Lifelong activity <生涯現役>

デューク・アンドリューズ 爺さん、稀代の殺し屋、隠居した凄腕
ヒューゴ・バークレイ 若造、名の売れた賞金稼ぎ



デューク♂:
ヒューゴ♂:




デューク「若いの、ヒューゴとか言ったか、こんな老いぼれをこんな所に呼び出して、何用だね」

ヒューゴ「惚けるな、稀代の殺し屋、デューク・アンドリューズ、それともオーバーサクリファイスと呼んだ方がいいか?」

デューク「これは懐かしい二つ名だな、それも格別センスの無い物を持ってきたものだ、
     確かに、そのデューク・アンドリューズで間違いないが、ワシは隠居した身なのだが?」

ヒューゴ「知らないわけじゃないだろう、貴様の首に掛けられた賞金、それが未だ上がり続けていることも」

デューク「だから隠居したと言っとろう、現役時代ならまだしも、自分の首の価値なぞ気にしとれんわ」

ヒューゴ「ふん、隠居したとは思えない体つきだがな」

デューク「もはや癖だよ、老いというのは恐ろしい物だ、殺し合いよりも確かな死を感じる、
     お前さんには分かるまい、ある日今まで出来ていたことが急に出来なくなる恐怖、
     お陰で未だにトレーニングは欠かせん」

ヒューゴ「天才と呼ばれた男が弱気な物だ、まさかとは思うが、銃の使い方も忘れたとは言うまいな」

デューク「おや、これから殺そうとする者に武器を与えるかね、どういうつもりだ?」

ヒューゴ「俺にも賞金稼ぎとしてのプライドがある、無抵抗の老人を殺して金を貰っても嬉しくないんでな」

デューク「といいつつ、与えるものはリボルバー一挺、己はカスタマイズしたマシンガンを二挺と来たものだ、
     プライドという言葉の意味はなんだったかねぇ」

ヒューゴ「貴様を甘く見るつもりはない、あのデュークに戦って勝った、その名声さえあればな!」

デューク「っと、危ない危ない、ほれ見た事か、結局プライドより名声ではないか」

ヒューゴ「休んでいる暇なんてあると思っているのか、ご老体」

デューク「ふっ、わざわざ声をかけてからとは、素晴らしい敬老精神だ!」

ヒューゴ「どこを撃っている、耄碌したか殺し屋!」

デューク「むっ、ちぃ!」

ヒューゴ「あっははは!逃げているぞ、あの誰もが恐怖したデューク・アンドリューズがこの俺から!」

デューク「ふん、なんとも猪口才な、こうも手入れの疎かな銃を渡して自慢げに語らうか、
     しかしあの小僧の言うとおりだ、ワシも耄碌したものよ、握った時点で気付かんとはな」

ヒューゴ「何をぶつぶつ言っている、早くも神へ祈り始めたか」

デューク「自らの愚かさを嘆いていた所さね、だが、この様な細工をするのであれば、オートを渡すんだったな!」

ヒューゴ「まさか、くっ!」

デューク「道具無しの急ごしらえにしては上出来であろう、まだ大分甘いがな」

ヒューゴ「クッ、そうでなくては、そうでなくてはな!」

デューク「なっ、ショットガンだと、くっ!」

ヒューゴ「貴様の言うとおりだ!苦もなく殺すつもりであれば武器を渡さず殺している、
     渡した上でやるのであればオートを渡し、ジャムらせればいい、
     やはり老練したガンナーは違う、いや、ガンスリンガーと言うべきか、なぁデュークよ!」

