人魚と剣と

スパーダ♂ 17歳
銀髪くせっ毛のショート、身長182cm、体格はぱっと見細め
整った顔立ち、所謂美少年、年の割に大人びて見える
ちゃんとした教育を受けずに育った為、話し方が幼い。
幼少期からロレッタに暗殺術を仕込まれている為、身体能力が高い。


ロレッタ♀ 35歳
銀髪くせっ毛のロング、身長168cm、体格はグラマー
美人、年に対して若く見える、スパーダと並んで恋人に見える程。
幼い頃から暗殺者として生き、一人でスパーダを育ててきた。


アルトゥーロ♂ 42歳
黒髪直毛のショート、身長178cm、体格はがっしり
やり手な警察官、オンオフを分けすぎるタイプ。
娘に甘く、中々休めない分一緒にいる時は良い父親でありたいと思っている。


ピア♀ 16歳
黒髪直毛のロング、身長148cm、体格は華奢
箱入り娘、所謂お嬢様
我が儘でヘソを曲げやすい、天真爛漫


悪漢(アートと被り)
端役、ガタイ良し、ハゲ、世紀末


スパーダ♂:
アート&悪漢♂:
ロレッタ♀:
ピア♀:





ロレッタ「はぁ・・・」

スパーダ「仕事が無事に終わったって言うのに浮かない顔をしてるね、
     どうしたのロレッタ?」

ロレッタ「溜息が出る程簡単な仕事だったって事よ、スパーダ」

スパーダ「あぁそういう事か、それはとても同感だ、
     僕の出番すらなかったもの」

ロレッタ「良い事なのだけれどね、拍子抜けしちゃったって言うか」

スパーダ「ロレッタをこの国に呼び戻す程の仕事じゃなかったね」

ロレッタ「報酬は相応以上だから良しとしておきましょう」

スパーダ「そうだね、お陰で少しのんびり出来るし」

ロレッタ「それもそうね、前向きに捉えましょう」

スパーダ「でもこの国は凄いね、偉い人が死んだって報じられたのに、
     こんなに賑わってるなんて」

ロレッタ「そういうお祭りだからよ」

スパーダ「お祭り?」

ロレッタ「そう、お祭り、死んだ人を歌って踊って弔うのよ、
     こっちで迷わないように盛大に騒ぐの」

スパーダ「へぇー、僕には分からない感覚だなぁ」

ロレッタ「それもそうよ、私たちの仕事柄じゃ仕方ないわ」

スパーダ「確かにそうだ、うん、でもこの空気は楽しいかも、ちょっと」

ロレッタ「そう、それじゃ今日は存分に楽しみなさい」

スパーダ「うん、そうするよ」

ロレッタ「それじゃまた連絡するわ」

スパーダ「あれ、一緒に行かないの?」

ロレッタ「少し用事を思い出したの、一人で遊べるわね?」

スパーダ「勿論、いつまでも子供じゃないよ」

ロレッタ「そう、良い子ね」

スパーダ「じゃあロレッタも気をつけてね」

ロレッタ「えぇ、また後で」

スパーダ「うん、また後で」

----------------------------------------------------------

ピア「ねぇねぇパパ!次はアレを買ってよ!」

アート「おっとと、こらこらピア、急に引っ張らないでくれよ、
    そんなに急がなくたってお店は逃げないぞ」

ピア「でもパパが逃げちゃうかもしれないでしょ?」

アート「今日は休みの日だ、逃げないよ」

ピア「本当かなぁ、さっきから電話鳴ってるの知ってるのよ?」

アート「あぁ後輩からの電話だ、今日は仕事の電話は出ないって決めてるんだ」

ピア「警察官なのにいいの?」

アート「正義の味方にも休息は必要だろ?」

ピア「じゃあ今日は本当の本当に逃げないのね」

アート「あぁ、本当の本当だ」

ピア「なら信じてあげる!まずは手始めにクレープを買って貰おうか!」

アート「おっと、パパは娘をギャングに育てた覚えはないぞ?」

ピア「ふふふっ、お決まりの脅し文句って感じでしょ?」

アート「あぁ肝が冷える奴だ」

ピア「それじゃ私に1ポイントね!」

アート「知らないウチにゲームが始まってたみたいだ」

ピア「今始めたの!」

アート「これはしてやられたなぁ・・・、ん?」

ピア「どうしたのパパ?」

アート「いや、きっと気のせいだ、行こう」

ピア「うん!」

----------------------------------------------------------

ロレッタ「やっぱりあの男だったわね・・・、こんな日に会うなんて・・・、
     娘といる所を見ると今日はオフかしら、狙うなら絶好のチャンスだけど・・・、
     もう少し様子見ね、あいつには顔も知られているし、慎重に動かないと」

