タイトル『現実に歩む方向』
登場人物
男 30歳
女 15歳
男♂:
女♀:
男M 「俺はリストラされた。突如上司に呼び出されて突き付けられたのは社会の現実だった、
・・・急なことに動揺を隠しきれない・・なぜ?ミスもなく誰よりも一生懸命だった。
別に他人のことを見下しているわけでもない、寧ろ周りからいつも言われてきた。
「キミはいつも頑張ってるね、たまには休んだらどうだい?」と、
そんな俺が何で急に・・・リストラ?
上司に問いただした、何で俺なのかと!納得できなかった!!
しかし上司は何も言わず仕事に戻っていく。
俺に残されたのは周りからの憐みの視線。
その屈辱的な視線を浴びながらその場から去るしかなかった。」
場所 公園のベンチ
男 「はぁ〜・・どうしよ。」
女 「なにしてんの?」
男 「・・え?」
女 「こんなところでため息ついてなにしてるのさ。」
男 「ははは・・別になんでもないよ。」
女 「ふぅーん、見たところサラリーマンよね?」
男 「う・・うん、そうだよ。」
女 「仕事は?普通ならまだ仕事のはずだよね?」
男 「あぁ・・いや、今日はたまたま早かったんだよ。」
女 「嘘くさいなぁー。」
男 「本当だよ。」
女 「・・・まぁ私にはどっちでもいいんだけどねー。」
男 「はは・・・」
女 「隣りすわっていい?」
男 「どうぞ。」
女 「よいしょっと。」
男 「・・・(ため息)」
女 「・・・」
男 「…きみは、学校帰りかい?」
女 「うん、そう。」
男 「・・・」
女 「・・・」
男 「・・・・(ため息)」
女 「あーもう!おじさん!」
男 「は、はい!っておじさん?」
女 「そんなため息ついてたら幸せが逃げるよ!?ため息禁止!」
男 「え?」
女 「何かあったか知らないけど、そんなため息つかれると私まで嫌な気持ちになるの!」
男 「はぁ・・」
女 「私の前でそんなため息つかないで、わかった!?」
男 「えっ。」
女 「返事!」
男 「・・はい。」
女 「よし、じゃあ行くわよ。」
男 「え?ちょ・・ちょっといくってどこに?」
女 「カラオケ!」
男 「えぇー!?」
女 「気が滅入ったときはカラオケが一番なの!思いっきり歌うわよ。」
男 「そ、そんな急に言われても・・あぁちょっと!手引っ張らないの!」
男M 「されるがまま・・俺はどこの誰かもわからない女の子とカラオケにいった。
最初は女の子が歌っていたのだが、
「おじさんも歌え!」とマイクを持たされ、まったくわからない曲を歌わされた。
途中から俺も気分が乗ってきたのか、歌い始めた。
女の子は全く知らない曲なのにノリノリで合いの手をいれてくれる。
時間など忘れ、無我夢中で歌った。」
夜
女 「いやぁー!楽しかったね!」
男 「そ、そうだね。」
女 「なに・・楽しくなかったの?」
男 「いや、楽しかったよ。」
女 「じゃあそんな風に言わないで素直に言いなさいよね。」
男 「気を付けるよ。」
女 「それにしてもおじさん案外歌うまいじゃん、聴いててかっこいいなぁって思っちゃった。なんかやってたの?」
男 「別になにもしてないよ。ただ学生の頃合唱部に入ってたかな。」
女 「それをやってるっていうんじゃないの?」
男 「でももぅ昔の話だしね。」
女 「自信もちなさいよ!私が言うんだから間違いはないわ。」
男 「あはは、ありがとう。」
女 「あ、やっと笑った。」
男 「え?」
女 「さっきの乾いた笑いよりそっちの方がいいじゃない、それだけで前を向けるんだから。」
男 「・・・」
女 「じゃあ次はどこいこっか?」
男 「次って・・もうこんな時間。」
女 「えーもうそんな時間?一日って早いわねー」
男 「子供はお家に帰る時間だよ。」
女 「子供じゃないよ。」
男 「それは学生じゃなくなって、お酒を飲めるようになったらいうことだね。」
女 「・・・子供じゃない。」
男 「だからそれは――」
女 「子供じゃないもん!!!!!」
男 「・・え?」
女 「子供じゃ・・・ないもん・・・」
男 「・・・えと。」
女 「・・・」
男 「・・・」
女 「ねぇ・・」
男 「ん・・なんだい?」
女 「ホテル・・つれてって。」
男 「はい!?」
女 「私が子供じゃないって証明してあげるわ!」
男 「え?ちょ・・ちょっと!」
場所 ホテルの一室
女 「へぇー初めて来たけどいい部屋じゃない。」
男 「あのねぇー、君何考えてるの?」
女 「さっきいったじゃない、子供じゃないって証明して見せるって、だからここにきたのよ。」
男 「何度も言うように、君はまだ子供だ。」
女 「子供じゃない。」
男 「じゃあ聞くけど、いまいくつ?」
女 「15、今年16。」
男 「じゃあまだ駄目だ。」
女 「なんで!?最近じゃ15、16でえっちするなんて当たり前よ!?寧ろ遅いくらいだわ、
中学生でえっちするのが大半よ。
私じゃ魅力ない?これでも普通の人よりは顔もいいしスタイルもいいわ!
