箱庭の世界で 第七十話 血の宿命
ケイオス♂ | 27歳 |
空♀ | 15歳 |
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ケイオス♂:
空♀:
空M「キラーに案内され辿り着いた扉の前、中からは異様な気配、
天界で会った時より、遥かに淀んだ瘴気のような魔力、
触れてはいけない物だと本能が告げる、だけど、奴を討てと血が疼く、
仇は目の前だ、今日こそ、ここで」
空「箱庭の世界で 第七十話 血の宿命」
ケイオス「いやぁ、いらっしゃい、封印師殿」
空「ケイオス・・・・・!」
ケイオス「クッククク、折角の再会じゃないか、いきなりそんな殺気だって、
もうちょっと情緒を楽しんだら・・・」
空「貴様との再会に情緒なんて必要なものか!殺す、それだけ、ただそれだけだ!」
ケイオス「そうだね、そうだった、あまりにも楽しみだったから忘れてたよ」
空「っ、なんだと!」
ケイオス「君は、どれ程の憎しみを持って、どれ程の鋭い刃を持って僕を殺しに来るのか・・・・、
これが楽しみ以外の何だって言うんだ、僕はそれ以外に形容する言葉を持っていないねぇ」
空「・・・・・・分かった」
ケイオス「ん、何かいい言葉が見つかったのかな?」
空「貴様の余裕かました面見てるのは我慢がならないって事がだ!」
ケイオス「なら、今すぐ僕から消してみたらどうだい、余裕を!」
空「言われなくても、縛結界・足<バクケッカイ・ソク>!」
ケイオス「っと、足が」
空「抜刀・瞬迅<シュンジン>!」
ケイオス「速いけど、よっ」
空「なっ!?」
ケイオス「見切れない程じゃない」
空「受け止められた、ちぃ!」
ケイオス「づっ、いたた、やっぱ刃は手で止めるものじゃないねぇ」
空「当たり前だ、そんな迂闊で、勝てると思うのか!」
ケイオス「っと、そんな大降りで勝てると思ってるのかな?」
空「なっ!」
ケイオス「手を掴まれちゃさっきみたいに斬って抜ける、なぁんて出来ないよね?」
空「くそ、離せ!」
ケイオス「あはは、そんな体勢から蹴り入れても、体重が乗ってなくて痛くもないんだよ、ね!」
空「っ、きゃあ!」
ケイオス「あー、うん、手掴んで投げ飛ばすとか、あの時を思い出すなぁ」
空「く、まさか」
ケイオス「そ、彼らと戦ったときだよ、シィル、だったかな、彼も同じようにね、
あ、その時は魔力放出もあったからあっちの方が悲惨だったかなぁ」
空「貴様・・・・!」
ケイオス「おやおや、女の子がそんな言葉遣いしちゃダメだよー、
お父さん殺された後のお母さんでももっと大人しい言葉遣いだったっていうのに」
空「くっ、貴様に、貴様に母さんの何が分かる!」
ケイオス「愛しい人を殺された時の、彼女を知っている、それは、君でも知らない姿だ」
空「っ、ふざけるなぁぁぁああああああ!」
ケイオス「激昂すれば同じのが見えると思ったけど」
空「ふっ」
ケイオス「っ、消えた、いや」
空「はぁ!」
ケイオス「後ろ」
空「くっ、足止められた状態でかわすなんて、でも縦の攻撃なら」
ケイオス「ディスチャージ」
空「っ、きゃあ!?」
ケイオス「どっちかって言うと父親似、かな、この感じだと、残念」
空「げほっげほっ・・・・、くっ、軽く放出しただけで、あれ・・・・?
