『物玉探偵事務所~トイレの花子さん~』

[ 所要時間:約??分 ]


《 キャラクター 》

三上 歩  ♂(みかみ あゆむ) …物玉探偵事務所の探偵 年齢不詳
仏田 蓮華 ♀(ほとけだ れんげ)…女子高校生 とある事件から三上の助手になる
マリア   ♀ (まりあ)      …物玉探偵事務所に居る人形 物霊が近くに居る時だけ動くことができる
花子    ♀(はなこ)      …学校のトイレで亡くなった女の子の幽霊。


(メリー)  ♀(めりー)     …メリーさんの物霊であり仏田の親友の人形。本作には出ません。

*物霊…ものだま
(詳しい設定は小説を書きます…たぶん)



三上 歩      ♂:

※仏田 蓮華    ♀:
※仏田 蓮華(花子) 
※花子

マリア       ♀:

※同じ人が演じて下さい。最初の『花子』の台詞のみ若干声色を変えて演じて下さい。






 SE:ノック音x3 


仏田:「花子さんいらっしゃいますか?」

 SE:ノック音x3


仏田:「…花子さんいらっしゃいますかー?」

 SE:ノック音x3


仏田:「…ここが…。三番目…。」

 SE:ノック音x3


仏田:「……花子さんいらっしゃいますか…?」


 反応を少し待つ、仏田


仏田:「…なーんだ!やっぱり花子さんなんていないじゃないですかー!」


 帰ろうとする、仏田。すると、背後から


花子:「…ヨンダ?」




マリア(タイトルコール):「『物玉探偵事務所~トイレの花子さん~』」



マリア:「『トイレの花子さん』?」

仏田 :「そうなんですよ!マリアさん!うちの学校のトイレに花子さんが出たんです!」

マリア:「あらそう。」

仏田 :「むむ…。興味なさそうですね…。」

マリア:「そりゃないわよ。」

仏田 :「なんでですかー?!」

マリア:「だってあたしは『物霊』なのよ?」

仏田 :「え?えーっと……それが何の関係が…?」

マリア:「トイレの花子は『物霊』じゃなくて『幽霊』だからに決まってるじゃない。」

 口をパクパクさせながら青ざめてる、仏田

マリア:「あんた今更何驚いてるの?」

仏田 :「えぇ!!だって『幽霊』ですよ!?」

マリア:「そうね?」

仏田 :「怖いじゃないですか!」

マリア:「はぁ…。あんた、眼の前でフランス人形や日本人形が動くのは大丈夫で、幽霊がダメってよくわかんないわね…」

仏田 :「それとこれとは話が別でス!」

マリア:「どう別なのよ…。」

仏田 :「可愛いからです!」

マリア:「まぁーったく意味がわからないわね。」

三上 :「私にはわかりますよ?」

 事務所の奥から紅茶の入ったカップを三つ持って出てくる、三上

仏田 :「三上さんのはちょっと違うような…。」

三上 :「違くありません。つまり!マリアさんが動かなくても可愛いのと、動いても可愛いの違いですよね。」

マリア):「違うわね」
仏田 ):「違いますね」

三上 :「え…?」

仏田 :「それ何が違うんですか?!」

三上 :「可愛さ…ですかね?」

マリア:「歩。」

三上 :「はい?」

マリア:「黙りなさい。」

三上 :「はい。」

 紅茶を飲む、マリア

仏田 :「で、その『花子』なんですが…。」

マリア:「別に問題を起こしてはいないのよね?気にする事はないと思うけど?」

仏田 :「えーっと…そのですね…。」

マリア:「何よ?」

仏田 :「……行方不明者が出てるんです。」

三上 :「行方不明?」

仏田 :「夜中に学校に忍び込んで肝試しをした人が、行方不明になってるんです。」

三上 :「ちなみにいつですか?」

仏田 :「昨日です。」

三上 :「……。」

マリア:「肝試しなんかするからよ。自業自得じゃない。」

