後悔しない最後の迎え方
橘 茜♀ | 姉、病院に勤めている。リアリスト、家族思い。 |
橘 優衣♀ | 妹、大学生。お姉ちゃん大好き。 |
茜♀:
優衣♀:
優衣「お姉ちゃんおはよー」
茜「お、おはよー優衣、今日は珍しく早いね」
優衣「あれ、私いつも通りの時間に起きたつもりだったけど・・・」
茜「おや・・・、あぁそうだ、今日は私が遅出なんだったわ」
優衣「そうなんだ、珍しいね」
茜「うん、今朝電話あってね、今日はゆっくりでいいよーって」
優衣「あはは、いつもと逆のパターンなんだね」
茜「本当ね、てっきり急患でも入ったのかと思って身構えちゃったもの」
優衣「そうじゃなくて良かったね」
茜「んー、本当に良かったって言えるのか実は微妙でねぇ」
優衣「ん、何かあったの?」
茜「ほら、話題になってるあれよあれ」
優衣「あれ?」
茜「世界が明日滅ぶって奴よ」
優衣「あー、そう言えばさっきネットで見たなぁ、ガセじゃないの?」
茜「私もそうだと思うんだけどねぇ、職場からそれを理由に言われちゃうとさ」
優衣「ちょっと怪しいね」
茜「でしょー?でも私は国の陰謀だと思うのよ」
優衣「国の?」
茜「来年から今日を祝日にするんじゃないかってね」
優衣「滅亡回避記念日みたいな?」
茜「そうそう、来年は日本国民どころか地球中みんなの記念日になるの」
優衣「強引に全世界の人を休ませちゃう記念日を作るのかぁ、
考えた人凄いね」
茜「実行に移しちゃう政府が凄いと思うよ、徹底してるし」
優衣「お姉ちゃんの病院って国のだっけ?」
茜「そうそう、公営よ、ウチに来てるってことはお役所とかにも行ってるかもしれないね」
優衣「凄いなぁ、その上私立大学にも手を回してるんだもん」
茜「あれ、優衣の学校も?」
優衣「うん、今日は単位に影響しないから休んでもよし、だって」
茜「あはは、本当に徹底してる、で優衣は行くの?」
優衣「行くよー、記念日になるの来年でしょ、折角皆勤なのに、勿体無いからね」
茜「そうだね、単位と出席はまた別ですよーって言われたら堪ったもんじゃないし」
優衣「ふふっ、本当に、先生の言ってる事って当てにならないんだもん」
茜「先生ってのはどこでも一緒って事だ」
優衣「あ、そっか、お姉ちゃんの所も先生だ」
茜「そういう事、っとそろそろ出なくちゃ」
優衣「気をつけてね」
茜「優衣も、滅亡に巻き込まれちゃダメだぞー」
優衣「あはは、そんなのどこに逃げたらいいのよ?」
茜「それもそうだ!それじゃあ行ってきます!」
優衣「行ってらっしゃい!」
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優衣「はぁ・・・、あんな驚かなくてもいいじゃない、
しかも真面目なのか能天気なのか、だって、
それなら単位がーとかじゃなくて休みだって言ってくれればいいのにね・・・、
もしかしてアレ、本当なのかな・・・」
(数メートル先に一組の男女が落下してくる、それは一目見て即死だと分かる状態になる)
優衣「ん、ひっ!な、なに?飛び降り自殺・・・!?しかも目の前で・・・!
いったい何だって言うのよ、ありえな・・・、っ!?」
優衣「なんで、なんであの子が・・・!嘘だよ、ありえない、ありえない・・・!」
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(勢いよく玄関の開く音)
優衣「はぁ・・・はぁ・・・」
茜「お、おかえり、そんなに急いで・・・?」
優衣「お姉ちゃん!」
茜「っと、もう、どうしたの?」
優衣「お願い・・・、ちょっとだけこうさせてて・・・」
茜「はぁ、しょうがないな・・・」
優衣「・・・・・・」
茜「・・・・・・どう?」
優衣「ありがと、ちょっと落ち着いた・・・」
茜「ん、それで、何があったの?お姉ちゃんに話してごらん?」
優衣「飛び降り自殺、見ちゃったの・・・」
茜「え・・・」
優衣「それも、落ちてきた所・・・」
茜「うわぁ、それは私でも辛い・・・」
優衣「しかもね・・・」
茜「ん?」
優衣「知ってる子だったの・・・」
茜「もしかして、友達?」
優衣「ううん、同じ大学の子で、一方的に知ってるだけなんだけど、
でもあの子、絶対自殺なんてするような子じゃなかったの!」
茜「・・・・・・」
優衣「やっぱり、アレって本当なのかな・・・」
茜「かもしれないわね・・・・」
優衣「お姉ちゃんもそう思う・・・?」
茜「うん、やっぱり色々おかしいんだよねぇ」
優衣「どういう事・・・?」
茜「あはは、その前にちゃんと椅子に座りなよ、私も話しにくいわ」
優衣「あ、ご、ごめん」
茜「気にしないでいいのよ、甘えられるの私も嫌いじゃないし」
優衣「じゃあもう少しこのまま・・・」
茜「こら、それとこれは話が別」
優衣「はーい」
茜「そんなだからいつまで経っても彼氏出来ないのよー」
優衣「外じゃ普通にしてるんだけどなぁ」
茜「根っこはそんな簡単には変わらないの」
