闇ツ世界 第四話 空(から)の盤上


♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。
政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。
何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。
電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』

♂相田 蒼哉(アイダ ソウヤ):25歳。
政府特務機関「クガタチ」のトップ。
切れ者で若くして政府機関の責任者となっている。
戒斗を組織に引き入れた張本人。
現在では事務職に力を注いでいるが、もともとは前線で闘う武闘派。
何を考えているのか分からないとらえどころのない人物。
良く言えばひょうひょうとしたキャラクター。悪く言えば不真面目。
風を扱う異能者。武器は鉄扇。

♂御堂 玲一(ミドウ レイイチ):22歳。
人の視界と聴覚を盗み見る能力を持つ異能者。
倒錯した異性への愛情から『ウィジ』に手を出した結果、人の視界を盗み見る(ピーピング)能力を得た。常におどおどとしている。しかし、欲望には忠実。故に倒錯し、反道徳的なことにも平然とやってのける。

♀生駒 穂乃華(イコマ ホノカ):15歳。
物腰柔らかに喋るが、冷静に非道な事を平気でやってのける人物。他の人とは違い産まれた時より異能の力を保持していた。(母親が妊娠時に『ウィジ』を服用したため)そのため忌み者として扱われてきた。能力は火炎。武器を持たぬ代わりに両手に炎を纏い篭手として扱う。

♂ジャック:見た目20歳前後。
不気味な雰囲気を持つ人物。本名不詳。見た目は人付き合い良さげな人物だが、その内面は冷徹が服を着たよう。仲間であろうと切り捨てる時は切り捨てる。能力は遮断。


森戸 戒斗:
相田 蒼哉:
御堂 玲一:
生駒 穂乃華:
ジャック:
_______________________________


蒼哉:うわーん。面倒だー。面倒だよーっ!

戒斗:失礼しま……室長?え?なにやってんだ、室長。じたばたして。

蒼哉:あー。戒斗くーん。いやねぇ…。ちょっとめんどくさい事になったんだよ。うわー。


蒼哉(N):闇ツ世界 第四話 空(から)の盤上


戒斗:だからって駄々っ子してるわけですか。ガキか。

蒼哉:うー。戒斗がいじめるー。

戒斗:で?俺を呼んだ理由は?

蒼哉:あ、うん。あのね。先日の対象を逃がしちゃった事なんだけど…。
その時、この人達を見た?

戒斗:えっと……。こいつは見た。俺らをまいたヤツだ。

蒼哉:あー。やっぱり?更に面倒になったー

戒斗:どうしたんです?

蒼哉:いやね?同時多発爆破事件があったでしょ?昨日の。

戒斗:左翼派のテロだっていうニュース見ましたけど。

蒼哉:うん。表面上はね。でも、真実は違うよ。『ウィジ』服用者の仕業だよ。そして…トローノ・コンクエストって名乗ってるみたいだね。この人達。

戒斗:へー。……で?俺を呼んだって事は…。

蒼哉:うん。仕事。とりあえず、この人達を潰しちゃって?

戒斗:居場所は分かってるんですか?

蒼哉:それはね…?ぜんっぜん分かってない!

戒斗:きりっ!じゃないから!……ったく、要は1から調べ上げなきゃいけないわけですね。

蒼哉:そうなるね。隆(たか)にはもう動いてもらってるけどね。諜報部総出で。

戒斗:えらく力入れてるんですね。

蒼哉:ま、そりゃあね。相手は姿の見えない、モヤ掛かった状態。隠れてるだけならまだしも、大々的に動き出したのもあるからね。早めにケリをつけたいんだよねー。

戒斗:はぁ…。とりあえず、了解しました。二班隊長、森戸 戒斗、その任務承りました。…他の班はどうなってます?

蒼哉:伊藤君にもお話は通してあるから、彼女は彼女で動いてくれるよ。

戒斗:じゃあ、三班はオーケーか。四班は音信不通として…。五班は…。

蒼哉:うん…そうだねぇ。この調子だと未だに難しいね。

戒斗:……ま、頑張ってみますよ。班員はやっぱり全員参加で?

蒼哉:いや、実力からみて君だけにしてもらいたい。もし、参加するなら馨(かおり)君くらいかな?

戒斗:了解。

蒼哉:あと…。

戒斗:あと?

蒼哉:僕も事によっては出るから。

戒斗:了解…って、はぁっ!?なんで!?

蒼哉:ひさしぶりに動きたくなってね。

戒斗:スポーツじゃないんだから…。

蒼哉:とりあえずは、そういうわけだから。連絡は今まで以上に密によろしく。

戒斗:うーん……。了解。



ジャック:はい。チェック。

玲一:あっ!?……えっと、キングを逃がさないと。……ここ、かな?

ジャック:チェックメイト。

玲一:……参りました。

ジャック:これで三連勝かな?うーん。楽しかった。

穂乃華:また、いじめてるんですか?

ジャック:いやだなぁ、いじめてなんかいないよ?むしろ遊んであげてたんだよ。

玲一:確かに遊ばれてたような…。

穂乃華:(溜め息)それはいいとして、次はどうするんですか?あれだけ派手にやっておいて何もしないんですか?もう三日経ちますけど。

ジャック:うん。何もしないよ?なにせ、まだ駒が揃わないからね。

穂乃華:…というと?

ジャック:ほら、よく見てよ。これみたいに盤上に駒はまだ揃ってないんだよ?

玲一:あれ?集まったって言ってませんでした?

ジャック:僕らの方はね。でも、一方だけにしか駒が揃わないなんて、ゲームにならないでしょ?

穂乃華:……よく分かりません。

ジャック:大丈夫、ゆっくり待っておこう?暴れる時間はすぐ来るんだからね。

玲一:そう言えば他のメンバーってどこに居るんですか?

ジャック:今は盤上に相手を乗っける為に動いてるよ。そろそろ顔は見れると思うよ。どこかのタイミングでね。

玲一:……はぁ?そうですか。

ジャック:そうだよ?あ、そうだ。穂乃華。ちょっとお遣い頼んで良いかな?これを郵送しておいて。

穂乃華:はい。わかりました。

玲一:それ、さっきここに送られてきた手紙じゃないですか?

ジャック:うん。ちょっと約束事でね。

玲一:5束も一斉に送るなんてどういう事なんでしょう?というか、送り返すんですか?

ジャック:うん、まぁ、色々あるんだよ。……あ、そうそう、玲一君。一つ忠告しとくね。あまりあれこれと詮索したら……殺すよ?

玲一:え?

穂乃華:御堂さん。ちょっとこちらへ。ジャック、良いですか?

ジャック:うん。いってらっしゃい。

(少しの間)

玲一:どうしたんです?

穂乃華:あなたは死にたいんですか?

玲一:もちろん、死にたくないですよ。

穂乃華:じゃあ、先程ジャックが言った言葉を忘れないで下さい。

玲一:はぁ……?

穂乃華:彼は自分を知られるということを非常に嫌います。それがどんな情報であれ、彼の口から引き出さないことです。

玲一:……。

穂乃華:納得いきませんか?

玲一:そりゃあね。しかし、納得するしかないんでしょう?

穂乃華:もちろん。では、そう言うことなので。注意しておいてください。
……では。

玲一:ふぅ…。なんだかなぁ。



ジャック:次回の闇ツ世界は

蒼哉:衝突の時は近づき。

穂乃華:戦いの火はくすぶる。

戒斗:次回 闇ツ世界 第五話「キョウエン」

玲一:思惑が交錯し、歯車は狂いだす。





もどる