秩序と混沌の魔法使い


ブリック♂:秩序のブリックと呼ばれている魔法使い、秩序の力を由来とした魔法を使う。
       強い奴と戦うのが大好きで、悪くて強い奴と戦い続けるために秩序を手にした男。

シェイド♂:魔法使い狩りの異名を持つ魔法使い、混沌の力を由来とした魔法を使う。
       善悪問わず魔法使いを倒し続ける様は正に悪鬼のようだが、果たしてその真実は如何に。



ブリック♂:
シェイド♂:




シェイド「ちっ・・・、流石にあの数を相手にするのは無理があったか・・・」

ブリック「おい、そこのテメェ!」

シェイド「っ!」

ブリック「混沌使いのシェイドだな、やっと見つけたぜ」

シェイド「・・・貴様は秩序のブリックか」

ブリック「へぇ、流石は魔法使い狩り、知らない魔法使いはいねぇってか?」

シェイド「ふん、今までやってきた事を思い出してみろ」

ブリック「人様に迷惑かけてる悪名高い連中をぶっ飛ばしてきただけだろ」

シェイド「正義の味方気取りか、気に入らないな」

ブリック「気取りじゃねぇ」

シェイド「何?」

ブリック「事実正義の味方だ、だからこその秩序だ」

シェイド「余計に気に入らん」

ブリック「なら勝負を付けるまでだ」

シェイド「ふっ・・・」

ブリック「何がおかしいってんだ」

シェイド「それには及ばない、というだけだ・・・」

ブリック「っ、おい大丈夫か!?」

シェイド「つい先ほどまで倒そうとしてた相手の心配か・・・?」

ブリック「んな事聞いてねぇだろうが!大丈夫かって聞いてんだ!」

シェイド「見ての通りだ、貴様の下らん雑談に付き合ったせいで、
     私の命もここまでのようだな・・・」

ブリック「死ぬ理由まで人のせいかよ、悪党ってのは、これだから、よっ!」

シェイド「ふっ、何だかんだ言いながら、貴様もこの首にかかった賞金が目的・・・」

ブリック「うるせぇ、黙って寝てろ、余計な体力使ってんじゃねぇぞ」

シェイド「そうだな、生け捕りの方が報酬が・・・」

ブリック「寝てろって、言ってんだ!」

シェイド「ぐっ!?」

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シェイド「ここ、は・・・?」

ブリック「よぉ、目が覚めたか」

シェイド「貴様!っ・・・!」

ブリック「あんま無理すんなよ、傷が開くぜ」

シェイド「くっ、ここは、どこだ・・・?」

ブリック「俺の部屋だ、っても泊まってる宿屋のだけどな」

シェイド「・・・何故助けた?」

ブリック「あ?俺のせいで死なれたら目覚めが悪いだろうが」

シェイド「なっ・・・、そんな理由で、魔法使い狩りの私を助けるというのか・・・?」

ブリック「へっ、勘違いするなよ、俺は秩序を司る魔法使いだ、
     悪党だろうと命を救うのは当たり前ってもんだろ」

シェイド「それが、より多くの犠牲を生むことになったとしてもか」

ブリック「そん時は俺の手で止めるだけだ」

シェイド「・・・ふっ、大馬鹿者だな、貴様は」

ブリック「おう、よく言われるぜ、だがな」

シェイド「ん?」

ブリック「俺は貴様なんて名前じゃねぇ、テメェも知ってんだろうが」

シェイド「そうだったな、ブリックよ」

ブリック「おうよ、っとそうだ、助けた礼の代わりだ、
     どうしてあんな事になってたか教えろよ」

シェイド「そんな物が礼でいいのか?」

ブリック「おう、だから早く教えろ」

シェイド「命令か、秩序が聞いて呆れる・・・、まぁいいだろう、
     簡単な事だ、他人の恨みを買いすぎた、それだけの事よ」

ブリック「つってもテメェほどの魔法使いだ、そう簡単にはやられねぇだろ?」

シェイド「数が多かった、1人1人はそう大した事はなかったのだがな」

ブリック「多勢に無勢って事か、卑怯な奴もいるもんだな」

シェイド「悪党なんてそんな物だろう、勝てればいい、金になればいい、
     そんな奴ばかりだ、反吐が出る」

ブリック「おいおい、悪党のテメェがそれを言うかよ」

シェイド「確かに私のこの手は血に染まり、所業は悪鬼その物だ、
     だが魂まで外道に落としたつもりはない・・・!」

ブリック「シェイド・・・」

シェイド「なんだその顔は」

