箱庭の世界で 第六十五話 見ないようにしていた物
会長♂ | 19歳 | (かいちょう) |
火炎♀ | 18歳 | (かえん) |
藍♀ | 19歳 | (らん) |
スノウ♀ | 18歳 |
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会長♂:
火炎♀:
藍♀:
スノウ♀:
会長「ようこそ、雪の姫、学園で会ったぶりだな」
スノウ「あの時の、お久しぶり、って言うほどではないかしらね」
会長「うむ、まだ一月も経っておらぬからな」
藍「お飲み物、何がいいですか?」
スノウ「敵地で出された物を素直に飲むとでも?」
藍「毒が気になるのであれば同じカップから一口飲みますが」
スノウ「結構です、人が口を付けたものなんて飲みたくないわ、
そんな見え見えの善意はいらないから、早く用件を話して」
会長「分かった、まず単刀直入に今回の目的を話させてもらおう、
焔と共に我らの陣営に加わって欲しい」
スノウ「出来ると思う?」
会長「あぁ、別にお互い人質に取られていると言うわけでもあるまい、
君が焔を説得してさえくれれば事としては容易だと思うがね」
火炎「お願い、焔を返してって言ってる訳じゃないの、それは全部終ってから話し合いで決めればいいと思ってる、
けど、このままじゃ邪神が復活しちゃう、そしたら、私たちだけじゃない、住む世界がどうなるかも分からないの」
スノウ「知ってるわ、彼らの目的は私も聞いてるもの」
火炎「じゃあ、なんで彼らに協力するの?」
スノウ「・・・・貴方たちには、関係ないでしょ?」
火炎「話してくれなきゃ、分からないよ」
スノウ「話すつもりなんて無いわ」
藍「会長」
会長「あぁ、分かっている」
スノウ「話は以上?それなら私は戻るわよ」
会長「まぁもう少し待ってくれたまえ、私とてこれだけで協力を仰げるとは思っておらぬ、
先日学園で話したことを覚えているかね、私も自分たち人間の都合の悪い部分に目を向けてみたのだよ」
スノウ「・・・・また人の過去を詮索したのね」
火炎「ねぇ、人間の都合の悪いこと、って?」
藍「これから全部話すわ、元々の話を知らない貴方にも分かりやすいように」
火炎「うん、ありがとう」
会長「さてスノウ、確認なのだが、政略結婚、これは持ちかけられたもので間違いないか?」
スノウ「えぇ、あちらからの申し出よ」
会長「まずそれがおかしいと思わぬかね」
スノウ「・・・・どういう事?」
藍「それをして、人間になんのメリットがあるのかしら、
事業に失敗した有力者相手に政略結婚、うまみが無いと思わない?」
スノウ「無いと思ったから遊ぶだけ遊んで反故にしたのでしょう」
火炎「それって、人間、地上の人から魔族に政略結婚を申し込んだって事?」
藍「えぇ、そうよ」
火炎「人間からしたら魔族って恐ろしい者ってイメージが強いはずなのにどうして?
それに、こっちに魔界の情報なんて殆ど入ってこないんだよ、どうやって調べたんだろう」
スノウ「恐ろしい云々は別だわ、そこにメリットがあるのであればね、
それに調べるのだって簡単だわ、現にそこの二人は私の事を調べられたのだから」
会長「そう、興味を持って調べれば出来ないことではない、
だからこそ何故君の家なのだ、という疑問は生まれないのかね?」
スノウ「・・・・・え?」
会長「政略結婚を申し込む様なお家柄がそこを誤ると思えないのだよ」
スノウ「それは・・・・」
会長「そこで、人間側の家柄を調べてみたのだよ」
藍「記録としてどこの家か、という情報は残っていなかったから、逆の方向、
当時の情報、有力者の記録エトセトラ、遡ってみたのよ、
結論として、政略結婚の記録はなかった」
スノウ「そんなはずない!」
藍「次に、死神に協力をお願いしたわ、魔界と地上を繋ぐ門の通過者の記録ログを全て見させてもらったの、
当時の記録に残されていたのは、焔、ただ一人よ」
スノウ「え・・・・・・、それじゃああいつらは、どこから私の家に・・・・?」
火炎「ね、ねぇ、私にも分かるように説明して」
会長「スノウは政略結婚を申し込まれ、それを受けた、そしてその相手は彼女を陵辱し、
更には婚約も破棄し、姿を眩ませたのだ」
火炎「っ、そんな事が・・・・」
スノウ「それじゃあ彼らは、魔族だったという事・・・?」
会長「我らもそう思った、一度はな」
藍「同時期、地上で30代の男性が四人、行方不明になってるわ」
スノウ「30代、四人・・・・、あいつらと一緒・・・・」
火炎「けど、死神の検閲を通らずにどうやって魔界に?
