疑天黙示録<ギテンモクシロク>
第二話 侵攻、グレモリー領
ミカエル♂ | 24歳 | 大天使、軍全体の指揮官をしている、生真面目で融通の聞かない性格。真名はアーサー |
ウリエル♂ | 23歳 | 大天使、遠征隊の指揮官、気が早く荒いタイプ、だが隊長としての腕は一流。真名はレオン。 |
レミエル♂ | 21歳 | 天使、遠征隊の戦闘員、ウリエルの副官、冷静で容赦の無い性格。真名はリカルド。 |
サリエル♀ | 19歳 | 天使、ミカエルの副官、魔眼を持っている。大人しく静かな性格。真名はイリア。 |
グレモリー♀ | 26歳 | 悪魔、天使でも名前を知ってるほど名の売れた悪魔。 |
ミカエル♂:
ウリエル♂:
レミエル♂:
サリエル♀:
グレモリー♀:
ウリエルN「先の偵察でグレモリー領を発見したミカエル」
レミエルN「彼は、本部に戻り、ウリエル率いる遠征隊と共に、
グレモリー討伐部隊を編成した」
サリエルN「討伐部隊は迷い無く歩を進め、グレモリー領へとたどり着く」
グレモリーN「彼らは、悪魔の統治する地で、何を見るのだろうか」
ミカエル「擬天黙示録、第二話、侵攻、グレモリー領」
ウリエル「ここが、グレモリーの領地か、思ったより普通なんだな」
ミカエル「当たり前だろう、パッと見て悪魔の土地だと分かるのであれば、
最初から私たちも苦労していない」
ウリエル「まぁ、そうなんだけどな」
レミエル「見つけてしまえばこっちの物だ、焼き払う、それだけ」
サリエル「そう簡単に行くとは思えませんが、相手はグレモリー、
敵軍にも名が売れているという事はそれなりの理由があるはずです」
ミカエル「あぁ、遠征隊の力を見くびっている訳ではないが、油断はするべきではない」
レミエル「油断、そんな物は容赦なき神罰の前に存在するはずがありません、問題は無いです」
ウリエル「お前はいつも通りで大丈夫だ、思う存分蹴散らしてくれ」
レミエル「元よりそのつもりです、ウリエル様」
サリエル「ではミカエル様、私たちもいつも通りで構いませんか?」
ミカエル「当然だ、では始めるとしようか」
レミエル「これから何を?」
ウリエル「そうか、お前は見るの初めてだったな、
サリエルが魔眼の持ち主なのは知ってるか?」
レミエル「えぇ、話だけは聞いています」
ウリエル「話だけか、まぁ面白いから見とくと良いぜ」
ミカエル「皆の者、注目せよ!これより、サリエルの魔眼によりこの戦いを見通す、
さぁ、サリエルよ、その目で我らが戦いの道筋を照らし出すのだ!」
サリエル「我が魔眼が見通すは我らが未来、道筋には何も見えず、
見えるは我らが勝利のみ、神の子らよ、恐れる事はありません、
勝利は我らが手に」
ミカエル「諸君、聞いたか!我らに待つのは勝利のみだ!
