擬天黙示録<ギテンモクシロク>
第七話 堕天せし者が守る村

※テストした際、27分かかりました、使う際の参考にしていただけたら幸いです。

ミカエル♂ 24歳 大天使、軍全体の指揮官をしている、生真面目で融通の聞かない性格。真名はアーサー。
ウリエル♂ 23歳 大天使、遠征隊の指揮官、気が早く荒いタイプ、だが隊長としての腕は一流。真名はレオン。
サンダルフォン♂ 35歳 先代の軍団長、豪快で面倒見がいい、戦闘力は絶大。真名はクラーク。
ペネム♂ 24歳 堕天使、ミカエル達とは旧知の仲、今は軍を離反した身。真面目だが情熱家。真名はルイス。
マルクト♀ 35歳 セフィロトのセフィラ。面倒見のいい姉のようなタイプ、しっかり者。真名はクラリス。
サリエル♀ 19歳 天使、ミカエルの副官、魔眼を持っている。大人しく静かな性格。真名はイリア。
エリカ♀ 22歳 村娘、ペネムとは恋仲。しっかりした性格で愛嬌もありとてもいい子。




ミカエル♂:
ウリエル♂:
サンダルフォン♂:
ペネム♂:
マルクト♀:
サリエル♀:
エリカ♀:




ミカエルN「サンダルフォン様が軍に戻られて数日後、我々は少数で隊を編成し本拠地を出発した、
      目的地は教えられず、ただ着いて来いと言われた私達は、一抹の不安を胸に、歩を進める」