ふざけてる・・・・」
ケイオス「おや、丈夫になったみたいだね、前と同じくらいの攻撃を当てたつもりだったけど」
空「魔力に含まれる瘴気さえ防げば、ダメージが残らないのが分かったからね・・・・、
単純な衝撃波くらいだったら、あんなもんいくらでも・・・・!」
ケイオス「へぇー、前言撤回、母親似だ、使い方は違っても、張り詰めた気が既に障壁なってるなんてね」
空「私はあんたを殺す為に強くなったんだ、対策だってちゃんとしてきた」
ケイオス「対策、ね、なら、これの対策はしてきたかな、いよ!」
空「なっ、そんな、自分の足を、無理やりちぎって・・・・!?」
ケイオス「ぐぅぅぅううううう、いったたた、ふふふっ、これで結界による束縛なんて、
関係ないよねぇ・・・・」
空「は、あはは!だからって、足のないお前に負けるほど、私だ・・・って・・・・」
ケイオス「ほら、元通り、凄い再生能力でしょ、物凄く痛いからあまりやりたくなかったんだけどね」
空「化け物め・・・・」
ケイオス「褒め言葉として受け取っとくよ、さて、続きと行こうか?」
空「・・・・本当は、シィルに教えてもらった居合いで倒したかった」
ケイオス「ん?」
空「斬結界・発<ザンケッカイ・ハツ>」
ケイオス「っ、ラピッド・・・!」
空「三番八番、斬」
ケイオス「ぐっ!?腕が、落ちた、どこから・・・!」
空「二番五番、六番十番、斬」
ケイオス「づぅぅぅ!くっ、そういう事か、これ以上、思い通りには・・・!」
空「一番九番、斬!」
ケイオス「ふっ、幾ら速かろうと全てが当たると、っ、な、に・・・!?」
空「次を撃ったら、前が消えると思ったら大間違いだ」
ケイオス「ちぃ、チャージ・・・・!」
空「四番七番、斬!」
ケイオス「づっ、バースト!」
空「結界・壁<ケッカイ・ヘキ>!」
ケイオス「あれすら防いで・・・!?」
空「斬結界・集<ザンケッカイ・シュウ>!」
ケイオス「っ、ぐぁぁああああああああ!?」
空「はぁ・・・はぁ・・・、あれだけ刻めば・・・」
ケイオス「あ゛・・・、ぐ、ぅ・・・、残念ながら、死んで、ないんだよねぇ・・・・」
空「そんな、っ、げほっげほっ!」
ケイオス「く、くくっ、そう、だよねぇ・・・、いくら才があろうと、
この短期間でそれはおかしいと思ってたんだよね」
空「ふ、ふふふっ、何のことかな?」
ケイオス「誤魔化すか、なら、暴いてあげようかな・・・ぐっ」
ケイオスM「はっ・・・、抑さまれ、これは、僕が向き合うべき相手だ・・・!
血に、業に呑まれるな、僕は、僕だ・・・!」
空「好機・・・!はぁ!」
ケイオス「くっ、そうさ、こんな楽しいのに、投げ出すのなんて、して堪るものか!」
空「抜刀・瞬迅<シュンジン>!」
ケイオス「カオスファントム」
空「ぜりゃぁ!」
ケイオス「残像だよ!」
空「そんな物、斬れば分かる!裏式・翻迅<ウラシキ・ホンジン>!」
ケイオス「ぐぅぅ!くっ、ハンドレス!」
空「づっ、ぁ、刀が!」
ケイオス「ゼロレンジ・バースト!」
空「っ、きゃぁぁあああああああ!?」
ケイオス「くっ・・・、はぁ・・・はぁ・・・、やっぱり、近接は見えても、体が追いついていかないなぁ・・・」
空「げほっげほっ・・・、追いつかない・・・、あれで・・・?」
ケイオス「そうだよ、本来なら返しだって当たらない予定だったんだけどね、
理想と現実は違うって事だね、残念だけど、・・・・ねぇ、それだよね?」
空「それ・・・?っ、ローブが・・・」
ケイオス「うん、やっぱりね、その体に描かれた紋様だね?」
空「そうさ」
ケイオス「命を削り、術の威力を上げる術式」
空「そうさ!貴様が殺せるなら、私はここで終ったっていい!」
ケイオス「くくっ、はははっ、あっはははははは!」
空「何が、何が可笑しい!」
ケイオス「思ったとおり、思ったとおりだ、これが、僕の、選んだ道だ」
空「思ったとおり?そうかよ、人一人を、ここまで狂わせたのがそんなに楽しいのかよ!」
ケイオス「違う、違うんだよ」
空「何が違うって言うんだ!」
ケイオス「まだ、くくくっ、そうだ、まだ教えてあげない」
空「ふざけるな、ふざけるなふざけるなふざけるなぁ!」
ケイオス「ふざけてなんかないさ!殺すんだろう、僕を!さぁ、この首、飛ばしてみなよ!
