『物玉探偵事務所~口裂け女~』

[ 所要時間:約??分 ]


《 キャラクター 》

三上 歩  ♂(みかみ あゆむ) …物玉探偵事務所の探偵 年齢不詳
仏田 蓮華 ♀(ほとけだ れんげ)…女子高校生 三上の助手
マリア   ♀ (まりあ)      …物玉探偵事務所に居る人形 物霊が近くに居る時だけ動くことができる
女     ♀(おんな)      …今回の依頼人、実はその正体は…!


(メリー)  ♀(めりー)     …メリーさんの物霊であり仏田の親友の人形。本作には出ません。

*物霊…ものだま
(詳しい設定は小説を書きます…たぶん)



三上 歩  ♂:
仏田 蓮華 ♀:
マリア   ♀:
女     ♀:






 物玉探偵事務所 事務所内
 学校帰りで事務所に寄った仏田
 いつも通り事務所内に客はいない。普段通りの会話の最中にふと仏田が
 
仏田 :「ねぇ、三上さん…。(おどろおどろしく)私…綺麗?」

三上 :「…どうしたんですか、急に。」

仏田 :「いいから答えてくださいよ!(おどろおどろしく)私…綺麗?」

三上 :「女性に綺麗じゃない方なんていらっしゃいませんよ。」

仏田 :「うわー…そういうのいらないです。」

三上 :「何ですかその反応!本当ですよ、女性に美しくない方なんていらっしゃいません。」

仏田 :「そんな建前は置いときましょう。本当の所は?」

三上 :「マリアさんが一番です。」

仏田 :「人間ですらなくなってますし、質問の意図と全然違うんですけど!」

三上 :「しょうがないですね…。仏田さんはお美しいですよ、中身は置いといて。」

仏田 :「ワー、ウレシイ。私も三上さんカッコいいと思いますよ?中身は置いといて。」

三上 :「…はっはっは。」

仏田 :「はっはっは。」

三上 :「事務所裏にいきましょうか?」

仏田 :「望む所ですよ?三上さんぐらいコテンパンにしてやりますよ。」

三上 :「やってごらんなさい!…で、本当にどうしたんですか?」

仏田 :「え?あーその、学校で都市伝説の本を色々漁っていたら"口裂け女"の話を見つけて、三上さんが『私…綺麗?』って聞かれたらどんな反応するかなぁ…って。」

三上 :「ふむ、"口裂け女"ですか。仏田さんが見たお話はどんなお話でした?」

仏田 :「え?どんなって普通の"口裂け女"のお話でしたよ?マスクをした女の人に『私…綺麗?』って聞かれて、『綺麗ですよ』って答えると女の人が『こ れでも…?』って。そしてその女の人がマスクを取ると口が耳元まで裂けていた!って話です。その後は殺されちゃったり、口裂かれちゃったりして…。」

