ソラノキセキ 第1話「始まりの空」
ベネット：コールサイン【シーカー】トーラス隊の一番機。本作主人公。傭兵として活動していたところ正規軍としてスカウトされる。
エレン：コールサイン【アイリス】トーラス隊の二番機。空戦の天才。
ケンブル指令官：ベネット達が所属する基地のトップ。
威厳在る指令で隊員達からの信頼も厚い。
航空機乗りだったが、足を悪くしてからは司令官として活躍。
ジェフリー：本作での裏主人公。
ジャーナリストであり、従軍記者。訪れた基地にて主人公と出会う。
それから、主人公の軌跡を追っていく事になる。
AWACS(エイワックス)：ベネット達の作戦をサポートする管制機。
コールサインは【マッドロック】
｜配役表｜
ベネット：
エレン：
ジェフリー・敵１：
ケンブル指令官・敵２：
AWACS(エイワックス)：
敵音声はできる限り兼ね合いで。
声劇『ソラノキセキ』
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ジェフリー：5年前の戦争。キラオ大戦。
小国キラオ帝国が、大国ストマリア共和国に資源強奪のため宣戦布告し、始めた戦争。
当初はすぐに決着がつく戦争だと思われていた。
しかし、その予想は大きく覆される。
独自開発した特殊弾頭ミサイル【イクリプス】の存在。
そして、エース集団、ヴァーゲ隊の活躍によりストマリアは首都陥落まで追い詰められた。
これに対し、ストマリア首脳部は隣国、ナピア共和国、キエマラ連合国に救援を依頼。
戦争は四国(よんごく)を巻き込む大きな戦争と成った。
この混沌を、一人の戦闘機乗りが駆け抜けた。
彼の名は、ベネット・ブラックモア。コールサイン【シーカー】
彼の軌跡を、私はここに記しておくことにする。
２０１１年、8月。
ベネット：ソラノキセキ 第1話「始まりの空」
ジェフリー：ブリーフィングルームにて
２００６年 ７月30日 午後1：00
ケンブル：もう既に知っている通り。
君らには本日よりストマリア国、防衛の任についてもらう。
三国共同戦線である。
本日11:00(ヒトヒトマルマル)にキラオ空軍の爆撃部隊が、ストマリア最終防衛ラインを突破。
爆撃攻撃を行った。
疲弊しているストマリアには対抗できる戦力が残っていない。
君らにはこれの撃退の任が与えられた。
友好国の危機を救え。
それと、もう一つ。
従軍記者としてジェフリー・マルク記者が本日よりこの基地に赴任してきた事を紹介する。
ジェフリー：ジェフリー・マルクです。よろしくお願いします。
ケンブル：それでは、諸君らの健闘を祈る。解散。……ジェフリー君こちらへ来たまえ。
ジェフリー：はい。
ジェフリー：基地廊下にて 午後１：06
ケンブル：ジェフリー君。
分かっているとは思うが、今この基地はストマリアに一番近い基地としてこのナピアの国を代表し、戦争に介入している。
皆、神経質になっている。
要らぬ事をしないようあらかじめ言っておく。
ジェフリー：はい。分かっています。
ケンブル：そして、ここが君の部屋だ。
空き部屋が無く、相部屋になったが勘弁して欲しい。
同室の二人はもうすぐ戻ってくるはずだ。
エレン：失礼。入ります。
ケンブル：来たか。こちらはエレン中尉。
エレン、今日から来た従軍記者のジェフリー君だ。
相部屋になるが仲良くしてやってくれ。
ジェフリー：よ…よろしくお願いします。
エレン：……よろしく。
ケンブル：ベネットはどうした？
エレン：隊長なら、自機の整備をみていました。すぐにでも戻ってくると。
ベネット：なんだ？俺を呼んだか？あ…ケンブル指令。いらしてたんですか。
ケンブル：ああ、今日から相部屋になる従軍記者のジェフリー君を紹介しようとね。
ベネット：そうでしたか。…俺は、ベネット。ベネット・ブラックモアだ。
