青き世界で凛と散れ 第二話 妖花爛漫

三国千尋♀ ミクニ チヒロ 17歳
母親と妹をXX(クスクス)に殺された少女。
根は臆病で弱いが、敵に対する憎しみは強い。
パートナーは「ミラビリス」花言葉は「臆病」「あなたを思う」など。


桜庭八重♀ サクラバ ヤエ 19歳
勝気で男勝りな性格、短気だが割りと気は利く。
パートナーは「ブバルディア」花言葉は「夢」「情熱」など。


瀬尾沙耶香♀ セオ サヤカ 21歳
勤勉で真面目、大人しい性格。
パートナーは「ジュグラン」花言葉は「知恵」「知性」など。

小川美羽♀ オガワ ミウ 20歳
元気で明るい性格。
パートナーは「エノコログサ」花言葉は「遊び」「愛嬌」など。




千尋♀:
八重♀:
沙耶香♀:
美羽♀:



八重「ふぁー、ん、おぉ、沙耶香、おはよー」

沙耶香「おはようございます、八重、恵子さんは?」

八重「多分今日はまだ起きてこないぜ」

沙耶香「なるほど、分かりました」

八重「そんで新入りは?」

沙耶香「昨晩は帰ってこなかったですよ、
    風邪を引いていないといいんですが」

八重「帰ったんだろ、夜中にこっそりよ」

沙耶香「それはないと思いますが」

八重「へぇ、その心は」

沙耶香「んー、なんとなくです」

八重「出た、なんとなく、学者がそんなんでいいのかよ」

沙耶香「いいんです、父も研究以外は適当な人でしたから」

八重「はいはい、聞き飽きたって、そういや飯は?」

沙耶香「まだですよ、皆さん揃ってから食べようと思ってたので」

八重「今日の朝飯は遅くなりそうだ、そんじゃ先にあいつらの世話しに行くか」

沙耶香「そうですね、そうしましょう」

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八重「おーす、みんな、おはよーってうわっ!?」

沙耶香「どうしたんで・・・、っ、あれは、新しいフロース・・・!?」

八重「一体誰が・・・」

沙耶香「誰って、1人しかいないじゃないですか」

八重「はぁ?なんでそんな事」

沙耶香「あの子の下、よく見てください」

八重「んん・・・?っ、あいつ・・・!」

沙耶香「千尋さん!」

八重「あ、おい沙耶香!」

沙耶香「っ、ごめんなさい、あなたの相棒とお話したいだけなの、
    そんなに怯えないで、ほら、いい子だから」

千尋「ん・・・、私、寝ちゃって・・・?」

沙耶香「千尋さん、おはようございます」

千尋「沙耶香、さん・・・?」

沙耶香「立てますか?」

千尋「う、うん」

沙耶香「ん、っしょ」

千尋「っと、あ、大丈夫だよミラビリス、この人は悪い人じゃないから、
   大人しくしててね」

八重「なんだ、ちゃんとやれんじゃねぇかよ・・・」

沙耶香「八重?」

八重「あ、なんでもねーよ、なんでも」

千尋「あの、八重さん」

八重「八重」

千尋「あっ、えと、八重・・・?」

八重「んだよ?」

千尋「っ、き、昨日は、ごめんなさい・・・」

八重「あー、こっちこそ大人げなかった、すまねぇ」

千尋「え・・・、あ、うん!」

八重「っと、そんじゃあいつらも待ってるし、
   早いとこメシを食わせてやろうか!」

千尋「メシ・・・、ご飯?」

八重「おぅ、お前もメシ食わねぇと死んじまうだろ?」

千尋「えっと・・・」

沙耶香「フロースですよ、千尋さん」

千尋「あ、そうだ、ありがとうございます!
   フロースって何食べるんですか?」

八重「水とお日様だよ」

千尋「水と、お日様・・・!?」

八重「おうよ、安上がりだろー」

千尋「そ、そうだね、ここなら水にも困らないし」

八重「っと思うだろ?」

千尋「え?」

沙耶香「塩水じゃダメなんです、この子達は」

千尋「どういう事ですか?」

沙耶香「この子達は、植物とよく似た性質を持っています、
    なので海水だと枯れてしまうんですね」

千尋「植物・・・」

沙耶香「えぇ、だから皆花の名でしょう?」

千尋「ミラビリスって、花の名前なんですか?」

沙耶香「そうですよ、Mirabilis jalapa(ミラビリス ジュラパ)、