仏田 :「そんなこと言わないであげてくださいよぉ…。」

マリア:「それで?あたしに『花子』をどうしろっていうのよ?」

仏田 :「それは…その…。」

マリア:「まさか、その『花子』をなんとかしてほしいとか言うんじゃないでしょうね?」

仏田 :「…テヘ。」

マリア:「…無理よ。」

仏田 :「なんでですかー!?」

マリア:「あたしは探偵じゃないわよ。しかも、相手が―――」

 目をキラキラさせてマリアを見つめる三上。

三上 :「マリアさん…!」

マリア:「…嫌よ。」

三上 :「事件ですよ!事件!」

マリア:「い や よ。」

三上 :「マリアさーん…。」

マリア:「あのね。私が行った所で相手が『幽霊』じゃどうしようもないでしょう?」

三上 :「『幽霊』だった場合は私がなんとかします!もしかしたら『物霊』かもしれませんし…。ですから…ね?」

マリア:「はぁ…。」

三上):「マリアさぁん」
仏田):「マリアさぁん」

マリア:「…わかったわよ。行ってもいいわよ…。」

仏田 :「やった!ありがとうございます!」

三上 :「よかった!これで探偵らしい仕事が久々に出来ます!」

マリア:「…その代りラトリニテーヌのクッキー買ってきなさいよ。」

三上 :「では、準備致しましょうか!」

仏田 :「はーい!」

マリア:「…もぅ…。全く…。」



 同日、22時。
 学校の周りにある街燈がチカチカと光っている、学校には光源はなく都市部にある学校にしては古臭い様である。


マリア:「…別に夜に来なくてもよかったんじゃないの?」

仏田 :「雰囲気出ていいじゃないんですかー!」

マリア:「出す必要ないと思うわ…。」

三上 :「さて、どうやって入りましょうか…。」

仏田 :「それはご心配なく!ちゃんと職員室から鍵の予備くすねておきました!」

マリア:「それは…ダメじゃないかしら?」

仏田 :「これもそれも全て行方不明者のためです!」

 金属が擦れる音と共に正面玄関を開ける、仏田。

仏田 :「さ!どうぞどうぞ!」

マリア:「あんたの家じゃないわよね?」

仏田 :「細かい事は気にしないでくださいよー!」

三上 :「では、失礼します。」

 正面玄関から校舎に入る、三上、仏田、マリア。
 その瞬間。

 バタンッ―――
 SE:扉が勢いよく閉まる音

仏田 :「ひっ?!」

マリア:「…やっぱりね…。」

三上 :「…ですね。」

マリア:「こうなる気がしてたわよ…。」

三上 :「私もです…。」

仏田 :「え!?何で二人ともそんなに冷静なんですか!」

マリア:「場馴れね。場馴れ。」

三上 :「まぁ、よくあるパターンですからね。」

仏田 :「うわぁ…。幽霊に驚かしがいがない人達って思われますよ…。」

マリア:「それで?『花子』。そろそろあたし達を呼んだ理由を聞かせてもらおうかしら?」

三上 :「そうですね。ここに呼んだということは何らかの理由があるという事ですよね?『花子』さん。」

仏田 :「二人とも何言ってるんですか…?」

マリア:「いい加減その仏田の真似やめなさいよ。『花子』」

仏田(花子) :「…………やっぱりバレてた。」

三上 :「一人で肝試しする人はまずいないでしょう。それに、行方不明になっているのに何故花子さんが出たと言えるんですか?」

マリア:「それは行方不明者か、行方不明にした人しか知らない情報よね?嘘つくならもっとマシなら嘘つきなさいよ。」

仏田(花子) :「……。」

マリア:「まぁいいわ。それよりメリーは何処?」

仏田(花子) :「……二階の女子トイレの三番目の個室にいる。けど、返さない。」

マリア:「……人質って事。」

三上 :「これはまた…。」

仏田(花子) :「……お願い聞いてくれたら、返す。」