焔だって記録に残ってたんでしょ?」
会長「同一人物だと断定するにはまだ早いぞ火炎」
火炎「でも、スノウさんも一緒だって・・・」
藍「それは特徴がね、状況証拠的には間違いないとは思うけど」
会長「これが捜索願いなどに張られた顔写真だ、見覚えはあるかね?」
スノウ「っ・・・・、間違いない、あの時のあいつらよ・・・・」
会長「ちなみにこの四人、なんの変哲も無いただの一般人だ」
スノウ「なっ・・・・・」
火炎「じゃあ、それこそどうやって魔界に・・・」
藍「そもそも、どうやって情報を調べたか、って所から始まるわね」
スノウ「力も権力も無い人間が・・・、私を、お父様を・・・・・?」
会長「そういう事になるな、君の覚え間違いでなければ」
スノウ「間違えるわけ無いじゃない!忘れたくても、今でも悪夢で見るの、
忘れられるわけ無いでしょ!」
火炎「スノウさん・・・・」
会長「では間違いなかった、その方向で話を進めるぞ」
火炎「っ、会長、ダメだよ、スノウさんこんなに取り乱してるのに・・・・!」
スノウ「続けて」
火炎「でも」
スノウ「続けて!」
火炎「っ・・・」
スノウ「ここまで聞いて、引き下がれる訳ないでしょ・・・」
藍「続けていいのね?」
スノウ「お願い・・・!」
会長「では、・・・シャドウに聞いたのだが、あの門を通らず、つまり検閲を受けず通る術(すべ)があるらしい」
火炎「シャドウさん、に?」
スノウ「誰なの?」
藍「ケイオスの双子の弟よ」
スノウ「あいつの・・・、っ、まさか」
会長「うむ、恐らくそのまさかだ、ケイオス、あいつの魔術で行き来する事が可能らしい、
もちろん、本人だけでなく、他人も一緒に、な」
火炎「それじゃあ、スノウさんに昔あったことも・・・」
藍「真相は本人に聞いてみないと確証はないけど、ここまで来たら間違いないでしょうね」
スノウ「・・・・・・・・・」
会長「どうかね、これでもまだ邪教に加担する気があるか?」
スノウ「分かってて言ってるんでしょ・・・・・?」
会長「ならば我々に・・・」
スノウ「それもお断りよ!そんな自分の人生を否定するような事出来る訳ないじゃない!
貴方たちみたいに何事もなく生きてきた様な人間に同情なんてされたくないわ!」
火炎「貴方こそ、自分だけが不幸みたいな態度で、私達を否定しないで!」
スノウ「っ、あんたに何が・・・!」
火炎「どうせ分からないよ!私は何事もなく生きてきたもん、だけどね、
私みたいに何事もなく生きてきた人ばっかりだと思わないで!」
スノウ「何よ、私の地獄を知らないくせに抜け抜けと・・・!」
火炎「地獄を見たのは貴方だけじゃないでしょ!
フィオちゃんだって、空ちゃんだって、イトちゃんだって、
みんな違う地獄を見てるんだよ!貴方だけが不幸みたいな言い方しないで!」
スノウ「・・・・・・!」
藍「火炎!落ち着きなさい、ここで言い争っても仕方が無いでしょう!」
火炎「けど、話し合いじゃ納得できないんでしょう」
スノウ「当然でしょ」
火炎「私たちも、分かったなんて簡単に引き下がる訳にもいかない、
だからといって分かってもらえるまで話し合いをする時間も無い」
スノウ「なら開放してもらえる?私もここに居座るわけには行かないの」
火炎「いいよ」
会長「火炎!?」
スノウ「それじゃもう帰らせて・・・・」
火炎「その代わり、私に勝ったらね」
スノウ「なに?」
火炎「私が勝ったら仲間になってもらうよ、自分で否定するのが怖いなら、
理由がなきゃ邪教から離れられないなら、私が理由を作ってあげる」
スノウ「・・・・・いいわ、貴方とはいつか決着つけなくちゃいけないと思ってたの」
火炎「それじゃ、外に行こう」
スノウ「えぇ」
会長「おい、二人とも!」
藍「会長、手出しは無用です」
会長「だが・・・」
藍「この戦いは見守るしかありません、二人の大切なものがかっていますから」
会長「・・・・・・負けるなよ、火炎」
藍「次回予告」
スノウ「同じ者を想うが故の衝突」
火炎「違う道を歩んだが故の相違」
会長「次回、箱庭の世界で 第六十六話 譲れぬ想い」
藍「平行線が交わる時、波乱は必須なり」
とぅーびー・こんてにゅーど
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w