神の徒《カミのトモガラ》第一話


炎の神徒 グレン
粗暴で荒っぽい男、適当なように見えて割と人を見ているタイプ。
直情的で考えなし。炎と光を扱う。


水の神徒 フィアナ
清楚で真面目な女、融通の利かないところがあるが、根は優しい。
心配性で慎重。水と氷を扱う。


グレン♂:
フィアナ♀:


グレン「んー、やっぱ外の空気はうめぇなぁ、
    やっと辛気くせぇ所から出られたぜ!」

フィアナ「ここ最近ずっと調整室の中だったものね、
     そのお陰かいつもより広く感じるわ」

グレン「そりゃ広くも感じるだろうさ、生身で空飛んでんだ、
    いいねぇこの感覚、こんだけ変わるなら調整ってのも悪くねぇもんだ」

フィアナ「そうね、でもここまで来ると、
     調整って言うより改造と言った方がしっくりくるかしら?」

グレン「細けぇこたどうでもいいじゃねぇか、
    俺たちは新しい力を手に入れた、それだけでよぉ」

フィアナ「ふふっ、そうね、ん、見えてきたわね、あれじゃないかしら」

グレン「港か、へっ、間違いねぇな、
    あれが哀れな犠牲者共の住む町ってわけだ」

フィアナ「お前たちに与えた新たな力で、人のすむ世界を少しでも多く破壊せよ、か、
     神様も中々酷な事を仰られるわね」

グレン「逆らう奴らが悪いんだ、慈悲を与える時期は過ぎたって言われてたろうが」

フィアナ「えぇ、そうね、それに私たちは神の徒、言われた事をこなすだけ」

グレン「そういう事だ、さぁて、まずは肩慣らしだ、
    さくっと片付けちまおうぜ、フィアナ」

フィアナ「愚民に例外無き破滅を、さぁ行きましょう、グレン」

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グレン「クックク、あっははははは!他愛もねぇ、木っ端微塵だ!
    逆らう暇すらねぇ、一瞬、一瞬で消し炭だ、あっはははは!」

フィアナ「これが、新しい力・・・」

グレン「面白れぇ、こいつぁいい、少しでも多く?
    ぬるい、全滅だよ・・・、これがありゃ一人残らず消し炭だ!」

フィアナ「・・・タイダルウェイブ」

グレン「は?っ、うぉっ!?危ねぇな!しかも俺の放った炎が消えちまったじゃねぇか!
    どういうつもりだ!」

フィアナ「トドメを、トドメをさしたのよ」

グレン「あぁ?」

フィアナ「ほら、燃え盛る炎の中じゃ人が本当に死んだのか、空からじゃ分かりにくいじゃない、
     全て綺麗に流して、分かりやすいようにしたの」

グレン「なるほどなぁ、流石じゃねぇの、だが巻き込まれたらどうすんだ、
    俺だったからよけれた物を、他の奴じゃ飲まれてしまいだぞ」

フィアナ「グレンだからよ、あなたなら大丈夫だって分かってたから」

グレン「へっ、そういう事なら許してやらぁ」

フィアナ「ありがと、それと、ごめんなさい」

グレン「辛気くせぇ声出してんじゃねぇ、次行くぞ次」

フィアナ「えぇ、そうしましょう・・・、
     この港町、なんで見覚えがあったのかしら、始めてきた場所のはずなのに・・・」

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グレン「これで4つ目、あぁあ、流石に飽きてきたぜ・・・、
    なぁフィアナよ?」

