擬天黙示録 第十一話 暴食との接触


ラファエル♂ 26歳 大天使、医療班の指揮官、温和で冗談好き、医療の腕は確か。真名はセシル。
ベルゼブル♂ 年齢不詳(見た目は青年) 残酷なまでに無邪気、無邪気であるほど残酷。七つの大罪、暴食を冠する。
ガブリエル♀ 24歳 大天使、本部防衛班の指揮官、優しく個を大切にするタイプ。真名はアンジェリカ。




ラファエル♂:
ベルゼブル♂:
ガブリエル♀:




ガブリエル「はぁ・・・、アーサーは無事かしら・・・・」

ラファエル「最近ずっとそんな調子だね、ガブリエル」

ガブリエル「っ!ラ、ラファエル!?い、いつから見てたの?」

ラファエル「10分前ほどからかな」

ガブリエル「ちょ、ちょっと!やめてよ!女性のこういう所を見るのはマナー違反です!」

ラファエル「見られたくなかったら鍵はちゃんと閉めておこうか、開きっ放しだったよ?」

ガブリエル「は、はーい・・・」

ラファエル「・・・・まぁ、心配なのは分かるよ、今までの様な膠着状態ではなくなっているからね」

ガブリエル「えぇ、きっと悪魔達も今まで以上に活発に動いている、まだ襲撃が無いのが不思議なくらい」

ラファエル「そう、だね・・・・?」

ガブリエル「ん、どうしたの?」

ラファエル「あれ・・・・・」

ガブリエル「人・・・?手を、振っている・・・・・?」

ラファエル「それも、こっちを見て・・・・・」

ガブリエル「っ、待って、それよりも!」

ラファエル「っ、結界の中にいる!?」

ガブリエル「行きましょう!」

ラファエル「そうだね」


ガブリエル「擬天黙示録 第十一話 暴食との接触」


ベルゼブル「あ、やっと来たよー、もーお客さん待たしちゃダメでしょー」

ガブリエル「あなた、何者なの?」

ベルゼブル「あれ、天使ともあろう者が相手に先に名乗らすのかなぁ?」

ラファエル「この間は名乗らせてすら貰えなかったのに今度は名乗れ、か・・・・」

ベルゼブル「あぁアスモの事かな、あっははは、光景が目に浮かぶよ、
      まぁ、いいよ、知ってて言ってるからね、ガブリエルにラファエル、
      それじゃ名乗り口上をば、我が名はベルゼブル、七つの大罪、暴食を冠せし者なり!」

ガブリエル「なっ」

ラファエル「また七つの大罪か・・・!」

ベルゼブル「おっとヤダなぁ、そんな身構えちゃって、僕は戦いに来たって訳じゃないって言うのに」

ラファエル「防壁を超えてきた悪魔が戦いに来たわけじゃない?信用出来ると思うのかい」

ベルゼブル「あ、攻撃してきちゃう?そしたら反撃していいよね?正当防衛だよね?
      僕は何も間違ってないよね?壊しちゃっていいよね!?」

ガブリエル「っ、何、この力・・・・!」

ラファエル「流石に魔王の異名は伊達じゃないと言った所かな・・・」

ベルゼブル「ほら、攻撃しておいでよ!しないの?僕はサタンに攻め込んじゃダメって言われてるんだよねぇ、
      だからそっちからやってくれないと困るんだよねぇ!」

