箱庭の世界で 第六十一話 狂宴の始まり

焔♂ 18歳 (ほむら)
マリス♂ 42歳
ケイオス♂ 27歳
ジェノ♂ 33歳
レリクム♂ 25歳
ネロ♂ 21歳
スノウ♀ 18歳

簡単なキャラ設定はこちら
世界設定や技説明等はこちら

焔♂:
マリス♂:
ケイオス♂:
ジェノ♂:
レリクム♂:
ネロ♂:
スノウ♀:



ケイオス「んー、この肌がピリピリする感じ、素敵だ、
     来る、間違いなく今日だ、終わりの、始まりの日は・・・・」

レリクム「間違いなく、と来ましたか、凄い自信ですね」

ケイオス「あれ、レリクムは感じない、鈍ったんじゃないの?」

レリクム「それは心外ですね、私だって感じているものはありますよ、
     ただし、あまり第六感的な物は信用していませんのでね」

ケイオス「へぇ、君の戦い方は感覚に準ずるものだと思ってたけど、違ったのかな」

レリクム「もちろん感覚に頼ってますよ、五感にですが」

ケイオス「ふふっ、流石だね、さて、来客はそろそろかな?」

ネロ「失礼致します」

レリクム「的中、流石ですね、五感ですか?」

ケイオス「気だから、六感に近いんじゃないかな」

レリクム「なるほど、私には真似の出来ない芸当ですね」

ネロ「えっと、お邪魔でしたか?」

ケイオス「邪魔だなんて、呼んだのは僕だ、待たせてしまってすまなかったね」

ネロ「すまないだなんて、勿体無いお言葉」

レリクム「ネロ君、他の方々にはお伝えしてるのですか?」

ネロ「はい、神父様、ジェノ支部長、焔さん、スノウさんにはちゃんと伝言していますよ」

レリクム「ご苦労様です、さて、ケイオス様、そろそろ集めた理由を伺ってもよろしいですか?」

ケイオス「君には必要なこと全て伝えているよレリクム、君なら予想がつくんじゃないかい?」

レリクム「予想ですか、なんとなくは」

ケイオス「ならば結構、言わなくてもいいよ、答え合わせは時間がしてくれるよ」

レリクム「かしこまりました」

ネロ「意味深過ぎて内容がさっぱりなんですが・・・、僕、聞いてて大丈夫でしたか?」

ケイオス「あぁ構わないよ、君も、既に関係者だ、揃ったら話すよ」

ネロ「はぁ・・・、かしこまりました」

レリクム「っと、揺れましたね、地震では無いようですが・・・」

ジェノ「来たぜケイオス!奴らだ!」

ケイオス「予想以上に速かったねジェノ、その様子だと目視はしていないんだろう」

レリクム「確かに、何故そう言い切れるのやら・・・」

ジェノ「勘に決まってんだろう!いや、それよりも確かな物だ、
    間違いねぇ、あいつの気も混じってるからなぁ」

ネロ「火炎さんの気も・・・?神父様、これは一体どういう事ですか?」

スノウ「っ、はぁ・・・はぁ・・・、ケイオス、あの子達が攻撃を仕掛けてきてるじゃない、どういう事よ!」

焔「あいつらが、天界人が来てる、出てもいいんだろう」

ケイオス「クッ、あはは、あっはははは!やはり今日が運命の日だ!」


マリス「箱庭の世界で 第六十一話 狂宴の始まり」


スノウ「笑ってないで答えなさい、何故こう都合よく一堂に会するタイミングであの子達が来るの!」

ケイオス「少しは落ち着いたらどうだいスノウ、淑女がみっともない」

スノウ「くっ、貴女はいつでも冷静ね、まるで全てを知っているかのよう」

ケイオス「いいや、僕だって知らない事は沢山あるさ」

ジェノ「へぇ、意外だな、例えば何がある、知らねぇ事」

ケイオス「知らない事を知っていたらそれは知らない事ではないでしょうに、
     無茶を言わないでくれ」

ジェノ「それもそうか、じゃあ知らない事ないんじゃねぇの?」

焔「死神、悪いけど雑談なら全部話が終ってからにしてくれ」

ジェノ「あ、テメェ何様の・・・・、ハッ、懐かしい顔じゃねぇの」

焔「懐かしい?俺とお前は初対面のはずだけど」

ジェノ「んだと、テメェ赤い悪魔じゃねぇのかよ」

焔「そう呼ぶ奴もいるな、それがどうした」

スノウ「ねぇケイオス、どういう事?」

ケイオス「ここで説明してもいいなら話すけど」

スノウ「・・・・・そういう事、なら話さなくていいわ」

ネロ「あ、あの、すみません、僕本当にここいていいんですか?」

ケイオス「構わないよ、そろそろ我らが教祖様が来られるだろうからね」

ネロ「なっ、教祖様直々にですか!?」

焔「教祖が・・・、何を始めるつもりだよ」

マリス「狂宴を、この世全てを巻き込む狂宴をだよ」