デューク「どこに隠し持ってたやら、この老いぼれに容赦の無い物だ、全く」

ヒューゴ「しかし、やはり年老いたとはいえ良くかわす、その動き、現役から衰えてないのではないか?」

デューク「お褒めの言葉、ありがたいな、だがそれは過大評価だ、残念ながらあの頃には遠く及ばぬよ」

ヒューゴ「それは残念だ、全盛期の貴様と戦ってみたかったよ」

デューク「ふっ、やめておけ、死ぬぞ?」

ヒューゴ「減らず口を叩けるのであれば平気だな、行くぞ!」

デューク「今度はアサルトライフルか、やりすぎは良くない、手の内が明けるぞ!」

ヒューゴ「ほぉ、この火力差で飛び出すか、よっぽどの恐れ知らずと見た!」

デューク「これくらいの弾幕、あの死地に比べればまだまだよ、ほれ!」

ヒューゴ「ぐっ、手にもった銃を的確に!?」

デューク「頭を狙わなかっただけありがたいと思うんだな」

ヒューゴ「ちっ、手加減だと・・・、後悔させてやる」

デューク「あの口ぶり、まだ何か隠し持っていそうだな」

ヒューゴ「吹き飛べ!」

デューク「っ、あのバカ、バズーカまで、くっ!」

ヒューゴ「どこに隠れても無駄だ、遮蔽物など関係ないのだからな!」

デューク「隠れても無駄、か、これでもかね」

ヒューゴ「っ、あれは俺の手榴弾・・・、ちぃ!」

デューク「俺の、と言ったか、これはそこの物陰で拾ったのだがね、
     お前さんのだったのか、他の武器も同じ様に隠してたんだろう」

ヒューゴ「ふん、だが他に何がどこに隠してあるか分かるまい、俺が有利なのは・・・」

デューク「そこにショットガン、さっきのアサルトライフルはあっち、
     恐らくそこの高台にスナイパーライフル、だろう?」

ヒューゴ「なっ・・・・!」

デューク「おや、図星か、単純な思考だな、さて、これでも有利と言えるかね」

ヒューゴ「くっ、貴様はリボルバー、俺はバズーカ、これで対等な訳が無い!」

デューク「甘い、甘いな・・・」

ヒューゴ「砕け散れ!」

デューク「仕方あるまい」

ヒューゴ「見ろ!一歩も動けずじまいだ、所詮は老兵、俺に勝てる訳が、ぐぁ!?」

デューク「爆発の位置で気付かず、棒立ちとはな、甘いにも程があるぞ、若造」

ヒューゴ「なんでだ、何で一歩も動かずそこに居て、無傷なんだ!」

デューク「撃ち落したのさね、このリボルバーでバズーカ弾をな」

ヒューゴ「そんな馬鹿な・・・、人間技じゃない・・・・」

デューク「利き腕を撃った、もうまともに狙いを付けられなかろう」

ヒューゴ「くっ、片腕が使えなくともマシンガンなら・・・!」

デューク「まだ足掻くか、ならば」

ヒューゴ「っ、ぐぁぁぁあああ!足がぁ!?」

デューク「チェックだな」

ヒューゴ「ぐ・・・、殺せ・・・・」

デューク「お前さんは馬鹿かね、俺にはお前を殺しても1セントも入ってこん、
     ならば未来ある若者を殺すには忍びなかろう」

ヒューゴ「ならば俺がお前を殺しておしまい・・・!」

デューク「だから馬鹿かと、お前さんの生殺与奪権は俺が持っている、
     その俺が生きて帰れと言っている、ならば素直に帰るのが筋じゃないかね」

ヒューゴ「くっ、俺に生き恥を晒して生きろと言うのか!」

デューク「そう言っている、敬老精神を忘れ、金と名声に目が眩んだ己を恥じて生きるとよい、
     そして、生きて税金を払ってくれたまえ、俺の年金がちゃんと貰える様にな」

ヒューゴ「・・・・・なんで殺さない」

デューク「老いが怖くなったと話したな、それと同時に、若い命を奪うのが惜しくなったのだよ、
     だから今こうして隠居し、健康爺さんとして余生を楽しんどるんだ」

ヒューゴ「だが、今ここで殺さねばまたいつか・・・・」

デューク「あぁ、また来てくれ、なにぶん俺は知り合いが少ない、
     敵も友も死に過ぎた、どっちとして来てもらっても構わんぞ」

ヒューゴ「そうか・・・・・、では、一度くらいは友として来てやろう、
     そうだな、借りは必ず返す、何らかの形でな」

デューク「ふぅ・・・・、去ったか、いやしかし、これだから賞金首は辞められんな、
     殺すは惜しいが戦いはやはり楽しい、さてさて、次の友はどんな賞金稼ぎかね」


fin...


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