    オシロイバナの学名です、恐らく由来はそこではないかと」

千尋「へぇー・・・!オシロイバナ、お前、オシロイバナなんだね」

八重「へへっ、分かってくれたみてぇだな」

千尋「ううん、私はまだ納得はしてないよ」

八重「はっ?」

千尋「それでも私にはこの子が必要だから」

八重「・・・そうかよ、あー、部屋割りは正解だったかもしれねぇな」

沙耶香「空いてる所に入ってもらっただけですけどね」

八重「テメェは一言多いんだ!」

沙耶香「足らない人よりは良いかと」

八重「そーですね!」

千尋「あ、あの、えっと・・・」

沙耶香「千尋さんは私と相部屋です、よろしくお願いします」

千尋「あ、よろしくお願いします!」

八重「はぁ・・・、ん、業端に着信?はい、こちらプランターの桜庭」

美羽「繋がったー!」

八重「いっ!いきなり大声出すんじゃねぇ!」

美羽「ごめんごめん、恵子さんにかけても繋がらなかったから焦っちゃって!」

八重「あー、悪かった、んで、どうしたよ美羽」

美羽「今そこに他の人もいる!?」

八重「スピーカーにすりゃいいか?」

美羽「お願い!」

八重「っと、ほい、いいぞ」

美羽「改めまして、サンシェードの美羽です!敵がプランターの担当空域に接近中!
   数多くて1人じゃどうにもなりませーん!助けてー!」

八重「1人!?」

美羽「他の場所にも結構出てて、人割かれてるの!」

沙耶香「分かりました、すぐ行きます、八重」

八重「あぁ、天井開けてくる!」

千尋「敵・・・、っ!」

沙耶香「あ、千尋さん!」

八重「開けたぞ!」

千尋「行こう、ミラビリス・・・!」

沙耶香「っ・・・!あの子・・・!」

八重「マジかよ、やっぱり死にたがりじゃねぇか!」

沙耶香「追います」

八重「おぅ、行くぞ!」


美羽「青き世界で凛と散れ 第二話 妖花爛漫」


千尋「凄い、空飛んでる・・・、動き方も分かる、
   みんなお前が教えてくれてるんだね、
   でも、一緒に伝わってくるこの感情は・・・」

美羽「そこのフロース!危ないよ!」

千尋「えっ、きゃあ!」

美羽「ふぅー、間に合った、ちゃんと回り見ないとダメだよ新人さん!」

千尋「あ、ありがとうございます!」

美羽「敵一杯いるから、気をつけてね」

千尋「はい!」

美羽「よくやったねエノ、次行くよ!」

千尋「ミラビリス、私たちも行こう」

美羽「エノ、右から来てる!よし、いい子!これでも喰らえ!」

千尋「凄い・・・、っ、左!やった、攻撃は、こう!っ、外した・・・!」

美羽「惜しかったよ!っ、危なっ、この!」

千尋「くっ、ふっ、っ、数が、多すぎて・・・!」

美羽「八重ちゃんたち、まだかなぁ・・・!」

八重「わりぃ!待たせたな!」

美羽「っ、八重ちゃん!」

八重「よっしゃ!やるぜブバルディア!ぶっぱなせぇぇえええええ!」

美羽「えっ、えぇぇええええ!?」

千尋「あ、あぶなっ、くない・・・?」

沙耶香「下手な動きをしたら逆に危ないので、
    気をつけてください」

千尋「えっ?」

沙耶香「行くよジュグラン・・・!ふっ、はぁ!っ、せい、たぁ!」

美羽「やっぱり流石だなぁ、あの2人、かっこいー!」

千尋「凄い・・・、あんなにいたのに、一気に・・・」

八重「美羽!千尋!ぼさっとすんな!こぼれた分がそっち行ってんぞ!」

千尋「っ!」

美羽「あははっ、ちゃんと見てるよ!それっ!」

千尋「くっ!」

千尋「っ、外し・・・、っ!?」

沙耶香「ふっ!」

千尋「あ、沙耶香さん・・・!」

沙耶香「落ち着いてください、焦っていては当たる物も当たりませんよ」

千尋「は、はい!」

美羽「ふふっ、沙耶香ちゃんはいいお姉さんしてるんだねっ」

沙耶香「ありがとうございます」

八重「おら、ぼさっとしてるとまた増えちまうぞ!」

美羽「いっ、第二波接近中だって、辛いなぁ」

沙耶香「今回は多いですね」

千尋「今回・・・?」

美羽「発生する時は大体纏まって出てくるの、
   だから乱戦が基本だと思ってた方がいいよ!」

八重「っつー訳だ、サクサク行くぞ!」

