る。勝、沙耶の順で続け。

沙耶  :わかった。

勝   :了解でさぁ。

将樹  :行くぞ。・・・突入。

沙耶  :・・・静かね。

勝   :気を抜いちゃあダメです。

将樹  :この部屋はクリアだ。次の部屋に・・・

沙耶  :きゃあっ!?

将樹  :沙耶どうした!?

勝   :隊長!こちらに。
     ・・・これを。見てくだせぇ。

将樹  :これは・・・。

勝   :分隊の一人です。殺られてる。

沙耶  :今・・・上から落ちてきて・・・

将樹  :沙耶。

沙耶  :・・・・。

勝   :隊長。探索をつづけやしょう。生き残りがいるかもしれねぇ。

将樹  :撤収だ。作戦は続行不可と判断する。

勝   :なんでですか!

将樹  :造船ドックを三人で全て探索するのはムリだ。それに・・・分かるだろ。

勝   :・・・はぁ。全く、妹さんに甘い。

将樹  :そうじゃない。俺が言ってるのは死体のことだ。

勝   :は?

沙耶  :・・・全部の骨が折られてる。

将樹  :そうだ。それも、普通の戦闘じゃ出来ないような骨折の仕方だ。
     これは、人工的に作られた骨折だ。

勝   :敵が・・・やったってことですかい。

将樹  :それも、ワザとな。俺たちのために作られてる。

沙耶  :挑発するために。

勝   :ふざけてやがる。

沙耶  :兄さん。許せないよ。こんな事。

将樹  :そうだな。だが、ここは撤退しよう。

勝   :こいつの仇を取らずに帰るンかい!

将樹  :これは罠だ!挑発に乗って頭に血を上らせたら最後。俺らが潰されるんだ。
     一度撤退して、体制を立て直すんだ。

ケイ  :そんな事はしてもらっては困るなぁ。

勝   :誰だ!!

ケイ  :ほう、えらく若い娘がいるではないか。
     ルーキーか?

勝   :てめぇが、俺らの仲間を殺したのか!

ケイ  :さて、何のことかな?私は知らぬよ。

勝   :てめぇ・・・ぶっつぶしてやる!

将樹  :落ち着け!勝!・・・お前は、何者だ?

ケイ  :私か。私は、ケイという者だ。他に質問は?

将樹  :なぜ、俺たちが撤退したら困るんだ?

ケイ  :なぜだって?それは決まっている。実験が出来ないからに決まっているじゃないか。

勝   :実験だと?

ケイ  :そう、実験だ。私の最新作のな。

勝   :なに訳の分からないことをっ

沙耶  :撤退しよう!兄さん!なんか嫌な予感がする。

ケイ  :済まないが、お嬢さん。それは最早できぬよ。・・・藍子。仕事だ。

藍子  :はいはい。今度の相手は三人ね。

勝   :貴様が・・・貴様がこいつを・・・

藍子  :ああ、見たのね?それは一番最初に殺したヤツね。
     あまり上手くできなかったから、クラゲみたいになっちゃった。

将樹  :他のヤツらは?

藍子  :もちろん。殺したわ。当たり前でしょう?

勝   :ぶっ殺してやるっ!

将樹  :待て!動くな。勝。

勝   :何故止めるんです!

将樹  :目の前をよく見てみろ。

勝   :目の前・・・なっ!?

ケイ  :ほう、極細のワイヤーに気付いたか。さすがは隊長だ。

藍子  :敵を褒めないでよね。

将樹  :一歩でも歩いていたら死んでたな。勝。・・・落ち着いたか?

勝   :・・・へい。一応。

将樹  :相手は策略に長けてる。連携を取って突破するぞ。

沙耶  :了解!

勝   :了解。

藍子  :突破ねぇ。できるのかしら?

将樹  :やってみなければ分からないだろう?・・・沙耶!

沙耶  :氷柱連剣(つらられんけん)

ケイ  :ほう、氷柱でワイヤーを全て切断したか。

藍子  :この範囲全部埋める氷柱ねぇ。高い能力持ってるのね。あなた。

沙耶  :あなたに褒められたって嬉しくないわっ!

