闇ツ世界 第五話 「キョウエン」
♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。
政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。
何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。
電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』
♀菱山 馨(ヒシヤマ カオリ):18歳。
政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーであり、戒斗のパートナー。
快活なキャラクターで変人が集まるエリートメンバーの中では常識派。
水を扱う事のできる異能者。武器は槍。銘は『海割(うみわり)』
♂黒井 尚(クロイ ナオ):25歳
連続通り魔として世間を騒がせた人物。そして、異能者。
トローノ・コンクエストの中でもダントツのサイコパス。
人を傷つけたいという衝動が彼の行動理念。
能力は圧縮した空気を相手にぶつける「波動」の能力。
森戸 戒斗:
菱山 馨:
黒井 尚:
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戒斗:バスジャック?
馨 :うん。スクールバスが乗っ取られたの。生徒が学校に降りた後だったから良かったんだけど…。
戒斗:あー、乗務員が人質って訳ね。でもよ、それは俺らが首を突っ込む事案か?
馨 :それがね。そのバスジャックしてるのが異能者らしいのよね。
警察じゃ手が出せないからウチにお株が廻ってきたって所みたい。
戒斗:なるほどね。了解。じゃあ、ウチの班から何人か送るか……。
馨 :あ、そうそう。室長命令なんだけど、私たちで解決してくれって。
戒斗:はぁ?なんでだよ!?俺らはこれから…なんつったっけ?
とろーの…トローノ・コンクエスト…だっけ?それの捜査があるだろ?
なんで、こんなちっこい事をやらなきゃいけないんだよ!
馨 :それはね。この事件の犯人が、その「トローノ・コンクエスト」のメンバーだからだよ。
戒斗:……まじで?
馨 :マジ。そう言うわけだからね。はいはい。れっつごー!
尚 :闇ツ世界 第五話 「キョウエン」
戒斗:で、どうすんだ?これから。
馨 :どうするって……。どうしよ?
戒斗:ノープランかよ!バスの後ろを取ったはいいが、バスをこの車で止める訳にはいかないしな。
馨 :うん。むしろ、止めようとしたらこっちが潰されるからね?
戒斗:……なぁ、馨。この車って、新式か?
馨 :え?
戒斗:電磁パルスとかに弱いタイプかって聞いてんだよ。
馨 :実はだね?この車、外見は普通車だけど中身は違うのだ!EMPにも耐える特殊仕様なのだ!
戒斗:じゃ、大丈夫だな?
馨 :へ?
戒斗:飛び移る。という訳だ。あれに寄せてくれ。
馨 :ちょ…ちょっと戒斗!危ないって!ボンネットにのぼるなんて!
戒斗:磁力でくっついてっから大丈夫!ほれ…な?。
ほらほら、寄せろって!
馨 :……わかったわよ!もう、人使い荒いんだから!
戒斗:よし、いける。飛び移るからな!後は任せた!
馨 :後って何よ!あーあ、……行っちゃった。
……あれ?この刀。もしかして戒斗、忘れてった?
尚 :へぇ?飛び移って来るか。すげぇすげぇ!楽しめそうだ!…おい。運転手!入り口開けろ!入り口!
戒斗:招いてくれるってか。じゃあ、ありがたく入らせてもらおう。
……よっと。……てめぇか。バスジャック犯。
尚 :ああ。そうさ。ヒーロー君。
戒斗:俺がここに来た理由は分かるよな?
尚 :俺を倒して、このバスを解放するんだろ?でも、俺はそのつもりない…ぜっ!
戒斗:があっ!?
尚 :痛てぇか?なあ?どうだ?俺の能力は理解したか?
戒斗:いってぇな…。圧縮した空気。それを相手にぶつけるってとこか?
てめぇの能力。
尚 :おめでとう。正解だ。じゃ、君の能力もみせろよっ!
戒斗:ああ、見せてやるぜ!磁力鎖縛ッ(じりょくさばく)!
尚 :へぇ、磁力……電気系か。ボルトで止められてるはずの椅子を引き寄せて、壁にするなんてな。
戒斗:余裕ぶっこいてんじゃねぇよ!紫電撃(しでんげき)!
尚 :絶空(ぜっくう)。届かないよ?そんな電気なんか。
戒斗:ちっ!空気の壁か!ならっ!……あれ?
尚 :うん?どうかした?
戒斗:なっ!なんでもねぇっ!
戒斗(M):やべぇ。車の中に雷斬(らいきり)忘れて来ちまった!
尚 :次はないの?じゃあ、俺から行くぜっ!風弾・圧!(ふうだん・あつ)
戒斗:ちっ!磁力鎖縛(じりょくさばく)っ!
尚 :はっ!自分で視界を隠しやがったな!?
戒斗:なっ!?接近されっ……!?
尚 :甘いなっ!そらっ!
戒斗:ぐあっ!
尚 :どうよ?俺の風圧を纏ったゲンコツは?キクだろ?
戒斗:くっ…そがっ!
尚 :あっついねぇ。熱血ヒーロー君って呼ぼうか?
戒斗:うるせぇっ!紫電撃(しでんげき)!
尚 :だからムダだって……
戒斗:まだだっ!紫電撃・二式(しでんげき・にしき)!
尚 :床に電気を這わすって……荒技だねぇ。でも。ムダムダっ!
戒斗:浮いた!?
尚 :言ったろ?俺の能力は空気を圧縮させる。
足元に圧縮空気を固定させたんだよ。ま、浮くのも数メートルが限界だけどな。
戒斗:じゃあ、これならどうよ!?紫電撃・二式(しでんげき・にしき)
尚 :だから…壁に這わせたってムダ。……な!?うおぁっ!?
戒斗:へっ!てめぇに向けたんじゃねぇよ。
このバスを止めたんだよ!食らえ!紫電掌(しでんしょう)!
尚 :ぐっ!
戒斗:お前の体勢を崩すのも目的だったんだよ。
ま、見事に転(こ)けてくれてありがとう。
この技、接近しなきゃいけないのが難点だよなぁ…。
尚 :ちっ……身体が……。
戒斗:マヒさせたから、数時間は動けねぇぜ?じゃ、行こうか?バスジャックさん。
尚 :…はっ!それは……できねぇよ?
戒斗:あ?……って、何でうごけるんだよ…?
尚 :気合いだ。気合い!……なんつってな。
まぁ、目標は達成したしいいや。帰る。
戒斗:逃がすかよ!紫電撃(しでんげき)!
尚 :絶空!…最後に言っとくぜ?「クガタチ」さんよ。
俺らはお前らとこの国に宣戦布告する!俺らを止めたきゃ、追い詰めてみな!……じゃあな!
戒斗:まてっ!ぐっ!?空気の壁ッ!?
尚 :じゃあなー。熱血ヒーロー君!
戒斗:ちっ!馨!追いかけられるか!?
馨 :頑張ってみる!……って、あれ?エンジンが…。
戒斗:おい。どうしたんだ!
馨 :あ…あはははは…。ごめん。なんか、故障しちゃった…。
戒斗:なにやってんだよっ!くっそ!……もういい。馨、室長に連絡してくれ。俺はここで伸びてる運転手の介抱するわ。
馨 :了解。って、あんた……なにやったの?
戒斗:うっせぇな。無線切るぞー!
馨 :ちょ…ちょっと戒斗ぉー!
尚 :次回の闇ツ世界は
馨 :表だって動き出した闇
戒斗:今日を境に盤上に駒が揃う
尚 :次の一手を打つのはどちらか?
戒斗:闇ツ世界 第六話 「ポーンの一歩」
馨 :世界を巻き込むゲームが、今。始まる。
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