さぁ、狼煙<ノロシ>を上げろ、悪しきグレモリーを落すのだ!」
レミエル「未来視、あれがかの有名なサリエルの魔眼ですか」
ウリエル「ミカエル、どういう事だ?」
レミエル「どういうとは?」
ウリエル「サリエルの見えぬは凶兆だろ」
サリエル「よくご存知ですね」
ミカエル「だが、見えたのは勝利だ、それだけは間違いない、だな?」
サリエル「はい、私の魔眼には敗北は見えませんでした」
ミカエル「ならば問題は何も無い、行くぞ、ウリエル、レミエル」
ウリエル「ん、俺達が前に出るのか?」
ミカエル「凶兆が出ているのであれば兵を前に出す事は愚策だ、
何かある前にグレモリーを叩く、頼りにしているぞ」
サリエル「最短ルートは私が見ましょう、ウリエル様方は敵部隊の殲滅をお願いいたします」
レミエル「御意、我が雷<イカズチ>、神の慈悲にて、悪魔どもに安らかなる眠りを」
ウリエル「ハッ、どんなんが来ようと神の炎で焼き尽くしてやるよ」
ミカエル「フッ、心強い事だ、では行くぞ、サリエル!」
サリエル「はい、このまま直進で問題ありません、ただ敵が見えます、かなりの数です」
ウリエル「よっしゃ開幕だ、レミエル!始まりの合図を掻き鳴らせ!」
レミエル「我は神の雷霆<ライテイ>、我が雷は神の慈悲、行使するは無慈悲たる我、
主に逆らう全てを滅ぼしたまえ、神霆<ジンテイ>・夢幻!」
サリエル「っ、凄い威力、敵、激減」
ウリエル「初撃は上等、次は俺の番だ、己が名は神の炎、裁くは有象無象、神を冒涜せし者、
焼かれしは等しく罪人なり、悪しきを罪ごと焼き払え、劫火<ゴウカ>・神焔<シンエン>!」
サリエル「これが、遠征隊の力・・・・」
ミカエル「サリエル、褒め称えるのは終わった後でも出来る、次なる導を」
サリエル「っ、申し訳ございません、敵兵はほぼ殲滅、グレモリーはまだ・・・・・いえ」
ミカエル「ん、どうした」
サリエル「魔眼の視界を埋め尽くすような闇が見えます、近い、・・・・・来る?」
ミカエル「っ、奴か!?」
サリエル「間違いありません、正面、グレモリーです」
ウリエル「やっと出てきたか」
グレモリー「やっと?私はずっとこの地にいたわ、むしろやっと見つけてくれた、
という私のセリフが正しいはずよ」
ミカエル「ふん、戯言を、大口を叩いていられるのも今の内だけ、
グレモリー、貴様は包囲されている、覚悟する事だ」
グレモリー「あら、それも私のセリフよ、御覧なさい、辺りを」
ミカエル「何?」
サリエル「っ、いつの間に、囲まれてます、数、先程の比ではありません」
レミエル「な、我々がここまで囲まれるまで気付かないだと」
グレモリー「ふふっ、私の私兵を侮ってもらっては困るわ、
さぁ、貴方がたが望むのであれば、彼女達の愛を与えましょう、
我が名はグレモリー、ソロモンが一柱、愛か死かお選びなさい、天使たち」
ミカエル「愛か死、だと」
サリエル「罠です」
ウリエル「そんなの、言われなくたって分かって・・・・、レミエル?」
レミエル「愛・・・・・」
ウリエル「レミエル!下らない甘言に惚けるな!それでも神の雷霆<ライテイ>か!」
レミエル「っ、も、申し訳ございません」
グレモリー「あら、残念、でも元より貴方たちを誘えるとは思ってはいないわ、
残念だけど予想通りよ、全て、寸分違わず予想通りだわ」
ミカエル「どういう事だ・・・・」
サリエル「天使が、減っています」
ミカエル「何?」
サリエル「次々と堕天していきます」
ミカエル「まさか、貴様の狙いは!」
グレモリー「今更気付いた所で手遅れよ、私の与える愛は人では与えられぬ至高の愛、
一度虜になってしまえば、気高い志なんて物は無価値な物に成り下がる」
ウリエル「くっ、レミエル、敵を蹴散らすぞ、これ以上思い通りにさせるな!」
レミエル「御意」
サリエル「いけません、敵は既に味方の間に入り込んでます、
敵を討つには一人一人倒すしかありません」
ウリエル「マジかよ・・・、ミカエル、どうするよ!」
ミカエル「なれば、速やかにグレモリーを討つ、それだけの事!」
グレモリー「出来るものならばやってごらんなさい、格の違いを思い知ると良いわ」
レミエル「それはこちらの台詞だ悪魔、気付かず堕ちる事は最大の慈悲なり、俊霆・迅雷<シュンテイ・ジンライ>」
ウリエル「直撃!ハッ、反応も出来てねぇじゃねぇか!」
グレモリー「確かに早いわね、けどそれだけ、何を粋がっているのかしら、神の炎」
サリエル「っ、グレモリー、現存」
レミエル「なっ、我が雷を受け悠々と立っていられるなど・・・・」
ミカエル「えぇい、敵を甘く見すぎだ、グレモリーよ、私は貴様を過小評価してないが故、
女だろうと手加減なく行かさせてもらうぞ」
グレモリー「どうぞ遠慮なく、逆に手加減なんてしたら許さないわ、私、見下されるの大嫌いなの」
ミカエル「フッ、主よ、恐れ多くも我のような者が近付く事を許したまえ、
神に似たるものは誰か、聖人・降誕!」
グレモリー「あら、凄い力ね、これが筆頭ミカエルの力、神の右腕たる所以、素敵だわ、
貴方のような人を見ると堕としたくなるの、いろんな意味でね」
ミカエル「戯言を、やれる物ならばやってみろ、行くぞ!」
レミエル「っ、早い」
グレモリー「ふふっ、でも反応できないほどでは」
ミカエル「貴様が見ているそれは残光だ」
グレモリー「な、後ろ」
ミカエル「はぁ!」
グレモリー「ぐぅ!」
ミカエル「ウリエル!」
ウリエル「あぁ!我こそ神罰の顕現<ケンゲン>なり、破壊は全て罪を裁く為と心得よ!
