闇つ世界 第二話 『思いと欲望における相違』


♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。
政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。
何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。
電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』

♀菱山 馨(ヒシヤマ カオリ):18歳。
政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーであり、戒斗のパートナー。
快活なキャラクターで変人が集まるエリートメンバーの中では常識派。
水を扱う事のできる異能者。武器は槍。銘は『海割(うみわり)』

♂御堂 玲一(ミドウ レイイチ):22歳。
人の視界と聴覚を盗み見る能力を持つ異能者。
倒錯した異性への愛情から『ウィジ』に手を出した結果、この能力を得た。

♀謎の人物:15歳。異能者。『ウィジ』に関してなにか関係しているよう。


♂森戸 戒斗:
♀菱山 馨:
♂御堂 玲一:
♀謎の人物:

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戒斗:で?今回のお仕事ってのは、ストーカーをストーカーするのかよ?

馨 :そうみたいね。簡単そうなお仕事で良かったけど。

戒斗:なかなか家から出てこねぇし。つまんねーなー。
ま、車ん中で楽できるのはいいんだけどさ。

馨 :運転する身にもなってよね…。それにしても、見た?書類。
世の中に変な人多すぎだよ。

戒斗:何だっけ?
…意中の人に自分以外の男が話しかけたら、そいつをかたっぱしからぶっ飛ばすってやつ?
あいつは狂ってんだよそれくらいして当然さ。
…というか、変な人って言うんだったら俺らがそれじゃんか。

馨 :それはまぁ、そうだけどさ。

戒斗:おっと、出てきやがったな。御堂 玲一、ヤツで間違いない。

馨 :ここで押さえる?

戒斗:いや、逃げられる可能性がでかい。
なんの能力かも分からないからな。
油断してる時に押さえよう。とりあえず尾行だな。

馨 :了解。

(少しの間)

馨 :電話取ったみたい…誰からだろう?

戒斗:仲間がいるようには見えないしな。気にしなくても良いだろう。
……あ?路地に入ったぞ?あいつ。

馨 :もしかして、尾行がバレた?

戒斗:わからねぇ。もしかしたら、あの先でなにかやるのかもしれない。追うぞ。

馨 :分かった。


(少しの間)


玲一:なんなんだ。あの電話……。ここに入れって言われたから来たけど……。

謎の人物:いらっしゃい。御堂 玲一。ちゃんと来ましたね。まぁ、不必要な人間まで連れてきたようですが。

玲一:え?不必要?…いや、そもそも、あなたは一体誰なんです?

謎の人物:そこは気にしなくて良いです。とりあえず、あなたはこちらの指示に従えば良いんです。…我々に協力しなさい。

玲一:は?えっと。

謎の人物:協力するのなら、あなたを追う人間を追っ払ってあげましょう。あと、その中途半端な能力も使い物になるくらいに訓練もしてあげます。

玲一:ちょ、ちょっと待ってくれ。意味が分からない。

謎の人物:ある目的の為。我々はあなたの『のぞき見』ピーピング能力が欲しいのです。
そのためにだったら何でもする。

玲一:……もし、断ったら?

謎の人物:拷問してでも協力させますが?

玲一:……。

謎の人物:さ、どうします?

玲一:拒否権はないんだろ。……どうすればいいんだ?

謎の人物:ここに行きなさい。今すぐに。

玲一:あんたは?

謎の人物:あなたの連れてきたヤツらを壊してきます。


(少しの間)


馨 :会談…って訳でもないかな。

戒斗:とりあえず、様子見だが…あいつら、なにかやりそうだな。

馨 :踏み込むにはリスクがあるかな?

戒斗:ん?動くか?

馨 :戒斗!御堂が逃げる!

戒斗:踏み込む!まてっ!御堂!

玲一:な、なんだ!?

謎の人物:させませんよ。下がりなさい。クレマツィオーネ!

馨 :炎の壁っ!?

戒斗:ちっ!囲まれたっ!

謎の人物:あなたは行きなさい。

玲一:わ、わかった。

謎の人物:さぁ、私にどこまでついてこれますか?「クガタチ」

戒斗:俺らの事知ってるってことは「マーケット」の関係者か。

謎の人物:さぁ?どうでしょう?

馨 :どうする?戒斗。

戒斗:どうするもこうするも……突破しかないだろ!

馨 :了解っ!

謎の人物:へぇ、刀に槍…か。えらく古風な獲物を使うのね。

戒斗:うるせぇ!雷斬 展開・一式(らいきり てんかい・いっしき)!行くぜ!雷塵爪(らいじんそう)!

謎の人物:よっと!へぇ…形状が変わる刀ね。不思議なもの持ってるのね。

馨 :後ろががら空きっ!獲った!水柱・突(すいちゅう・とつ)

謎の人物:甘いね。コッレ・フィアンナ!

馨 :着火が…速いッ!?きゃぁぁぁっ!

戒斗:馨っ!ったく!油断しすぎだっ!磁力鎖縛!(じりょくさばく)

馨 :ごめん…

謎の人物:へぇ…鉄板で防いだか。そのサイズのを持ち上げられるってことはそこそこの能力者って訳だ。
でも、まったくもって甘い。甘すぎるよ「クガタチ」。
もっと骨のあるのを期待してたんだけどね。

戒斗:まだだ、まだ、これからだ。

謎の人物:じゃあ、そのこれからを潰してあげましょう。ヴェデーレ。フィアンナ・マーノ!

馨 :炎の…篭手…。

戒斗:来るぞ。構えろ!

(携帯が鳴る)

謎の人物:…ふん。運が良いね。時間みたいだ。今回は見逃してあげます。
それでは、また会いましょう。

戒斗:逃がすかっ!……クソッ!煙幕かっ!(咳き込む)

馨 :(咳き込む)なんだったの……あれ。

戒斗:さぁな、ちっくしょう!2人とも取り逃したっ!

馨 :とりあえず、室長に連絡を…

戒斗:それ、任せた。

馨 :ちょっと、戒斗!どこ行くのよ!

戒斗:ちょっとそこまで…な。



戒斗:次回の闇ツ世界は。

玲一:闇の胎動はゆっくりと、しかして、着実に動き始める。

謎の人物:夕闇はどこまで光を保てるか。

馨 :闇ツ世界 第三話 『鼓動といくつかの不響』





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