優衣「・・・かもね」
茜「ふふっ、拗ねない」
優衣「分かってるよ、それで何がおかしいの?」
茜「あぁそうそう、病院行ったらね、みんなして結構バタバタしてるのよ、
人にゆっくりで良いって言ったくせにね」
優衣「え、どう言う事?」
茜「入院患者の家族に連絡したり、患者さんにどうしたいのか聞いたりね、
みんな最期の日に悔いが無いように、だって」
優衣「え、それって、横になってなきゃ危ない人も・・・」
茜「うん、家族が迎えに来ててね、もーおかしくなりそうだったわよ、
朝はガセだと思ってたんだけどなぁ」
優衣「それを説明しないといけないんだもんね・・・」
茜「本当にね、・・・私も極め付けがあってさぁ」
優衣「何か、あったの?」
茜「うん、凄い治療頑張ってる子がいたんだけどね、その子が病院抜け出してたんだよね・・・」
優衣「家族の人が迎えに来たとか、じゃなくて?」
茜「付き添いの人はいたらしいんだけどね、それが年の離れた友達で」
優衣「何それ・・・?」
茜「あぁいや、身元もはっきりしてるし、怪しい事はない、と思うんだけど・・・」
優衣「今のご時世何があるか分からないよ・・・」
茜「いや、まぁでもそうか、何も知らない人が聞いたらそうなるわよね」
優衣「止めた方がよかったんじゃない・・・?」
茜「私が間に合ってたら止めちゃってたかなぁ」
優衣「もしかしたら、病院もそうなるの分かってたんじゃないかな」
茜「かもね、はぁ、そうなるとやっぱり本当なのかなぁ・・・」
優衣「お姉ちゃんも、怖い?」
茜「何言ってるのよ」
優衣「え?」
茜「最期の1日、いつも通り過ごしちゃったじゃない!」
優衣「あ、あー!」
茜「あー、この間教えてもらったお店まだ行ってないのにぃ、
今日マサトのライブもあったらしいし、もっとやりたい事沢山あったー!」
優衣「え、マサトライブあったの!?行けばよかったー!」
茜「ねー!もう、なんでもっとちゃんと最期だって教えてくれなかったのよぉ」
優衣「もっとちゃんと教えてもらってても信じなかったくせに」
茜「あ、それ言っちゃう?」
優衣「姉妹だもん、お姉ちゃんの事はよーく分かってるよ」
茜「優衣の癖に生意気ね」
優衣「ふふっ、だって嬉しかったんだよ、安心したんだよ」
茜「ん、何が?」
優衣「不安で、怖くてしょうがない時に、玄関開けたらお姉ちゃんがいたんだもん、
嬉しかったよ」
茜「・・・そっか、でも」
優衣「でも?」
茜「なんの理由にもなってませーん!」
優衣「わー!ごめんなさいー!許してー!」
茜「ダメー!そういう子はここをー、こうだー!」
優衣「ちょっと、ダメだって!あはは!くすぐったいー!降参ー!」
茜「これくらいじゃ許してあげないぞー!」
優衣「やだやだ止めてー!死んじゃうー!」
茜「それ冗談になってないからやめようか」
優衣「え、超幸せだと思うよ?」
茜「笑い死にって苦しいらしいよ?」
優衣「じゃあやだー!」
茜「ぷっ、あはははは!」
優衣「あっはははは!」
茜「あー、楽しかったぁー」
優衣「こんなにじゃれあったの久しぶりだねー」
茜「そうね、最近私も仕事忙しかったし」
優衣「構ってくれなくて寂しかったんだよ?」
茜「彼女じゃないんだから」
優衣「最初で最後の恋人になって、お姉ちゃん」
茜「ごめん、私そっちの趣味はないの」
優衣「大丈夫、言ってみただけ」
茜「じゃあ真顔で言わないの!」
優衣「あいた」
茜「もー、ちょっとだけ本気かと思ったじゃんかぁ」
優衣「あはは、流石にお姉ちゃん大好きでも恋愛感情はないよー」
茜「その言い方はちょっと悔しいかな」
優衣「ふふっ、ごめんね、でも生まれ変わったらまた家族になりたいなぁっと思うくらいには好き」
茜「世界が滅ぶのに生まれ変われるのかな?」
優衣「あー、夢の無いこと言わないのー!ほら!他の星にもいるかもしれないじゃん人間!」
茜「魂って宇宙を越えると思う?」
優衣「そういう事にしよう!」
茜「あっははは、誰の権限でよー!」
優衣「えっとー、私?」
茜「そんな力あるなら世界の滅亡止めて止めて」
優衣「それは管轄外かなぁ」
茜「なんの管轄よ!」
優衣「あはは、わかんなーい!」
茜「何それー!」
優衣「なんとなくだよー!」
茜「だと思ったー、はぁー、騒いだら喉渇いちゃった、優衣は?」
優衣「私もー、コーヒー牛乳飲みたいー」
茜「はいはい、また手のかかる物を・・・、お湯沸かしてくるから用意しといて」
優衣「ラジャ、あ、そうだお風呂沸いてる?」
茜「忘れてた、こっちやっとくからそっちよろしく」
優衣「はーい!」
茜「あー、そうだ優衣!」
優衣「んー、なーにー?」
茜「お姉ちゃんも優衣のこと、好きだよー!」
優衣「んふふ、私もお姉ちゃんのこと大好きー!」
茜「知ってるー!」
優衣「私も知ってるー!」
茜「あはは、それじゃお風呂よろしくー!」
優衣「はーい!」
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w