この頭を潰してごらんよ!試してない殺し方なんていっぱいあるでしょうが!」
空「っ、あぁ、望み通り、ぶっ殺してやる、あぁぁぁああああああああ!」
ケイオス「あぁ・・・、そうだ、これだ、これなら僕も、はぁぁぁぁああああああああ!」
空「はぁ!」
ケイオス「そらぁ!」
空「ぐっ、まだだ、だりゃぁ!」
ケイオス「づっ、っはは、浅い、よ!」
空「っ、見えた、はぁ!」
ケイオス「っ!?」
空「首を飛ばしただけじゃ足らないんだろう!潰れて、消えろぉぉぉおおおおおお!」
ケイオス「ぎっ!?」
空「はぁ・・・・はぁ・・・・、お望み通りだ、首飛ばして、頭潰してやった、ははっ、あっははは・・・、
これ、なら・・・・、っ、そんな、まさか・・・・!」
空M「そんな、小さな破片から、再生、してるなんて・・・・!」
ケイオス「ごふっ・・・、が、げほっげほっ・・・・、ごめん、ねぇ・・・、これでも死ねないらしいね・・・」
空「嘘だ・・・・、そんな、あり得ない・・・・」
ケイオス「自分でも、そう思うよ、なんで、人の形をして、人のように話す事が出来るんだろうね、僕は、
あっははは、人の復讐すら、叶えさせてやる事も出来ないのか、この体は・・・・」
空「まさか、最後手加減を・・・!」
ケイオス「そんな訳がないだろう!本気だったさ、僕の!・・・・君は、一瞬だけど、越えたのさ、僕を」
空「くっ、そんな言葉貰ったって嬉しい訳が!」
ケイオス「ならなんだ、無抵抗の僕を、いつ死ぬかも、本当に死ぬかも分からない相手を、
延々斬り刻めば満足するのかい!?」
空「っ!」
ケイオス「そうじゃない、この世から、その存在を消し去って、二度とこの世に現れる事の出来ないほどに徹底的に!
自分のこの手で、抹消出来なければ納得なんて、出来ない、そうだろう!?」
空「・・・・・・・」
ケイオス「他人が一時的に封ずる、それじゃ意味が無いんだ、
この手で消す、じゃないと納得できないんだ、そうだろう?」
空「・・・・・そうだ」
ケイオス「はははっ、あはははっ、やっぱり、そうだ、思ったとおりだ・・・」
空「何が・・・・」
ケイオス「君は僕だ、僕はあいつだ、分かってた、分かってたさ、けど、止まれる訳が、やめられる訳が無いんだ・・・」
空「ケイ、オス・・・?」
ケイオス「君には教えてあげるよ、僕の、本当の目的」
空「本当の、目的・・・・?」
ケイオス「復讐さ、邪神に復讐するためさ、封印されて安らかに眠っているなんて許せるか、
復活させて、あんたの実の息子は、あんたのせいでこんなに歪みましたよって!
現実つき付けて、思い知らせて殺す為に、僕は邪神を復活させるんだ」
空「じゃあ、あんたは自分の復讐の為に、シィルを・・・・」
ケイオス「そうさ!自分の復讐の為に人を不幸にしてたのさ!
これが!君に!否定できるって言うのか!」
空「それは・・・・」
ケイオス「出来ないよね?全部、分かってたんだ、だから、僕は、全てを背負う義務がある、
ハザニ、イリーク、ジラルザ」
空「っ・・・!」
ケイオス「次弦、未来、シィル、エィル、他にも言い切れない程沢山、沢山の人を犠牲にした、
人数も、名前も、年齢も、覚えてる、知らない人は、全部調べた、そうさ、
僕らの手によって犠牲になった人は、全員知っている」
空「なんで、そんな、復讐したいだけなら、そんなの関係ないじゃんか、なんでそんな事まで!」
ケイオス「僕は、人が大好きなんだ」
空「っ!」
ケイオス「あははっ、今更そんな事言っても信用してもらえないのは分かってる、してもらおうとも思ってない」
空「じゃあ、なんで・・・・」
ケイオス「君に死んでもらっちゃ困るんだ」
空「なんでさ、意味が分からないよ」
ケイオス「だって、もし僕があいつを殺せなかったら、代わりに殺してくれる人が必要でしょ?」
空「っ、そんな身勝手な!」
ケイオス「分かってるよ、もちろん自分で殺すつもりさ、だけど、万が一、
・・・・・許せないじゃないか、のうのうと生き残られるなんて」
空「・・・・・・バカ」
ケイオス「知ってるよ」
空「身勝手だ、あり得ない、ほんと死ねばいいのに」
ケイオス「じゃあ、全部終ったら、君が僕を殺してくれたらいい」
空「はっ、ほんと、バカじゃないの、知るか、お前なんか目的も果せないまま邪神に殺されちまえ!」
ケイオス「お断りだね、・・・・・さて、僕はまだやる事があるから、じゃあね」
空「・・・・・・あり得ない、なんで、ここに来て心折れるんだよ私」
空M「きっと私は、もうあいつを斬れない、あいつに自分を、重ねてしまったから、
自分を、斬るなんて、出来ないよ・・・・、シィル・・・・・」
ケイオス「次回予告」
空「二つの死闘が終わりを見せた」
ケイオス「その中、未だ続く死闘が一つ」
空「次回、箱庭の世界で 第七十一話 炎と氷に降り積もる雪」
ケイオス「彼らの思惑は、本当に上手く行くのだろうか」
とぅーびー・こんてにゅーど
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w