階級はエレンと同じ中尉。よろしく。
ジェフリー：よろしくお願いします。
ベネット：歓迎のパーティでもしてやりたいとこだが……。
生憎、作戦時間が迫ってる。まぁ、ゆっくりしていってくれ。
エレン。行くぞ。
エレン：はい。
ケンブル：では、私も戻ることにしよう。
居心地は悪いと思うが部屋に待機していてくれるかね。
ジェフリー君。これから慌ただしくなる。
ジェフリー：はい。わかりました。
ジェフリー：基地ハンガーにて 午後 1：15
ベネット：なぁ、あいつをどう思った？
エレン：何のことでしょう？
ベネット：従軍記者だよ。お前の態度、えらくそっけないじゃないか。
エレン：正直に言いますと、足手まといです。特に有事の際は。
ベネット：きっぱり言うじゃないか。まぁ、確かにな。変なことをしなきゃ良いが。まぁ、良い。今は、戦いのことだけ考えよう。……トーラス隊発進する。
ジェフリー：ストマリア南海上沖にて 午後1：50
ベネット：トーラス１からトーラス２。アイリス、聞こえてるか？
エレン：聞こえていますよ。どうしました？
ベネット：いや、ちょっと聞きたいんだが。お前の出身ってストマリアだったよな。
エレン：そうですけど。なにか？
ベネット：いや、なにか思うとこあるのかと思って。
エレン：特に。思い入れなんてもの、ありませんから。
ベネット：軽く言っちゃって。
AWACS：こちらマッドロック。
トーラス隊聞こえているな。もう少しで戦闘区域に入る。戦闘準備。
エレン：アイリス了解
ベネット：シーカー了解
AWACS：方位３１５(スリー・ワン・ファイブ)敵性勢力確認。全て撃退しろ。
エレン：了解
ベネット：了解
ジェフリー：ストマリア南海上沖にて 午後2：00
エレン：隊長、分散許可を。敵小隊錯乱のためヘッドオンします。
ベネット：許可する。当たるなよ。
エレン：任せて下さい。
敵１：迎撃が出てきたな。落とせ。
AWACS：アイリス後方注意。二機つかれてるぞ
エレン：了解。撒きます。
ベネット：俺が、サポートする。一機もらったっ！
敵２：くそっ！メーヴェ３が被弾！マックス！脱出しろ！
AWACS:シーカーが一機撃墜。
エレン：ナイスキルです。隊長。
AWACS:３１１(スリーワンワン)から敵増援、五機。
エレン：多勢に無勢にも程がありますね。
ベネット：だが、俺らなら蹴散らせる。副兵装オープン。フォックス３
エレン：了解。フォックス３発射。
敵２：クソッ、隊長がやられたっ！
AWACS:三機キル。ナイスだ。
ベネット：やるじゃねぇのアイリス。……っと、ロックアラートか。
AWACS：ミサイル発射確認。シーカー！ブレイクッブレイクッ！
ベネット：分かってる。このまま撒くっ！
AWACS：……。ミサイル回避。
エレン：爆撃機確認。レーダー反応からしてＢ２でしょうね。
ベネット：あれが、本土爆撃部隊か。なんとしても止めるぞ。
AWACS:護衛部隊はこれ以上いないようだ。さっさと落としてしまえ。
ベネット：了解
エレン：残りのファイターは私が落とします。隊長は爆撃機を。
ベネット：任せた。……ロックオン。フォックス２発射
敵１：護衛部隊は何をしてるっ！
AWACS:シーカー、一機撃墜。…アイリス。後方注意。敵のガンの射程内。
エレン：了解。低空に逃げます。
ベネット：フォローはいるか？アイリス。
エレン：大丈夫です。……ナイスキル。2機目ですね。
ベネット：これくらい、朝飯前だ。
というか……凄いのはそっちだって。
五機引き連れてランデブーしてんじゃねぇか。よく通信できるな。
エレン：これくらい朝飯前です。
ベネット：いや、おかしいおかしい。今の間で三機落としてるし。
AWACS:シーカー、アイリスのサポートに入れ。