フィアナ「え、えぇ、そうね」

グレン「こう手応えのある奴はいねぇのかね、
    ただ術ぶっ放して、はいおしまいってだけじゃなぁ」

フィアナ「そう、ね・・・」

グレン「おい、フィアナ」

フィアナ「っ、な、何?」

グレン「なんでそんな辛気くせぇ顔してやがる」

フィアナ「・・・これって、本当に正しい事なのかしら?」

グレン「はぁ?いきなり何言ってんだ、神に言われた事だ、
    正しいもクソもねぇだろうがよ」

フィアナ「それって、それって本当にそれで大丈夫なの?」

グレン「・・・何が言いてぇか分からねぇ、もっと分かりやすく説明しやがれ」

フィアナ「正しいも間違いも、何も無しにただただ壊す、
     本当にそれでいいの?」

グレン「だから良い悪いじゃねぇだろうが、俺たちは神の徒だ、
    その俺たちが神にそうしろと命じられた、それ以外に何かあるかよ?」

フィアナ「分かってる、分かってるの、そう、私たちは神の徒、
     神は絶対の存在、逆らう余地は無い、それは分かってるの」

グレン「じゃあ何だってんだ、何に迷ってる?」

フィアナ「・・・グレンは、何も感じない?」

グレン「・・・何をだ」

フィアナ「違和感や既視感、本当にこれで良いのかという迷い、
     ねぇ、何もないの?」

グレン「あぁ、ないねぇ、何もない、
    だから俺はお前が何を言いたいのかがさっぱり分からねぇ」

フィアナ「最初の港町、私はあそこに昔行った事がある気がしたの、
     ううん、最初の港町だけじゃない、次に壊した小さな村だって、
     私は行った事ある気がするの、その次も、さっきの場所も!」

グレン「ハッ、んな訳ねぇだろ、俺たちは神に作られた存在だ、
    今まで見た事あるのはあのだだっ広い神の庭園と、
    ただただじっとしてた、調整室だけ、
    庭園の外にあるこんな所に来た事ある訳ねぇだろうが!」

フィアナ「それも、それも分かってるの!私たちの経験なんてたったの数年、
     あの広くて狭い世界の中だけの物、だからこんなの間違ってるって分かってるの!」

グレン「間違ってるのが分かってんならいいじゃねぇか、
    どこに迷う必要があるってんだ」

フィアナ「分からない、理屈では分かってる、でも分からないの、
     心、そう、私の心が何か違うってずっと訴えているのよ」

グレン「心?造り物の俺たちにそんな精巧なもんがある訳がねぇ、
    なんかの勘違いだ」

フィアナ「あるわ、心は絶対ある」

グレン「あぁ?」

フィアナ「術を放ち、町を壊しているあなた、本当に楽しそうだもの」

グレン「そりゃ楽しいに決まってんだろ、
    この力をやっと思う存分振るえるんだ、楽しくない訳が・・・」

フィアナ「心が本当に無ければ、その楽しいと思う感情だって生まれないはずだわ!」

グレン「っ、あぁ分かった、百歩譲って心があったとしてだ、
    テメェのそれは間違ってる!俺たちは、こんな所に来た事は、ねぇ!」

フィアナ「・・・えぇ、分かったわ」

グレン「はぁ・・・、チッ、やっと分かったかよ、ならさっさと・・・」

フィアナ「だとしても、私は今やっている事を、正しいとは思えない!」

グレン「あぁなら勝手にしやがれ!こんな事、俺一人でもどうにかなる、
    嫌なら邪魔にならねぇ所に消えちまえ!」

フィアナ「嫌よ」

グレン「あぁ?」

フィアナ「あなたに、正しいと思えない事を続けさせる訳にはいかないもの、
     止める、そしてあなたも連れて帰るわ」

グレン「・・・ふざけんな」

フィアナ「ふざけてなんかいない」

グレン「ふざけんなっつってんだ!帰ってたまるかよ、
    あんな窮屈な場所に帰ってたまるかよ!
    俺の場所はここだ、俺のやるべき事はこれなんだ!
    例えテメェだろうと邪魔させるかよ!」

フィアナ「なら力ずくでも止めて見せるわ!」

グレン「やれるもんならやってみやがれ!フラッシュモーメント!」

フィアナ「っ、目が・・・!」

グレン「おぅら!」

フィアナ「ぐぅ!?」

グレン「このまま、ぶっとびやが・・・!」

フィアナ「くっ、エリアフリーズ!」

グレン「っ!体が動かねぇ・・・!?」

フィアナ「空間を凍らせたの、目が戻るまで、
     いいえ、連れて帰るまで大人しくしていてもらうわ」

グレン「ちぃ、舐めるな、イグニートセイド!」

フィアナ「っ、きゃぁぁあああああ!?」

グレン「クソ、埒が明かねぇ、マイティブースト!」

フィアナ「待って、お願い待って、行かないで、グレン!」

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グレン「はぁ・・・はぁ・・・、何だってんだ・・・、なんで思い通り技が撃てねぇ・・・!
    何で、あいつを殺せねぇ・・・!」






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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w