灼熱は集いて罪を穿つだろう、灼熱・戒焔!<シャクネツ・カイエン>」
グレモリー「っ、まず、ぐぁ!」
レミエル「これなら、今度こそ」
サリエル「っ、視界が、ぶれる、くぅ・・・・」
レミエル「サリエル?」
サリエル「見えない・・・・、凶兆、あぶ、ない・・・・」
レミエル「凶兆だと、まさか、ウリエル様、ミカエル様!」
グレモリー「他人が察しようと彼らは時に囚われ、見えているのは私を貫く映像のみ、
手遅れよ、何もかも」
サリエル「う、え・・・・・です・・・・」
レミエル「うえ、上だと、なっ、あ奴、いつの間に」
グレモリー「全ては偽り、見える物はまやかし、
貴方たちが貫いたそれは、過去・現在・未来を歪め作り出されし虚像、
そして、貴方達を貫くのは過去の実像、自らの術で滅びなさい、
コール・ザ・パスト」
ミカエル「っ、ぐぁああああ!」
ウリエル「なっ、うぉぉぉおおお!?」
サリエル「ミカエル様、ウリエル様・・・・!」
ミカエル「ぐ、ぅ・・・・、今、何が・・・・」
ウリエル「今のは、俺の術?何で・・・・」
グレモリー「あら、思っていたより丈夫、生きてるとは思わなかったわ、貴方たち」
ミカエル「貴様、無傷、だと、確かに捉えた、はずだ・・・」
グレモリー「貴方たちが捉えたのは虚像、私を模した未来の自分自身、
過去・現在・未来、そして幻覚を操る私の力であれば雑作も無い事よ」
レミエル「幻覚・・・・、っ、まさか、あの兵士たちも・・・・!」
グレモリー「ご名答、貴方たちは私の見せた幻覚相手に堕天したのよ、
全ての女性の愛を与えてみせるわ、ただし、見せるだけ」
サリエル「そんなもの、本物の愛ではありません、貴方は、
人々がこれまで育んで来た大切なものすら侮辱するというのですか」
グレモリー「愛に形は一つじゃないわ、それに、真に侮辱しているのは、幻覚程度に魅了され、
偽りの愛に身を堕とす者達ではなくて?」
サリエル「っ、それは・・・・」
ミカエル「耳を貸すな、悪魔のいう事だ、取り込まれるぞ」
ウリエル「あぁ、その通りだぜ、今まで信じてきたものを信じ続けろ、
サリエル、お前は間違ってない」
グレモリー「あら、まだ立ち向かうつもりなのかしら、それだけのダメージを受けて」
ミカエル「退けるものか、それに、我らに待っているのは勝利のみ」
レミエル「恐れいりますが進言させていただきます、退きましょう」
ミカエル「っ、何故だ、レミエル」
レミエル「推測で申し訳ないのですが、あやつの能力、
サリエルの魔眼にまで干渉できるとしたら・・・・」
サリエル「なっ、そんな馬鹿な、私の魔眼に幻覚を送るなんて・・・」
グレモリー「ご名答よ、雷霆<ライテイ>さん」
サリエル「っ・・・!」
ウリエル「マジ、かよ・・・・」
グレモリー「私が模すグレモリーは元々全ての女性の愛を召喚者に与える悪魔、
もちろん幻覚なんかではなくね、なれば私の力が働くのは・・・・」
ミカエル「女にか・・・・!」
グレモリー「ふふっ、その通り、一番最初に見た勝利は、まやかしよ」
サリエル「そん、な・・・・、じゃあ、皆が堕天したのは、私の、せい・・・・?」
ミカエル「違う、我々全員のせいだ、一人で背負い込むな」
ウリエル「敵戦力を見誤った俺たちのな」
グレモリー「さぁ、どうするのかしら、残されたのは貴方たちだけよ、
他の彼らは全て私の手中、忠実なしもべ」
ミカエル「サリエル、退路を」
サリエル「え、だって今私が見ても・・・」