それでも不満なの?」
男 「いいかい・・確かに最近の学生はそういうことをする人は多い。
だけどね、その歳でやるのはまだ体は成長しきっていないし危険なんだよ?
それにもし、子供とかできたらどうするの、君はまだ経済力も安定してないし学生だ。
そういうことをしてせっかくできた命を殺すのかい?」
女 「できたら産むわよ!貴方なら給料も安定してるでしょ?ならいいじゃない、私と結婚してよ!」
男 「俺は既婚者だ。もう子供もいる。」
女 「じゃああなた最近えっちしてないんじゃない?私が相手になってあげるから存分に出しなさい。
そしてあなたの子供を産んで奥さんとは離婚して私と結婚してもらう。」
男 「なっ・・君はいきなりなんてことを言うんだ!」
女 「嬉しいでしょ、ぴちぴちの学生とできるのよ?」
男 「するわけがない、そもそも君とは今日会ったばっかりじゃないか。」
女 「大人の人は一夜限りの関係なんて当たり前でしょ!」
男 「する人はいるけど俺はしない!」
女 「いいわよ、私が勝手にするから、お風呂入ってくる。」
男 「ちょっと!」
女 「逃げないでよ・・」
女 はける
男 「あぁーもう!」
男、携帯電話をだし、誰かにかける
男 「もしもし?俺だ。今日は帰れそうにない。ちょっと上司に捕まっちゃってね。
明日の朝帰るよ・・・うん・・うん・・・わかった。それじゃあね」
女入場
女 「またせたわね。」
男 「俺は待ってないんだけどね」
女 「ふぅーん」
女ベットに移動
女 「始めよう。」
男 「俺はしないっていってるじゃないか。」
女 「ヘタレ。」
男 「・・・・」
女 「じゃあいいわよ私からするから。」
男 「やめなさい。」
女 「いやよ。」
男 「なんで見ず知らずの男にこんなことをするんだい。」
女 「さっきも言ったじゃない私が大人だってことを証明するって。」
男 「・・・・わかった・・じゃあ証明してもらおうかな。」
女 「え?」
男、女をベットに押し倒す
女 「きゃっ!」
男 「確かに、スタイルもいいし顔もいいね・・虐めがいがありそうだよ。」
女 「ねぇ・・ちょっと!?」
男 「君の言うとおり、最近はヤってなくってね、すごく溜まってるんだ。」
女 「い・・・いや・・」
男 「たっぷり可愛がってあげるから・・・大人を見せてくれよ?」
女 「・・・いやだ!やめて!お願い!!」
男 「君が望んだんじゃないか、こういうこと。」
女 「誰か!誰か助けてぇ!!!」
男 「・・・・」
女 「いやだぁ・・なんでもするから・・許してぇ・(泣き出す)」
男 離れる
女 「ひっく・・・・え?」
男 「本当はしたくないんでしょ?体震えて泣くくらいまで嫌なんでしょ?」
女 「・・・」
男 「したくないならしない、初めては誰だって怖いけど、見ず知らずの男にヤられるのはもっと怖い、
ちゃんと好きな人ができた時にヤりなよ。」
女 「・・・(頷く」
男 「はぁー全く、君は何がしたいのかわからないよ。」
しばらく間
女 「・・ねぇ。」
男 「なんだい?」
女 「貴方の家族・・仲良い?」
男 「急だな・・そうだな、まぁ仲は良いけどそれがどうかしたの?」
女 「・・別に。」
男 「・・・」
女 「・・・なんでこうなっちゃったんだろう。」
男 「・・・」
女 「・・・はぁ。」
男 「何があったか知らないけど、そんなため息つかれると俺まで嫌な気持ちになるよ?」
女 「え?」
男 「キミが俺に言った言葉だよ。」
女 「あ・・」
男 「まさか俺が君に言うとは思わなかったけど。」
女 「私もまさかおじさんに言われるとは思わなかったわ。」
男 「あはは、言うの忘れてたけどおじさんというのはやめてくれ、まだそんな年じゃない。」
女 「えー?見るからにおじさんじゃない?剃り残しあるし。」
男 「生まれながら毛が濃いからしょうがないの!」
女 「あはははは。」
男 「まったく。」
間
女 「そういえばお兄さん、なんで公園にいたの?」
男 「あぁ・・リストラされたからだよ。」
女 「リストラ?」
男 「そう、突然いわれてさ、みんなからはいつも将来安泰な職業だとか言われるけど全然そうじゃないんだよ。
いつもリストラに怯えながらも一生懸命仕事してる。
最近じゃ追い出し部屋っていうリストラ部屋みたいなものもあるし大変なんだよ。