マルクト「いやぁ、ミカエルにウリエルも元気そうで良かったよ」

ウリエル「そういうマルクト様こそ、お元気そうで何よりです、
     あの戦いの後相当疲れてらっしゃったので心配してたんですけど」

マルクト「私は平気だよ、傷を負ったのはあっちだからね」

サンダルフォン「当の本人より慌てふためいてた奴が何言ってやがる」

マルクト「う、うるさいわね、あんなの見たら誰だって心配するでしょう!」

サンダルフォン「まぁ流石に腕切り落とされたのにはまいったよなぁ、戦いようがねぇからな」

ウリエル「あの、差し出がましいようですが、傷の話は置いときませんか、
     ミカエルの空気が重くてしょうがないんで」

ミカエル「すまなかったなウリエル、お気遣いありがとう」

ウリエル「全然感謝の意を感じないけど、どういたしまして」

マルクト「二人のやり取りも相変わらずで安心したわ」

サンダルフォン「変わってねぇだろ、こいつら、いい意味で、だけどな」

マルクト「そうね、変わらなきゃいけない所は変わってそうだし、安心は出来そうね」

ミカエル「ありがとうございます、っとサリエル、表情が硬いな、何か見えたか?」

サリエル「あ、いえ、そ、そういう訳ではないのですが・・・」

マルクト「緊張しなくていいのよ、サンダルフォンと私なんて一度前線を退いてる身だし、
     これから長い旅になるのだから、最初からそれじゃ肩こっちゃうわよ」

サリエル「は、はいっ、お気遣い、ありがとうございます」

サンダルフォン「硬い、硬いなぁ、おいミカエル、お前の直属だろう、ちゃんとケアしてやれよ」

ミカエル「ケア、ですか」

マルクト「まぁ貴方はそういうの下手そうだもんね、上に立つ者の仕事よ、これから覚えなさいね」

ミカエル「はい、心得ました、ありがとうございます」

ウリエル「上官がこれじゃしょうがないかもしれませんね」

サンダルフォン「確かにな、よし、ウリエル、お前なら出来るだろ、肩肘張らずに崩してこうぜ」

ウリエル「分かりました、って、俺が崩すと下手するとタメ口になっちゃうんですけど」

サンダルフォン「気にすんな、俺とお前らの仲だろう」

ウリエル「分かった、けど呼び方だけは勘弁してくれよ、サンダルフォン様」

ミカエル「違和感しかないな」

ウリエル「うるせぇな!お前のせいだろ!」

サリエル「くすっ、ウリエル様って、面白い方なんですね」

ウリエル「そこ俺なのかよ!?」

マルクト「うんうん、いい感じ、貴方も敬語崩しちゃっていいのよ?」

サリエル「すみません、私、普段から敬語なので、これで自然なんです」

サンダルフォン「サリエルは真面目そうだからな、まぁそこは強要する所じゃねぇし、いいか」

サリエル「お気遣いありがとうございます、サンダルフォン様」

ミカエル「私も敬語を崩すと失礼を働いてしまいそうなので、
     このまま行かさせてもらってもよろしいでしょうか?」

マルクト「ミカエルは・・・・、もうしょうがないかしらね」

サンダルフォン「石頭は昔からだからな」

ウリエル「間違いない」

サリエル「あの、所で、そろそろ目的地を教えていただきたいのですが・・・」

ミカエル「それは私も同感です、このままだと統治地域を外れてしまうと思うのですが」

ウリエル「そういえばそうだな、俺は普段から外も回る事があるから気にしてなかったけど」

マルクト「えぇ、それで間違ってないわ、目的地は統治地域の外側にあるのよ」

ミカエル「なっ、それは、ちゃんと理由があっての事で間違いないですよね?」

サンダルフォン「当然だ、そろそろ近いから明確にしとくか、目的地は地域外のとある村だ」

マルクト「そこにエグリゴリ所属だった堕天使がいるのよ」

ミカエル「エグリゴリの一員が・・・!?」

ウリエル「待ってくれよ、悪魔よりも先に元同胞を狩るって言うのか?」

マルクト「いいえ、戦いに行くわけじゃないわ、貴方たちに世界の現実を知ってもらおうと思ってね」

サリエル「世界の現実、ですか?」

サンダルフォン「そうだ、俺は傷が癒えるまでの間、マルクトと一緒に世界を旅していた」

マルクト「暇だったからよね」

サンダルフォン「そこは言わなくてもいいだろう・・・、んんっ、そこで様々な物を見てきたんだ」

マルクト「それが何なのかは、これから貴方たちに直接見てもらうわ」

サンダルフォン「ミカエル、お前は責任もあるから思う所は色々あるだろうが、
        先に言っておく、堕天したあいつらを見つけても即処罰はするな」

ミカエル「・・・・かしこまりました」

マルクト「さてさて、そろそろ統治地域を出る事だし、サリエルにお願いしようかな?」

サリエル「遠見でいいでしょうか?」

マルクト「構わないわ」

サリエル「かしこ・・・、分かりました、・・・・・敵の姿、気配はありません、村も健在です、
     ・・・・・が、村の方に、不穏な気配?少し、建物などが崩れているような・・・」

