擬天黙示録<ギテンモクシロク>
第一話 四大天使定例議会

ミカエル♂ 24歳 大天使、軍全体の指揮官をしている、生真面目で融通の聞かない性格。真名はアーサー
ラファエル♂ 26歳 大天使、医療班の指揮官、温和で冗談好き、医療の腕は確か。真名はセシル。
ウリエル♂ 23歳 大天使、遠征隊の指揮官、気が早く荒いタイプ、だが隊長としての腕は一流。真名はレオン。
ガブリエル♀ 24歳 大天使、本部防衛班の指揮官、優しく個を大切にするタイプ。真名はアンジェリカ



ミカエル♂:
ラファエル♂:
ウリエル♂:
ガブリエル♀:



ミカエルN「天使と悪魔、貴方は信じていますか?」

ガブリエルN「私たちは信じています、私たちの世界では実在するからです」

ラファエルN「実在する、と断言するには語弊があるのですが、確かに存在します」

ウリエルN「そう、私達が天使なのです、悪魔と戦う天使。
      正確には、天使をなぞらえ悪魔をなぞらう者と戦うもの」

ラファエルN「それは、長く、壮絶な戦い」

ガブリエルN「人々が、天使を、悪魔を名乗り、なぞらえて」

ミカエルN「これは、偶像に我が身をゆだね、自らの手で戦うもの達の物語」


ミカエル「擬天黙示録 第一話、四大天使 定例議会」


ミカエル「さて、そろそろ時間だな、これより報告会議を行う」

ラファエル「今回は全員出席できたみたいだね、よかった」

ウリエル「最近出席率悪くてすまん」

ガブリエル「ウリエルは仕方ないよ、遠征任務が多いもの」

ウリエル「そう言って貰えると助かる、ありがとよ、ガブリエル」

ガブリエル「いいえ、それが役割だもの、お礼を言われるまでも無いわ」

ラファエル「むしろ僕らが参加できなかったら何があった、って言われそうだね」

ミカエル「そうだな、衛生班と防衛班であるラファエルとガブリエルが欠席したのであれば、
     それは何かしらの問題が発生したときくらいであろう」

ラファエル「ふふっ、そうだね、そういうミカエルは多忙な割りにきっちり出席するよね」

ミカエル「当然だ、私はウリエルほど遠出をする任務はしないし、
     私がいなくては話が進まないだろう」

ウリエル「間違いねぇな、どっちにしてもミカエルには報告しなきゃならねぇし、
     いないなら伸ばした方がいいくらいだ」

ガブリエル「そうね、ミカエルがいない会議を執り行わないといけない状況なんて、
      想像もしたくないわね、いろんな意味で」

ミカエル「安心しろ、有り得ない」

ガブリエル「あら、どうして?」

ミカエル「もし倒れたとしてもラファエルに起こしてもらうからな」

ラファエル「そうならない事を願ってますよ・・・」

ウリエル「あぁ、俺ならまだしも、ミカエルに代わりはいねぇから」

ミカエル「その言葉、有難く受け取っておこう、では、そろそろ本題に入るぞ」

ガブリエル「えぇ、ではまずは私、防衛班ガブリエルから報告させていただきます、
      現状本部に接近中の敵部隊は存在してません、本部常駐部隊は全く問題なく待機しております、
      物資などの供給も滞りなく来てます」

ミカエル「私が不在の間に敵襲はあったか?」

ガブリエル「二度、どちらも被害はゼロです、私とラファエルの二人で撃退、
       ないしは殲滅可能でした、惜しむべくは敵に名立たる悪魔がいなかったことですね」

ミカエル「なるほど、だとしても被害ゼロは大義だ、ご苦労だったガブリエル」

ガブリエル「ありがとう、ミカエル」

ミカエル「あぁ、では次はラファエル、頼む」

ラファエル「医療班ラファエル、報告させてもらうね、先のガブリエルの報告でもあったように、
      こちら側に負傷者がいないから僕の方は仕事は殆ど無いね、これは良いことだ、
      ウリエルの遠征隊にいた負傷者の手当てくらいかな、仕事としては」

ウリエル「いつも悪いなラファエル、助かってるぜ」

ラファエル「いえ、あれだけの遠征で負傷者があれだけであれば優秀なものですよ、
      指揮官が良いからですかね、こちらとしても助かっていますよ」

ミカエル「いつも通りだな、何か問題はないか?」

ラファエル「えぇ、医療品も足りてるし、人でも足りてます、強いて言うのであれば、
      仕事が足らないくらいだね、もちろん、良いことなんだけどね」

ミカエル「なるほど、全く問題なしという事だな、結構な事だ」

ラファエル「ふふっ、そうだね、今の所、こっちの方に問題はないよ」

ミカエル「嵐の前の静けさでなければいいがな・・・」

ガブリエル「本当ね、平和なのは良いことなのだけど、相手の動きが無いのは不気味ね」

ミカエル「そうならないように動くのが私とウリエルなのだが、全く無いとなると上手く行ってる、
      と断言するのも恐ろしいな、ゼロに出来るとは思っていないからな」

ラファエル「それに備えるのが僕とガブリエルだよ、何も無いのが一番だけど、
      何か起きないようにするのが僕たちだからね」

ミカエル「そうだな、頼りにしている」

ガブリエル「うん、任せて」

ミカエル「では、ウリエル、よろしく頼む」

ウリエル「んじゃ、遠征隊ウリエル、報告させてもらうぜ、今回は悪魔の拠点を5つ潰してきた、
     残念ながら名の売れた奴はいなかったけどな、こっちの被害は大きいのは無かった、
     建て直しはすぐ出来るぜ」