自分は仕事は周りからみたらできてる方だったけど、油断してたら急に上司から言われたんだ。
こんなこと妻に言えなくてね、公園で悩んでいたんだ。」
女 「そうだったんだ・・ごめんなさい、私、無責任なこと。」
男 「大丈夫だよ。」
女 「でも!――」
男 「君は?」
女 「えっ。」
男 「君は何に悩んでるの?」
女 「・・・」
男 「あんな事をしたくもないのにするのは、何かしらの理由があるってことでしょ?
話したくないなら話さないでいいけど、キミは大人なんだから話してくれるよね?」
女 「うっ・・それ卑怯。」
男 「笑いながら)君からでしょ言い始めたのは。」
女 「そうだけど。」
男 「・・・」
女 「・・・」
男 「・・・」
女 「・・あーもう!わかったわよ話せばいいんでしょ!」
男 「あはは。」
女 「何笑ってるのよ!」
男 「いや別に、なんでもない。」
女 「・・・私の悩みは、家庭のこと。」
男 「うん。」
女 「物心ついたときはお父さんとお母さん仲良かったんだけど、私が中学生くらいの時にお父さん事故で足を骨折しちゃったんだ。
それで会社クビになっちゃって・・その時からかな、おかしくなったのって。
お父さんはギャンブルに明け暮れて、借金ばかりするようになっちゃったの。、
お母さんに暴力振るうなんて日常茶飯事。
お母さんは私にはいつも笑顔を向けてくれてるけど無茶してる。
バレバレだもん。そんな日が続いて・・私が高校入学した時に、お母さん倒れちゃったんだ。」
男 「そっか。」
女 「その時私は悟った・・次は私なんだって・・でも私の帰る家はあそこしかない。
殴られたわ・・私は何も悪くないのにお父さんは私を殴ってくるの!
ただイラついてるのを解消するためだけに私を殴るの!
だから朝一番に学校に行ったわ、学校だけが私のやすらぎだった。
学校にいるときだけが何もかも忘れられた。
だけど家に帰れば地獄よ、私はもうこんな生活は嫌・・
公園でお兄さんを見つけた時思ったわ。
この人も何か悩んでるって、私と同じだって・・だからお兄さんに話しかけたのよ。
この人だったらできるんじゃないかって。
子供ができれば私はあの家から解放される!もう苦しまなくてもいいんだって!」
男 「・・・」
女 「もぅいやよあんな家、こんな家と比べたらお兄さんの家は幸せそうでいいわね・・あったかそう。」
男 「・・そうだね、妻と喧嘩することは時々あるけど、仕事帰りの家族での夕飯はすごく癒される。」
女 「いいなぁ・・またそんな家族に戻りたいな。」
男 「戻れるよ・・きっと。」
女 「無理だよ、あの時から父さん・・変わっちゃったもん。」
男 「じゃあ戻してあげればいいじゃない、キミが。」
女 「・・無責任なこと言わないでよ。」
男 「ごめんね・・俺あんまりうまいことは言えないから。」
女 「ふん・・」
男 「人それぞれ家庭の事情ってのはあるものだけど・・キミはまだ浅いよ。」
女 「なにそれ・・なんもわからないくせに!」
男 「俺はね、親を知らないんだ。」
女 「え?」
男 「俺は親を知らない、赤ん坊の時に親に捨てられていたんだ。」
女 「・・うそ」
男 「ほんと、だからキミがそうやって感情を両親にぶつけることができるのは、凄く羨ましい。」
女 「・・・」
男 「俺にはないかけがえのないものをキミは持ってるじゃないか。まぁ俺には妻と子供がいるけどね。」
女 「・・一言余計よ。」
男 「あはは・・ごめんね。」
女 「・・・ねぇ。」
男 「ん?」
女 「私・・どうすればいい?」
男 「あはは、そこは自分で考えなくちゃね。」
女 「わからないよ!」
男 「本当にそうかな、キミが一番両親のことをわかっているんじゃないかな?」
女 「わからないわよ・・そんなの。」
男 「考えてないだけ、全て答えが返ってくるほど大人の社会ってのは甘くないよ。」
女 「うぅ・・・」
男 「まぁ・・あんまり人の事言えないけどね。」
女 「そ・・そうよ!貴方はどうするのよ。」
男 「俺は・・そうだね、ありのままを話してハローワークにでもいくしかないかな。」
女 「なにそれ。」
男 「さぁ、俺は問題解決したよ。キミは?」
女 「うぅ・・・」
男 「どうするの?」
女 「・・あーもうやるわよ・・やってやるわよ!!お父さんくらい捻じ伏せてやるわ!
