闇ツ世界 第九話 謀略と特訓
♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。
政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。
何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。
電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』
♀菱山 馨(ヒシヤマ カオリ):18歳。
政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーであり、戒斗のパートナー。
快活なキャラクターで変人が集まるエリートメンバーの中では常識派。
水を扱う事のできる異能者。武器は槍。銘は『海割(うみわり)』
♂相田 蒼哉(アイダ ソウヤ):25歳。
政府特務機関「クガタチ」のトップ。
切れ者で若くして政府機関の責任者となっている。
戒斗を組織に引き入れた張本人。
現在では事務職に力を注いでいるが、もともとは前線で闘う武闘派。
何を考えているのか分からないとらえどころのない人物。
良く言えばひょうひょうとしたキャラクター。悪く言えば不真面目。
風を扱う異能者。武器は鉄扇。
♂室井 朝永(ムロイ トモナガ):16歳。
二番隊隊員。
熱血漢で猪突猛進。プライドばかり高い残念な子。
頭で考えるより、身体が動くタイプ。
異能は磁力。戒斗とは違い電気は使えない(異能のレベルが低いため)。
戦闘スタイルは、メリケンサックを用いた超接近戦。
♀卜部 千里(ウラベ チサト):17歳。戒斗と馨によって暴走しているところを『保護』された異能者。
重量移動の能力を持つ。ほがらかであるが、すこし抜けている。
いわゆる天然。頑張りが空廻ってドジするタイプ。
※次回予告の部分はナレーター読みではなくキャラ読みした方が雰囲気が出ると思います。
♂森戸 戒斗:
♀菱山 馨:
♂相田 蒼哉:
♂室井 朝永:
♀卜部 千里:
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蒼哉:そうか。復旧作業を急いで?・・・うん。おねがい。あ、あと、五班の状態は?
・・・まぁ、そうだろうね。そもそも、彼の精神調整が難しいか。・・・うん。そうだね。でも、早めに戦線に加われるようにしないと。
そう、なんせこれから荒事が増えるから、少しでも戦力はほしいんだ。・・・だから、キミに頼んでるんだよ。
いや、無理をしろとはいってないよ。ただ、なるべく急いで・・・。
戒斗:おい。室長!どういう事だよ!これ!・・・あ。
蒼哉:おっと、やかましいのが来た。また後で掛けるよ。・・・・はい。じゃあね。
戒斗:・・・どういう事だよ。
蒼哉:忙しいね。・・・なんのこと?
戒斗:なんのこと?じゃねぇよ!新聞みてねぇのかよ!あと、諜報部からの書類も!
蒼哉:うん、まだ見れてない。・・・へぇ、死んだんだ。栄介さん。
戒斗:焦らなくて良いのかよ!あの国会議員は俺らの機密を一切合切持ってるんじゃなかったのかよ!
蒼哉:うん。そういうことになってたかな?
戒斗:そういうこともなにも、そうなんだっての!だから急いで対抗策を練って・・・
蒼哉:いやいや、戒斗君。大丈夫だから。彼らがここに来るとか、秘密の暗号を知っちゃうとか無いから。
戒斗:なんでそんなこと言い切れるんだよ。
蒼哉:だって、あの書類。全部偽物だからね。
戒斗:・・・偽物?
蒼哉:そう。偽物。機密文書に見せかけた偽物。書いてあることはここの内部事情とかだけど、ぜーんぶでたらめ。
戒斗:でたらめ・・・。もしかして、あの政治家は捨て駒か?
蒼哉:捨て駒じゃないよ?・・・もちろん。罠のための布石さ。
戒斗:人の命が布石ねぇ・・・。
蒼哉:僕らはケガレ仕事をやる独自組織だもの。これくらいやらなきゃね。蛇(じゃ)の道は蛇(へび)って感じかな?
戒斗:しっくりこねぇなぁ・・・。
蒼哉:ま、とりあえず君だけに僕の一手を教えるとね?あの書類に書いてあるクガタチの本部の住所にはね?偽物の本部があるんだ。こことそっくりな作りの。
そこに誘い込んだ後、ニセ本部を爆破。倒壊させ殺す。こんなプラン。
戒斗:なんという荒技・・・。
蒼哉:でも、そう簡単に死んではくれなさそうだけどね。
戒斗:そうですね。じゃなけりゃ、ここまで派手なことはしないでしょうに。
馨 :失礼します。戒斗。ちょっといい?