三上 :「本当に一般的な"口裂け女"のお話を見られたのですね。そのお話の中で助かった人はいましたか?」

仏田 :「『ポマード!』『ポマード!』って連呼した人の話だけは助かってました!」

三上 :「実に一般的だ。ちなみに…」

仏田 :「三上さん三上さん。」

三上 :「え、はい。何でしょう?」

仏田 :「何で"口裂け女"って"ポマード"が嫌いなんですか?」

三上 :「ふむ…。色々な説がありますが、"口裂け女"の整形手術を失敗した男がきついポマードの臭いだったから。が一番有名な説じゃないでしょうか。」

仏田 :「え!?"口裂け女"って整形手術失敗して口が裂けちゃったんですか?!」

マリア:「ま、それが原因って説が有名なだけよ。」

 ふと気づくとマリアがテーブルの上の小さな椅子に座っている。

仏田 :「あ、マリアさんいつの間に。」

マリア:「さっき起きたとこよ。」

三上 :「おはようございます、マリアさん。」

マリア:「おはよう、歩。」

仏田 :「あれ?今日は"メリー"連れて来てないのにマリアさんなんで起きれたんですか?」

マリア:「アンタ達が話してたから、引き寄せられてきたんじゃない?」

仏田 :「??どういう事ですか?」

 SE:扉のノック音
 
マリア:「噂をすれば影ってことよ。」

仏田 :「……。まさか…。」


マリア(タイトルコール):「『物玉探偵事務所~口裂け女~』」 


 ソファーに座っている三上と女
 女は清楚な感じの服装でマスクをしている。
 台所から仏田がお茶を持ってくる。
 マリアは仏田の制服の中に入って隠れている。
 
仏田 :「…ドウゾ。オ茶デス。」

女  :「ありがとう。」

仏田 :「(小さい声で)ポマードポマードポマード…」

マリア:「(小さい声で)うるさい、蓮華。」

仏田 :「(小さい声で)だってー!」

三上 :「ゴホン。それで、どのようなご用件でしょうか?」

女  :「あの…こんな事を頼んで驚かれるかもしれませんが…。私の顔を見てもらいたいんです。」

三上 :「顔ですか。何かお困りのことでも?」

女  :「私…綺麗ですか?」

仏田 :「(小さい声で)南無南無南無南無…」

マリア:「(小さい声で)まだ大丈夫だわよ…。」

三上 :「えぇ、とてもお綺麗だと思いますよ。」

女  :「…本当ですか?」

三上 :「えぇ、本当に。」

女  :「…これでも?」

仏田 :「(小さな声で)あ、三上さん死んだー!」

マリア:「(小さな声で)アンタ若干楽しんでるでしょ…。」

 マスクを外す女。
 そこには
 
仏田 :「あ、あれ?裂けて…ない?」
 
 美人な顔ではないが、可愛い顔の女性である。
 若干唇が大きめであるがそこがチャームポイントになっている。

マリア:「(小さい声で)だから"まだ"大丈夫だわよ。」

仏田 :「(小さい声で)え?"まだ"って…?」

三上 :「もちろん、お美しいですよ。」

女  :「本当ですか?!でも…」

 少しずつ女の雰囲気が変わっていく
 わずかに事務所の空気が重くなったような気がする

女  :「私…本当に綺麗なんでしょうか…。」

三上 :「お綺麗ですよ。心配なさらないでください。」

女  :「私より美人なんて何十人何百人といるじゃないですか…。」

マリア:「(小さい声で)やっぱりね…。」

仏田 :「…えっ…?」

 少しずつ女の口が大きくなっていく
 
女  :「特にこの口です…私この口が大嫌いで…。」
 
三上 :「ナンバーワンよりオンリーワンですよ。貴女が貴女らしければそれでいいんですよ。」

女  :「確かに、オンリーワンかもしれませんね…私の口。こんなもの無くなってしまえばいいのに。」

 女の口元が頬あたりまで裂けてきている。
 微動だにしない三上。
 
仏田 :「(小さな声で)どうなってるんですかマリアさん!?」

マリア:「(小さな声で)あの子の口が"物霊"なのよ。」

仏田 :「(小さな声で)え!?それって…?!」

女  :「ねぇ、探偵さん。」

女  :「私 き れ い ?」


三上 :「えぇ、とっても綺麗ですよ。だから、そんな事言わないで下さい。」

女  :「じゃあ、お前もこんな口にしてあげるっっ!」

 テーブルを越えて飛び掛る女
 
 
仏田 :「三上さんっっ!」


三上 :「どうぞ。」


   間


女  :「…は?」

三上 :「どうぞ、と言ったんです。是非その口にして下さい。」

女  :「何言ってるのっ!?こんな醜い口になりたい人がいるわけないじゃない!こんな大きくて醜い"物"に!強がりはよしなさいよっ!」

三上 :「強がりでもなんでもないですよ。本当にそうして欲しいんです。先ほども言いましたがそんな事は言わないでください、貴女の口は"物"じゃない、貴女自身ですよ。」

女  :「違うっ!これは醜い"物"っっ!私じゃないっ!」

三上 :「いえ、貴女の口は貴女の一つです。」

女  :「私はこんなに醜くないっ!!」

三上 :「貴女は醜くありません。」

女  :「嘘だっ!皆、皆そうやって言うくせにいつも口が、口が、って言って皆私から離れていくくせに…!」

 口裂け女を引き寄せ抱きしめる三上

三上 :「(女の台詞を喰うように)他の誰かが何を言ってるかは知りませんし、私は貴女ではないのでその気持ちはわかりません。ですが、私は貴女は醜くないと言ってるんです。」

仏田 :「…。」
マリア:「…。」

女  :「嘘っ…。嘘よ…。皆そう言うもの…!」

三上 :「私は言いません。」

女  :「…私の口、醜くない…?」

三上 :「えぇ、ちっとも。」

女  :「…私、醜くない…?」

三上 :「全然醜くないですよ。」

女  :「醜いって思わない…?」

三上 :「絶対に思いませんよ。」

女  :「うっ…うぅ…。(顔を三上の胸に押し付けて泣く)」

三上 :「大丈夫、大丈夫ですよ。」

 三上の胸に顔を埋めながら泣く女と、女の頭を撫でる三上。
 気がつけば女の口は元に戻っている。
 少し離れた所から二人
 
仏田 :「…ねぇ、マリアさん。」

マリア:「…なに?」

仏田 :「あの人いつもあんななんですか…?」

マリア:「…そうよ。」

仏田 :「…見てくださいよアレ。女の人目キラキラさせちゃってますよ。」

マリア:「…そうね。」

仏田 :「…また来ていいですか?なんて言ってますよ。」

マリア:「…そうね。」

仏田 :「是非いらして下さい、だそうですよ。」

マリア:「…そうね。」

仏田 :「女の敵ですね。」

マリア:「そうよ。」

 女が三上に送られて事務所から出て行く
 それを見送る三上
 それを眺めるマリア、仏田

三上 :「"口裂け女"の物霊…久々でしたね、マリアさん。」

仏田 :「…。」
マリア:「…。」

三上 :「おや?どうしたのですか、お二人とも?」
 
仏田 :「…女の敵。」

三上 :「えっ?…私なんかしましたか?」

マリア:「…。」

三上 :「マリアさんも怖い顔してどうしたのですか?なんか気に触る事があったのですか?」

マリア:「…朴念仁。」

三上 :「えっ?」

マリア:「蓮華。後ろからソイツ抑えといて頂戴。」

三上 :「え?ちょっとマリアさん?」

仏田 :「アイアイサー、マリア様!」

三上 :「蓮華さんも!?何でですか?」

仏田 :「自分の胸に手を当ててよーく考えてみるといいですよ。」

三上 :「……。…先ほどの女性の温もりが。」

仏田 :「三上さん。」

三上 :「はい?」

仏田 :「死んでください。」

三上 :「えぇええ!?ちょっと待ってください!マリアさん助け…」

 鬼の様な風貌のマリア
 
三上 :「あ…死にましたね、私。」

マリア:「…滅びろ。」


 SE:衝撃音
 
 
(仏田 :「…ばーか。」(マリアと一緒に)
(マリア:「…ばーか。」(仏田と一緒に)





Written by お風呂

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