闇ツ世界 第八話 弾劾(だんがい)

♀生駒 穂乃華(イコマ ホノカ):15歳。
               物腰柔らかに喋るが、非道な事を平気でやってのける人物。
               他の人とは違い産まれた時より異能の力を保持していた。(母親が妊娠時に『ウィジ』を服用したため)
               そのため忌み者として扱われてきた。能力は火炎。武器を持たぬ代わりに両手に炎を纏い篭手として扱う。

♂ジャック:見た目20歳前後。
      不気味な雰囲気を持つ人物。本名不詳。見た目は人付き合い良さげな人物だが、その内面は冷徹が服を着たよう。
      仲間であろうと切り捨てる時は切り捨てる。能力は遮断。

♂黒井 尚(クロイ ナオ):25歳。
            連続通り魔として世間を騒がせた人物。そして、異能者。トローノ・コンクエストの中でもダントツのサイコパス。
            人を傷つけたいという衝動が彼の行動理念。能力は圧縮した空気を相手にぶつける「波動」の能力。

♀井倉 真矢(イクラ マヤ):26歳。
             妖艶な雰囲気を持つ女性。ジャックを厚く慕っている。
             触った人物の記憶を掘り起こし、見る(見せる)事ができる能力。

♂東野 栄介(トウノ エイスケ):40代後半。
               有名政治家であり、穂乃華の父親。
               自分が成り上がるためには何もかも利用していく人間。
               いわゆる外道。


♀生駒 穂乃華:
♂ジャック:
♂黒井 尚:
♀井倉 真矢:
♂東野 栄介:


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ジャック:穂乃華。いるかい?

穂乃華 :はい。ここに。

ジャック:喜びなよ。今日は記念日だ!

穂乃華 :なにか・・・ありましたか?

ジャック:何かがあったんじゃないよ。これからあるんだ。それも、君の胸が透く(すく)ようなね。

穂乃華 :・・・・。

ジャック:何のことだか分かってないようだね?じゃあ、コレを見たら分かるかな?

穂乃華 :これは・・・。

ジャック:さぁ、問題。ここに写ってる人は誰でしょう?

穂乃華 :東野・・・栄介。

ジャック:正解。現、環境省長官にして次期内閣総理大臣を有望されている政治家。そして・・・君のお父さん。

穂乃華 :・・・・。

ジャック:正式には、元・お父さんと言ったところかな?今日、彼を殺すんだ。

穂乃華 :なぜ、今なんです?

ジャック:もちろん、時が来たからだよ。後、約束だったからね。穂乃華との。

穂乃華 :確かに、そうですが・・・。

ジャック:イヤかい?

穂乃華 :いえ、イヤではないのですが。

ジャック:疑問か。そうだね、詳しい理由を言うとね。彼が絡んでいるんだ。クガタチに。今、ここで彼を消せば、政界にクガタチのパトロンは居なくなる。

穂乃華 :確証が得られたのですか。

ジャック:そうじゃないと、動かないよ?

穂乃華 :・・・そうでしたね。分かりました。・・・やります。

ジャック:ありがとう。もうすでにみんな配置についてるから、後は僕らだけだ。
     それじゃ、行こうか。

穂乃華 :はい。ジャック。


栄介  :闇ツ世界 第八話 弾劾(だんがい) 


ジャック:やぁ、みんな。遅くなったね。尚。状況はどうだい?

尚   :この料亭でどんちゃんやってるぜ?良いご身分だ。

ジャック:良いじゃない。最後の晩餐だよ。もう少しだけ愉しませてあげよう。

尚   :ジャック。今回も暴れて良いんだよな?

ジャック:うん。自由にやっちゃって?満足いく位にね。

尚   :了解。遊ぶぜ。

ジャック:尚。君がメンバーの中で、一番最初に接敵すると思うから、言っておくね。
     最初に護衛がいるのが玄関。ここには2人。次に、廊下。こちらは3人。常に巡回中だね。

尚   :了解だ。全部やっちまうぜ。

ジャック:うん。じゃ、配置につこうか。

穂乃華 :はい。行きましょう。



栄介  :さて、来週は代表選挙だが・・・。どうなるとおもうかね?

真矢  :あら。東野先生ほどの実力のある方が、代表戦に負けるわけが無いじゃないですか。

栄介  :そうかね?いやぁ、お世辞でも嬉しいね。・・・それにしてもだ。今の世間は荒れているな。本当、世も末だ。
     トローノ・コンクエストだったか?訳の分からんテロリストがうろちょろする世の中になるとは。
     それに、国も、超能力開発だのなんだの。お伽噺じゃないか。

真矢  :そういえば。とある方から耳にしたのですが、東野先生は、その超能力の開発組織を、管理されているようですが?