勝   :さぁって、覚悟は出来てんだろうなぁ!?女ぁっ!

藍子  :盛る男は嫌いよ?

勝   :潰れなぁッ!大拳骨!・・・・なっ!?

藍子  :ったく、だから嫌いなのよ。

勝   :俺の拳骨を受け止めた!?

将樹  :勝!そいつを上に投げろ!

勝   :はぁっ!

藍子  :ハハッ!何をするつもりかしら?

将樹  :凍れ。永厳冷風(えいげんれいふう)

藍子  :リフレクト。当たらないわ。そんなもの。

将樹  :天井が凍った・・・今だ、沙耶。決めろ。

沙耶  :氷柱よ。落ちてきなさい!氷華乱打!(ひょうからんだ)

藍子  :なっ!?氷柱を利用してっ!?がぁぁぁぁぁっ!?

勝   :うおっしゃあっ!

沙耶  :決まった!?

ケイ  :・・・ふふふふ。

将樹  :様子がおかしい。!?構えろ!二人とも!

藍子  :クク・・・あはははは・・・

将樹  :氷の刃に切り刻まれろ。氷刃乱線!(ひょうじんらんせん)

藍子  :ぐっ・・・くはははは・・・やってくれるじゃない。あなた達。ちょっとカチンってキちゃったかも・・・ねっ!

将樹  :なっ・・・全て、見切られた!?

ケイ  :おお、恐ろしいな。藍子。

藍子  :ねぇ、もう好きにやっちゃっていいのよね?ケイ?今になって「こいつ等を見逃せ」なんて言っても聞かないから。

ケイ  :好きにしろ。

沙耶  :そんな・・・直撃したはずなのに・・・。

将樹  :直撃の瞬間に、能力で氷柱も俺の氷刃も逸らしたんだ。衝撃をうけはしたが、有効打にはなってない。

藍子  :よく分かってるわね。そうよ、間一髪だったわぁ。・・・あら?

勝   :余所見なんてしてんじゃねぇぇっ!

将樹  :やめろ!勝!突っ走るな!

沙耶  :援護します!氷弾!(ひょうだん)

藍子  :ぐっ・・・はは、額が切れちゃったじゃない。血がこぉんなに・・・ふふ。

勝   :狂ったか女!そのまんま身体ごと壊れやがれ!発破掌!(はっぱしょう)

藍子  :リフレクション

勝   :ぐ・・・がぁぁぁぁぁっ!!

藍子  :ハハハハハッ!隊長さんの言うことを聞かなかったの?突っ走るなって言われたわよね?

勝   :俺の・・・腕が・・・っ!

将樹  :氷壁一線!(ひょうへきいっせん)

藍子  :おっとっ!・・・距離を作られちゃった。これは、味方を守るための壁?分厚いわね。

ケイ  :助力はいるかね?藍子。

藍子  :別に要らないわ。じわじわと壊して絶望させてあげることにするわ。

勝   :・・・すいやせん。隊長。

将樹  :大丈夫か?腕、見せてみろ。

沙耶  :複雑骨折してる!手当を・・・

勝   :今する訳にはいきやせん。何せ・・・。あれ、見てくだせぇ・・・

沙耶  :壁をワザと削って・・・遊んでる?

将樹  :たしかにいつまでも持たないな。・・・いけるか?勝。

勝   :片腕は、まだ生きてますぜ?やれるに決まってる。

将樹  :よし、分かった。・・・沙耶。お前は撤退しろ。

沙耶  :ヤダ!私も闘える!

将樹  :分かってくれ、沙耶。お前を巻き込む訳にはいかない。

沙耶  :私、兄さんのためだったら闘える!一人になんてさせないっ!

将樹  :お前の弱い力じゃ闘えないんだ!

沙耶  :っ・・・私・・・弱くなんか・・・

将樹  :分かってくれ。沙耶。今のお前じゃ犬死にになる。俺は・・・お前を死なせたくない。

沙耶  :私だって兄さんをっ!

