闇ツ世界 第24話 退場
♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。
政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。
何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。
電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』
♀菱山 馨(ヒシヤマ カオリ) :18歳。
政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーであり、戒斗のパートナー。
快活なキャラクターで変人が集まるエリートメンバーの中では常識派。
水を扱う事のできる異能者。武器は槍。銘は『海割(うみわり)』
♂相田 蒼哉(アイダ ソウヤ) :25歳。
政府特務機関「クガタチ」のトップ。
切れ者で若くして政府機関の責任者となっている。
戒斗を組織に引き入れた張本人。
現在では事務職に力を注いでいるが、もともとは前線で闘う武闘派。
何を考えているのか分からないとらえどころのない人物。
良く言えばひょうひょうとしたキャラクター。悪く言えば不真面目。
風を扱う異能者。武器は鉄扇。
♀伊藤 常葉(イトウ トキワ) :20代後半。「クガタチ」三班隊長。冷静沈着な性格。
クガタチの戦闘班の中でも頭脳派。でも戦闘も出来るオールマイティ。武器は大槌。能力は物質振動。
♂速水 佐之(ハヤミ サノ) :20代後半。三班副隊長。武士道にこだわる堅物。
隊長である常葉に忠誠を誓っている。戦闘スタイルは棒術。能力は波動。
♀壬車 沙耶(ミグルマ サヤ):19歳。四班隊長。傲岸不遜な態度。室長以外には上から目線で物を言う。四班は特例で、彼女しかいない。
能力は『氷結』。氷で作り出した武器や騎士で闘う。
戒斗:
馨 :
蒼哉:
常葉:
佐之:
沙耶:
______________________________________________________
戒斗:非道くやられたな。室長。
蒼哉:そーだねぇ。おかげで青空教室だよ。雨降ったら書類がダメになっちゃうね。今日、雨降るらしいし?
常葉:そういって書類をダメにさせようとしないで下さい。・・・佐之。
佐之:はい。・・・室長コレをお使い下さい。絶対に。
蒼哉:あー・・・これは?
常葉:雨ざらしにならないための書類保管ボックスです。現在、残っている未受理書類300枚弱。全て収納しておきます。
蒼哉:あー。うん。ありがと・・・う?
戒斗:これで逃げられないな。ガンバレよ。室長。
蒼哉:はいはい。頑張るよ。
沙耶:闇ツ世界 第24話 退場
常葉:それにしても。どうやって本部の場所を割り出したんでしょう?
政府に対しても非公開な場所ですよ?
蒼哉:うん。そうなんだけどね。スパイが紛れてる時点でコレは予測できたかな?
戒斗:にしても、防衛が甘かったな。
蒼哉:ここまでとは思わなかったんだ。集めたとしても数十人が限界かな?って思ってたんだけどさ。まさか一個師団レベルで人を集めるとは・・・。
佐之:でも、そのかき集めた突撃部隊。ほとんどが普通の人間、しかも一般人だったってのが不思議ですね。
バットや鉄パイプはまだ分かるんだが、フライパンまで持って参加してた人間もいましたね。
常葉:また、暴力団やギャングを使ったんでしょうか。
戒斗:一般人って言いましたよ?それにギャングのなりすましだとしても、鉄砲なりなんなりが出てくるはずだろ?それが、全く無いのも不思議だ。
蒼哉:たしかに、ね。うーん。なんだか嫌な予感がするよ。
沙耶:室長!ここに居たっ!
馨 :大変です。テレビ見ましたかっ!?
蒼哉:ここ。テレビあるように見える?一面瓦礫の山なんだけど?
沙耶:冗談言ってる場合じゃないの!誰かワンセグ持ってる!?
佐之:これで良ければ・・・。
沙耶:貸しなさい!えっと・・・これ!(ト、佐之に被り気味に)
戒斗:佐之さん。どんまい。
佐之:・・・うむ。
蒼哉:ニュースねぇ。・・・ん?この映像は・・・。
馨 :昨夜の戦闘が流出したようです。
常葉:すぐに手を打たないと!
戒斗:まて!続きがある。・・っ!?・・・これは不味いな。
佐之:政府がひた隠しにしていた人体実験。それの被験者で作られた特務部隊が暴走。一般人に危害を加えた・・・でっち上げにも程がある。
沙耶:こんなのふざけてる!私達は一般人を守ってる側なのにっ!
蒼哉:でも、この映像を見る限り、誰が一般人の味方って見るのかな?