栄介  :ああ、あれか。あれは単なる踏み台だ。それに、あんなふざけた組織など、潰したほうが世のためだ。
     あの存在こそ、税金の無駄遣いではないか。

真矢  :お国の事をよく考えてらっしゃるのですね。心強い事ですわ。
     ……ねぇ、東野せんせ。私、先生のこと好きになってしまいそうですわ。

栄介  :ははは。君の様な美しい子に言われたら本気になるではないか。だが、その話はくれぐれも内密にしてくれないか。この国、一番の機密なのだ。

真矢  :あら。そうですの?それは知りませんでした。では、そのお話はこの胸に秘めておきましょう。
     それに、さっきのことは本気ですわ?下品な言い方ですが、私は先生にベタぼれですわよ?ホント・・・殺しちゃいたいくらいに。

栄介  :おお、怖い怖い。夜道に気をつけねばなぁ。はっはっはっは。

ジャック:この部屋だったね。・・・お邪魔するよ。東野先生。

栄介  :ん?誰だ。お前は。どうやってここに入ってきた。外には警備が・・・。

尚   :死んだよ。俺が殺した。

栄介  :なに!?そんな・・・

尚   :今更、状況確認しても遅いんだっつの。ほれ、証拠だ。

栄介  :なんだこれは・・・ゆ、び?うわぁぁぁっ!

ジャック:いつもながら仕事が早いね。それに良い手際だよ。尚。

尚   :どうも。しっかし、こいつら雑魚すぎるんだもんな。ヤレヤレだぜ。こないだの勇者くんの方が十倍も二十倍もおもしろかったぜ。

栄介  :き、貴様ら。・・・何者だ?

ジャック:知っているはずですよ?トローノ・コンクエスト。僕らが噂のテロリストですよ。

栄介  :貴様ら・・・私を殺すつもりか。

ジャック:それは、彼女次第だよ。こちらにいらっしゃい。穂乃華。

穂乃華 :はい。ジャック。

栄介  :・・・誰だ。この小娘は。

ジャック:知らない?そんなはずはないよ。あなたに近い人なのだから。

栄介  :知らないものは知らないっ!

穂乃華 :生駒 美代子(いこま みよこ)。これを聞いてもわかりませんか?

栄介  :知らん!誰だ!

穂乃華 :私の・・・母ですよ。あなたが捨てた。

栄介  :なんだと?なにを言っているんだ。この小娘は。

ジャック:非道い人だ。あなたは。・・・真矢。思い出させてあげて。

真矢  :はい。ジャック。失礼します。せんせ。

栄介  :な・・・。君もか!

真矢  :ええ、そうですわ。では、思い出して下さいね?せんせ。

栄介  :な・・・何をするっ!わぁぁぁぁぁっ!

ジャック:ククッ・・・便利な能力だよね。真矢の力って。

尚   :触れつづけている相手の記憶を引き出し、覗く能力なぁ・・・。恥ずかしい過去とか見られたら俺、自殺するわ。

真矢  :じゃあ、今度、漁って差し上げますわ。黒井?

尚   :丁重に遠慮するぜ?さぁ、おっさん。そろそろ思い出したんじゃないのか?

真矢  :そうですね。見つけました。記憶を。

栄介  :くそっ・・・吐きそうだ。

穂乃華 :それは、私たちへの罪悪感からですよね?

栄介  :なにが罪悪感だ。お前らの方から・・・お前の母親から勝手によってきただけだろうが!
     これが表沙汰になってみろ。今まで積み重ねた事が全ておじゃんだ。

穂乃華 :っ!謝るつもりは・・・ないんですか。

栄介  :謝ってもらうのはこちらの方・・・っ!?

穂乃華 :・・・殺してやる。

ジャック:待って。穂乃華。僕もこの人に話したい事があるんだ。控えてくれる?

穂乃華 :・・・はい。

ジャック:さて、東野先生。こちらへ来ていただけますか?もちろん。拒否権は無いです。尚?

尚   :あいよ。ほれ、先生さんよ。ちゃっちゃと俺らと来てくれや。じゃねぇと・・・ふっ!

栄介  :うわぁぁっ!な、なんだ!?

尚   :ほれ、そこの畳みたく、そのお身体が、俺の空弾で穴だらけになるぜ?

ジャック:さ、どうぞ、こちらへ。穂乃華はここで待っててね。

穂乃華 :はい。ジャック。
     (間)
     お母さん・・・。仇は討つからね・・・。



ジャック:さて、東野さん。僕らには聞きたい事がいっぱいあるんだけど。待ってる人もいるし、手短にやろう。
     クガタチ。それの本部を僕たちは知りたい。教えてくれますよね?

栄介  :断る。政府の機密をテロリストに渡すほど、落ちぶれてはいないっ!

ジャック:そう。仕方ないな。・・・尚。

尚   :あいよ。じゃあ、精々鳴いてくれ。おっさん!

栄介  :ぐがぁぁぁっ!  

尚   :まずは、ここだな。どうだい?言う気になった?

栄介  :ぐうぅぅぅ・・・足、私の・・・足がぁぁ!

ジャック:鳴くのは良いけど、ちゃんと質問に答えてくれませんか?ねぇ?先生?