ガブリエル「・・・・・・どうやら本当みたいね」

ラファエル「ん、君がそういうならそうなんだろうね」

ベルゼブル「・・・・・・・おもしろくないー!」

ガブリエル「面白くなくて結構です、それで、戦いもしないのに、何の用?」

ベルゼブル「あぁ、折角場所も分かったんだし、顔だけでも見とこうかなって思ってさ」

ラファエル「顔、僕達の?」

ベルゼブル「そうだよ、深い意味はないんだけどねー、まぁ好奇心って奴かな?」

ガブリエル「好奇心だけで、あの防壁を超えてきたっていうの・・・・?」

ラファエル「僕はその気持ちは分からないでもないけど、やる事は大きいよね」

ベルゼブル「ふふん、そりゃもう僕と君達じゃレベルが違うからね、やれない事はしないよ、
      大概の事は出来ちゃうけどね!」

ラファエル「大した自信だね、本当に暴食なのか怪しく思えて仕方ないよ」

ガブリエル「どういう事?」

ラファエル「七つの大罪が一つ、傲慢」

ベルゼブル「やめてよ!あんな下品なベリアルなんかと一緒にするの!」

ガブリエル「ベリアル?傲慢を冠する悪魔はベリアルっていうのね」

ベルゼブル「あ・・・・・」

ラファエル「・・・・・それって敵に言っても」

ベルゼブル「まぁいっか!」

ラファエル「いいんだね・・・」

ガブリエル「こうやって話してると、大魔王と呼ばれてるなんて想像も出来ないわね」

ラファエル「本当にね、無邪気な子供と話してるみたいだよ」

ベルゼブル「あ、やっぱり子供に見えちゃう?見えちゃう?」

ラファエル「ん、そう、だね?」

ベルゼブル「あっははは!ねぇ知ってる?それって凄いことなんだよ!」

ガブリエル「・・・・・貴方、何歳なの?」

ベルゼブル「さぁー、何歳だっけな、もう数えてないかなぁ、何十年も」

ラファエル「凄い、悪魔との契約は成長すら止めてしまうんだ・・・」

ベルゼブル「もしかして興味持ってもらえたのかな、ラファエル?」

ラファエル「えぇ、とっても」

ガブリエル「っ、ラファエル!?」

ラファエル「解剖してその原理を、いや、そこまで行かずとも細胞の一部さえあればそのメカニズムが・・・!」

ベルゼブル「・・・・・・」

ガブリエル「あぁ・・・、えぇ、そうだったわ、ラファエルはそういう人だったわね・・・」

ベルゼブル「って話が逸れたー!戻していいよね?」

ラファエル「いや待てよ、細胞分裂をしても体が衰えぬのかそれとも細胞分裂に際限がないのか・・・」

ベルゼブル「・・・・・・・」

ガブリエル「わ、私が聞くわよ?」

ベルゼブル「そうこなくっちゃね!ずっと無邪気でいるのって、子供でいるのって、難しいんだよ?」

ガブリエル「・・・・そうね、何十年もそのスタンスを通してきたんだもの、貴方はとんでもないんでしょうね」

ベルゼブル「やっと分かってくれる人がいたよ!サタンもアモンもみんな僕をガキ扱いするんだ、
      僕だってちゃんと一人前の悪魔だって言うのにさ!」

ガブリエル「こんな強大な力を持った悪魔を子供扱いだなんて・・・」

ラファエル「悪魔は力なんて関係ないよ」

ガブリエル「わっ、きゅ、急に真面目にならないで、びっくりするじゃない」

ラファエル「僕はずっと真面目だったんだけどな、まぁいいや、でもそういう事でしょ、ベルゼブル?」

ベルゼブル「その通りだよ、悪魔にとって重要なのは思想、行動、自我こそが全て、
      ブレるなんてあってはならない、それがどんなものであれ固執は美徳なんだよ」

ラファエル「とても俗っぽいね、僕達よりよっぽど人らしい」

ベルゼブル「んー、ラファエル、君は人の、違った、悪魔の褒め方をよく分かってるね!」

ラファエル「いえいえ、それほどでも」

ベルゼブル「よっし!気分がいいからいい事教えちゃうよ!」

ガブリエル「いい事?」

ベルゼブル「丁度今、ここに向かってる悪魔がいるんだよ、誰だと思う?」

ラファエル「もしかして、さっきの話の流れだと・・・・・」

ガブリエル「ベリアル・・・・?」

ベルゼブル「ぶっぶー!惜しい!ん?惜しくない?」

ラファエル「えっと、結局惜しくない?」

ベルゼブル「七つの大罪って所まではあってるんだよねー、これって惜しい?」

ガブリエル「選択肢があと5つまでに絞られたわね、かなり惜しいとは思うわ」

ベルゼブル「じゃあ惜しいって事で!」

ガブリエル「けど、私達は全員を知ってる訳じゃないから、答えようが・・・」

ベルゼブル「えぇー、降参しちゃうー?」

ガブリエル「う・・・、そう言われると意地が・・・」

ラファエル「申し訳ない、ベルゼブル様にはやっぱり敵いません、どうか答を・・・」

ガブリエル「ラファエル!?」

ベルゼブル「ふっふっふー、大天使にそこまで言われちゃしょうがないなぁ、教えてあげるよ!」

ガブリエル「・・・・・もう、これ私喋らなくていいかな・・・」

ベルゼブル「実はねぇ、今嫉妬のレヴィアタンが接近中なんだよー!」

ラファエル「っ、レヴィアタンが!?」

ガブリエル「サタンの側近、荒れた海の化身・・・・」

ベルゼブル「あっははは!そういう事!大変だねぇ、やられちゃうよー!」

ラファエル「まさかサンダルフォン様とマルクト様が不在のこのタイミングで・・・・!」

ガブリエル「で、でも、この間はアスモデウスを三人で・・・・!」

ベルゼブル「あ、あいつは本当に強いよ?悪魔の中でもトップクラスじゃないかな?」

ガブリエル「・・・・・どうしよう」

ベルゼブル「封印、解いちゃえば?」

ガブリエル「っ、それは!」

ラファエル「最終手段だね、今決断するには早計過ぎる」

ガブリエル「ラファエル、それ、本気なの?封印された堕天使を開放するなんて」

ラファエル「全滅よりは遥かにマシだと思うよ、だから、最終手段だよ」

ベルゼブル「さって、言いたい事は大体言ったし、そろそろ帰るねー!」

ガブリエル「ちょっと待ちなさい!」

ベルゼブル「ん、なぁにー?」

ガブリエル「なんで、私たちにそんな事を教えてくれたの?」

ベルゼブル「ふふん、気に食わなかったから」

ガブリエル「え?」

ベルゼブル「ヒントはそこまで、じゃあまた会える日を楽しみにしてるよ、ばいばーい!」

ラファエル「・・・・消えた、ね」

ガブリエル「もう・・・、アスモデウスといい、悪魔って本当に訳が分からないわ」

ラファエル「同感だね、さっ、強いのが来るらしいから、準備しておこうか」

ガブリエル「はぁ・・・、あれより強いのよね・・・、憂鬱よ・・・」


ベルゼブル「次回予告」


ラファエル「来る強大な敵に備える天使達」

ガブリエル「それを尻目に、悪魔達は・・・」

ベルゼブル「次回、擬天黙示録 第十二話 蠅の王と海龍、
      ちょっと待って!このサブタイ僕に読ますのかよー!」

ガブリエル「締まらないわ・・・」

ラファエル「こんな事、このお話では初めてだよね・・・・」

ベルゼブル「次も僕が活躍するよー!」

ガブリエル「はぁ・・・・・・・」



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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w