擬天黙示録<ギテンモクシロク> 第十三話 焦がれうねるその渦

ラファエル♂ 26歳 大天使、医療班の指揮官、温和で冗談好き、医療の腕は確か。真名はセシル。
ガブリエル♀ 24歳 大天使、本部防衛班の指揮官、優しく個を大切にするタイプ。真名はアンジェリカ。
レヴィアタン♀ 24歳 サタンを崇拝する女戦士、強気かつ真面目。七つの大罪、嫉妬を冠する。





ラファエル♂
ガブリエル♀
レヴィアタン♀




ラファエル「よし、これで準備は万端かな」

ガブリエル「なんとか間に合ったわね、これでなんとかなるといいけど」

ラファエル「するしかないよ、この防壁を超えられたら僕達の負けだからね」

ガブリエル「そうね、この先には守るべき兵も民もいるのだから、突破される訳にはいかないわ」

ラファエル「後は敵が来るのを待つだ・・・・・」

レヴィアタン「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」

ガブリエル「っ、なに、あれ・・・・!」

ラファエル「巨大な、龍・・・・・?」

ガブリエル「まさか、あれがレヴィアタン!?」

ラファエル「・・・・・生きて帰ろう」


レヴィアタン「擬天黙示録 第十三話 焦がれうねるその渦」


ガブリエル「ようこそレヴィアタン、我らが本拠地へ」

ラファエル「来ていただいたばかりで申し訳ないのだけど、お引取り願えないかな?」

レヴィアタン「ほぅ、天使というのは客人を門前払いするのか、礼儀がなってないな」

ガブリエル「・・・・意外と悪魔って礼儀正しいのね」

レヴィアタン「当然、という訳ではないが、我々とて元は人間だ、常識ぐらいは持ち合わせている」

ラファエル「と言う事はアスモデウスが特殊なんだね・・・」

レヴィアタン「その通りだ、誰も彼もあんな者だとは思われなくは無いな」

ガブリエル「それならばちゃんと客人として迎え入れたいので、人の形を取っていただけるかしら、
      何も常にその姿な訳ではないのでしょう?」

ラファエル「そうだね、それでは入り口をくぐる事すら出来ないよ」

レヴィアタン「あぁ、それならば安心して欲しい」

ラファエル「どういう、事だい?」

レヴィアタン「元より入り口をを使うつもりなど、ない!」

ラファエル「っ、来るよ!」

ガブリエル「分かってるわ、ふっ!」

レヴィアタン「甘いな、私の目的は、こっちだ!」

ガブリエル「防壁狙い、私たちだってそれを見抜けないほど間抜けじゃないわ」

ラファエル「守護の壁よ、牙剥きて、神に仇なす敵を討て!」

ガブリエル「爆逆・障壁<バクギャク・ショウヘキ>!」

レヴィアタン「っ、ぐぅ!っく、やってくれる、なぁ!」

ガブリエル「止まらない!?くぅ!」

ラファエル「っと、あれに当たりながらそのままこっちに反転とはなかなかやるね」

レヴィアタン「少し痛かったぞ、天使よ、だが罠だと分かっていれば、まずはお前たちをやるだけだ。はぁ!」

ラファエル「くっ、当たったら走馬燈も見る間もなく死んでしまいそうだね」

ガブリエル「洒落にならない冗談はやめて」

レヴィアタン「冗談でなければいいのか?」

ガブリエル「っ、嘘!?」

ラファエル「海龍の身で跳躍までするなんて・・・!」

レヴィアタン「我が罪は全てを飲み込む、御し切れぬ程の嫉妬よ、
       得と味わえ、エンヴィヴォーテックス!」

ガブリエル「・・・何も、起こらない?」

ラファエル「いや、音・・・、音がする」

ガブリエル「木の、へし折れる、音?」

ラファエル「っ、な、あんな規模の津波を魔術で発生させるなんて・・・!」

ガブリエル「そんな、嘘、でしょ・・・!」

レヴィアタン「さぁ、こんな所で終ってくれるなよ、天使!」

ガブリエル「くっ、飛びましょう、障壁に全ての力を」

ラファエル「それしかなさそうだね、よっ!」

ガブリエル「ふっ!」

ラファエル「風よ、大気よ、我に力を、救いの力を!」

ガブリエル「水よ、大海よ、我に力を、護りの力を!」

レヴィアタン「凄まじい力だ、だが、奇麗事だけではなんともならぬ事を教えてくれる!」
       はぁぁあああああああああああああ!」

ガブリエル「っ・・・・!つ、よ・・・!」

ラファエル「ぐ、ぅ、まだ、まだ、この障壁の先に、こんな物を通してなるものか・・・!」

ガブリエル「そう、よ、民を、アーサー達の帰る場所を、壊させるわけにはいかないの・・・!」

レヴィアタン「ほぅ、まさかこれを・・・」

ガブリエル「悪しきを阻むは確固たる信念なり」

ラファエル「惑いを退けるは迷い無き心なり、誓いは契り」

ガブリエル「我らの想いなり、神壁<シンヘキ>」

ラファエル「堅牢<ケンロウ>!」

ガブリエル「・・・・・・止まった?」

レヴィアタン「ふっ、油断大敵だぞ!」

ラファエル「っ、しまっ・・・!」

レヴィアタン「はぁぁぁぁああああ!」

ガブリエル「障壁が・・・!」

ラファエル「くっ、ここで止めるよ!」

ガブリエル「っ、えぇ!」

ラファエル「振り下ろされる大気は神の息吹、重圧を得て彼の者を圧したまえ!
      空圧・踏破<クウアツ・トウハ>!」

ガブリエル「降り注ぐ雨は矢となりて、神に仇なす者を打つだろう、
      降矢・滅雨<コウシ・メツウ>!」

レヴィアタン「ぐぅぅぅううううう!がっ、やってくれる、だがこの程度では、止まらん!」

ガブリエル「あぁ、街が!」

ラファエル「何て事を・・・!なんとしてもここで・・・!」

レヴィアタン「そろそろ潮時か、天使、サタン様の慈悲に感謝せよ!パーティングフォッグ!」

ラファエル「っ、霧!?」

ガブリエル「あの大きさなら、適当に打っても・・・!」

ラファエル「待ってガブリエル」

ガブリエル「っ、どうして・・・!」

ラファエル「もう、いないよ」

ガブリエル「嘘・・・!」

ラファエル「風よ、霧を吹き飛ばしたまえ、・・・ほら」

ガブリエル「・・・霧に紛れて、人の姿に戻ったのかしら」

ラファエル「恐らくね、逃げたのなら次を急ごう、人命救助を」

ガブリエル「分かったわ、応援を呼んでくる」

ラファエル「よろしく、僕は先に降りて怪我人の治療をしてくるよ」

ガブリエル「それじゃ、また後で」

ラファエルN「この後、防衛班と衛生班で破壊された街に住む人の救助、並び復興に当たる事になる、
       人員の配置後、僕とガブリエルは障壁の修復に、結果として、その間本部は無防備となった。
       あれだけの力ならば本部その物に打撃を与える事も可能だったはず、
       だと言うのに悪魔は退いた、敗北した僕達に真相を知る術も無く、
       一抹の不安を胸に抱えながら任務にかかるのだった」


レヴィアタン「次回予告」


ガブリエル「今までに無い被害を受けた天使の街」

ラファエル「強大な敵の力を目の当たりにし、軍でも様々な思想が生まれる事となる」

レヴィアタン「次回、擬天黙示録 第十四話 敗北を経て」

ガブリエル「悪魔の強さ、天使には無い、強さ」





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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w