戒斗:あ?なんだ?
蒼哉:どうしたの?そんなに急いで。
馨 :いえ、これから二班の戦闘訓練があって。
戒斗:いっけね、そうだった!すっかり忘れてた!
蒼哉:なるほど。それは隊長が行かなきゃ話にならないね。行ってらっしゃい。
・・・・・。さて、僕も動くとしようか。あ。そうそう、戒斗。さっきのこと、他言無用だからね?
朝永:闇ツ世界 第九話 謀略と特訓
戒斗:さてと、1・2・3人。俺を入れて4人。うし、全員いるな。それじゃあ、訓練に移るとするか。
馨 :ウォーミングアップはもう既にしてあるだろうし、チーム戦の乱取り稽古でもする?
戒斗:そうだな。久しぶりに偶数人になったわけだしな。
朝永:偶数人?こいつも二班の隊員なのか?
戒斗:そうだ。つい最近はいった卜部 千里だ。
千里:よ、よろしくお願いします。
戒斗:じゃあ、俺と馨のチーム対、朝永と千里のチームで乱取りな。
朝永:はぁっ!?こんなひょろいヤツとチームだって?
馨 :実践じゃ、誰とチームを組むことになるか分からないの。こういう慣れない相手とも、合わせられるようにしとくのも訓練よ。
戒斗:それに、俺らとやるって所にも意義はあるけどな。戦場では格上。格下もなく戦うことになるし、こういう経験はやっといて損はない。
あと、俺らがお前らの戦い方を見る機会にもなるし。
朝永:ま、隊長がそう言うんならやるけどよ。・・・おい、てめぇ。
千里:は、はいっ!
朝永:俺の足をひっぱんなよな。
戒斗:よし、それじゃやるか。何時でもかかってきな。
朝永:よっしゃ!いくぜっ!
戒斗:突っ込んでくるか。読めてるぜ。よっ、と!
朝永:俺を踏み台だとっ!?クソッ!・・・行かせるかっ!
馨 :あなたの方こそ行かせないっ!水柱・壁(すいちゅう・へき)!
朝永:なにっ!?ぐあっ!?
戒斗:馨、ナイストラップ!行くぜ?卜部!紫電掌(しでんしょう)!
千里:くっ!回避っ!
戒斗:すげぇ、跳躍。自分の重さを無くしてのジャンプか?だが・・・なっ!
馨 :空中じゃ回避できないわね!もらった!
千里:きゃぁぁぁっ!
馨 :よし、追撃っ!はぁぁぁぁぁっ!
朝永:くそっ!磁力鎖縛(じりょくさばく)!矛先を・・・ずらす!
馨 :くっ・・・外した。・・・やっかいね。
千里:援護。ありがとうございます。
朝永:足ひっぱんなっつったろ!
馨 :朝永君!余所見してる暇は・・・なっ!?
千里:はぁっ!
馨 :しまった!体勢がっ!?
朝永:うらぁぁぁぁっ!磁力掌波(じりょくしょうは)っ!
馨 :くうっ!?
朝永:ラッシュだぁぁぁっ!オラオラオラオラッ!
戒斗:悪いな。そいつはフェイクだ。
朝永:なにっ!?・・・幻覚だと!?
千里:朝永さん、あぶないっ!避けて下さい!
戒斗:もどってこい雷斬っ!・・・磁力鎖縛っ!
朝永:うおっ!?あぶねっ!
戒斗:ナイス回避だ。朝永!あー、それにしても、連携・・・ばらっばらだな。
馨 :すばらしいほどにね。
朝永:そ、そんな簡単に組んだ相手と連携取れるかよ!
馨 :それでも、普通いくらかは連携取れるはずなんだけどね。
戒斗:確かに、この組み合わせは、戦い方によっては凄く相性良いはずだしな。
千里:・・・ごめんなさい。
戒斗:卜部が謝ることじゃないけどな。
朝永:じゃあ俺かよ!俺が悪いのかよ!
馨 :うーん。誰が悪いというより、お互いの位置取りとかが把握できてないのかも。
戒斗:そうだな。立ち位置とかは戦術に大きく関わるしな。よく、お互いの位置を見て相手の隙をつく、コレが肝心。
というわけで、講義終了。乱取り再開だぜっ!
