箱庭の世界で 第六十話 覚悟の前日
氷雪♂ | 18歳 | (ひゆき) |
イン♂ | 21歳 | |
会長♂ | 19歳 | (かいちょう) |
火炎♀ | 18歳 | (かえん) |
フィオ♀ | 18歳 | |
イト♀ | 20歳 | |
藍♀ | 19歳 | (らん) |
空♀ | 15歳 | (そら) |
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氷雪♂:
イン♂:
会長♂:
火炎♀:
フィオ♀:
イト♀:
藍♀:
空♀:
会長「うむ、ちゃんと全員集まったようだな、良かった、
何より男性より女性の方が多いのが良いな、うむ」
藍「そんな不純な動機で人選したんですか?」
会長「そんな事はないぞ!ちゃんと私なりに色々考えた結果だ」
空「だと良いけどね、本当に考えてる?この重い空気どうにかしてくれるんだよね?」
フィオ「火炎、来たんだ」
火炎「フィオちゃんこそ、来ないと思ってた」
フィオ「何それ、どういう事?」
火炎「最近ずっと一人で行動してたから、一人で戦いに行くのかなって・・・」
フィオ「へぇ、それ、私に一人で突っ込んで死んで来たらって言いたいの」
氷雪「おいおい、集まったと同時にケンカ始めるなって、話始まらないだろ・・・」
フィオ「じゃあ私出てこうか、そしたら話始めれるもんね」
氷雪「誰も出てけなんて言って無いじゃんか、とりあえず落ち着けって」
会長「・・・・・・」
空「幹事、固まらない」
イン「はぁ・・・、しまらねぇなぁ・・・・」
イト「仕方ないなぁ、もぅ、何のために少人数で前会議したのか分かったものじゃない」
会長「む、インが纏めてくれるのであれば・・・」
イト「そこ三人!」
火炎・フィオ・氷雪「っ!」
イト「言い争うのなんて全部終ればいくらでも出来るでしょ、
今日集まったのは何のため?これからの戦いがどれだけ大切か分かってる?」
氷雪「わ、分かってるよ、ごめん・・・」
火炎「ごめんなさい、でも・・・」
イト「でも、何?」
火炎「っ・・・・」
フィオ「イトちゃんは冷静でいられていいよね」
氷雪「お、おいフィオ」
フィオ「氷雪は黙ってて、私は今すぐにでも行きたいのを抑えてここにいるんだよ、
私怨も何もないあなたには分かんないよね?」
イト「ねぇ、それ本気で言ってる?」
フィオ「本気に決まってるじゃん!あなたなんかに私の気持ちが・・・!っ・・・!」
イト「なら勝手に行けばいい!死にたきゃ一人で勝手に死になさい!」
フィオ「っ・・・・・・!」
空「イトちゃん、売り言葉に買い言葉だ、やめなよ」
イト「空ちゃんも、何も思わなかったの、今のフィオちゃんの言葉聞いて」
空「私に振る?別に良いけど・・・・、私だって私怨の為にここにいるよ、
むしろここにいる人で世界を見てる人がいるとは思えない、これで満足な回答?」
イト「くすっ、本当に最年少とは思えないね」
空「悪かったね、可愛げなくて」
イン「いいんじゃねぇの、背伸びしてる感じが受ける奴だっているだろ、なぁ会長?」
会長「な、何故そこで私に振る!?」
イン「ん、にやにやしてっから、キャッツファイト楽しいか?」
会長「茶化すな、私だって抑えようとしていたのだからな」
藍「楽しんでたんですね・・・・」
会長「断じて違うぞ!」
藍「はいはい・・・・、話し戻すわよ、空ちゃんの言うことはもっともだと思うわ」
氷雪「だな、言われるまで忘れてたわ、これ、邪神復活とか絡んでるんだっけ」
空「本気で忘れてた?」
氷雪「あぁ、焔取り戻すことで頭一杯だったわ」
火炎「わ、私もそうだった、焔とスノウさんの事で一杯だった・・・」
イト「空ちゃんだって、半分以上ケイオスとの決着しか考えてなかったでしょ」
空「私は忘れてないよ、仇討つついでに世界を救うだけ」
フィオ「・・・・空ちゃんは敵が仇でいいよね」
氷雪「フィオ、それ以上はよせ」
フィオ「分かってる、分かってるよ、けど、けど納得出来ないよ!