ウリエル「まさか、敵襲に?」

サンダルフォン「いや、それで間違いない、さ、行くぞ」


ペネム「擬天黙示録 第七話 堕天せし者が守る村」


ミカエル「なんだ、この有様は・・・」

ウリエル「建物も補修されてない、設備もままならない、これが人の住む村かよ・・・」

サリエル「近くで見ると、より酷く見えますね」

マルクト「酷く見える?」

ミカエル「はい」

サンダルフォン「この村は、恐らくだが相当昔からこんな感じだぞ」

マルクト「天使に統治されてない村は大体この感じだわ、もちろん整っている所もあるけどね」

ミカエル「となると、もっと我々が手を広げていかなくてはいけないのですね」

マルクト「さぁ、それはどうかしらね」

ミカエル「え?」

サリエル「人が、一人こちらに気付いて近付いてきてます」

ウリエル「敵か?」

サリエル「いえ、この村に住んでる女性のようですね・・・」

サンダルフォン「先に言っておくぞ、天使の名を名乗るな」

ミカエル「っ、それはどういう・・・・」

マルクト「いいから言う事を聞きなさい」

エリカ「こんにちわ、旅のお方、私エリカと申します、
    こんな村へどのようなご用件でしたか?」

サンダルフォン「こんにちは、俺はクラークだ、ここは目的地への間にあってな、少し休息にと、思っていた」

エリカ「そうでしたか、ただちょっと、タイミングが良くなかったみたいですね・・・」

サンダルフォン「タイミングが?」

エリカ「えぇ、今この村、悪魔に狙われているんです」

ミカエル「なっ、悪魔にだと!?」

エリカ「っ、そ、そうです、幸い、村にいてくださる天使様のお陰で被害は最小限で済んでいるのですが・・・」

ウリエル「な、なぁ、その天使、様の名前は教えてもらえないか?」

エリカ「はい、ペネム様です」

ウリエル「っ・・・・・、ミ・・・、アーサー」

ミカエル「分かっているレオン、すみませんが、天使様とお話は出来ないでしょうか?」

エリカ「はい、恐らく大丈夫だと思います、立ち話もなんですし、集会所にご案内しますね、こちらへどうぞ」

-----------------------------------------------------------------------------------------------