ベネット：了解。ヘッドオン。
エレン：ロールしてかわします。追撃任せます。
ベネット：オーケィ
AWACS:二機撃墜。良い腕だ。……敵護衛隊壊滅。残る爆撃機を落とせ。
ベネット：一機ずつだ。落とすぞ。フォックス２発射。
エレン：フォックス2。
AWACS：敵爆撃機、フレア発射。ミスショット。
ベネット：面倒だな…もう一度だ。発射
AWACS：直撃。ナイスキルだ。……敵性勢力壊滅。ミッション終了だ。帰投するぞ。
ベネット：よぉ、マッドロック。帰ったら酒奢れよ。
ジェフリー：基地発着場にて 午後15：30
ジェフリー：エンジン音。そして、着陸のタイヤ音。
二機のタイフーンが連れ添って降りてくる。
その姿は、戦闘機というものに似つかわしくない美しい物がある。
降りてきた二人は、二言三言かわすとヘルメットを小脇に抱えて戻ってくる。
凛としたエレンさんに、伸びをしてあくびを噛み殺すベネットさん。
キャラクターだけを見ると似つかわしくない二人だが、この二人が一緒に飛ぶと凄まじい力を発揮するようだ。
そんな二人を見つめていた私はふと持っていたカメラのレンズを二人に向けた。
カシャっと鳴る軽快な音はその光景を切り取った。
この後、彼らは混沌の道を歩む事になる。
戦争は…まだ始まったばかり。
ジェフリー：ブリーフィングルームにて 午後3：33
ケンブル：皆、ごくろうだった。
損害無く作戦は成功した。
これにより、ストマリアの被害は最小限ですんだことだろう。
各員、次の作戦が行われるまで待機しておけ。
ベネット：それじゃ、俺は機体整備の手伝いでもしてくるか。
エレン：私は部屋に戻っています。
ケンブル：ベネット、エレン。ちょっとこい。ジェフリー君が君たちを取材したいそうだ。
エレン：……わかりました。
ベネット：あいよ。
ジェフリー：小会議室にて 午後3：50
ジェフリー：お時間取らせてしまってすいません。整備の方々にお話を聞いてたら伸びちゃって…
ベネット：気にするな。俺らも暇だったんだ。それで？何が聞きたい？
ジェフリー：えっと…まず、あなた方の略歴を知りたいのですが…。
エレン：ナピア空軍士官学校卒業。
ベネット：俺らは同期なんだ。
こいつはストレートに軍に所属したが。
俺は、卒業後、フリーの傭兵として活動してた。
ジェフリー：では、現在は「雇われ」なんですか？
ベネット：いや、正規軍人だ。
ケンブルのオッサンいるだろ。
あの人にスカウトされたんだよ。
うちの基地に来ないかってね。
ジェフリー：なるほど。
…あなた方はこの基地ではエースと言われているみたいですが。
エレン：そんなものではないです。
ベネット：エースってのはスコアで測れるもんじゃないさ。
それこそ、生きて帰れた者こそがエースだ。
俺らはいつ何処で死ぬか分からんからそんなスコアに対しちゃ何も関心は持ってないさ。
ジェフリー：でも、お二方は整備の方達にもかなりの腕前と言われてますが。
エレン：彼らは空に上がりませんから。
ベネット：まぁ、何事も数字じゃないってことさ。
ジェフリー：……。では、どうしてあなた方はパイロットになろうと思ったのですか？
ベネット：俺は単に空が好きだからかな。飛んでみたいっていう思いから今に至るって感じかな。
ジェフリー：エレンさんは…？
エレン：私は…
ケンブル：全隊員に通達。
ストマリアから次の応援要請が来た。
ブリーフィングルームに集合せよ。整備班は出撃準備を開始せよ。
ベネット：悪いな。今日はこの辺にしといてくれ。また、なにかあれば話は聞くから。
エレン：失礼します。
ジェフリー：その後。二人は次の作戦へと飛び立った。そこには悪夢がまっているとは知らずに…。
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