マリア:「…何よ?」

仏田(花子) :「私の『物霊』を壊して、ほしい。」

三上 :「『花子』さんの『物霊』…?」

仏田(花子) :「……私は『幽霊』、だからこうしてこの子の体を借りてる。」

三上 :「では、『物霊』は?」

仏田(花子) :「……3階の女子トイレの3番目の個室。私が死んだ、場所。」





 激しい水の音。
 SE:水が流れる音

三上 :「水の音…?」

仏田(花子):「……アイツが怒ってる。……溺れさせるつもりだ。」

マリア:「それは…まずいわね…。」

三上 :「えぇ…。まずいですね…。」

仏田(花子):「……かなりまずいかも。」

三上 ):「マリアさんの服が濡れる!」
マリア):「私の服が濡れる!」

仏田(花子):「……え?」

マリア:「嫌よ!あたし絶対嫌!」

三上 :「マリアさんのドレスが濡れてしまったら…私は…!!興奮を抑えきれないかも知れない!」

マリア:「はぁ?あんた、何言ってんの!?」

三上 :「だって濡れたマリアさんですよ!濡れたマリアさん!」

仏田(花子):「……私、頼む人間違えたかも。」


 さっきよりも近づいて来ている水の音

仏田(花子):「……来た…!」

マリア:「こうなったらしょうがないわ…!……歩!」

三上 :「はい!なんでしょうか、マリアさん!」


マリア:「……だっこ。」

 固まる、三上

三上 :「…マリアさん…。今、なんと…?」

マリア:「何回も言わせないで頂戴!だから…。…だっこ!」

 仏田(花子)と目を合わせる三上
 目を擦る三上 頬を抓る三上
 妄想じゃないことを再確認したうえで

三上 :「はいっ!喜んで!!マリアさん!」

マリア:「……むぅ…。」

仏田(花子):「……絶対、頼む人間違えた…私。」

三上 :「…今日、私死ぬかも知れない!」

マリア:「歩!もういいから、さっさと『花子の物霊』のところまで行くわよ!」

三上 :「はい!マリアさん!」

 走り出す、三上 仏田(花子) 三上の胸にしがみついている、マリア
 水は既に足首を浸している
 
仏田(花子):「……階段はこのまま直進して左側にある。」

マリア:「濡れるのは絶対嫌。絶対嫌。」

三上 :「大丈夫ですマリアさん!一滴たりともマリアさんに触れさせませんから。」

仏田(花子):「……通り過ぎてます。」

三上 :「あぁ!申し訳ありません!」

 階段を上る、三上 仏田(花子) 三上の胸にしがみついている、マリア。
 階段を流れ落ちる水はかなり激しい。

仏田(花子):「……転ばないように気をつけてください。」

マリア:「転んだら殺すわよ。」

三上 :「はい!わかっています、マリアさん。」

マリア:「恐ろしい『物霊』だわ…。」

仏田(花子):「……トイレは上りきったらすぐ左側にあります…。」

 なんとか上りきった 三上 仏田(花子)
 激しい水の音。

三上 :「ここ…ですか…。」

仏田(花子):「……はい。ここの三番目の個室です。」

マリア:「さっさとぶん殴っておしまいにするわ。……あ。」

三上 :「どうしたんですか、マリアさん。そんな深刻な顔して。」

マリア:「殴るのよね…?」

三上 :「そうですね?」

マリア:「便器よね?」

仏田(花子):「……はい。」

マリア:「汚水まみれよね…?」

三上 :「そうなりますね…?」

マリア:「…絶対嫌。」

三上 :「え?」

マリア:「汚水まみれの便器殴るなんて絶対嫌!死んでも嫌!」

三上 :「えぇ!?ここに来てですか!?」

仏田(花子):「……はぁ。」

マリア:「第一なんで私がこんな事しなくちゃいけないのよ!歩、あんたがやりなさいよ!」

三上 :「えーっと…マリアさん?私が殴っても何も起こりませんよ?」

マリア:「うぅ…。じゃあ仏田!」