まず私の気持ちをお父さんにぶつける。その後どうなっても知ったことじゃないわ!
でも必ず戻して見せる。殴られてもめげないわよ、とことん戦ってやるわ!」
男 「ふふふ・・・そのほうがキミにあってるね。」
女 「当然よ!暗い私なんて私じゃないわ!」
男 「うん、その意気だ。」
女 「もぅ遅いし早く寝ましょ!」
男 「そうだね。」
女 「・・・・」
男 「どうしたの?」
女 「あ、あのさぁ・・」
男 「なに?」
女 「・・・・・ていい?」
男 「ん?」
女 「一緒に寝ていいかってきいてるの!」
男 「・・・・」
女 「・・・・な、なによ」
男 「あははははは!」
女 「なによ!!笑うことないじゃない!私だってその・・寂しいときくらい――」
男 「いいよ。」
女 「っ・・・」
ベット、隣同士で寝てる
女 「・・おきてる?」
男 「なに?」
女 「・・抱きついていい?」
男 「ふふ・・どうぞ。」
女 男に抱きつく
女 「あったかい・・」
男 「それはよかった(なでる」
女 「・・えへへ」
男 「おやすみ。」
女 「おやすみ。」
翌日 朝 公園
女 「伸びながら)んー!いい天気!」
男 「そうだね。」
女 「迷惑かけたわね。」
男 「いや、お互い様さ。」
女 「・・・ここでお別れね。」
男 「うん。」
女 「ありがとう。」
男 「こちらこそ。」
女 「・・・」
男 「・・・キミは子供だって俺言ったよね?」
女 「え?・・うん。」
男 「訂正するよ。」
女 「えっ・・」
男 「キミは今日から大人になった。これから頑張っていくキミの姿は、きっとお父さんにも届くさ!」
女 「・・・」
男 「頑張ってね。」
女 「うん、ありがとう!またね!」
女 去る
男M 「女の子は・・いや、彼女は元気よく去っていった。
この彼女との出会いは、かけがえのないものとなるだろう。
俺は社会の現実、彼女は家庭の現実。
お互いに悩むことは違えど、新たな道を見出すことができた。
この先、またその壁にぶつかるだろうが、もぅ迷わない。
悩んでいてもしょうがないんだ。まず一歩そしてまた一歩・・進める勇気さえあれば。
人間は成長することができる。
あれから妻にすべてを打ち明けた。攻められると覚悟していたが、妻はまた頑張ろうと言ってくれた。
二か月後、俺は再就職を果たした。あれからあの彼女の姿を俺は見ていない。
時折あの公園へ行っては見るものの、どこにも彼女の姿はなかった。
残念な気持ちもあるが、進むべき道を行っていると、俺は信じている。
だって彼女は・・・立派な大人なのだから。」
七年後
会社 男 書類をまとめている
女 「おはようございます!今日この会社に入社しました!よろしくお願いします!」
男 「あぁーよろしく・・っ!?」
女 「どうかしましたか・・・あっ」
男 「・・ふふっ」
女 「・・・」
男 「キミ、名前は?あの時は聞きそびれてしまったからね。」
女 「ふふっ・・はい!私の名前は―――」
END
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