朝永:ちっ!電撃の鞭か・・・磁力掌波っ!
戒斗:正面に磁力の壁を作ったか・・・
千里:いきますっ!はぁぁぁっ!
馨 :なるほど。良い隙の突き方っ!だけどっ!彼の重さを奪ったのは見えてたのよねっ!
千里:っ!?しまった!剣が床にっ・・・。
朝永:ちっ!世話の焼けるっ!反発!
戒斗:いい、合わせ方だな。卜部の剣を跳ね上げて、槍の一撃を防いだか。
だが、甘いっ!雷塵爪(らいじんそう)!
朝永:甘いのは隊長の方だぜ!はっ!
馨 :2人とも飛んだ・・・?っ!読めた。戒斗!
戒斗:了解。準備しとけ?
馨 :もちろん!
朝永:いっくぜぇぇ!
千里:せぇいっ!
戒斗:卜部が踏み台になって、急降下。読み大当たりだな・・・馨!
馨 :了解。展開!水牢(すいろう)!
朝永:ぬあっ!・・・はっ!?しまった!う・・・うごけねぇっ!
戒斗:読み通り過ぎるぜ?朝永。紫電掌!
朝永:がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
戒斗:伝導率が上がってるからな。いつもよりしびれるぜ?
千里:まだまだぁっ!
戒斗:おっと!そう言えば卜部いるの忘れてた!
馨 :気を抜きすぎだって!氷弾・散!
千里:氷の弾幕!?回避を・・・できないっ!?
戒斗:そこまでっ!
千里:た、たすかった・・・けど、水しぶき・・・つめたい。
戒斗:本気で殺すつもりはないっての。朝永は、伸びてっけど気絶してるだけだから、すぐに起きると思うぜ?ほれ、馨。水。
馨 :はいはい。ほら、起きてー。
朝永:ごふっ!?・・・あ。あれ?
戒斗:おはよう。朝永。
朝永:あ・・・。えと、どうもっす。
馨 :これで良し。でも、戒斗。さっきのアレはやり過ぎだと思うんだけど。
戒斗:あー。・・・やっぱり?
馨 :当たり前よ。戒斗は手加減を知らないんだから・・・。
それにしても、2人とも指摘しただけで連携はそこそこ取れる感じにはなったかな?
戒斗:まぁまぁ、って所だな。でも、まだ荒い。朝永は突っ込みすぎだし、卜部は攻撃系統が1本すぎる。
千里:そう・・・ですか?
朝永:突っ込みすぎ・・・かぁ。
馨 :確かに。朝永君は超接近戦だと強いんだけれど、それは1対1の時だけ。2人を捌けるほどの一手が無いのがツライかも。
あと、チーム戦なのに、自分が表立ちすぎて、千里ちゃんが追いつけてなかった。
朝永:・・・うう。的確過ぎて心が痛い。
戒斗:まぁ、途中でフォローに入ってたのは良かったけどな。あれを自然にできたら、なお良しだな。
馨 :それで、千里ちゃんは重さを奪ってからの兜割りっていう攻撃パターンが多い。まぁ、実際。振り下ろしは強いんだけれど、その分、行動が読みやすいのよ。
戒斗:卜部はやっぱり大剣より、ショートソードの方が良いな。この剣をそのまま小さくしてみるか。片手剣みたいに。
馨 :そこら辺は室長も入れて相談しなくちゃ。・・・費用的な面で。
戒斗:費用・・・。あ。そうだった・・・。ウチの班。今月、ピンチだった・・・。
千里:なにに・・・使ったんですか?
馨 :えっと、戒斗が壊した公務用の車の修理費と、朝永君が職務中に壊したお家の壁の修繕費。
千里:ああ・・・えっと・・・。
朝永:い、痛い!視線が痛いっ!
戒斗:そんな目で見ないでくれぇっ!
(間)
蒼哉:ほほえましいね。若者の訓練を見るのは・・・。さて、いい加減あのビルに行こうかな、僕は。
トローノ・コンクエスト。どの程度、頭が働くか見物だ。
朝永:次回の闇ツ世界は。
蒼哉:張られた謀略。
千里:あらがう戦略。
馨:勝つのは戦略か、謀略か。
戒斗:闇ツ世界 第十話 謀(はかりごと)
蒼哉:さて、知恵比べといこうじゃないか。
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