ウリエル「あの一番大きい建物が?」

エリカ「えぇ、あそこが集会所です、鍵は・・・・開きっ放し、もぅ、最後に使ったの誰かしら、
    では、お呼びしてまいりますので、中でお待ちください」

ウリエル「あぁ、ありがと」

マルクト「それじゃ、失礼するわね」

サリエル「・・・・その、ペネム様、というのが先程話してた?」

ミカエル「あぁ、元天使軍、宣教師隊エグリゴリ所属だった、堕天使だ」

ウリエル「けど、さっきの子、天使様って、守ってくれてるって、どういう事だよ・・・」

マルクト「会えば分かるわ、会えばね」

サリエル「お二人は、知ってらっしゃるんですか、どういう事なのか」

サンダルフォン「ペネム自身の理由は知らんが、他のエグリゴリに会って来たからな、
        それとなく予想は出来てる」

エリカ「すみません、お待たせしました、失礼します」

ペネム「失礼します、初めまして、ペネムと申し・・・・」

エリカ「・・・・天使様?」

ペネム「エリカ、少し席を外してもらっていいかな、彼らと話がしたい」

エリカ「・・・・?はい、分かりました、それではまた後ほど・・・」

ペネム「・・・・・ここに、何をしにきた、私を殺しに来たのか?」

ミカエル「ペネム、貴様こそここで何をしている」

ペネム「話す義理はない、それに、ミカエル、お前に信用してもらえるとも思えない」

ミカエル「っ、貴様・・・・・!」

ウリエル「落ち着けよミカエル!」

ミカエル「しかし!」

サンダルフォン「ミカエル、少し黙ってろ」

ミカエル「っ・・・・、かしこまりました」

ペネム「サンダルフォン様・・・・?生きて、らっしゃったのですね、良かった・・・」

サリエル「堕天使が、サンダルフォン様を・・・・?」

ペネム「当然だ、私達が、どれだけあの時迷ったか知らないだろう・・・・!
    あの時、奴らが追ってさえ来ていなければ・・・・!」

サンダルフォン「引き返していた、とでも言うか?」

ペネム「っ、当然です!」

サンダルフォン「甘えたことを言うな!」

ペネム「っ!?」

サンダルフォン「真意がどうであれ、お前達はあの騒ぎの一端を担ったのだ、
        戻った所で殺されてお終いだ、その程度の覚悟ならば最初から事を起こすな!」

ペネム「・・・・・・そうですね、他の皆や、犠牲になった者に失礼でした」

ウリエル「真意、真意って何なんだ、年単位での復旧を要するような騒ぎを起こした意味って一体なんなんだよ!?」

サリエル「ウリエル様・・・・」

ウリエル「ペネム、俺達はサンダルフォン様がいなければすぐにでも殺しているぞ、お前を」

ペネム「あぁ、そうだろうな」

ミカエル「私達を、納得させられるだけの理由を、持っているのだろうな?」

ペネム「・・・・お前達は、この村を見てどう思った?」

ミカエル「質問をしているのは・・・・!」

マルクト「ミカエル」

ミカエル「・・・・・・申し訳ございません」

サリエル「酷いと、酷い様子だと思いました、交戦でもあったのではないかと」

ペネム「お前たちも、そう思ったんだな?」

ウリエル「あぁ」

ミカエル「だが、この村は悪魔に狙われているのだろう」

ペネム「その通りだ、だが、私はこの村を戦場になど一度もしていない」

ミカエル「なっ・・・」

サリエル「では、どうして村はこれ程に荒れているのです?」

ペネム「環境が苛酷だから、資源がない、人手も足らない、そして天使の施しもない!
    こんな村がどれだけあると思う?統治地域外の村は殆どだ、
    私たちは宣教の為に世界を旅した、そして気付いた、彼らを救うにはここにいてはいけないと!」

ミカエル「それで取った行動が、反乱か?」

ペネム「それを言って通用する軍だと思うのか、今筆頭をしているお前がそのザマだ、
    言って脱退させてもらえると、そう言いたいのか!」

ミカエル「っ、それは・・・」

ウリエル「だが、あのサタンと結託すればああなる事くらい・・・!」

ペネム「あの時はまだ【光をもたらすもの】ルシファーだった、
    それに、私たちは悪魔が動いてる事を全く知らされていなかった」

ウリエル「・・・・なんだって?」

サリエル「待ってください、では、私達に伝えられている、サタンの動乱は、間違っているのですか?」

ペネム「そうだ、私たちエグリゴリは悪魔と結託などしていない、むしろただの駒でしかなかったんだ」

マルクト「あの後、悪魔に襲われ散り散りになった、間違いない?」

ペネム「っ、マルクト様まで・・・・、はい、間違いありません、サタンは最初から私達を逃がすつもりなんてなかった」

サリエル「・・・・申し訳ございません、今まで、あの時離反した堕天使は悪魔に従軍しているものだとばかり・・・」

ペネム「仕方がない、事実そうしている者もいる」

マルクト「そもそもサタンがそうだもの、疑う方が難しいわ」

ウリエル「サンダルフォン様、マルクト様、他のエグリゴリにもあったって言ってたよな」

マルクト「えぇ」

ウリエル「そいつらは、何をしてたんだ?」

マルクト「ペネムと同じ、村に滞在して、悪魔から守ってたわ」

サンダルフォン「揃いも揃って統治外の村をな」

ミカエル「・・・・・私達が間違っていた、そう言いたいのか、ペネム」

ペネム「それは違う、お前達と私達の正義が違っただけだ、事実軍の統治によって助けられている人々も大勢居る」

ミカエル「慰めのつもりか、あの時私は、サタンを逃し、サンダルフォン様の負傷の原因にもなり、
     堕天使も大勢屠った、今だって、何も知らず、一方的にお前を悪だと・・・」

ペネム「悪だと誹(そし)られても仕方がない、結果を見れば誰だってそう思うだろう、
    私だって、理解してもらえるとも、再び手を取り合えるとも思っていない、
    ただ、把握さえしてもらえれば、それで構わない」

サリエル「それでは、一生報われないではないですか、それで、よいのですか?」

ペネム「私には、この村がある、村の皆が労(ねぎら)ってくれる、それだけで、報われる」

サリエル「それも、一つの形・・・・」

ペネム「そういう事だよ、君は、なんとなく私の気持ちに共感してくれてそうな気がする」

サリエル「分かりません、けど、知りたいとは思います」

ペネム「うん、ありがとう、そう思ってもらえるだけでも嬉しいよ」

エリカ「はぁ・・・はぁ・・・ペネム様!」

ペネム「っ、エリカ、どうしました、そんなに急いで!」

エリカ「悪魔が、悪魔がまた・・・」

ミカエル「なんだって!」

ウリエル「行こう!」

ペネム「待ってくれ!今お前達が出たら犠牲者が増える!」

ウリエル「だけど行かなきゃ被害も止めれないだろうが!」

ペネム「そうじゃない、少し待ってくれ!」

サンダルフォン「どういう事だ?」

ペネム「この村を狙っているのはインキュバスとサキュバスの徒党なんです、
    姿を一切現さず要求だけ残していく、それを飲まねばそれ以上の犠牲が出る、
    そんな状態が続いています」