栄介  :だれが・・・言うかっ!政府を敵とする人間にそんな事を・・・あぁぁぁぁっ!

尚   :次は腕。さぁさぁ、早く口割っちゃいな。楽になるからよ。

栄介  :あぁぁぁっ!・・・ぐっ・・・。

ジャック:ほら、知ってること言いなよ。邪魔立てして良い事ないでしょう?

尚   :強情だなぁ・・・。ジャック。もうさっくりとヤッていいじゃねぇか。真矢に、後で記憶を引きずり出してもらえばいいしな。

ジャック:ダメだよ。彼女の能力は生きている対象にのみ使えるモノだからね。死んじゃったらダメだし。後、この人の口から聞き出すのが良いんだ。

尚   :なにか利益でも?

ジャック:ううん。単なる僕の趣味だよ。

尚   :いいご趣味をお持ちで。・・・で?もっと穴だらけになりたいか?おっさん。
     ま、でもこれ以上穴だらけにするわけにもいかねぇか。両手、もう使い物にならないくらい穴だらけだしなぁ。

栄介  :(荒い息づかい)

ジャック:これ以上穴増やしちゃ……死んじゃうな。尚。足の傷、踏んであげなよ。

尚   :りょーかい。うらっ!

栄介  :ぐあっ!・・・わ、わかったッ!言うっ!言うから!足をっ!足をどけてくれっ!

ジャック:言ってくれるまで、どかしてあげない。ほら、言って。場所はどこ?

栄介  :け、ケースに・・・アタッシュケースにっ・・・書類が、入ってるっ!

ジャック:どうも、ありがとう。さ、じゃあ戻ろうか。穂乃華の所に。



真矢  :穂乃華ちゃん。あなた良い子ね。お母さん思いで。

穂乃華 :・・・顔は知らないんです。私を生んですぐ死んじゃって・・・。でも、愛してます。

真矢  :そう・・・。今日でお母さんも報われるわ。

ジャック:お待たせ。穂乃華。お話は終わったよ。

穂乃華 :・・・・・。謝る心は出てきましたか?

栄介  :知らん。そんな女のことなぞ。

穂乃華 :そうですか・・・。じゃあ、お母さんがどれだけ苦しんだか、分かってくれないんですね?

栄介  :あたりまえだっ!勝手にすがりついてきた女になにを理解しろというんだ!

穂乃華 :じゃあ、その苦しみ。わかって下さい。身体で。

尚   :ほれ、お嬢ちゃん。持ってきてやったぜ。

真矢  :あら、鉄棒なんてもの、どこにあったの?

尚   :まぁ、探せばどこにでも転がってるだろ。こんなもん。

穂乃華 :ありがとうございます。 さて、覚悟はいいですか?

栄介  :何を・・・する気だ。

穂乃華 :こう・・・するんです!

栄介  :ぐあああああっ!

尚   :おお〜。こりゃ、痛そうだな。

真矢  :また、古風な処刑ですわね。肩胛骨(けんこうこつ)の間に鉄棒を突き刺して釘付けにするなんて。

ジャック:でも、一番の苦痛を与える処刑だよね。すぐに死ねないし、抜くこともできない。

穂乃華 :まだ・・・足りません。

栄介  :や・・・めろ。やめてくれ・・・。

穂乃華 :どうして、やめなきゃいけないんですか?まだ、あなたは苦しんでない。

尚   :どSだなぁ。穂乃華ちゃん。

真矢  :かっこいいわね、惚れちゃいそうなくらいにね。

ジャック:遊んでるね,
2人とも。ま、良いけれど。

栄介  :まて・・・何をする・・・。

穂乃華 :私も、異能を持っているんです。お母さんから授けてもらった炎の能力。
     お母さんは、あなたに捨てられたことに絶望して。そして、ウィジを飲んで死にました。
     私は、そのお母さんからの能力を使って、今、あなたに復讐します。
     
栄介  :まて・・・やめろ。やめろぉぉぉぉ!

真矢  :あら、触るだけで一気に鉄棒が真っ赤っか。穂乃華ちゃん、本気なのね。かわいい。

尚   :可愛いかぁ?恐ろしくてたまらねぇよ。

ジャック:さて、これで、穂乃華の復讐と、情報収集が完了したね。帰ろうか。みんな。

真矢  :はい。

尚   :うーい。

穂乃華 :・・・・はい。

ジャック:穂乃華?元気無いね?どうしたの?

穂乃華 :……なんでもないです。


穂乃華(N):復讐は果たせた。私たちの目的にも近づく。
      でも、なんだろう・・・。凄く気分が浮かない。
      お母さんの恨み。はらせたのに。
      私、間違っちゃったのかな?・・・お母さん。


尚   :次回予告

ジャック:最初の衝撃の時は近づく。

栄介  :一方、クガタチは支えの一部を失った。

真矢  :次なる策はあるのか否か。

穂乃華 :闇ツ世界 第九話 謀略と特訓

尚   :さーて?今頃、勇者君達は何してっかなー?





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