箱庭の世界で 第五十話 氷の衝撃

氷雪♂ 18歳 (ひゆき)
火炎♀ 18歳 (かえん)
スノウ♀ 18歳

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氷雪♂:
火炎♀:
スノウ♀:


氷雪「ん、火炎じゃん、よぅ」

火炎「氷雪、やほ、どうかした?」

氷雪「どうもしてないよ、てか、何か用事が無きゃ挨拶もしちゃいけないのかよ」

火炎「そ、そんな事、ないよ」

氷雪「なら堅苦しい事言うの止めようぜー、折角学校来てるんだし、
   辛気臭い顔するのは座学の時だけにしようぜー、俺数学ヤバイんだよねーみたいな感じで」

火炎「あれ、氷雪がやばいのって数学だけだったっけ?」

氷雪「いやぁ術学もやばいんだよねぇ、じゃなくってさ!」

火炎「くすっ、ふふふっ、ごめんね」

氷雪「へへっ、やっと笑った」

火炎「え?」

氷雪「気持ちは分かるけどさ、火炎には笑顔が一番だって」

火炎「あ、ありがと、・・・・心配かけてごめんね?」

氷雪「ほれ、また暗い顔するー、言いっこ無しだって、
   焔は必ず取り返すからさ、そん時に笑えるように練習しとこうぜ」

火炎「うん、そうだねっ」

スノウ「取り返す?そんなの、私が許さない・・・・」

火炎「っ、スノウさん!?」


氷雪「箱庭の世界で 第五十話 氷の衝撃」


スノウ「焔は、私と一緒にいたの、後から割り込んできたのは、貴方達でしょう・・・」

火炎「でも、でも私だって三年間一緒にいたの、焔が居ない世界なんて私だって考えられない!」

氷雪「俺だってだ、それに、ずっと放置しといて見つけたから取り戻すなんて、
   お前の方こそ都合よすぎるだろうが」

スノウ「うるさい、貴方達に何が分かるというの、私は全てを裏切られた、
    全てに裏切られた、それでも彼だけは私を見てくれていた、
    彼は私の為に、魔族の為に立ち上がったのに、その想いを踏み躙(にじ)ったのは貴方達でしょう!」

火炎「っ、それは・・・・」

氷雪「だからって今の焔の意志は無視してもいいのかよ!
   今のあいつは、他にも大切な物があるって言うのに、
   それを無視してるのはお前だろうが!」

スノウ「あれは元々の彼を押さえつけて、植え付けた意思でしょう!」

火炎「違う!彼は焔そのものよ!確かに記憶は封印したかもしれない、
   けど、精神や人格を押さえ込んだ訳じゃない!」

スノウ「そんなの詭弁(きべん)よ、記憶を封じて人がそのままな訳ないでしょ、
    もし私が記憶を封じられたとして、同じ行動を続けると思う?
    思わないでしょ、それと同じよ」

氷雪「分かった、お前と俺達とじゃ求めてる物が違いすぎる、言い合っててもしょうがない」

火炎「っ、氷雪」

スノウ「そう、これから私が作る箱庭に貴方達は必要ないの、
    焔さえいれば、何もいらない、だって、私の守りたかった物は、もう一つも残ってない!」

火炎「凄い、殺意と魔力・・・」

スノウ「貴女だけは私の手で殺す、彼の愛情を受けていた存在が、私以外にいる事が許せない、
    彼の初めてを奪った貴女を許せない、穢(けが)れない体で彼に抱かれた貴女を絶対に許さない!」