ミカエル「何故止めない!」

エリカ「ペネム様を責めないでください!ペネム様が来る前はどうしたらいいかも分からず、
    交渉も上手く出来ず、直接襲われるものもいたんです、これでも状況はよくなったんです!」

マルクト「それじゃ、私達が動くのは早計ね、今回の要求はなんだったの?」

エリカ「女一人を、生贄に捧げろと」

マルクト「なるほど、それなら簡単じゃない、私が・・・」

エリカ「それは、無理です、今回は、人の指定があったんです・・・・」

ペネム「・・・・・まさか」

エリカ「・・・・・はい、私です」

ペネム「っ、そんな・・・・・」

サリエル「もしかして、私たちがここに来たことが・・・・?」

ペネム「恐らく、彼女は村の中でも信頼されていて、何かあった時は中心になれる存在、
    怪しい動きをしたのだから、それなりの対価を、という事かと・・・」

ミカエル「サリエル、お前の魔眼でも見えないか?」

サリエル「やってはいるんですが・・・・」

サンダルフォン「元より人を欺くのが得意な悪魔だ、そう簡単には追えないだろうな」

エリカ「ぺネム様、今までありがとうございました」

ペネム「エリカ!?」

エリカ「分かってますよ、貴方は私を助けようと色々手を考えてくれている、
    けど、今までずっと村の為にと嫌がる人たちを捧げてきたんですもの、
    私だけが、甘えるわけには行きません」

ペネム「しかし・・・・」

エリカ「時刻は明日早朝、いいんです、いつかは、こうなるって思ってましたから」

ペネム「・・・・・」

エリカ「私は、家の事をしてきます、みっともないまま残していけませんから、それでは・・・!」

ペネム「待ってください、エリカ!」

ミカエル「ペネム!」

ペネム「っ、なんだミカエル!」

ミカエル「私達も全力を尽くす、慌てふためいている場合ではあるまい」

ペネム「くっ、私の気持ちも知らず、よくそんな事が・・・!」

ミカエル「あぁ知らぬ!だが私達には力がある!」

ウリエル「今までお前一人では解決まで行けなかったかもしれない、
     けど今回はサンダルフォン様だって、マルクト様だっているんだ」

サリエル「私だって、エリカさんを助けたいです」

ペネム「・・・・・ありがとう」

サンダルフォン「礼は全て終ってからでいい、とは言え策は一つしかないだろうがな」

マルクト「そうね、タイミングはあの子を迎えに来る時ね」

ペネム「駄目です、奴らは必ず一人で来る、そこでエリカを助けるだけでは駄目なんです」

サリエル「その場に居合わせれば、私の眼で追えます」

ペネム「君の、眼で?」

ミカエル「サリエルは魔眼を持っている、根城さえ分かれば一網打尽に出来る」

マルクト「ただ全員で行くのは危ないわ、逃した時の報復が怖いわね」

サンダルフォン「ミカエル、お前はどう思う?」

ミカエル「二手に分かれます、根城に向かうのは少数精鋭がいいかと、
     大人数で動くと気付かれるのが早くなってしまう」

サンダルフォン「いい判断だ、ウリエル、編成は?」

ウリエル「向かうのは多くても三人だ、残りは全員待機、そして向かう面子は相手を逃がさないだけの戦力が欲しい、
     悔しいけど、サンダルフォン様とマルクト様が適役だ」

