箱庭の世界で 第五十八話 ダークポイント

マリス♂ 42歳
ケイオス♂ 27歳
ジェノ♂ 33歳
レリクム♂ 25歳

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マリス♂:
ケイオス♂:
ジェノ♂:
レリクム♂:



ケイオス「来たみたいだね、いらっしゃい」

ジェノ「おぅ、テメェから呼び出しなんて珍しいじゃねぇか」

レリクム「何を言っているんですか、私達が何か動く時はケイオス様の依頼でしょう?」

ジェノ「あ?そうなのか」

レリクム「そうですよ、いつもは私が間に入って伝達してるだけです」

ケイオス「助かってるよレリクム」

レリクム「有難きお言葉、所で本日は如何用(いかよう)で?」

ケイオス「兄さんが今後を話したいって」

ジェノ「ほぅ、あの糞兄貴からか、珍しい」

レリクム「相手は教祖様ですよ、糞とはなんですか」

ケイオス「君だって信心深い人間じゃないでしょう、
     教祖だの神父だのどうとも思って無いくせしてよく言うよ」

レリクム「ケイオス様までそんな事を、私はクライアント様の事は最優先だと思っていますから」

ジェノ「そのクライアントだってケイオスだろうが」

レリクム「そのクライアントの兄上様ですからね、ちゃんと尊敬していますよ」

ケイオス「はいはい、そろそろ行くよ、機嫌を損ねると後が大変だからね」

ジェノ「あいよ」


マリス「箱庭の世界で 第五十八話 ダークポイント」


ケイオス「兄さん、集まったよ」

マリス「入りたまえ」

ケイオス「ん、それじゃあ失礼するね」

レリクム「失礼致します、っ、これは凄い瘴気というか魔力というか・・・」

ジェノ「俺でも初めて見るな、こりゃひでぇ・・・・」

ケイオス「うん、順調みたいだね」

マリス「あぁ、これ以上ない程な、おかげで手が放せぬよ、嬉しい悲鳴という奴だな」

ジェノ「順調?あんた、ここで何やってんだ?」

レリクム「ジェノ、教祖様になんて口の聞き方を」

マリス「構わん、見た所育ちも良くなさそうだ、多少は目をつぶろう」

ジェノ「そいつはありがたい、ご丁寧なお言葉なんざ教えてくださるような奴はいなかったんでね」

ケイオス「あぁもう、嫌味のつもりだろうけど、そこまで崩れた言葉使いは聞き苦しい、やめてくれ」

ジェノ「へぇへぇ、自重しやすよ」

レリクム「では、場も収まった所で、マリス様、こちらでは何をしてらっしゃってたのですか?」

マリス「ケイオス、説明は?」

ケイオス「聞いての通り、全くして無いよ、漏れると困るでしょ?」

マリス「それもそうだな」

ジェノ「へぇ、漏れると困る内容を俺達にお披露目ってか、こいつはきなくせぇな」

マリス「最終地点は流石に聞いていよう?ここに招かれる程の者であれば」

レリクム「邪神様の再臨と聞いていますが・・・」

マリス「ここが、儀の深奥だ、そして、私が儀の核となる」

ケイオス「比類なき悪意が混沌を招き、人の世に影を落すであろう」

ジェノ「・・・・なんだそれ?」

マリス「儀の詠唱だ、これを鍵とし、邪神をこの世に降ろす」

レリクム「なるほど、教義はあくまでも客寄せ、邪神様は文字通り邪悪なる神なのですね」

マリス「如何にも、貴様は神父であったな、今まで人に教えを説いてた身としてはどうだ?」

レリクム「生憎、私は無神論者ゆえ、例え真に神と呼ばれる者がいたとしても、
     それは超常を扱う化物だろうとしか思わないので、邪神様とてその類(たぐい)としか」

