そこは、人と魔物が共存する世界、世は群雄割拠、歴史は常に争いの中にあった・・・
だが、長き時を経て、世は平定を迎えた、一人の覇者の登場によって。
その者の名をベリスザード、魔を束ねし者・・・
人々は、畏怖と畏敬を込め、魔王と呼んだ。
彼の者の善政により、平和は続く・・・かと思われた。
だが、一部の人は、魔物が支配する世界を良しとしなかった。
その者たちが作り出した組織、魔を狩り、人による支配、平和を求むる集団。
彼らは勇者を名乗り、彼らを管理する者達は、自らを協会と称した。
そして、長い時を経て、魔王は勇者に討伐された。
魔物は二つの派閥に割れ、勇者たちは我が物顔で世界を闊歩した。
勇者たちの私利私欲による略奪、破壊、それは力なき人々に向けられた。
さらに、その行為は全て魔物の仕業を騙る物であった。
一方、二つに割れた魔物の片割れ・・・
正しく魔の所業、侵略し、破壊し、何も残さなかった。
そう、世界は再び混沌に包まれたのだ・・・
しかし、世に残された最後の良心、それは、彼の魔王の遺志を継ぎし者達。
魔物や勇者に侵略され住住処を奪われたもの、
魔の血を引くという理由で住処を奪われたもの、
それらを救い、悪しきモノを狩る者達・・・
だが、彼らが正義と呼ばれることはない。
魔物を中心としているということもあったが、何より勇者が、協会がそれを許さなかった。
勇者は正義、魔物は全て悪、そんな方程式が作り上げられた世界。
真実は滅んだ人々の中、破壊し尽くされた村々に隠蔽される・・・

これは、そんな歪んだ世界でのお話・・・



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