ネロ「っ、あ、貴方が、教祖マリス様・・・、お、お初にお目にかかります・・・」

マリス「信徒の一人か、ご苦労、さて、ケイオスよ、思いの他賑やかだな」

ケイオス「そうだね、楽しいでしょ」

マリス「楽しいか、お前の口からそんな言葉が聞けるとはな、まぁよい、
    さぁ、皆の衆、既に気付いていると思うが、今ここは敵襲にあっている」

焔「分かってるよ、だから何」

ジェノ「早く俺に戦わせろよ、疼くだろうがよ・・・」

マリス「これは、重要な戦いとなる、万が一があっては困るのだ、
    ここにあるのは信頼できる駒だとは思いたいが、
    一度問うて見たいのよ、貴様らが我々に加担する理由をな」

ケイオス「それ、今必要?」

マリス「あぁ、必要だとも、いつ誰がこの私の邪魔をするか分かったものでは無いからな、
    なぁケイオス?」

ケイオス「安心してよ、最初の約束どおり、目的を果たすまでは道は違えない」

マリス「どうだかな」

レリクム「恐れ多くも進言させていただきます、敵は手だれで無いとは言え、
     攻撃は既に始まっています、何をするにも急いだ方がいいかと・・・」

マリス「ふむ、それもそうだ、ならば神父、貴様から問おう、
    何故貴様は我らに加担する」

レリクム「私の理由、ですか、そうですね、雇われの身、殺し屋が仕事に私的理由を持つなんて言語道断、
     ですが、強いてあげるのであれば、興味惹かれる者がそこにいるからですね」

マリス「ふむ、面白くもなんとも無い理由だ、我欲はないのかね?」

レリクム「無いといえば嘘になります、ただ限りなく希薄なので、
     満たされてしまっているのですよ、今の状況に」

スノウ「満たされている?それは心の底から思っているの?
    あり得ないわ」

レリクム「あり得ない、何故他人の貴女がそう言い切れますか、
     欲望なんて人によって違うものです、貴女の欲望は貴女が、
     私の欲望は、私が決める物です」

マリス「そうだ、氷の姫よ、ここにいるもの、誰一人同じ理由で存在しておらぬ、
    強欲な者が無欲な者を理解できぬように、その逆もまた然り」

ネロ「認められぬ物は許してはなりません」

スノウ「っ!?」

マリス「ほぅ、貴様は敬虔(けいけん)な信者のようだな」

ネロ「ありがとうございます、あの教義、よく出来ていますよね、
   救いを求める疲れた人々を集めるのには適していると思ってます」

マリス「それは褒めているのかね、それとも貶しているのかね?」

ネロ「貶すなんてとんでもない、素直に感心していますよ、
   人の心を集めるにはとても効率的だと思います、
   ただ、宗教としては、とずっと思っていたんです」

マリス「ほぅ、ならば何故貴様は邪教に属す、
    これから我らが成そうという事が知らされていないわけではあるまい?」

ネロ「邪神様の復活、ですよね、本当の神という物がどういう存在かは分かりませんが、
   僕の居場所は今ここにしかない、であればここでベストを尽くすだけですよ」

スノウ「居場所が、ここにしかない・・・」

焔「お前も、それで満たされてるとか言えるタイプか?」

ネロ「満たされる訳無いじゃないですか、満たされないから、代わりに女性を満たすんです」

スノウ「それでも、貴方は満たされないのでしょう?」

ネロ「えぇ、それで満足できるのであればただの偽善者です、僕は快楽主義者だ、
   仮初の愛で満たす代わりに欲求を満たしてもらっている、それだけの事ですよ」

ジェノ「つまる所ただの女誑しだろうが、小難しい理屈並べようがやってる事はかわんねぇぞ、ガキ」

ネロ「えぇ、そうですよ、そんな事誰よりも僕が分かってます、
   まぁ、恋愛の恋の字すら分かってなさそうな人に言われるのは心外ですけど」

ジェノ「あ?テメェ、死にてぇのか?」

焔「死神、我が振り見て直せよ、そんなんだから言われるんだろうが」

ジェノ「ハッ、ケンカならまとめて買うぞ、あぁ!?」

マリス「ジェノ、貴様は貴重な戦力を開戦前に減らすつもりか」

ジェノ「チッ、ならさっさと話を進めやがれ!俺に戦わせろ!」

マリス「ならば次は貴様だ、加担する理由を述べよ」

ジェノ「終焉だ、抗い様の無い終焉だ!あらゆる手を尽くそうが覆せぬ終わりが見てぇんだよ!
    赤い悪魔も、テメェらもそれに適わねぇ、邪神なら見せてくれるんだろうがよ!?」

