神の徒《カミのトモガラ》 第二話

土の神徒 レオニード
堅物で融通の利かない男、自然を憂いている。
他の神徒よりも年上。大地と植物を扱う。


風の神徒 アストリット
明るく活発的な女、頭の回転が早く場をかき回すのが好き。
狡猾で自信家。風と雷を扱う。


レオ♂:
アスト♀:



レオ「庭園から出るのは久しい、全てが思うままの世界、
   と言えば聞こえはいいが、所詮は神の力で作り出した物、
   やはり外界の自然な美しさには叶わぬな、
   ん、陸地が見えてきたな、少し急ぐとするか」


レオ「・・・なんだこれは、人間が住んでいた後と言うには
   違和感を覚えるほどの壊れ方ではないか・・・」

アスト「やぁ、遅かったじゃないか」

レオ「っ!」

アスト「あっとそんな身構えないでよ、同胞の声も忘れちゃったのかい?
    僕だよ、レオニード」

レオ「・・・敵地で突然後ろから声をかけるのは止めて欲しいものだな、アストリット」

アスト「そんな場所でぼーっとしてる君が悪いんだ、
    これが本当に敵だったらぐさー!だよ?」

レオ「敵意を持って近付かれれば私とてもっと早く気付いていたさ」

アスト「どうだか、さて、ぷかぷか浮いたままお話もなんだし、
    一度君の大好きな地べたに下りようか」

レオ「・・・あぁ、そうだな、そうするとしよう」

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アスト「良い感じに座れそうな所はっけーん、よいしょと」

レオ「のん気なものだな」

アスト「あ、自分で座れる所探してね」

レオ「私はこのままで構わん」

アスト「そっか、ならいいや」

レオ「・・・アストよ」

アスト「んー?」

レオ「これは、貴様がやったのか?」

アスト「違うよー」

レオ「ならば一体誰がこれを?」

アスト「・・・お人形さんだよっ」

レオ「人形・・・?」

アスト「そう、お人形さん」

レオ「ふざけるな、人形如きにこんな仕業が出来るわけないだろう!」

アスト「おや、それを君が言うの?ちゃんちゃらおかしいね」

レオ「なんだと・・・!」

アスト「だってそうじゃないか、僕らはなんだい?
    神の徒だろう?」

レオ「くっ、それがどうしたと言うのだ」

アスト「じゃあ神の徒って一体なんなんだい?」

レオ「決まっている、神の命を忠実にこなす僕(しもべ)だ」

アスト「僕はソレがどんな役割かなんて聞いているつもりはないよ、レオニード」

レオ「・・・貴様と哲学について語るつもりはないぞ、アストリット」

アスト「僕だってそうさ、そんな事をクソ真面目に話し合うのは、
    学者が机の上で勝手にやっていれば良い」

レオ「ならば何だ、貴様は何が言いたい?」

アスト「はぁ、これだから考える事をやめた頭でっかちは嫌いなんだ、
    すぐに答えを求めるんだもの」

レオ「私を馬鹿にしているのか・・・!」

アスト「ちょっと違う、今バカにしたんだ」

レオ「ぐっ・・・!えぇい、埒が明かん!一体なんだと言うのだ!」

アスト「ふふっ、そろそろやめてあげるか、簡単だよ、
    僕らは生物学上なんていう生き物なんだろうね?」

レオ「・・・・・・」

アスト「ほら、自然大好きな君にも答えられないでしょ?」

レオ「あぁ、確かに答えられないな、だが、貴様は分かると言うのか」

アスト「神の徒、つまり神と同類の者達ってこと、でも僕たちは神じゃない、
    それじゃあ人間かって言ったらそうでもない、なら何なんだろうね?」

レオ「それが、人形だと言うのか」

アスト「そう、引っかかるならちょっと言い方を変えようか、ヒトガタって」

レオ「・・・・・・」

アスト「しっくり来て無さそうな顔だね」

レオ「当たり前だ、唐突に貴様は人形、
   ヒトガタだと言われて素直に納得できるものか」

アスト「だけど否定も出来ない、神でも、人間でもないから」

レオ「あぁ、その通りだ」

アスト「なら良いじゃんか、ヒトガタで」
    
レオ「・・・はぁ、ならばそうだとしよう、それで、
   これは他のヒトガタ、神の徒がやったと、そう言いたいのだな?」

