箱庭の世界で 第五十一話 嵐と雪と盾と

会長♂ 19歳 (かいちょう)
藍♀ 19歳 (らん)
スノウ♀ 18歳

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会長♂:
藍♀:
スノウ♀:



会長「うむ、間に合ったようだな」

藍「まさか私たちが校内で助ける側になるとは思いもしませんでしたね」

会長「そうだな、さて、スノウとやら、この邪学で暴れるのであれば、
   我々生徒会の許可を得てからにしてもらいたいものだな」


藍「箱庭の世界で 第五十一話 嵐と雪と盾と」


スノウ「よくも邪魔を・・・、許さない、許さない!」

藍「許してもらう必要なんて無いわ、別に私は悪い事してないもの、
  残念だけど、許しを請う必要があるのは貴女の方よ」

スノウ「黙れ、私の邪魔をするな!氷槍雨《アイスランツェ・レーゲン》!」

会長「聞き分けのない子だ、フレイム・フォートレス!
   ふぅ、少しは落ち付いて話は出来ないか」

スノウ「話す事なんてないわ、吹雪《シュネーシュトゥルム》!」

藍「無ければ、動けない様に、殺さぬ程度に痛めつけるまでよ、百戈凌嵐(ひゃっかりょうらん)!」

スノウ「っ、オーロラの盾《アオローラシルト》!」

藍「そんな薄い盾なんて無意味よ、バトルファン・オン、疾風激戈(しっぷうげっか)!」

スノウ「くっ、あれはこれじゃ防げない・・・!?」

藍「貫け、そして、砕けなさい!」

スノウ「きゃああああああああ!」

会長「ふむ、私の出番は無さそうだな」

藍「いえ、あれがこの程度で終わるとお思いですか?」

会長「いや、攻め手としてのだよ、この程度で沈むのであれば最初から苦労はせんさ」

スノウ「く、ぅ・・・、あの子の様な腑抜(ふぬけ)けばかりじゃないという事ね・・・、
    いいわ、醜くなるから本当はしたくないのだけれど・・・、悪魔覚醒《アオフヴェッヘン・トイフェル》」