ブリック「あんた、思ってたより熱い奴だったんだな・・・」

シェイド「うるさい、熱さの塊のような貴様・・・、ブリックには言われたくない」

ブリック「へっ、だからだよ、俺は熱い奴には目がないんだ」

シェイド「ちっ、面倒な奴だ・・・」

ブリック「よく言われるぜ」

シェイド「はぁ・・・」

ブリック「そうそう、傷が治ったら俺と勝負だからな」

シェイド「・・・何を言っている?」

ブリック「手負いのテメェに勝っても嬉しくねぇ、ベストコンディションに勝ってこそだ」

シェイド「まさか、その為に助けたんじゃないだろうな・・・?」

ブリック「何言ってんだ、当たり前だろうが」

シェイド「悪党を倒して回っているのもそうなのか?」

ブリック「おう」

シェイド「秩序が聞いて呆れる・・・」

ブリック「それこそ何言ってんだ、大義名分持って強い奴と戦える、しかも誰にも怒られる事なく!
     そんな良い事は他にねぇだろ!だから俺は秩序の魔法を身に着けたんだ」

シェイド「そんな動機で正義の味方を続けていて辛くはないのか?」

ブリック「いいや全然、あーでも強いんだけど良い奴ってのと戦えないのはもったいねぇなぁっとは思ってる」

シェイド「・・・お前は強いのだな」

ブリック「んなこたねぇさ、まともなのに悪党続けてるお前よりは楽だって」

シェイド「っ!」

ブリック「なぁ、なんであんた悪党なんてやってんだ、混沌なんてもんにまで手出してさ」

シェイド「面白い話じゃないぞ」

ブリック「それは求めてねぇよ」

シェイド「そうか、・・・簡単な話だよ、私の生まれながらの性質がそれだった、それだけだ」

ブリック「生まれながらに?」

シェイド「あぁそうだ、私の意思など関係ない、生まれ持ったからそう生きただけ、
     気付けばこの様だ、惨めな物だろう」

ブリック「・・・・・・」

シェイド「言っておくが同情は・・・」

ブリック「あんたすっげぇよ!」

シェイド「・・・は?」

ブリック「運命から押し付けられたもんとずっと付き合ってるなんて、
     俺には絶対に真似できねぇ・・・!」

シェイド「バカにしているのか?」

ブリック「んな訳ねぇだろ、自分に出来ないことをやってのける、
     そんな奴をすげぇと思って何が悪い」

シェイド「まさか本気だとでも・・・?」

ブリック「あぁ本気だ」

シェイド「はぁ・・・、私はお前のその真っ直ぐさが羨ましく、そして妬ましいよ」

ブリック「お、そしたら戦う理由が出来たな」

シェイド「どうしてそうなる!」

ブリック「俺はお前を超えたい、あんたは俺が妬ましい」

シェイド「そんな理由で戦うというのか」

ブリック「悪党が今更何言ってやがる」

シェイド「ふっ、あっはははは!確かにそれもそうだ!」

ブリック「そうだろう、っつー訳で完治したら俺と勝負だ!」

シェイド「望む所だ、っと言ってやりたいが、どうやら叶わなさそうだ」

ブリック「あ?どういう事・・・、っ、何だ今の衝撃!?」

シェイド「恐らく私の追手だろう、外を見てみろ」

ブリック「なんだって!っ、なんて数の魔法使いだ・・・!」

シェイド「世話になった」

ブリック「おい、どうするつもりだ」

シェイド「片を付けに行ってくる」

ブリック「死ぬつもりかよ」

シェイド「私は強い」

ブリック「答えになってねぇ」

シェイド「そうならないかもしれないだろう?」

ブリック「そうなるかもしれねぇだろうが!」

シェイド「ふっ、そうだな」

ブリック「約束、破るつもりかよ」

シェイド「そんなつもりはないさ、守る努力はする」

ブリック「おいふざけ・・・!」

シェイド「そろそろ外のボルテージも限界だ、それじゃあな」

ブリック「待ちやがれ!・・・人の話を最後まで聞かねぇでどこ行くつもりだよ、
     やっぱり悪党はどこまで行っても悪党って事か・・・」

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シェイド「はぁ・・・はぁ・・・、馬鹿の一つ覚えか私は・・・、今朝がた数に負けそうになったばかりではないか・・・、
     だが逆境に立ち向かって死ぬ、悪党には過ぎた最期だとは思わんか、なぁシェイドよ・・・!」