アスト「そういう事!やっと答えに辿り着きました!おめでとー!」

レオ「・・・となると、グレンとフィアナか」

アスト「あら、無視する事を覚えちゃったか、まぁいいや、
    そうだね、近隣はあの二人が吹き飛ばしちゃったよ、
    凄いね、跡形ナシだ」

レオ「そうだな、調整をして初めての戦いとは思えぬ働きぶりだ」

アスト「ねー、流石だよ」

レオ「それで、貴様も同じ用件で来たのだろう、何故未だここにいる?」

アスト「あのお人形さんたち、どこ行ったか分かんなくなっちゃったんだよねー」

レオ「何?」

アスト「二人とも生きてはいるみたいなんだけどねー」

レオ「裏切った可能性があるということか」

アスト「それは考えにくいかな」

レオ「何故言い切れる」

アスト「あの二人だからさ」

レオ「・・・ふむ、ならば何かトラブルが起きたと考えるべきか」

アスト「そうだね、困ったなぁ」

レオ「一つ、聞いても良いか?」

アスト「さっきから質問ばっかりだね、なぁに?」

レオ「貴様はこの戦いをどう思う」

アスト「穏やかじゃないね、裏切るつもり?」

レオ「どう思うと聞いているだけだ、答えろ」

アスト「ハッ、下から聞いてきたかと思ったら随分と偉そうに」

レオ「貴様が会話をせんからだ」

アスト「ふん、別に良いけど、なんもだよ、ただ神の言う事をはいはい聞くだけ、
    物事に対して何かを思うなんてとんでもない」

レオ「なるほど、意志も持たぬ人形と言う事か」

アスト「意志ならあるよ、楽しみたい、この力を使って滅茶苦茶にしたいってね」

レオ「それが神に与えられた仮初の物だとは思わないのだな」

アスト「ふふん、僕に限って、それは、ない」

レオ「ならば、人々だけではなく、自然を厭わず全てを壊すこのやり方に、
   抵抗は全くないと言うのだな」

アスト「もちろん、むしろ好みだよ、こういうの」

レオ「・・・そうか」

アスト「そしたら僕からも聞かせて、
    君はこれを聞いてどうしたかったんだい?」

レオ「私は、常日頃から疑問を抱いていた」

アスト「・・・おっと、しまったな」

レオ「私たちは本当に正しいのかと、神は本当に正しいのかと!
   確かに人は愚かだ、だが自然を壊してまで滅ぼす必要があるのだろうか、
   そもそも人も、自然の一部だと言えないのだろうか!
   そして、自然を自ら作り出し、元通りに出来るとはいえ、
   一度壊して望むように作り変える必要があるのだろうかと!」

アスト「あー、レオニードさーん?」

レオ「我々に!それを遂行する権利があるのか!アストリット!」

アスト「・・・はぁ、それを、権利じゃなくて義務だと思えないのかな」

レオ「ならば貴様は私の敵だ!神がどうのは関係ない、貴様は私の敵なのだ!」

アスト「分かった、なら、今ここでどっちか死のっか」

レオ「いや、まだだ」

アスト「は?」

レオ「グランドケージ!」

アスト「っ、檻・・・!?」

レオ「しばらくそこで大人しくしていろ、アストリット」

アスト「お前、何考えてんだ・・・?」

レオ「私はあの二人を探す、我々神の徒に何かあるとすれば同等、
   もしくはそれ以上の力を持った者が関わっているに違いない、
   ならば、どちらかが私のようになっているのであろう」

アスト「ハッ、お気楽だねぇ、お人形さんがそう簡単にエラーを起こす訳がないでしょ」

レオ「現に私はこうなった、可能性は大いにある、
   貴様を処分するのはそれからでも遅くはない」

アスト「後悔するよ?」

レオ「そうなるくらいならば、最初から事は起こさん、
   貴様に証明してやる、私が間違っていないと言う事を、
   それまではその命、預けておいてやる!」

アスト「・・・本当に行きやがった、全く、こんな物で足止めできると思ったら、
    ふっ!・・・大間違いなんだよね」

アスト「正しかろうが何だろうが、お前じゃ僕には絶対に勝てない、
    そう、絶対にね、ふっ、はははっ、あっははははは!」




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w