ジェノ「テメェこそ神様とやらを滅茶苦茶言ってんじゃねぇか」

ケイオス「構わないよ、あながち間違っちゃいないからね、あれはただの破壊神だ、
     救いを求めてもそこにあるのは破滅と絶望だけ」

ジェノ「面白そうじゃねぇか、それこそ俺の求めた結果だ」

マリス「ほぅ、貴様ら、何故我らに加担する、そこまで分かっていながら」

レリクム「それを貴方様がお聞きになるので?」

マリス「私だからこそであろう、計画がこんな所で頓挫(とんざ)しては困るのでな」

ケイオス「それに関しては問題ないよ、この二人は僕の目的の駒だからね」

マリス「貴様が余計な事を画策(かくさく)して無いとは限らないであろうが」

ケイオス「おや、随分と信用されて無いみたいだ、心外だなぁ」

マリス「先日、機族の里に攻め入った時、ブレイド達が来ていた、
    あれは貴様の差し金だな、ケイオス」

ケイオス「それがどうかしたのかな、兄さん」

ジェノ「あぁー、兄弟ゲンカは俺らのいない時にしてくれ、用が終ったなら帰るぞ、
    俺も暇じゃないんでな」

レリクム「暇じゃない?支部長としての仕事を全て私に押し付けて、その上で暇じゃないと?」

ジェノ「ほらよ、書類を纏めてテメェの部屋まで運ぶのに忙しいからよ」

レリクム「ならそのまま部屋に置いておいてください、私がそこまで伺います」

ジェノ「お、それはありがてぇ」

レリクム「改める気はゼロですか、まぁいいでしょう・・・・」

ケイオス「はいはい、で、彼らの動機は必要なのかい?」

マリス「うむ、貴様が信用出来ん以上、その駒が信用できぬのは必然だ」

ケイオス「ふん、だってさ」

レリクム「構いませんよ、信用されないことには慣れています、
     私は結果を残すのみ、それだけを見ていただければね」

ジェノ「信用なんざ腹の足しにすらなんねぇ、俺も別にどうでもいい」

マリス「私も信用をさせろなどとは思ってはおらぬ、が聞けば腹の底は読める、
    この後も使い続けるかどうかはそれから決める」

ケイオス「じゃあ思う存分聞いたらいいさ、ご自由にどうぞ」

マリス「言われなくともそうさせてもらう、死神よ、まずは貴様からだ、
    問おう、何故貴様は我々に与(くみ)する!」

ジェノ「ハッ、俺はつえぇ奴を探してた、一片の希望すら見えぬ圧倒的な力、
    あそこであぁすれば生き残れた、そんな悔いすら残らぬような絶望、
    全力を尽くしても逃れられぬ終焉、そいつがそこにあるんだろ、なぁマリスさんよぉ!?」

マリス「あぁ、まごうこと無き絶望がある、如何な手を尽くそうと逃れられぬ終焉がある事を約束しよう!」

ジェノ「そいつが聞けりゃ裏切る理由なんざないねぇ、手伝ってやるよ、少なくとも邪神が復活するまではなぁ」

マリス「良かろう、貴様の底に嘘偽りは感じぬ、ならば神父、貴様はどうだ!」

レリクム「私ですか、私は依頼主の命令に従うだけ・・・」

マリス「違うな、貴様の真意はそこにはない、それは体裁に過ぎぬ」

レリクム「それ以上に何が必要なのでしょうか」

マリス「我が欲すは貴様の、貴様自身の、理由なり」

レリクム「あまり自分自身の事を言語化するのは好きではないのですが、必要とあらばお答えいたしましょう、
     私が興味惹かれた方々の行く末、それが見てみたい、それが良い事であろうと悪い事であろうと、
     彼らが自らの意思で選んだその道の先が見てみたいんですよ」

マリス「ほぅ、そこに貴様の意思は、介入する気は?」

レリクム「ありません、我(が)なんていう物はとうの昔に捨てました、
     優秀な暗殺者が最初に殺すものは自分だと師に教わりました、
     ならばここにいるのはただ任務をこなす殺人鬼に過ぎません、
     そこに私という個の意思は必要ない」

マリス「ふっ、この上なくつまらない人間だな、貴様は」

レリクム「私にとっては褒め言葉ですね」

マリス「だが、それゆえに読めぬ、それ以上でもそれ以下でもないな」

レリクム「えぇ、真実です」

マリス「後はケイオス、貴様だ」

ケイオス「へぇ、僕も?」

マリス「当然だ」

ケイオス「お互いの事は詮索しない契約じゃなかったっけ?」

マリス「あぁ、確かにそうだ、だが、私は貴様が信用出来ぬのでな」

ケイオス「安心してよ、少なくとも邪神が復活するまでは裏切らない」

マリス「そうだったな、貴様との契約はそこまでだったな」

ジェノ「契約だ?テメェら兄弟じゃなかったのかよ」

ケイオス「兄弟だよ、ちゃんと血の繋がったね」

レリクム「ふむ、色々と気になる所はありますが、詮索は止めておきましょう」

ジェノ「ハッ、それが無難だと思うぜ、他人が首突っ込んで良いレベルの兄弟ゲンカじゃねぇや」

マリス「賢明だな」

ケイオス「ジェノ、君はやっぱり長生きする人種だよ、引き所をちゃんと分かってる」

ジェノ「ふん、嬉しくない褒め言葉だこと」

ケイオス「褒め言葉だって分かってるならいいんじゃない」

レリクム「それもそうですね」

マリス「さて、ケイオスよ、そろそろ奴らが動き出す頃合だぞ、何か対策はあるか?」

ケイオス「対策は無いけど決めの一手なら」

マリス「それで間違いなく終るのだな?」

ケイオス「うん、この部屋を見て確信したよ、奴らが攻め込んできた時に、
     実行に移す、どう転んでも、計画は成功する」

マリス「その言葉を聞いて安心した、私は儀に集中しても問題ないな」

ケイオス「そうだね、現場は全部僕に任せてよ」

マリス「良かろう、期待しているぞ、では私は戻る、後は任せたぞ」

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ジェノ「やっぱりいけすかねぇ奴だ」

レリクム「黒幕ですからね、これくらいが丁度いいのでは?」

ケイオス「あれが丁度良い?冗談も程ほどにしてよね、
     ま、とりあえず、兄さんも言ってた様に、相手の最終作戦が近いからね」

ジェノ「あいよ、そん時は任せな」

ケイオス「詳細はまた今度話すよ、今日は解散、お疲れ様」

レリクム「お疲れ様です、それではジェノ、教会に帰りましょうか」

ジェノ「あぁ、そんじゃあまたな」

ケイオス「またね、・・・・・はぁ、疲れた、でも、もうすぐ、もうすぐなんだ・・・」


マリス「次回予告」

レリクム「ひっそりと最後の刻を待つ邪教」

ジェノ「鍵となる悪意、蠢く混沌」

ケイオス「ならば、離反した影は・・・・・」

マリス「次回 箱庭の世界で 第五十九話 想い残さぬように」

ケイオス「きっと、これが最初で最後、かな」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w