何で私の復讐は責められて、空ちゃんの復讐は何も言われないの!?」
イン「全体の目的と一致してるからだよ」
フィオ「何よそれ!私だけが間違ってるみたいな言い方しないで!」
イン「お前の感情は間違って無いよ、ただ今はそれを一番最初にもって来るべきじゃないって言いたいんだ」
会長「そう、まずは大局を見て欲しいのだよ、何をいいたいか分かるか?」
フィオ「多数派の意見を尊重して復讐やめろって?ふざけないで」
会長「すまないが最後まで聞いてくれないか?」
氷雪「フィオ、頼む、まずは落ち着いて作戦だけ聞いてみようぜ、
反論するのはそれからでも遅く無いだろ?」
フィオ「分かった、分かったよ・・・」
会長「ふぅ・・・・、では今回の作戦全容を順番に話していく、藍」
藍「はい、皆も知っての通り、私達と敵の戦力差は歴然です、
今分かってるだけでもマリス、ケイオス、ジェノ、レリクム、ネロ、
そして焔こと赤い悪魔、スノウ、計七名」
空「今集まってる私たちは八人、ほぼ同数なのか、かなり辛いね、
分断した上で全員集まって一人一人撃破しないと、かな」
氷雪「これ現実的に勝てる要素あるのかよ・・・・、
それぞれ強くなってるとしてだ、勝てそうな相手は・・・・、
組み合わせ次第でだけど、スノウ、ネロくらいか?」
火炎「かな、かなり絶望的だね・・・」
フィオ「赤い悪魔は・・・」
イン「無理だ、あれとまともにやって勝てると思うな、
化物なんて表現は生ぬるい、災害に立ち向かうようなものだと思え」
フィオ「けど、封印されたって事は勝てた人がいるって事じゃない!」
火炎「あれは三年前だよ、焔はあの時よりずっと修練を積んで強くなってる、
赤い悪魔があの時より強くてもおかしくないよ」
イト「事実、僕とインで話にならなかったから、当時より確かに強くはなってるね」
フィオ「くっ、けど、私だって何倍も辛い修行をしてきたんだよ!?」
空「封印っていう重い枷をつけてた焔の修行が優しいものだと思う?
あれは普通の封印じゃない、行動を制限せず存在を封印する、
本来の存在に掛かる負担、想像付く?」
フィオ「私の修行が易しいものだって言いたいの?」
空「そうは言って無いよ、あれの存在が特殊だって言ってるの」
フィオ「だからって諦めろって言うの!?」
氷雪「フィオ!」
フィオ「っ、ひ、ゆき・・・?」
氷雪「もうよせ、誰も責めて無いから、復讐を諦めろなんて誰も言って無いから、
それに、そんなお前を見てるの、俺、辛いよ・・・」
フィオ「うん、ごめん、なさい」
会長「ほぅ、たまには氷雪もやるではないか」
藍「会長、茶化さないでください」
会長「茶化したつもりはないぞ、忌憚のない意見を述べたまでだ」
火炎「いいな・・・、私も早く焔に・・・・」
イト「話、戻そうか、会長、藍」
藍「そ、そうね、さて、この戦力差、どうやって埋めたらいいか分かるかしら」
火炎「えっと・・・、仲間を呼んでくる?」
イン「それも一つの手だな、だが今回は違う」
火炎「今回は・・・・、それじゃ他の方法なんだね」
空「敵を減らせば差は縮まるよね、けどそんなに簡単じゃないよね、
分断するにしてもそっちに戦力割いてちゃ元も子もないからな・・・」
会長「空、いい所まで来ているぞ、もう一歩だ」
空「敵を減らすでいい所・・・?」
氷雪「仲間を呼んで敵を減らす・・・ってそれが出来れば苦労して無いよなぁ・・・」
イト「それ」
氷雪「へ?」