美羽「よーし、やっちゃうよー!」

千尋「わ、私も・・・!」

沙耶香「千尋さんはなるべく誰かに追随してください、
    単独行動は控えて」

千尋「っ、分かりました!」

八重「おらおらおらぁ!ガンガン撃ち落としていくぜぇ!」

沙耶香「ジュグラン、防御はお願い、私は攻撃に専念する、ふっ!」

美羽「行くよエノ!それそれそれー!」

千尋「みんな、どんどん倒してく、なのに私は何も・・・」

沙耶香「はぁ!っ、ふっ!っと、攻撃の手も激しいですね・・・!八重!」

八重「やってるよ!っだらぁ!」

沙耶香「なら改善の余地はありませんね、気長にやるしかありませんか・・・!」

美羽「沙耶香ちゃん!気をつけてね、あれ行くよ!」

沙耶香「っ、分かりました、ふっ!」

千尋「何アレ、巨大な、ネコジャラシ・・・!?」

美羽「やぁぁああああああ!」

千尋「っ、凄い、敵が一気に・・・」

美羽「よっし、見通しよくなったぞ!」

八重「流石サンシェード隊、やるねぇ、っとあぶねぇぞ、そこ!」

美羽「お、ナイスフォロー!ありがとね!」

八重「任せとけ」

千尋「くっ、私だって!あぁああああ!」

沙耶香「っ、千尋さん!」

千尋「当たれ、当たれ!くっ、当たってよ!」

八重「マジかよ!?あの死にたがりが!
   一番近いのは!?」

美羽「私か!エノ!」

千尋「っ!かわせた、このぉ!」

美羽「落ち着いて!」

千尋「えっ?」

美羽「てい!」

千尋「っ!」

美羽「間に合ったぁー、もう、熱くなって1人で飛び出しちゃダメだよ!」

千尋「ご、ごめんなさい・・・でも」

八重「でもじゃねぇ!何があったかは知らねぇが、
   戦場はテメェ1人のもんじゃねぇんだぞ!」

千尋「っ・・・!」

沙耶香「言い争ってても仕方ありません、今は目の前の敵を」

八重「あぁ分かってる、美羽!そいつの面倒頼む!」

美羽「分かった!フォーメーションはこのままね!」

八重「おぅ!」

沙耶香「先行します」

八重「っ、おめぇ人の話聞いてたかぁ!?」

千尋「・・・・・・」

美羽「ここに来たばっかりなんでしょ、これから強くなれば良いよ」

千尋「はい・・・」

美羽「よし、それじゃ行こう!」

千尋「・・・はい!」

千尋「っ、どうしたのミラビリス、行こうよ、
   ・・・私だって怖いよ、だけどこんな所で、え、そうじゃ、ない・・・?」

沙耶香「っ、あれは・・・!」

八重「あ?どうした沙耶香?」

沙耶香「なっ、避けてください!」

八重「っ、うぉ!?」

美羽「ひぃいいいい!」

千尋「きゃあ!?な、なに、今の・・・!」

沙耶香「やっぱり、存在していたんですね・・・」

八重「おい!何なんだあれ!」

美羽「今のビームみたいなの超おっきくなかった!?
   どっから飛んできたの!?」

沙耶香「奥です」

美羽「奥?ぃ、でかくない!?」

沙耶香「タイプ『ラフレシア』」

八重「でかいから『ラフレシア』ってか?」

沙耶香「はい、説明はまた後で」

千尋「っ、来る!」

八重「ちぃ!」

沙耶香「くっ、あれの撃破が最優先ですね」

八重「あたしらの攻撃、通るのかねぇ・・・」

美羽「そんな心配ご無用、私とエノにお任せ!いっくよー!」

千尋「あ、そっちはダメ!」

美羽「大丈夫だって!射線はちゃんと避けてるって!」

八重「バカ!そうじゃねぇ!」

美羽「え?っ、嘘、囲まれ・・・!」

千尋「っ・・・!」

八重「ぐっ、のやろぉぉおおおおお!」

沙耶香「八重!あなたまで死ぬつもりですか!」

八重「まだ誰も死んでねぇ!」

沙耶香「手遅れだって言ってるんです!」

千尋「次、来る!」

八重「っ、クソがぁ!」

沙耶香「狙いが逸れて?違う、そんな・・・!」

八重「嘘だろ、美羽ぅうううううう!」

千尋「周りの化物ごと・・・!」

沙耶香「あれは、そこまで異質な物なんですね・・・」

千尋「ミラビリス、やっとお前の怖がってる意味が分かったよ・・・、
   怖い、私も怖いよ・・・」




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