----------------------------------------------------------

ピア「んー!美味しいわ!今日はとても素敵な日ね!」

アート「それはよかった、パパも休みを勝ち取った甲斐があるってもんだよ」

ピア「ふふっ、ありがとっ、もう昨日のニュースを見てとてもヒヤヒヤしたのよ?」

アート「ピア、お前もあのニュース見たのか」

ピア「だってどのチャンネルを付けても殺人事件一色なんだもの、
   これで知らなかったらとんだ世間知らずのお姫様だわ」

アート「それもそうか、ふむ・・・」

ピア「パパのライバルが犯人かもしれないんでしょ?」

アート「ライバル?」

ピア「そう、ライバル、唯一取り逃がした女、ラ シレネッタ!」

アート「あぁシレーネの事か、マスコミもどうかしてるよ、
    殺し屋を人魚姫、だなんてな、犯罪者に姫は似合わない、
    ただの人魚で充分だ」

ピア「むぅ、パパはロマンがないのね」

アート「ロマン?」

ピア「女の子なら誰だってお姫様に憧れる物なの」

アート「だからだよ、さっきも言っただろう?犯罪者に姫は似合わないんだ」

ピア「注目が集まれば捕まるのも早いかもしれないわよ?」

アート「だが結果は十数年経った今でもコレだ、また舞い戻ってきたというのに
    足取りは掴めず、騒げばあちらもこちらに気付くという事だな」

ピア「そっか、追われているのが分かれば泡になっちゃうってことね」

アート「そういう事だ」

ピア「むぅー、やっぱり幻の人魚姫を捕まえるのは難しいってことかぁ・・・」

アート「前もって動向が分かればいいんだが、な・・・、
    んー、すまないピア」

ピア「え?」

アート「散々無視しているというのに電話が鳴りっぱなしだ、
    このままでは電池が切れてしまう、一度出てくるよ」

ピア「えぇ!今日はずっと一緒って言ってたのに!」

アート「すぐだ、すぐ戻るからここで待っていてくれ、良い子だからな」

ピア「パパ待ってよ!・・・パパのバカ、もう知らない!」

----------------------------------------------------------

アート「アルトゥーロだ、今日はオフだって言ってるだろ、一体何だ?
    シレネッタがこっちにいるかもしれないだと、もう一度言うぞ、
    今日俺はオフなんだ、家族水入らずを邪魔しないでくれ、じゃあな」

ロレッタ(一人になった、今なら・・・!)

アート「気付いているぞシレーネ」

ロレッタ「っ!?」

アート「まさかお前とこんな所で会うとはな、逃亡前に俺の首でも取りに来たか?」

ロレッタ「そういう事よ、姫の姿を世界に晒した罪は重いわ」

アート「罪が重いか、殺し屋に言われる日が来るとは思わなかったよ」

ロレッタ「覚悟しなさい、死ぬには良い日よ、迷わずあちらに行けるわ」

アート「馬鹿な事を言うな、いくら素手だろうと女のお前に負ける程腐っちゃいない、
    大人しく泡になって消えてくれ、今日の俺はオフなんだ」

ロレッタ「・・・どういう事?」

アート「そのままの意味さ、捕り物はしないって言っている」

ロレッタ「昨日の事件、知らない訳じゃないでしょう」

アート「あぁ知っている、よくもやってくれたな、
    汚職まみれとは言え彼も立派な要人だった、警察のメンツは丸潰れだ」

ロレッタ「だと言うのに見逃すって言うの?」

アート「オフだからな」

ロレッタ「後悔しても知らないわよ」

アート「なんだ捕まりたいのか、それなら署へ行ってくれ、
    俺は娘とお祭りで忙しいんだ、すぐ戻るって言ってるんでな」

ロレッタ「っ、娘と・・・」

アート「お前も若い男といただろう、デートに戻らなくて良いのか?」

ロレッタ「・・・はぁ、そうさせて貰うわ、なんだか拍子抜けね」

アート「俺はオンオフをきっちり分けてるんでな、仕事中に会えば容赦はしないさ」

ロレッタ「そう、では仕事中に会わない事を祈ってるわ」

アート「可能なら仕事中に会いたいもんだがね?」

ロレッタ「ふん、それじゃあね」

アート「・・・あの女もあんな顔をするんだな、意外だ、
    さて、急がねば、随分と待たせてしまった」

----------------------------------------------------------

アート「ピア、すまない待たせてしまった・・・、ピア?
    どうしたんだ、ここで待っていてくれって言ったはずなんだが・・・」

(電話を掛けるがコール中に切られてしまう)