馨 :だから、これに対して何か行動をっ!
蒼哉:行動できないよ。僕らは。
戒斗:どういう事だよ?
常葉:こればっかりは、政府が決断を下さない限りはなんとも出来ないということです。
蒼哉:さー。どう動くかな?お役人さんは。無反応、もしくは都市伝説で片付けてくれたら良いんだけどなー。
佐之:室長。よろしいですか。今、伝令がやってまいりました。この封筒をご覧下さい。・・・政府は私達を切り捨てる決断をしました。
馨 :それって。
沙耶:私達は捨て駒なの?
蒼哉:そうなんだぁ。そういう結論出しちゃったか。ま、肝がちっさいオッサンだなーとは思ってたよ。
戒斗:ちょっと待てよ。そうなったら、俺は!俺たちはどうなるんだよ!?
蒼哉:そうだねぇ。一般的に言ったらお役ご免。クビなんだけど・・・。
これじゃあ、終われないよねぇ・・・。あ、そうだ。みんなってさ。休暇欲しい?
沙耶:室長!あんた今、大事な話しているのに休暇がどうのって・・・。頭どうかしちゃった!?
蒼哉:残念だけど。どうもしてないよ。僕はさー。今珍しく働く気満々なんだよねー。
戒斗:あ、そう言うことか・・・。俺ら二班はいらねーぜ。室長。暇を見つけてぐーたらするのは慣れてる。
常葉:私も、要りません。ですよね?佐之。
佐之:ええ。もちろんです。
沙耶:あんた達が何いってんのかさっぱりなんだけど。私にも分かるように説明しなさいよ!
馨 :戒斗。どういう事?
戒斗:お前等少しは頭働かせろよなー。
沙耶:なんか腹立つんだけど?
常葉:もう、コレは全会一致でいいんじゃないでしょうか?室長。
蒼哉:そうだね。それじゃー。みんな集めようか。班員も、それ以外の隊員も。
戒斗:了解。
常葉:はい。
沙耶:ちょっと待ちなさいよ!
佐之:こちらにマイクが。スピーカーには接続済みです。
蒼哉:準備がいいねー。あーあー。入ってるかな?作業中のみなさーん。聞こえてますかぁ?(ト、演説終わりまでエコーがあれば尚よし。)
戒斗:ぐったりしてんなぁ・・・。
常葉:室長の気遣いですよ。
馨 :気の遣い方、間違ってるんですけど。
蒼哉:もう、気付いてる人も居るようだし、ぶっちゃけるけど、たった今僕たちは政府からクビを宣告されました。
ということで、もう命がけの仕事をしなくても良くなっちゃいました。
沙耶:何をいってるの?この人。
佐之:まぁ、聞いておいて下さい。
蒼哉:でも、命がけの仕事が無くなったとはいえ。僕らは、僕たちをクビにしやがった政府から存在を消された人たちです。
社会で働こうにも存在しないから手に職つけることもできません。どうしましょう。困ったねぇ。
戒斗:・・・早く本題に入ろうぜ。室長。
馨 :あははは・・・。
蒼哉:現在、僕らを退場の危機に追いやった敵さんは政府に牙を剥こうとしてる。それを防げる人は今の政府機関には居ない。
じゃーどうするか。僕らが立ち上がるしかないでしょう。
常葉 :これで、わかりましたか?
馨 :なるほど。ま、こうなったら手伝うしか無いですね。
沙耶 :そうね。あと、ボコボコにしたい連中を野放しにするのは嫌だし?
蒼哉 :今、僕の近くに居る隊長、副隊長は全員テロリスト殲滅に参加を表明してくれた。
さぁ、ここからは君たち自身の選択だ。僕らの安寧をぶち壊してくれた人間をフルボッコにするか、それとも消された人間になりさがるか。
2つに1つ。さぁ、選びたまえ!
馨(N) :場に広がる静寂。参加する人間はいないのかと思われたが、一人、また一人と手を上げる隊員が出てくる。
佐之(N):そして、気付けばその場にいる隊員の全てが手を掲げ集っていた。
蒼哉 :ありがとうみんな。(ト、一呼吸入れる)
僕らは正規の隊員ではない。悪い事をすれば捕まるし、今までの治外法権は認められない。
命を第一に考え、そして、仲間を助け、この国を、世界を変えよう!(ト、蒼哉演説終了)
戒斗 :ハッ。相変わらずのカリスマだな。室長。
沙耶 :だからこそじゃないの?あんな夢物語を語って、やる気にさせるなんてそうそう出来ないわ。
馨 :言ってる内容は、ほぼ脅迫なんですけどね。
佐之 :だが、今以上に気を付けてゆかねばならない。
常葉 :茨の道は重々承知の上でしょう。やれます。我々なら。
馨 :そうですね。
蒼哉 :・・・ふぅ。やっぱり苦手だよ。人前で喋るの。
沙耶 :あれだけ語っておいて苦手ねぇ。
戒斗 :ま、やることをやろうぜ。まずは、ここの片付けか?