ミカエル「こちらも大きいのは無しか、ふむ・・・・」

ウリエル「あぁ、行き当たりばったりじゃ中々ぶつかれねぇな」

ガブリエル「そうなると有名所は何をしてるのかしらね」

ラファエル「悪魔も一枚岩ではないけど、腹に一物抱えてる連中は山ほどいるからね」

ミカエル「よし、いくつか思う所はあるが、ひとまず私の報告だ、ウリエル、話はその後にしよう」

ウリエル「お、了解だ」

ミカエル「天使軍、全体指揮官ミカエル、今回は私も部隊を率いて外回りしてたんだが、
     直接戦闘した訳ではないが、グレモリーの居城を発見した」

ガブリエル「っ、グレモリーの」

ウリエル「それ、マジかよ」

ラファエル「戦闘はしてないんだね」

ミカエル「あぁ、奴は女だと聞いているが、あの準備で名を馳せた悪魔を落せるとは
     思えなかったのでな、万全をと思ったんだ」

ウリエル「話ってのは、それだな」

ミカエル「あぁ、次の遠征は延期だ、グレモリーを落す、付き合ってもらうぞ、ウリエル」

ウリエル「当然だ、面白くなりそうじゃねぇか!」

ラファエル「くれぐれも、僕の仕事を増やさないでね」

ガブリエル「そうだね、本当なら私も出れたら良いんだけど、
       何かあった時にラファエルの部隊だけだと不安だし、
       医療班がダメージを受けるのは喜ばしくないしね」

ミカエル「気持ちは有難いがな、ただこれが罠の可能性も否めない、
     私達が攻めてる間に敵が本部に攻め入る可能性もある」

ガブリエル「えぇ、自分の仕事はわきまえてるわ、安心して」

ウリエル「あぁ、後ろ盾がしっかりしてるからこそ俺らが思う存分動けてるんだ、
     遠征から帰ったら悪魔の根城、なんて勘弁だぜ、ガブリエル」

ガブリエル「もちろんよ、ここにいればラファエルの治療も受けられる、
      篭城していれば負ける心配はないもの、守りは私たちに任せて」

ミカエル「では、部隊編成が終わり次第出るぞ、短期決戦だ、長引かせても良い事は無いからな」

ウリエル「デカイ拠点を攻めてる間に挟撃ってのもよくあるパターンだからな、
     増援を呼ばれる前に潰そうぜ」

ミカエル「元よりそのつもりだ」

ラファエル「では準備もあるだろうから会議はこれでおしまいかな」

ガブリエル「そわそわしてる人もいるみたいだしね」

ウリエル「にぃ、んじゃ俺は自部隊編成を即行してくる、ミカエル、お前も急げよ!
     じゃあまた後で!」

ミカエル「あいつは返事をする暇すらくれんのか」

ガブリエル「ふふっ、いつもの事じゃない、ウリエルらしいと思うわ」

ラファエル「そうだね、それじゃ、僕も自分の仕事をしてくるよ、ではね」

ミカエル「あぁ、ご苦労、ではな」

ガブリエル「それじゃ、ミカエルもこの後は・・・」

ミカエル「そうだな、部隊編成をしようと思っているが、どうした?」

ガブリエル「最近、夜遅いでしょ、グレモリー戦の事だったのね」

ミカエル「あぁ、それがどうした、ウリエルの事だ、こうなるのは分かっていたからな、
     それまでに出来る事をしていたまでだ」

ガブリエル「・・・・・無理は、しないでね」

ミカエル「無理などしていない、準備を怠れば死ぬのは前線で戦う戦士だ、
      ならば指揮に回れる私が他で詰めるしかないだろう」

ガブリエル「そうだけど、戦いに出る前に睡眠時間を削るなんて自殺行為よ」

ミカエル「分かっている、だから今日は早く休むつもりだ」

ガブリエル「えぇ・・・、貴方は一人しかいないのだから、無理はしないでね・・・?」

ミカエル「代わりがいないのは兵も同じ事だ、ならば強き者が身を粉にするのが組織というもの」

ガブリエル「そうだけど、違うわ」

ミカエル「どういう事だ?」

ガブリエル「私は、貴方個人が心配なの、アーサー」

ミカエル「私をその名で呼ぶな、ガブリエル!」

ガブリエル「っ!」

ミカエル「私はミカエルを名乗った時点でその様な弱い人間は捨てた、
     お前も四大天使を名乗るのであれば、わきまえろ」

ガブリエル「・・・・・ごめんなさい」

ミカエル「では、私は責務に戻る、お前も戻れ」

ガブリエル「えぇ、分かったわ・・・・」

ミカエル「・・・・・はぁ、お前も今日は早く休めよ、アンジェ」

ガブリエル「っ、えぇ、ありがとう」

ミカエル「ではな」

ガブリエル「・・・・・・・・覚えてたのね、私の真名、ふふっ、不器用なのは相変わらずなのね」


ウリエル「次回予告」

ラファエル「グレモリー戦、か・・・・」

ウリエル「お、どうしたラファエル、珍しく俯いて」

ラファエル「いえ、大きな戦いの後は仕事が増えるからね」

ウリエル「なんだ、さっきは仕事がたらねぇってぼやいてたじゃねぇか」

ラファエル「その後に良い事だけど、って付け足したでしょう」

ウリエル「ま、今回はサリエルもいる、そうお前に苦労はかけねぇよ」

ラファエル「そうだといいね」

ウリエル「次回 侵攻、グレモリー領」

ラファエル「戦う者達に、神のご加護を」


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w