アート「ヘソを曲げられてしまったか・・・?」

ロレッタ「アルトゥーロ!」

アート「っ、お前まだいたのか!?」

ロレッタ「あの子をどこへやったの!?」

アート「あの子?一緒にいた男の事か?」

ロレッタ「そうよ、連絡が付かないの、あんた達の仕業でしょ!」

アート「俺はオフだから連絡は取ってない!
    こっちだって娘と連絡が付かないんだ!お前に構ってる暇なんてない!」

(沈黙)

アート・ロレッタ「まさか・・・!」

(二人顔を見合わせる)

アート 「一緒に探してくれないか!?」
ロレッタ「一緒に探して貰えない!?」

ロレッタ「・・・貴方と意見が合うなんて癪だけど」

アート「背に腹は代えられないな」

ロレッタ「行きましょう」

アート「あぁ、っと一つ聞いても良いか?」

ロレッタ「何かしら」

アート「お前がそこまで必死になる男、何者なんだ?」

ロレッタ「・・・息子よ」

アート「息子!?」

ロレッタ「煩いわね」

アート「す、済まない、しかしあのシレーネに子供がいたとは・・・」

ロレッタ「私にだってロマンスの一つや二つあるわ」

アート「人魚姫だからな、相手は王子様か?」

ロレッタ「茶化さないで、殺すわよ?」

アート「す、済まない」

ロレッタ「ふっ、何よ、急に弱腰ね」

アート「母親は強しだ」

ロレッタ「ご理解頂けて何より」

アート「そういう事ならば余計に張り切らなければな」

ロレッタ「あら、警察が犯罪者に肩入れ?」

アート「今日の俺は一児のパパだ」

ロレッタ「立場は同じね、それじゃ急ぎましょう」

アート「あぁ」

----------------------------------------------------------

スパーダ「うん、屋台っていうんだっけ、普段食べれないものが沢山あって楽しい、
     後でロレッタも連れてこよう、きっと喜んでくれる、・・・ん?」

ピア「もーパパなんて知らない、結局私より仕事が大事なのよ、
   いいもん、私だってもう子供じゃないんだから、大人の楽しみ方をするのよ」

スパーダM「大きな独り言だ、ああ言うのに関わっちゃいけないってロレッタが・・・」

ピア「ねぇそこのお兄さん!」

スパーダM「言ってたのに・・・」

スパーダ「な、何かな?」

ピア「一人でお祭りを楽しんでいるの?」

スパーダ「う、うん、そうだよ、一人で来て一人で遊んでるんだ」

ピア「それじゃあ私と一緒ね!一緒ついでに一緒に回りましょう!
   二人の方がきっと楽しいわ!」

スパーダ「え、で、でもロレッタが知らない人について行っちゃいけないって」

ピア「む、そのロレッタって恋人の名前?」

スパーダ「違うよ、ロレッタはロレッタだ」

ピア「でも貴方を放っておくような人なんでしょ?」

スパーダ「そんな事ないと思うけど、でも今日はそうなのかな・・・?」

ピア「それなら決まりね!さぁ行きましょ!」

スパーダ「え?うわぁ!?」

----------------------------------------------------------

ピア「ふふっ、やっぱり誰かと一緒に食べるスイーツは格別ね」

スパーダM「知らない人と食べても味よく分かんないな・・・」