蒼哉 :そうだねー。まぁ、捨てていっても良いんだけど。こんな瓦礫の山。
常葉 :どこか、身を隠すアテが?
沙耶 :あー。あそこ?
戒斗 :あそこって・・・どこだ?
馨 :室長が前、トローノ・コンクエストのリーダーを出し抜いたときにつかったビル。
佐之 :あそこは倒壊したままでは?
沙耶 :倒壊したままで当たり前。あんな場所を復旧させるまでもないわ。
戒斗 :じゃあ、場所がないじゃねぇか。
蒼哉 :それが、あの廃墟にあるんだなぁ。
佐之 :地下・・・ですか?
蒼哉 :うん。実はあそこ、秘密基地よろしく隠された地下区画があるんだ。そこを使おう。
常葉 :確か、現在の立候補者の全員を収容出来る規模はありました。
馨 :じゃあ、そこが次の本部って事になりますね。
蒼哉 :おっと、そう言えば、隆(たか)にも撤収を言わないとね。
馨 :隆さん、全く見なかったですけど、どこかに行っていたんですか?
蒼哉 :潜り込ませてたの。トローノ・コンクエストに。ちなみに戒斗。君、戦ってるから。隆と。
戒斗 :・・・マジか。全く分からなかった。
沙耶 :流石というか、演技派というか。相変わらずピエロのようね。アレは。
佐之 :ですが、その探りがあったとしてもこの被害とは・・・。事前察知はできなかったのか。
蒼哉 :残念だけど、ね。後、敵さんの中でもいろいろと派閥化が起こってたみたいだよ。
もしかすると、隆が潜り込めなかったもう一つの派閥の独断行動だったのかもね。昨晩のは。
常葉 :敵は一枚岩ではないのですか。厄介ですね。
沙耶 :そう?勝手に壊滅してくれると思えば楽じゃない。わざわざ私がいらつくこともなくなる訳だし。
馨 :沙耶隊長・・・。そっちなんですか。
沙耶 :そっちもどっちも無いわ。わざわざ精神的な負担を負わないといけないのは大ッ嫌いなの。
戒斗 :はいはい。それで済めばいいけどな。
沙耶 :どういうことよ。
佐之 :一枚岩ではないと言う事は、1つの勢力だけでなく、同時に2つ以上の勢力の動静を探らなくてはいけなくなります。
常葉 :そして、一番厄介なのが、トップを1つ潰したところで一方が残っていれば、まだまだ敵は増えていくという事象。
戒斗 :いたちごっこになる前にどうにかしなきゃいけないってことか。
馨 :今まで以上にハードになりそうね。
蒼哉 :申し訳ないけどそうなるかな。でも、君たちのスキルは一番よく分かってる。そして、信頼してる。
だから、もう少し、僕の我が儘に付き合ってくれないか?
戒斗 :今更だぜ?
常葉 :もちろんです。
沙耶 :仕方ないから付き合ってあげる。因縁もあるし。
馨 :素直じゃないですね。
沙耶 :何か言った!?
馨 :いいえー。何でもないです。
蒼哉 :さて、そうなれば、さっさと移動しよう。荷物かき集めて大移動だねー。
戒斗 :遠足じゃないんだから。
佐之 :書類の片付けもしっかりして下さいね?
蒼哉 :が、がんばるよ・・・。
馨(M):その後、どこから調達してきたのか数台のトラックとバスに乗り倒壊した本部を離れ、新天地へと私達は移った。
不安が残る移転ではあったけれど、新たな闘いに向けて準備を進めていく。
まだまだ、私達は闘いから退場するわけにはいかないのだから。
沙耶 :次回の闇ツ世界は
佐之 :大黒柱の倒壊。
馨 :破綻が進む組織。
常葉 :そして、終わり。
戒斗 :闇ツ世界 第二十五話 ウォーク・アウト
蒼哉 :舞台を仕切るのはどちらか?
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