イト「それをするのに一番効果的な方法は?」
氷雪「一番効果的な方法・・・・?」
フィオ「・・・・敵を味方に引き込む」
イト「ご名答、フィオちゃん、落ち着けばちゃんと考えられるんだから、
思考を放棄するの勿体無いよ」
フィオ「悪かったね・・・」
火炎「でも、そんな事、出来るの?」
会長「ならば逆に聞こう、火炎は焔を仲間に取り戻せないのか?」
火炎「取り戻すよ、絶対」
会長「ならばこれで一人だ」
火炎「あ・・・・・」
空「けど、簡単に取り戻せるとは思えないんだけど、何か策はあるの?」
氷雪「スノウが絶対邪魔してくると思うぞ」
藍「そのスノウを仲間にするわ」
火炎「っ、どう、やって?」
藍「私たちで調べたらね、あの子の過去、結構色々あったみたいなの」
会長「その裏で邪教が動いてる可能性が高い、あの子も言うなれば犠牲者だったのだよ」
空「それを話した所で素直に聞くとは思えないけど」
会長「疑心は残るやも知れぬが、それは邪教側も同じ、どちらにしても彼女の立場は浮くことになる」
藍「そうなれば疑わしいのは邪教側よ」
空「確かに・・・、となると、その仕事は全貌を把握してる二人がすべきかな」
会長「元よりそのつもりだ」
氷雪「それじゃ、その後焔を説得するのは・・・」
火炎「私がやる」
氷雪「・・・・あぁ、頼む」
火炎「うん、必ず成功させるから」
氷雪「信用してる」
火炎「うん」
イン「それと追加でネロも説得して欲しい、
接点がある火炎なら可能性もあるからな」
火炎「分かったよ、頑張ってみる」
イン「あぁ、フィオにはジェノを頼みたい」
フィオ「素直に話聞いてくれるとは思えないけど、分かった」
イト「全部成功すればマリス、ケイオス、レリクム、この三人だけ、
どう、いける気がしない?」
空「それが上手い事行けば、ね」
会長「だが、これに賭けるしかあるまい?」
空「けど不安要素が多すぎるよ、説得力を増そうと思ったら単独行動が必須になる、
そうなれば交渉決裂した際のリスクが大きすぎる」
イト「それに関しては問題ないと思ってる」
空「根拠は?」
イト「あいつら、僕達を意図的に生かしてる節がある、
排除しようと思えばいくらでも出来たはず」
空「そう、だね、確かになんで生きてるんだろうって思ったことは何回かあるね」
氷雪「機族の谷でもそうだ、マリスが本気を出せば一人でだって殲滅できたはずなのに・・・」
イト「そういう事、奴らには僕らを殺さない理由があるんだ、
ならそれを最大限利用してやるだけの事」
空「なるほどね・・・」
イン「だからまずはそれぞれ説得できる状態にするために、全力で相手を分断する、
おびき寄せて、分担して行動する」
フィオ「その作戦は、考えてあるんだよね」
イン「当然だ、焔はこの間俺たちと引き分けてる、だから俺たちがおびき寄せられる、
まずは開幕一発、氷雪にドデカイのをぶち込んでもらう」
氷雪「なっ、俺!?」
イン「あぁ、まずは俺とイト、氷雪と火炎で先行する、
焔は恐らくイトを、スノウは火炎を狙ってくる、
だから俺は火炎を連れて会長と藍の所に向かう」
イト「僕は氷雪と一緒に焔をおびき寄せ、その先で足止めをする、
空ちゃんはここで協力してもらう、なんせお互いになるべく消耗せずに時間を稼ぐ必要があるからね」
会長「スノウが説得出来次第、火炎とスノウで焔を説得してもらう、
氷雪と空はそれまで延々と踏ん張ってもらうからそのつもりで」