ブリック「うるせぇ!悪党ならどんな手使ってでも生き残りやがれぇ!」

シェイド「っ、この声は!?」

ブリック「コスモスマッシャー!」

シェイド「ブリック!?」

ブリック「おぉテメェら!ケガ人相手だってのに多勢に無勢たぁやってくれるじゃねぇか!
     そんな悪行、この秩序のブリック様が見逃すと思ったのかクソ悪党どもがよぉ!」

シェイド「何をしている!いくら貴様でもこの数を相手に・・・!」

ブリック「テメェこそ何言ってやがる!これは勝負だ勝負!」

シェイド「な、なんだと?」

ブリック「どっちが多くクソ野郎をぶっ飛ばせるかの勝負だ、
     どうやらテメェは完治する気がねぇみたいだからなぁ、前哨戦って奴だよ」

シェイド「・・・ふっ、とんだ正義の味方がいたものだ、ケガ人相手に勝負を挑むとはな、
     そんな物で勝って嬉しいかね?」

ブリック「あぁ嬉しいねぇ、勝利の美酒ってのは安かろうが高かろうが美味いもんだ!」

シェイド「そうか、ならば私も味わってみねばなるまいな」

ブリック「ハッ、テメェには飲ませてやらねぇよ!」

シェイド「粋がっていられるのも今の内だ、カオティックブラスター!」

ブリック「あ、ずりぃぞ!まだ始まりのゴング鳴らしてねぇ!」

シェイド「混沌にルールが通じると思うな、さぁ征くぞ!」

ブリック「いきなり元気になりやがって、全く現金な奴だぜ!」

シェイド「礼を言うぞ、消えたと思っていた、この負けたくないという感情を、
     思い出させてくれたことを!」

ブリック「へっ!礼なら、一騎打ちで返してくれやぁ!」

シェイド「よかろう!ならばここを生き残ることだ、ブリック!」

ブリック「それはこっちのセリフだ、シェイド!」

シェイド・ブリック「うぉおぉおおおおおおおおお!」

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シェイド「片が付いたな、この様子だと私の勝ち、といった所か」

ブリック「いいや、俺の方が片手分くらい多かったな」

シェイド「何を言っている、私の方が影響を及ぼした面積が広い、
     となれば吹き飛ばした数が多いのは必然」

ブリック「あぁ!?じゃあテメェ人数ちゃんと数えてたのかよ!?」

シェイド「数えきれないほど多かったと言っておこうか、
     なんだ、貴様は数えられたというのか?」

ブリック「へん、んなもん体感だ体感!」

シェイド「ならば私の勝ちだ、私には根拠がある、面積というな!」

ブリック「んだとぉ、やんのかテメェ!」

シェイド「望む所だ、完治なんぞ待っていられるか!」

ブリック「あ、それはダメだわ、一騎打ちは治ってからだ」

シェイド「っとそれもそうだ、この体で勝ってしまっては、貴様の今までの功績に傷をつけてしまう」

ブリック「言うじゃねぇか」

シェイド「言うともさ、この混沌に火を点けた罪は重いぞ」

ブリック「へっ、楽しみだ、テメェを殺すのは俺だからな、それまで死ぬんじゃねぇぞ?」

シェイド「ほぅ、正義の味方が殺すなどと、よいのか、力を失うやもしれんぞ?」

ブリック「おうともよ、テメェの混沌人生に蹴りを付けて、
     俺は秩序の伝説を締めくくる」

シェイド「楽しみにしておこう、では次会う時は戦う時だ」

ブリック「あぁ、じゃあな、シェイド」

シェイド「また会おう、ブリック」

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ブリック「ここで会ったが運の尽きだ、今日こそテメェを殺す!」

シェイド「ふん、私こそ遅れは取らぬぞ、ここでけりを付けてくれる」

ブリック「ハッ、よく言った!行くぜ、覚悟しろよシェイド!」

シェイド「それはこちらの台詞だ、行くぞブリック!」
     先手は頂く、カオティックフォール!」

ブリック「させるかよ!コスモクラッシャー!」

シェイド「っ、相殺か、流石だな、それでこそ私の仇敵だ、ブリック!」

ブリック「そうこなくっちゃなぁ、初発で終わっちゃ面白くねぇからなぁ、シェイドさんよぉ!」

ブリック「うぉらぁああああああああ!」

シェイド「はぁああああああああああ!」


the end


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