氷雪「女のヒステリーは嫌われるぞ、全部お前の都合だろうそんなもん!」

スノウ「うるさい、男の貴方に何が分かるって言うの!」

氷雪「あぁ分かんないね、分かるのはお前が俺の大切なダチを俺から奪ってったって事だけだ!」

火炎「そうよ、貴女の言い分なんて関係ない、私だって、焔がいないとダメなの!」

スノウ「開き直るのね、良いわ、それなら、私だって遠慮なく殺せるもの、
    凍る世界《フリーレン・ヴェルト》!」

火炎「っ、学校が、凍り付いて・・・」

氷雪「俺のワールドエンドにそっくりだな、明らかに目的が違うけど」

スノウ「そう、逃がさないわ、絶対に」

火炎「ウィップ・オン、私だって、ただ殺されるつもりなんて無い!」

氷雪「スケート・オン、そういう事だ、行くぜ!」

スノウ「戦いを楽しむなんて考えはないの、すぐに終わらせる、
    吹雪《シュネーシュトゥルム》!」

火炎「きゃあ!」

氷雪「ちぃ、視界が・・・・」

スノウ「氷槍《アイスランツェ》」

火炎「くっ、フレイムウォール!」

スノウ「よく防いだわね、褒めてあげる」

火炎「っ!?」

氷雪「火炎、危ない!」

スノウ「んっ、貴方もよく反応できたわね」

氷雪「そんなあからさまな殺気、反応できないわけ無いだろ」

スノウ「そちらの足手纏いは反応できてないみたいだけど?」

火炎「ち、違う、私は足手纏(まと)いなんかじゃ・・・」

スノウ「何が違うって言うの、そう大して戦えもしない癖に、
    どうせずっと甘えてきたのでしょう!」

氷雪「戦えない事の何が悪い、戦えないなら戦えないなりの役割があるんだよ!」

火炎「氷雪・・・・」

氷雪「それに、今戦えないなら、これから強くなれば、いいだろう!」

スノウ「今戦えないのなら、ここで死ぬだけよ、氷の弾丸《アイスゲショス》!」

火炎「くっ、鞭奏(べんそう)エチュード!死なない、こんな状況じゃ、まだ死ねない!」

氷雪「ナイス火炎、アイスクリエイト・サイズ、はぁ!」

スノウ「んっ、あくまで邪魔をするのね」

氷雪「当たり前だろ、仲間が殺されそうなの、ほっとける訳無いだろうが!」

スノウ「そう、それなら容赦はしない、殺してはいけないと言われてるけど、
    傷つけちゃいけないとは言われてないもの、死にかけで許してあげる」

氷雪「俺だってやられる気は無いけどな、よっ、ウインドミル!」

火炎「私もだって、鞭奏ラプソディー!」

スノウ「くっ、接近はさせない、雪崩《ラヴィーネ》!」

氷雪「うぇ!?逃場ねぇぞこれ!」

火炎「氷雪、私が盾で止めれるだけ止めるから、シェルターを!」

氷雪「あぁ、了解!」

火炎「フレイムシールド!」

スノウ「その程度で止められるものですか!」

火炎「っ、あんなに簡単に!?」

氷雪「マジかよ!アイスクリエイト・シェルター!」

火炎「・・・・・・生きてる?」

氷雪「見事に生き埋めだけどな、大丈夫かこれ」

火炎「シェルター解除したらぺちゃんこだね」

氷雪「このままでも窒息だな、どうすっかな・・・・、
   ん、インの念話・・・・?」

火炎「スノウと私を、死なせるな・・・・?」

氷雪「・・・・マジで?おいイン!どういう事だよ!
   今俺スノウと戦ってるんだけど・・・・、あ?焔から直接聞いたって!?」

火炎「・・・・どういう事なのかな」

氷雪「分かんない、あいつ、理由くらい話してけっての・・・」

火炎「ね・・・、けほっ、酸素、少なくなってきたね・・・」

スノウ「氷槍《アイスランツェ》」

氷雪「あっ、嫌な音した、ビキッて」

火炎「音どころか、飛び出てる、槍飛び出てる」

氷雪「げっ!一発で貫きやがった!」

スノウ「殺しちゃダメみたいよ、私のこと、凄いハンデね」

氷雪「・・・・ハッ、あのまま埋めときゃ勝手に死んでたのにな、
   よっ、エッジスピン・不知火(しらぬい)!」

スノウ「氷盾《アイスシルト》、何、不意打ちのつもり?」

火炎「氷雪下がって、鞭打エクスプロード!」

スノウ「ふっ、当たらない、氷槍雨《アイスランツェ・レーゲン》!」

氷雪「クソ、氷龍!」

スノウ「あら、可愛らしいドラゴンね、貴方、
    そういう仕事に就いた方がいいんじゃないかしら?」

氷雪「うるさい!こっちは強度保つので一杯だって言うのに、
   涼しい顔、しやがって・・・・・!」

スノウ「分かる物なのね、余裕を残してる事って」

火炎「嘘・・・、あれで、まだ余裕を・・・・?」

スノウ「まずは、邪魔なドラゴンを吹き飛ばしてあげる、貴方たち諸共(もろとも)纏めてね、
    天災・雪の大嵐《カタストローフェ・シュネーゲヴィッター》!」

氷雪「ぐっ、マジ、かよ・・・・!堪え、られない!?
   うぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」