氷雪「オーケー、任せとけ」
空「了解」
藍「火炎ちゃんも、大変だと思うけど、頑張ってね」
火炎「当たり前、絶対成功させるよ」
フィオ「ね、ねぇ、私はどうすればいいの?」
イン「その間にジェノを説得して欲しい、もし出来なければ足止めだ」
フィオ「私一人であいつを・・・・、うん、なんとかしてみる、
けどレリクム、それと黒幕二人は?」
空「あいつらの事だから、自分からは出てこないと思う、高みの見物決め込んでくるだろうから、
それを突いて、やれる事全部やってから攻め込む、そういう事だよね?」
イン「大正解、敵の戦力を削げるだけ削いでぶっ潰してやるんだ」
火炎「あ、あの、ネロ君は・・・・?」
藍「聞いた感じだと、女性だったら誰でも説得出来るんじゃないかしら、
まぁ、火炎ちゃんが一番適任だとは思うけどね」
火炎「え、どう動くか・・・」
藍「えぇ、検討も付かないわ、だからさっきのくだりが成功した後で大丈夫だと思うの」
火炎「だからの根拠は・・・・」
藍「無いわ」
火炎「無いの!?」
藍「えぇ、無いわ」
火炎「そっか、ない、んだね・・・・」
イト「正直、彼の戦闘力は僕らと同等だと思ってる、なんとかはなる」
フィオ「私達と同等って時点で相当強いけどね・・・・」
氷雪「だからこそ、仲間にするんだろ」
フィオ「どこまで協力してくれるかなぁ、邪教の人だし」
火炎「分からない、けど、話せば聞いてくれると思う」
会長「うむ、火炎が言うのであれば間違いないであろう」
空「不確定要素の一つとして留意しといても損はなさそうだね」
イン「あぁ、いけると思いたいけど、100%じゃない限り、な」
イト「逆に言えば、成功率が1%でも可能性はあるんだから、
不安な所も含めて、全部成功させるよ」
氷雪「あぁ、必ず、失うもんか、何一つ」
フィオ「今回は、終るまで我慢する、それが世界のためなんでしょ?」
イト「違うよ、フィオのためだよ、終ってからの方があなたの生存率上がるでしょ、
わざわざ混乱の内に叩くよりも、焔が自分を取り戻してからの方が勝てるじゃん」
フィオ「はぁ・・・、そういう事にしといてあげる」
会長「では、これで纏まったな?」
空「いいと思うよ、立派な指針だ」
藍「それでは今日はこの辺りで」
火炎「みんな、ちゃんと休んでね、本番でしっかり動けるように」
氷雪「言われなくとも、やってやるさ」
火炎M「こうして、私たちは家路についた、来たるべき決戦、明日の為に、
みんな何を考えて今日を過ごすんだろう、世界がどうのじゃなくて、
きっと明日は、これからのみんなの関係、ううん、生死を決める戦いなんだ、
私だって、大切な役割を持ってるから・・・、
自分の為だけじゃなくて、みんなの為に、焔を取り戻す、
そう考えたら、少しだけだけど、心が軽くなった気がしたんだ」
会長「次回予告」
氷雪「やるべき事を、覚悟すべき事を、各々確認した邪学生一同」
イン「彼らは来たる日、行動に移す」
藍「それと平行して、邪教でも準備は着々と進んでいた」
空「本拠地に集められた主要人物たち」
イト「彼らは、戦いを目前に何を思うのか」
フィオ「次回、箱庭の世界で 第六十一話 狂宴の始まり」
火炎「交わらざる思いの中、催される宴は如何に・・・・」
とぅーびー・こんてにゅーど
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w