ピア「ねぇ貴方もそう思わない?」

スパーダ「え?そ、そうかな?」

ピア「そうよ、きっとそう!あ、そうだわ、お互い名前も知らないんじゃ不便よね、
   私はピアって言うの、貴方のお名前は?」

スパーダ「えっと、僕はスパーダって言うんだ」

ピア「スパーダ!とても素敵なお名前ね、凛々しくてかっこいいわ!」

スパーダ「・・・うん、僕も気に入ってる、本物の剣みたいに強くならなきゃって思うんだ」

ピア「きっとなれるわ、だって貴方とってもハンサムだもの!」

スパーダ「あ、ありがとう」

ピア「こんなにかっこよくて紳士な人と一緒にお祭りを回れるなんて、
   意地悪な神様にもたまには感謝しなくちゃ」

スパーダ「意地悪な神様に?」

ピア「そう、今日本当はパパと一緒に回る予定だったの、
   だって言うのに、パパお仕事の電話を優先するのよ!」

スパーダ「そっか、ピアのお父さんは忙しいんだね」

ピア「全部シレネッタがいけないんだわ」

スパーダ「っ・・・」

ピア「どうせならお祭りの後に来ればよかったのに」

スパーダ「なんで、シレネッタがいけないの?」

ピア「私のパパはね、警察なの、だから沢山連絡が来てたのよ」

スパーダ「それじゃ・・・ピアのパパはシレネッタを捕まえるんだね?」

ピア「お仕事の日ならそうだと思うけど、今日はパパ、お休みだって言ってたのに・・・」

スパーダM「ロレッタを、守らなきゃ・・・」

ピア「ん、どうしたのスパーダ、難しそうな顔してるわよ?」

スパーダ「え、ううん、なんでもないよ、なんでも」

ピア「ん、そうなのね?それじゃ次のお店に行きましょう!」

スパーダM「でも、僕一人じゃどうしたらいいか分かんないよ、ロレッタ・・・」

ピア「きゃっ!?」

スパーダ「っ、ピア?」

悪漢「おぉおぉ、嬢ちゃん、どうしてくれんだ、俺の服が汚れちまったじゃねぇか」

ピア「ご、ごめんなさい、あのこのハンカチ使って・・・」

悪漢「あぁん!?その程度で済まそうってか!良い所のお嬢様は違うねぇ、
   俺みてぇなチンピラにはちゃんと謝れねぇってかぁ?」

ピア「ちゃんと・・・?」

悪漢「おぅ、謝るっていうのはな、行為と形がいるんだよ」

ピア「ど、どうしたらいいのかしら?」

悪漢「例えばだ、その可愛いお口で全身綺麗にしてくれたり、なぁ?」

ピア「ひっ・・・!」

スパーダ「待って」

悪漢「あぁ?」

ピア「ス、スパーダ・・・!」

スパーダ「ピアはちゃんと謝ったよね?」

悪漢「だからちゃんとって言うのはなぁ・・・」

スパーダ「ちゃんと謝るっていうのはごめんなさいって頭を下げる事だって、
     ロレッタが言ってたよ」

悪漢「ぷっ、あっははは!ママの言う事守らなきゃいけねぇようなガキが、
   いっちょ前にかっこつけようとしてんじゃねぇ!」

ピア「ひっ!?」

(殴りかかった悪漢の拳を受け止めるスパーダ)

スパーダ「先に手を出したのは、そっちだからね?」

悪漢「なんだこのガキ、手加減してりゃいい気になりやがって!」

スパーダ「手加減してるのは、僕だって同じだ!」

悪漢「うぇ?おおおぉぉ!?」

(スパーダ、悪漢を投げ飛ばし、懐からナイフを取り出す)