藍「・・・・こっちが本当の姿、と言った所かしら」

スノウ「ふぅぅぅ・・・、いいえ、魔族に眠る力を起こしただけよ・・・、言っておくわ、
    この姿を見て生きているのは、貴方たちだけよ」

会長「見たものは全て殺してきた、と言わんばかりの前口上だな」

スノウ「えぇそうよ、貴方たちはどうなるかしらね?」

藍「答は簡単、終わっても立っている、それだけよ、嵐気風刃(らんきふうじん)!」

スノウ「その程度の刃、今の私に届くと思ったら、大間違いよ!」

会長「ほぅ、気の放出だけでかき消すか、中々だな」

藍「のん気ですね、今の、結構本気だったんですよ?」

会長「問題ない、まだ私の本気を見せていないからな」

スノウ「なら、見せてみなさい、その本気とやらを、氷柱《アイスツァプフェン》!」

会長「お望み通り見せてやろう、私の本気、新たなる技を!リフレクトフォートレス!」

スノウ「跳ね返した!?くっ」

会長「ふむ、まだ余裕があるな、あの程度ならシールドで充分か」

スノウ「あれでダメなら、これで、雪崩《ラヴィーネ》!」

会長「ふっ、無駄だと言っている!」

スノウ「っ、嘘!?きゃあああああああ!」

会長「・・・・あ、殺してはいけないんだったな、まずいか?」

藍「自分の魔術で埋まって死んでたら情けなさ過ぎます、ありえません」

会長「うむ、それもそうだ、雪も減っているし、魔力に戻してる最中といった所か」

藍「固形が残る魔術はあれが出来て羨(うらや)ましいですね・・・」

会長「同感だ」

スノウ「けほっけほっ、・・・・一瞬本気で焦ったわ、氷斧《アイスアクスト》、はぁぁぁぁああああ!」

会長「ぬっ、まずいな」

スノウ「はぁ!割れた、やはり返せるのは遠距離だけのようね、ふっ!」

会長「藍!」

藍「嵐気纏扇(らんきてんせん)!はぁ!」

スノウ「良い反応ね」

藍「貴女こそ、細腕に似合わない良い力じゃない・・・・!」

スノウ「そうよ、これが、貴方たちが野蛮だと、忌わしいと蔑(さげす)む魔族の力よ!」

藍「きゃっ!まず・・・!」

スノウ「とった、氷刃《アイスクリンゲ》!」

会長「シールド・オン、フッ!」

スノウ「素晴らしい防御率ね、憎らしいわ」

会長「褒め言葉として受け取っておこう、よっ!」

藍「っと、すみません会長、お手を煩(わず)わらせました」

会長「構わんよ、だが、使えるようになっておいて良かったよ、
   苦手と敬遠するには勿体無い術だな、ツール・オンは」

藍「だから一番最初に習うんじゃないですか、それをサボってたのは会長でしょう?」

会長「決まった属性を持たない私は相性が悪いのだよ、この術はな」

スノウ「雑談はそろそろ良いかしら」

会長「おっと、待たせてしまったかね、それとも、待ってくれていたのかね?」

スノウ「どちらでも良いわ、氷槍豪雨《アイスランツェ・レーゲングス》、
    これで、終わらせてあげる!」

会長「ふっ、だから効かぬといっている!リフレクトフォートレス!」

スノウ「甘い、氷短剣《アイスドルヒ》、はっ!」

会長「なっ、先に割られただと!?」

藍「間に合うかしら、縮嵐壁(しゅくらんへき)!」

スノウ「間に合ったとしても、その程度の盾で防げる術じゃない!」

藍「一瞬でも時間が稼げれば・・・」

スノウ「えっ?」

会長「私が間に合わせる!リフレクトフォートレス!」

スノウ「なっ、そんな、きゃぁあああああああ!」

藍「・・・・あ、会長、あんなの跳ね返したら、下手すると死んじゃいますよ」

会長「・・・・・まずいか?」

スノウ「ぐ・・・・ぅ、魔族体じゃなかったら死んでたかもしれないわね・・・」

会長「ふぅ、良かった、危ない所だったな、してスノウ、そろそろ降参してはどうだ?」

スノウ「冗談じゃないわ、折角焔に会えたのに、また引き裂かれて堪(たま)るものですか・・・」

藍「どっちが正しい、どっちが間違ってるなんて言う問答をするつもりはないわ、
  けれど、貴女一人でやった事じゃないでしょ、手引きをしたのは誰?」

スノウ「何を言っているの、私たちの情報網なら人一人探す事なんて・・・」

会長「そちらこそ、我々の情報網を舐めてもらっては困るな、
   君の父親である当主は惨殺(ざんさつ)され、資産は残されていない上に一族は散り散りに、
   それは比較的最近の事だが、後ろ盾が殆ど無い状態で地上の事が調べられるとは思えないのだが?」

スノウ「・・・・どうしてそれを」

藍「あれから気になって調べてみたの、どこで名前を聞いたのかをね、
  貴女の家が有力者だったのは数年前、事業に失敗してそれからは下火(したび)、
  そして名前を見たのは、惨殺事件で行方不明になった末娘だったから」

会長「言い逃れは出来んぞ、誰が裏で糸を引いている」

スノウ「・・・・・ふっ、言う訳無いでしょ、それに、そこまで知っているのならいいでしょ、
    私を、私たちを放って置いてよ、私にも幸せでいさせてよ!」

藍「同情はするわ、けれど、それとこれは別よ」

スノウ「そうね、立場が違えばそういう物よね、分かってるわ、
    それに、地上人がそういう生き物だって言うものもよく分かってる・・・」

会長「地上人が・・・、どういう事だ?」

スノウ「ふっ、ふふっ、あっははは!人の事情を根掘り葉掘り調べておいてそこは知らないのね、
    お父様を狂わせたのは、私を狂わせたのは貴方たち地上人だって言うのに!」

藍「狂わせた・・・?」

スノウ「そうよ!私と地上の有力者の政略結婚の話は知ってる?知らないわよねぇ、
    マスコミっていうのはそういう物だものね、自分たちの都合の悪い事は公表しないものね、
    あいつらは私を散々嬲(なぶ)って遊んで、約束を反故(ほご)にし、あまつさえビデオでお父様を脅した!
    結局破産してしまったお父様は、狂ってしまい、私は慰(なぐさ)み者に・・・」

会長「そんな事が・・・・」

スノウ「もう気付いているでしょ?彼が地上に行ったのはそれが理由よ、一家惨殺事件の犯人は私よ、
    地上も魔界も、全部都合の悪い事は隠して揉み消した、それからは貴方たちの知ってる通りよ、
    分かるでしょ、私があの子を殺したくなる気持ち、藍、女である貴女なら分かるでしょ!?」

藍「・・・・・そうね、だからと言って、認めろというの?
  私たちが自分たちに都合の良い様に動いているのは分かっている、
  けれど、自分に都合の良い様にしてるのは貴女も一緒でしょう!」

スノウ「そうよ、それがどうしたのよ、所詮は相容れない立場、分かってもらうつもりも無いわ、
    だから、この話はここでお仕舞い、それでは、さようなら!」

会長「っ、窓を突き破って外に、ここは5階だぞ!」

藍「翼で飛んでる・・・・、魔族、なんてデタラメな体、まだあんなに動けるなんて」

会長「はぁ・・・・、色々引っかかるな、さっきの話は」

藍「えぇ、裏で邪教が動いててもおかしくなさそうな内容でしたね」

会長「考えすぎかもしれんが、何にしても裏を取る必要がありそうだ」

藍「そうですね・・・」

会長「さて、騒ぎを収めに行くぞ、風紀委員があの様子ではな」

藍「はい、では行きましょう」


スノウ「次回予告」


会長「なんとかスノウを退けた邪学」

藍「保健室に運び込まれた氷雪」

スノウ「目を覚ました彼は、決意を新たにする」

藍「次回、箱庭の世界で 第五十二話 挺身(ていしん)の決意」

会長「はぁ・・・、どいつもこいつも、もう少し軽い思考で動けんのか・・・」



とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w