グレモリー「そうね、どうしたの、血迷ったのかしら」
ミカエル「我々を見くびるな、サリエル、我々が切り開く、
魔眼で見なくて良い、現状を把握し、判断を」
サリエル「っ、はい!こちらの軍勢は残存四名、敵勢力その分増加してます、
四方八方囲まれていて現状退路無し」
レミエル「堕ちた兵を撃つ許可を、道は開きます」
ウリエル「神の炎が許可を出す、ただし苦しませるな、一息で殺せ」
レミエル「御意」
ミカエル「ウリエル、奴は我々で止めるぞ」
ウリエル「あぁ、当然だ」
グレモリー「良い判断ね、でも、本気で私を止められるとでも思っているのかしら?」
ミカエル「貴様の能力は反撃技と見た、ならばこちらも足止めに専念できる」
ウリエル「俺達が攻めるしか能が無いと思ったら大間違いだぜ」
グレモリー「そぅ、それじゃ私から攻めようかしら、
己が名は神の炎、裁くは有象無象、神を冒涜せし者・・・・・」
ウリエル「・・・・・マジかよ」
ミカエル「ま、まやかしだ、奴が使えるわけが・・・・」
グレモリー「焼かれしは等しく罪人なり、悪しきを罪ごと焼き払え、劫火・神焔<ゴウカ・シンエン>」
レミエル「なっ、本当にウリエル様の術を!」
ミカエル「幻覚なら、当たっても・・・・」
グレモリー「そんな脅しにもならないような物、悪魔が撃つわけが無いでしょ?」
ウリエル「ぐっ、あぁぁああああああああ!?」
ミカエル「なっウリエル!?うぉぉおお!?」
レミエル「っ、サリエル、掴まれ」
サリエル「はい」
ミカエル「くっ・・・・何故あいつが、この術を・・・・」
ウリエル「ぐっ、幻覚だ、これも」
ミカエル「幻覚にダメージがある訳・・・・」
ウリエル「炎じゃない、自分を見てみろ、焼けてない」
サリエル「・・・・幻覚で真の攻撃を隠したのか」
グレモリー「ご名答よ、私を反撃のみの能無しだと思ったら大間違いよ」
レミエル「一の罪は全への罰を、一人の勝手は更なる犠牲を生もう、光大・招雷<コウダイ・ショウライ>」
グレモリー「っ、広域攻撃、けどこの程度の攻撃じゃ私ならず堕天使たちすら
倒す事は・・・・」
サリエル「ミカエル様、ウリエル様、掴まってください」
ミカエル「すまない」
ウリエル「おぅ、頼むぜ」
サリエル「飛びます」
グレモリー「足止めのみが目的、逃がさないわ、我は神の・・・・」
レミエル「させぬ、光矢・落雷<コウシ・ラクライ>」
グレモリー「くぅ!」
レミエル「サリエル、ウリエル様をこちらに、・・・よし、ふっ」
サリエル「はっ」
グレモリー「逃がしちゃったわね・・・・、ふふっ、まぁ良いわ、今日は様子見だけだもの、
こんな所で終わらしては面白くないものね」
レミエル「お二方とも傷が深い、急ごう」
サリエル「はい、一刻も早くラファエル様に・・・!」
グレモリー「次回予告」
ミカエル「まさか気付かれていたとは、私のミスだ・・・!」
ウリエル「悔いても仕方が無い、次は無いように改善してこうぜ」
レミエル「それだけ話せるのであれば持ちそうですね」
サリエル「けど、凶兆が見えます、急ぎましょう」
ミカエル「そうか、我々の侵攻が割れているとすれば・・・・本部が危ない」
グレモリー「次回、擬天黙示録、第三話、襲来、アスモデウス、
さぁ、ラファエルとガブリエルは彼を止められるのかしらね、楽しみだわ」
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w