マリス「あぁ、約束しよう、貴様と言わず世界すら破壊して見せよう」

ジェノ「いいねぇ、楽しみにしてんぜぇ・・・」

スノウ「・・・・・・・」

焔「どうした、スノウ、大丈夫か?」

スノウ「え、えぇ、大丈夫、よ」

マリス「どうした、今更良心の呵責(かしゃく)に悩まされているのか」

スノウ「っ、うるさい!私は、私は焔さえいれば何もいらない!
    世界なんて知ったことか、私達を邪魔者扱いし続ける世界なんて壊れてしまえばいい!」

マリス「フッ、それが続けばいいがな」

スノウ「どういう意味よ」

マリス「そのままの意味だ、さて、次は貴様か、赤い悪魔」

焔「ここにスノウがいる、それだけだ」

マリス「無欲なのか強欲なのか、まぁ良い」

ケイオス「それじゃ、一通り終ったみたいだし、そろそろ・・・」

マリス「一通り、一人忘れていないか?」

ケイオス「それって、まさかとは思うけど、僕の事かい?」

マリス「それ以外に誰がいる?」

ケイオス「過去には干渉しない契約、だったはずだけど」

マリス「ほぅ、お前の理由というのは、過去に関係したものだったか」

ケイオス「それ以外にあると思ってたのかい、思ってたよりおめでたい頭だったんだねぇマリス!」

マリス「兄を呼び捨てかケイオス、貴様の親の顔が・・・・」

ケイオス「黙れ!それ以上口にするな!」

レリクム「ケイオス様?」

ジェノ「お前が声を荒げるなんて珍しいじゃねぇの」

ケイオス「・・・・・・すまない、ねぇ兄さん、ここに来て契約違反する意図を聞かせてもらえない?」

マリス「機族の谷、私の計画を妨害したのは貴様であろう、ケイオス」

ケイオス「・・・・・へぇ、根に持ってたんだね、それが、どうしたの?」

マリス「貴様のせいで、貴様のせいで・・・・・!」

ネロ「っ、また、揺れましたよ」

焔「迎撃には誰か出てるのか?」

ジェノ「雑魚どもじゃ話にならねぇからな、退避させてある」

焔「じゃあ俺たちが出ないと反撃はなしか」

ジェノ「そういう事だ、おい、話は終ったんだろ?」

マリス「まだだ、まだ私の話は終って・・・・!」

ケイオス「君たちが聞く話は終ったよ、各自やるべき事は分かってるよね」

レリクム「はい、問題ありません、手筈通り準備は整えてあります」

ケイオス「来賓(らいひん)を待たせすぎてはいけない、義務は果たした上で、好きなようにもてなしてあげて」

ジェノ「了解だ、ハッ、行くぜ!」

レリクム「ネロ君、私たちも持ち場へ」

ネロ「はい!」

焔「行くぞ、スノウ」

スノウ「えぇ」

マリス「くっ、ケイオス、貴様は何故私の邪魔をする!」

ケイオス「嫌いだからさ、最初からね!本当なら顔も見たく無い、同じ空気も吸いたくない!
     今すぐにでも殺してやりたいくらいだ、貴様を兄と呼ぶだなんて吐き気がするんだよ!」

マリス「悔しいが同意見だ、よく今まで折り合いをつけていた物よ、
    目的が同じでなければ利用すらしておらぬわ」

ケイオス「ふん、どちらにしても今日が最期の日、お互い仕事は違うんだし、
     やる事さっさと済まして、目的を果たそうよ、それでおさらばだ」

マリス「ならば、さっさと私の前から消え失せろ、今すぐにだ!」

ケイオス「言われなくても消えるさ!」

マリス「・・・・・・・餓鬼めが」

---------------------------------------------------------------------------------------------