仏田(花子):「……出来たら自分でやってますよ。」

マリア:「う゛ぅ!」

仏田(花子):「……早くしないと汚水で溺死することになりますよ…?」

マリア:「わかったわよ!覚悟決めるわよ!」

三上 :「では、ドアを開けますよ。」

マリア:「いつでも来なさい!やってやろうじゃないの!」

三上 :「いち、に、のさん!でいきますよ!いきますよー…!いち、に、のさんッ!」

 バンッと音と共にドアが開かれる。
 ドアが開くのと同時に三上の腕の中から便器に殴りかかるマリア。

マリア:「うおおおおおおりゃああああああ!」

 便器にマリアの拳が当たりバチッと音と共便器から出ていたに水が止まる。
 殴った勢いのまま体を前にぐるりと回転させ、壁を蹴り三上の腕の中に戻るマリア

三上 :「ナイス着地です。マリアさん。」 

マリア:「…憎い…か」

三上 :「マリアさん…?」

 また便器から水が吹き出る。
 三上の腕から床に降りるマリア。

マリア:「花子。悪いけど完全に壊してしまっても構わないかしら?」

仏田(花子):「……どうぞ。」

マリア:「…ごめんね。」

 便器を殴り続けるマリア

三上:「…ここで何があったんですか…?花子さん。」

仏田(花子):「……イジメです。いつもここに呼び出されてたんですよ、私。」

三上:「……。貴方の恨みがこの子に宿ってしまったって所でしょうか。」

仏田(花子):「…そう…。…なりますね。」

三上:「…。花子さん、貴方は悪くない。この子も悪くない。これは貴方達のせいじゃない。」

仏田(花子):「…はい。」

 
マリア:「終わったわよ。」

 ずぶ濡れのマリア

マリア:「花子。」

仏田(花子):「…はい。」

マリア:「死んでも救われなかったでしょう。」

仏田(花子):「…はい。」

マリア:「馬鹿ね。本当に。」

仏田(花子):「…。」

マリア:「ちゃっちゃと成仏しなさい。もう残したものはないでしょうに。アッチであの子も待ってるわよ。」

仏田(花子):「…。」

マリア:「あぁ、最後にもう一言。」

仏田(花子):「…?」

マリア:「あの子が"大馬鹿野郎"だって。」

仏田(花子):「…ありがとうございました。」

マリア:「お礼なんか言わないで。この大馬鹿。」

仏田(花子):「…すいません。」

マリア:「謝るのは私じゃなくてあの子でしょ?」

仏田(花子):「…はい。…あの子に会ってしっかり謝ってきます。」

マリア:「よろしい。さ、早くいきなさい。いつまでも躊躇ってると帰る機会逃しちゃうわよ?」

仏田(花子):「…はい。(小さい声で)ありがとう。」

 仏田の体が支えを無くしたかのように膝から崩れ落ちる
 それをサッと支える三上

三上 :「おおっと!…ふむ…。大丈夫ですかね。」 

マリア:「(小さい声で)お礼言うなっつーに…。(元の声の大きさに戻って)え?なにが?」

三上 :「あぁいえ、こっちのお嬢さんです。」

マリア:「仏田なら大丈夫でしょ。花子に悪意があったわけじゃないんだし。」

三上 :「まぁ、そうですね。じゃあ安心して事務所まで帰りましょうか。」

 仏田を背負う三上

マリア:「早く帰って着替えたいわ…。」

三上 :「はっ!お風呂…!一緒に入りましょうか!?」

マリア:「結構だわよ。」

三上 :「…しょんぼりです。」

マリア:「しっかし…なんか忘れているような…。……ま、いっか。」

三上 :「思い出せないということはそんなに大事な事じゃないんですよ。」

マリア:「それもそうね。」

 マリア、トイレから出る時に振り向いて

マリア:「(小さめの声で)今度は絶対幸せになるのよ、花子。」





Written by お風呂

もどる

☆ 演じた感想などをお待ちしています ☆