藍子  :あと、30pよぉ?作戦会議は大丈夫?

将樹  :お前は、ここから逃げて、室長にあったことを伝えろ。俺たちは少しでも時間を稼ぐ。

勝   :どれくらい持つかは、分かりませんがね。やってみまさぁ。

将樹  :俺たちの能力じゃ、あの女に対抗できない。スキルも段違いに強い。
     今できるのは、お前を逃がして、本部に緊急を知らせることしかないんだ。
          
沙耶  :そ・・・んな・・・。

勝   :妹さん。たのんます。俺の命、隊長の命。他の隊員の命。無駄にしねぇでくだせぇ。

将樹  :頼む。沙耶。・・・・・・・てくれ。

藍子  :後、じゅっせんちぃ〜

沙耶  :・・・分かった。

将樹  :よし、良い子だ。沙耶。・・・行け!

藍子  :ぜぇろぉ〜。逃がさないわぁっ!

勝   :テメェの相手はこの俺だぁっ!発破掌!

藍子  :もう一本も折ってあげる!リフレクション!

勝   :ぐうっ・・・だが、退(ひ)かん!食らいついてでもっ!

藍子  :退(ど)きなさい!シナプスシャッフル・エイティ!

勝   :くそっ・・・すんません・・・隊長・・・

将樹  :先に逝って待って居てくれ・・・勝。

藍子  :案外薄情ね。味方を助けないなんて。

将樹  :だが、そのおかげで妹は逃げ切れる。

藍子  :そうみたいねぇ。・・・いいのぉ?逃がしちゃって。

ケイ  :構わん。捨て置け。

藍子  :ですって。良かったわね。

将樹  :次は、俺の番だ。・・・参る。はぁっ!

藍子  :早い剣戟ね。レイピアなんてなかなか高尚なもの使うじゃない。

将樹  :見切っておいて何を言うっ!

藍子  :ふふっ、それもそうね。ふっ!

将樹  :なっ!?・・・素手で・・・受け止めた?

藍子  :イタイ・・・痛いわぁ。血が滲んじゃってる。でも、楽しい。

将樹  :氷柱連剣っ!

藍子  :返りなさい。リフレクション。

将樹  :ぐっ・・・が・・・あ・・・

藍子  :この至近距離じゃ、逃げ切れないわよねぇ。どう?痛い?自分の技にお腹突き破られて。
     苦しいかしら?

将樹  :ま・・・だ・・・だっ・・・俺は・・・まだっ!

藍子  :ふふ。力、入ってないわよ?

ケイ  :いい加減、楽にしてやれ。藍子。

藍子  :あら。これからが楽しいのに。

ケイ  :私は興が削がれた。

藍子  :はいはい。わかったわ。シナプス・シャッフル・ナインティ。

将樹  :ぐあぁぁぁぁぁぁっ!・・・・さ・・・や・・・

藍子  :アハ、ハハハハハッ!アーハハハハハハッ!

ケイ  :よくやった、藍子。テストは終了だ。来い。

藍子  :わかったわ。・・・また、遊びましょうね?お嬢ちゃん?

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沙耶(M):私は必死で逃げ帰り。室長、相田蒼哉(あいだそうや)に始終を伝えた。
     救助部隊が急遽組織され、後詰(ごづ)めに向かったが、その時にはもう、あの女の姿は無かった。
     私の兄さんと、勝さん。兄さんの隊の人達の一部はかろうじて一命を取り留めていた。
     しかし、彼らの意識は戻らないまま今に至る。
     原因は不明。おそらく、異能の力が脳に干渉しているらしいと言う事だった。


将樹(M):沙耶。俺の分まで生きてくれ。

沙耶  :何、格好つけといて生きのこってんのよ。・・・バカな兄さん。
     


ケイ  :次回の闇ツ世界は

藍子  :影の者は暗躍する。

勝   :そして、手に入れるものは。

将樹  :闇ツ世界 第二十六話 Look me, if you can.(ルックミー・イフ・ユー・キャン)

沙耶  :兄さんの仇は、絶対に取るから。



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