闇ツ世界 第1話 『異常の日常』

♂森戸 戒斗(モリト カイト):17歳。政府特務機関「クガタチ」の中でも十指に入るエリートメンバー。何事にも柔軟に対応でき、且つ常に熱意をもっている性格。電気や磁力を扱う事のできる異能者。武器は刀。銘は『雷斬(らいきり)』

♂相田 蒼哉(アイダ ソウヤ):25歳。政府特務機関「クガタチ」のトップ。切れ者で若くして政府機関の責任者となっている。戒斗を組織に引き入れた張本人。現在では事務職に力を注いでいるが、もともとは前線で闘う武闘派。何を考えているのか分からない、ひょうひょうとしたキャラクターをした不気味な人物。風を扱う異能者。武器は鉄扇。

♀菱山 馨(ヒシヤマ カオリ):18歳。政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーであり、戒斗のパートナー。快活なキャラクターで変人が集まるエリートメンバーの中では常識派。水を扱う事のできる異能者。武器は槍。銘は『海割(うみわり)』

♂藤堂 隆(トウドウ タカ):22歳。政府特務機関「クガタチ」のエリートメンバーの一人。冷静沈着で感情を表にあまり出さない。諜報戦に長ける人物。なので、表だった戦闘はせず、敵地での情報操作をメインに行っている。人の視覚認識を操ることのできる異能者。武器はダーツ。



戒斗 :異能。それは人間が持てるはずのない能力。もし、それがたった一錠の薬で手に入るとしたらあなたならどうしますか?

馨  :『ウィジ』と言われる違法な薬。それを服用したものは一定のリスクと引き替えに異能を手にする。

隆  :死のリスク。ハンディキャップのリスク。それらを犯してまで異能を求めますか?

蒼哉 :それを手に入れてしまったが最後、人は人でなくなる。それを取り締まる組織が作られた。

馨  :それが我々『クガタチ』。異能者による異能者狩り集団。

隆  :国家の狗となり犯罪を行う異能者を狩りだし、撃滅させる。

蒼哉 :目には目を。歯には歯を。異能には異能を。我々は人から疎まれ、同胞から疎まれる存在。

隆  :これは、そんな異能者らが織り成すお話。

戒斗 :闇ツ世界 第1話 『異常の日常』


(円卓の置かれた会議室。馨と隆が向かい合うように座っている。会議室の扉が開く)

隆  :……遅いぞ。

戒斗 :悪い!朝練してたら遅くなった!

馨  :部活じゃないんだから。こういう時はちゃんと時間に間に合わせなさいよね。

戒斗 :だから。悪い!っていったろ?

馨  :それで済む問題じゃないのよ。

戒斗 :うっせぇなぁ。そもそも、室長自身が遅れてるんじゃないか。セーフだよ、セーフ。

蒼哉 :いいや、アウトだよ?なんたって僕はずっとここに居たんだからね?

馨  :ひゃっ!?

戒斗 :おおうっ!?室長!?いつの間に…

蒼哉 :だから、ずっと。ここに居る2人が会議室に入る前から。そして、君が遅れて入ってくるだいぶ前から。

馨  :え?私と隆さんがここに来る前にですか?じゃあ、今まで何処に…。

蒼哉 :…あそこ。カーテンの陰。いやぁ、誰か気付くかなぁって思ってたんだけど。だれも気付いてくれないなんてねぇ〜。

隆  :……私は気付いていましたよ。カーテンにくるまっているので何か思い入れがあるのだろうと思い、そっとしておいたのですが。

蒼哉 :え…?あー…。うん、配慮ありがとう。

戒斗 :ははははっ!なにやってんだよいい年こいたオッサンが

蒼哉 :オッサンは失礼だろう。まだ、僕は二十代だよ。…まぁ、そんなことはどうでもいいや。定例会議を始めようか。

隆  :後、2人来ていませんが。

馨  :伊藤さんは体調不良で休みです。壬車(みぐるま)さんはいつも通り連絡が取れません。

戒斗 :自由奔放すぎるだろ…。

隆  :……お前も大概だけどな。

馨  :そうよ。人の振り見て我が振り直しなさい。

蒼哉 :んー……。それは今どうでも良いからおいとこう。いずれ今居ない2人からはお話聞いておくから。それじゃそうだね、近況報告と行こうか。んー、まずは諜報部。何か変わった事あった?

隆  :はい。諜報部からは特にありません。暴力団や、マフィアといった手合いに商談があるようですがおそらく粗悪品の類かと、それの摘発以外は変化はありません。先日のマーケット一斉摘発で牽制ムードがその筋では漂っているようですね。

蒼哉 :そっか。とくにないのかー。ま、また何か変化があったら逐次知らせてね。

隆  :了解。

戒斗 :マーケットの時はやばかったよなー。なんたって異能者がごろごろ居たしよ。

馨  :練度の違いっていうのもあるかもしれないけれど、あれで損害が軽微だったのは奇跡かも。

蒼哉 :あの程度に君たちがそうそう負けるなんて考えられないけどね。さて、実働隊の方はどうだい?なにかあった?

馨  :特にありません。マーケット摘発時に負傷者が数名出た程度です。それも、全て軽傷なので。酷くても一週間以内には復帰できるはずです。

隆  :さすがだな。最年少エリートとは言われるものだな。

戒斗 :へっへーん。そう言うこと。なにか事があっても大丈夫だぜ?

蒼哉 :よろしい。では、活動可能人員を把握した後、お仕事を回すことにしよう。

戒斗 :へーい。なぁ、室長。俺らにはなるべく楽なのを頼むぜ?

馨  :そんなわけにはいかないでしょ?

蒼哉 :うん。特に戒斗君達にはきつめのを渡す事にしよう。

戒斗 :そりゃねぇよ…

隆  :自業自得だな。

馨  :戒斗のせいだからね?私が怪我でもしたら。

戒斗 :自分の身くらい自分で護れよな

蒼哉 :とか言って、結局護ってくれる戒斗君やさしーい。

戒斗 :棒読みで言われたってうれしくねぇよっ!

蒼哉 :ま、そういうことで解散しようか。別命あるまで、各自待機でお願いねー。

隆  :了解。

戒斗 :へーい。

馨  :はい。



隆  :次回の闇つ世界は。

馨  :人の快楽は、その人自身を闇へと引き込む。

蒼哉 :燃えさかる欲望は何処までその人を焼き尽くすのか。

戒斗 :闇つ世界 第二話 『思いと欲望における相違』






もどる