サンダルフォン「二人とも成長したな、流石だ」

ミカエル「ありがたきお言葉」

ペネム「私も、エリカを助けに行きます」

ウリエル「最初からそのつもりだよ、この村の守護天使はお前だろうが、お前が行かねぇでどうする」

ペネム「ありがとう・・・・」

サリエル「それでは私は早めに配置に付きます、この村全体を見渡せる場所、ありますか?」

ペネム「あ、あぁ、教会の鐘楼、あそこならば」

サリエル「それなら自分で探せそうですね、それでは私は一足お先に失礼します」

マルクト「サポート、期待してるわ」

サリエル「はい、任せてください」

ウリエル「さって、俺達は村の作りを把握しとくか、防衛線なんて久しぶりだぜ」

ミカエル「全くだ、ラファエルとガブリエルを呼びたい所だな」

サンダルフォン「今のお前たちなら安心して任せられる、頼んだぞ」

ウリエル「サンダルフォン様にそう言われちゃ裏切れねぇ、なぁミカエル?」

ミカエル「あぁ、さぁ準備を万端にするぞ」

ウリエル「おうよ!」

マルクト「さて、それじゃ私達は早朝に動けるように宿を取りましょう」

サンダルフォン「そうだな、なんだかんだ久方ぶりの戦闘だ、ちゃんと休んどかねぇと」

ペネム「あ、あの、私は・・・・」

マルクト「あの子の所に行ってきなさいな、気丈に振舞ってたけど、平気な訳がないんだから」

ペネム「・・・・・・感謝の言葉は、全て終った後に」

サンダルフォン「それ、もう言ってるようなもんじゃねぇか、さっさと行ってこい!」

ペネム「はい・・・・!」

マルクト「んー・・・・青春ね」

サンダルフォン「純粋な奴だ、ああいう奴らこそ、ちゃんと守ってやらねぇとな」

マルクト「そうね、しっかりやりましょ」

サンダルフォン「あぁ」

----------------------------------------------------------------------------------------

ペネム「エリカ?」

エリカ「・・・・ペネム様?」

ペネム「良かった、まだ起きてた、入ってもいいかな?」

エリカ「・・・・・・」

ペネム「ルイスとして会いに来た、お願いだ、顔が見たい、こんな扉越しじゃなく、
    顔を見て話したい」

エリカ「・・・・いいよ、入って」

ペネム「それじゃお邪魔し・・・」

エリカ「ルイス!」

ペネム「え、エリカ?」

エリカ「怖い、怖いよ・・・・!嫌だ、こんな不安になるなんて思っても見なかった・・・・、
    私、まだやりたい事一杯あるのに、悪魔なんかの慰み物にされて、あんな風になるのいやぁ・・・」

ペネム「私も嫌だ、まだ、まだエリカに何もしてあげれていない、命を救ってくれた君に、何も報いれてない!
    村の為なんかじゃない、本当は君の為に全てを捧げたいのに・・・・!」

エリカ「ううん、私知ってるよ、私が指名されないようにずっと無理な交渉してたんでしょ?
    だから、今日までずっと声かからなかったんだよね?」

ペネム「けど、なんの解決にもなってないじゃないか、私は、無力だよ」

エリカ「そんな事無い、私が、ううん、この村が今でもこの場所にこうしてあるのは、ルイスの力だよ・・・」

ペネム「・・・・・・お礼はまだ言わないよ」

エリカ「え?」

ペネム「必ず、助けるから、この村も、エリカも、全部あの悪魔達から救う」

エリカ「・・・・・うん、待ってる、それなら私怖くない」

ペネム「そんな嘘吐(うそつ)いても無駄だよ、こうして抱き合ってたら、震えてるのがばればれだ」

エリカ「そうだね・・・・、ねぇ、明日の朝まで抱いていて、じゃないと、不安に潰されそうで・・・」

ペネム「当たり前だよ、そうするために、私はここに来たんだから・・・」



サリエル「次回予告」


ミカエル「運命の時」

ウリエル「それは否が応でも訪れる」

サンダルフォン「天使達は、闇の中から少女を救えるのか」

マルクト「次回、擬天黙示録 第八話 淫魔の園、救いの手を差し伸べて」

エリカ「ルイス、私、信じてるから・・・」

ペネム「必ず、救い出して見せるよ、エリカ」



もどる


シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w