レリクム「ネロ君」

ネロ「なんでしょうか、神父様」

レリクム「君は、生き残りなさい」

ネロ「どういう事ですか?」

レリクム「敵と戦う必要はありません」

ネロ「だからどういう事なんですか!」

ジェノ「そのままの意味だ、ガキ」

ネロ「ジェノ支部長、理由もなく義務を放棄なんて出来ませんよ」

ジェノ「邪神の復活はケイオスの奴が勝手にやる、あいつの事だ、
    俺らが足止めをしなくても復活は間違いなくする」

ネロ「なら、何故わざわざ僕たちをここに?」

レリクム「簡単ですよ、何故なら、ケイオス様の本当の目的は・・・・」

--------------------------------------------------------------

スノウ「最後の戦い・・・、邪神の復活・・・・」

焔「悩んでるんだな」

スノウ「・・・・このまま、彼らの下で動いてていいのかしら、
    私、焔さえいればいいと思ってた、けど・・・・」

焔「けど?」

スノウ「けど、焔は、こんなのでいいの?」

焔「何言ってんだよ、俺にはスノウ以外考えられ・・・」

スノウ「違うの!焔はこのまま世界を滅ぼしてしまうような奴と一緒でいいの?
    本当は、もっと沢山の人と普通に暮らしたいとか思わないの?」

焔「俺はスノウさえいればいい、スノウと一緒だ、この世界に執着なんて無い、
  けどな、邪神とやらが復活したらお前まで危ないかもしれない、それだけが怖い」

スノウ「っ、焔・・・・」

焔「でも、スノウはそれだけじゃないんだよな、そう聞いてきたって事は」

スノウ「・・・・ごめんなさい、まだ、私の中で答が出せてないの」

焔「そっか・・・・」

スノウ「・・・・・仮に、仮にだよ、あの子達に謝ったら、普通に、戻れるかな?」

焔「許してくれるよ、あいつら、単純だから、きっと仲間に入れてくれる」

スノウ「っ、貴方・・・・」

焔「ごめんな、ちょっとだけ変わってもらった」

スノウ「う、ううん、でも、本当に許してくれるのかな」

焔「あぁ、きっと皆歓迎してくれる」

スノウ「けど、私沢山酷い事しちゃったのよ!?」

焔「あぁ、そうだな、ちょっとやりすぎちゃったな」

スノウ「じゃあ、なんで断言できるの・・・?」

焔「仲間だから」

スノウ「っ・・・!」

焔「あ、でもフィオは俺の事許してくれないだろうな・・・・、
  なんとかする、しかないか・・・・」

スノウ「フィオさん・・・・、あ、死神の里・・・・」

焔「あの時の記憶ないけど、俺がやったのは間違いないから」

スノウ「・・・・貴方は、戻りたい?」

焔「戻りたい」

スノウ「そう、よね・・・・」

焔「けど、戻るなら必ずスノウも連れ込むから」

スノウ「・・・・・あの子はどうするの?」

焔「火炎・・・・・、うん、戻ってから考える、三人で話して決める」

スノウ「考え無しなのね・・・、焔とは大違い」

焔「一時一刻(いっときいっこく)を全力でベストを尽くす、それだけだって、
  本気になればなんだって出来るんだからさ」

スノウ「本気になれば・・・・、えぇ、そうね」

焔「あぁ、で、答出て無いんだろ、これからどうするんだ?」

スノウ「私はあの子を簡単には許せない、きっと、あの子も私の事・・・、
    だから、本気でぶつかって見るわ、後悔しないように、させないように・・・」

焔「決まりだな、俺は、もう一人の俺に任せるよ、
  今歩いてるのは俺の道じゃないから、
  スノウと歩くのは、あいつの役目だから」

スノウ「ふふっ、残念、貴方も私の物に出来たら、焔の全てを私の物に出来るのに」

焔「ははっ、そうだな、それじゃ、そろそろ戻るわ、じゃあな」

スノウ「えぇ、じゃあね」

焔「・・・・ふぅ、ただいま、少しはすっきりしたか?」

スノウ「ありがとう、って言っていいのか迷うわね」

焔「いいよ、それじゃ、俺の道だ、俺の好きなようにさせてもらうぞ」

スノウ「私も、私の信じた道を信じて・・・・」

-------------------------------------------------------------------------------

ケイオス「精々今の内に希望を抱いていればいいさ、まだ計画は僕の手の内を出ちゃいない、
     何があろうと成功させる、必ず、必ずね・・・・・」


ケイオス「次回予告」


ネロ「戦いは、とうとう幕を開けた」

レリクム「先陣切るは氷雪、火炎、イン、イトの四人」

ジェノ「迎え撃つは焔とスノウ」

焔「炎と氷の衝突が運命を更に加速させていく」

スノウ「そう、少年少女の想いが追い付かぬ程の速度で」

マリス「箱庭の世界で 第六十二話 進攻、邪教大聖堂」

ケイオス「全ては、一つの為に」


とぅーびー・こんてにゅーど



もどる

シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w