ロレッタ「スパーダ!」

スパーダ「っ、ロレッタ!?」

ロレッタ「貴方の刃は、そんな馬の骨を切る為にあるんじゃないでしょ?」

スパーダ「・・・うん、そうだね、ごめんなさい」

悪漢「ひぃいいい!も、もうしません、すみませんでしたぁああああ!」

スパーダ「あ、逃げちゃった」

ロレッタ「いいのよ、あんなの逃がしとけば、そんな事よりも・・・」

スパーダ「え・・・?」

ロレッタ「知らない人について行っちゃダメって、
     あんなに口を酸っぱくして言ったでしょ?」

スパーダ「ご、ごめんなさい・・・」

ピア「ま、待って!」

ロレッタ「何かしら?」

ピア「わ、私が勝手に連れ回したの、だからスパーダは悪くないの、
   怒らないであげて・・・?」

ロレッタ「じゃあ何、お嬢さんが何か代わりにお詫びしてくれるのかしら?」

ピア「ご、ごめんなさい!」

アート「まぁここは俺の顔に免じて許してやってくれないか?
    帰ったらちゃんとこっちはこっちでしておくから」

ピア「ぱ、パパ!?」

ロレッタ「・・・あら、貴方の娘さんが私のスパーダを誘拐したのね」

アート「あぁいや、それに関しては本当に済まない、俺の監督不行き届きだ」

スパーダ「パパ・・・、あ、ろ、ロレッタ、ちょっと・・・」

ロレッタ「ん、何かしら?」

スパーダ「ピアのお父さん、警察だよ、ばれたら・・・」

ロレッタ「あぁ、大丈夫よ、今日だけはね」

スパーダ「え、そ、そうなの?」

ロレッタ「そう、んー、貴方のお陰でね」

スパーダ「僕の、お陰で・・・?」

ロレッタ「っと言う訳で、貴方の娘さんを助けたのはウチの子って言う事で、
     私たちが国を出るまで面倒見てくれないかしら?」

アート「あぁそうだな、それを言われてしまうと弱い、
    ちゃんと海までエスコートしようじゃないか」

ピア「海まで・・・、あ、もしかして・・・!」

ロレッタ「お嬢さん、しっ、よ」

ピア「あ、うん!」

----------------------------------------------------------

アート「さて、ここまで来れば大丈夫だろう」

ロレッタ「出国の手配までさせちゃったわね」

アート「面倒を見ると言ったからな」

ロレッタ「義理堅い男で助かったわ、それじゃそろそろ行くわね」

アート「あぁ、シレ・・・」

ロレッタ「ロレッタよ、あまり好きじゃないのよ、その手配名」

アート「あぁそうだったのか、それは済まない」

ロレッタ「謝ってばかりね、貴方」

アート「非はきちんと認める男で通ってる」

ロレッタ「ふふっ、そう、で何?」

アート「その仕事、足は洗えないのか?」

ロレッタ「まともな生き方を知っていればとっくに洗ってるわ」

アート「これから学んでいけば良い」

ロレッタ「それでも、私が知ってるのは体を売り物にする事と、
     人を殺す事だけ、人二人養ってく事なんて到底出来やしない」

アート「スパーダの運動神経さえあれば何か出来るんじゃないか?」

ロレッタ「息子に養って貰えって事?」

アート「いいや、お前もそれだけの経験があるんだ、何か出来るだろう」

ロレッタ「・・・そうね、考えてみるわ」

アート「前向きに頼む、娘の恩もあるからな、俺はお前を逮捕したくない」

ロレッタ「なんて自分勝手な警察でしょ」

アート「何度言わせるつもりだ、今日の俺は一児のパパだ」

ロレッタ「そうだったわね、じゃ、次会う時が楽しみね」

アート「あぁ、どんな再会になるか、楽しみにしておこう、それじゃ」

ロレッタ「それじゃ」

スパーダ「おかえり、ロレッタ」

ロレッタ「お待たせ、行きましょう」

スパーダ「うん」

ロレッタ「・・・ねぇ?」

スパーダ「何?」

ロレッタ「貴方は、人を殺さなくて良いってなったら、どう?」

スパーダ「その方がいいよ、だってロレッタが危なくないから」

ロレッタ「・・・そう、それじゃ、探してみようかしらね、その道を」

スパーダ「うん!そうしよう!僕も頑張るよ!」

----------------------------------------------------------


ロレッタ「そして、数年後」


ピア「やっとちゃんとお休みを取ってくれたわね、お父さん」

アート「いやぁやっと許して貰えたんだ」

ピア「許して貰えた?」

アート「前に二人でお祭りに来たときのことを覚えているか?」

ピア「えぇ!スパーダと遊んだ時ね!」

アート「あぁそうだ、あの時連絡を無視していた事に大目玉を食らった」

ピア「あら、それじゃ私のせいだっていうの?」

アート「まぁお互い様という所だろう」

ピア「む・・・、そう、ね、それ位でヘソを曲げる程もう子供じゃないわ」

アート「それは良かった」

ピア「そんな事よりも、今年は旅芸人が街に来ているんですってね」

アート「旅芸人?」

ピア「えぇ、人魚姫とその剣、って親子の二人組なんですって、思い出さない?」

アート「・・・そうだな、思い出すも何もあの二人じゃないか?」

ピア「やっぱりそう思う?」

アート「はぁ・・・、もう少し名前を考えるように注意しに行こう」

ピア「そうね、折角足を洗ったのだもの、もう泡になる必要なんてないのだわ」




もどる