火炎「っ、きゃあああああああ!?」

スノウ「弱い、所詮は日向で生きてきた人間、
    ずっと闇の中で生きてきた私に勝てるわけが無いのよ」

氷雪「お前に何が分かる、火炎の苦しみも知らないくせに、
   調子に乗ってんじゃねぇ!」

スノウ「苦しみ?貴方こそ私の闇を知らないくせに、知らないくせに!」

氷雪「ぐぅ!」

火炎「あの力を支えてるのは憎しみ・・・・・、深い、悲しみ・・・・」

氷雪「お前が飲まれてどうすんだ火炎!正気を保て!」

火炎「っ、う、うん・・・」

スノウ「そろそろ終わらせるわよ、氷槍雨《アイスランツェ・レーゲン》!」

氷雪「またそれかよ・・・!氷龍!」

スノウ「貴方こそ、その技では勝てないと分かっていて、芸が無いわよ」

氷雪「うるせぇ、これが俺の、最強技だっつぅの!」

スノウ「そぅ、残念ね、それなら貴方の、負けよ!」

氷雪「っ、氷龍が!?」

火炎「お願いとまって、フレイムシールド!」

スノウ「無駄よ、貫きなさい!」

火炎「止めきれない・・・・!」

氷雪「一本抜けてきたか、ちぃ!」

火炎「えっ・・・・」

氷雪「ぐぅ!」

火炎「氷雪!」

スノウ「身を挺(てい)してまで守る、さっきの念話、貴方にとってそんなに大事?」

氷雪「ごふっ・・・、あぁ・・・親友の、伝言だぜ?当然、だろ・・・・?」

火炎「あ・・・、あぁ・・・・、氷雪、血が、血が・・・」

スノウ「かばった所で、倒れてしまっては守る人がいないでしょ?」

氷雪「いちいち大きなお世話だ・・・、クソ・・・・」

火炎「け、ケア先生の所に・・・」

スノウ「いえ、貴女はここで死ぬの、連れて行くことは出来ないわ」

氷雪「ははっ・・・・、年貢の納め時か・・・こりゃ・・・」

スノウ「それじゃ、さようなら、氷刃《アイスクリンゲ》!」

火炎「・・・・!」

スノウ「っ、弾かれた、何に?」

火炎「あ、見て、壁の氷が壊れてる!」

スノウ「くっ、逃がさない、アイス・・・、きゃあ!?」

火炎「風の術・・・、藍ちゃんだ!」

氷雪「あの壁は会長だ・・・、遅いっての・・・・」

火炎「っ、まだ死んじゃダメだよ、ケア先生の所まで連れてくんだから」

スノウ「待って、待ちなさい!ふざけないで、ここまで来て・・・・、
    許さない、あぁぁぁああああああ!」


氷雪M「怨嗟(えんさ)の叫びを後ろに聞きながら、俺達は保健室に逃げる、
    会長と藍が来てなかったら、死んでた・・・、
    くそ、俺一人じゃ、仲間一人守れないのかよ・・・・、
    絶対強くなってやる、このままじゃ、いられない」


火炎「次回予告」


スノウ「絶体絶命の火炎たちを助けたのは、会長と藍だった」

氷雪「二人の思いは同じ、仲間を守るため」

火炎「そして、思わぬ障害たちに苛立ちを募らせるスノウ」

スノウ「決して交わる事の無い思い、平行線が生み出す物はいったい・・・」

氷雪「次回 箱庭の世界で 第五十一話 嵐と雪と盾と」

火炎「みんな、ごめんね、ありがとう・・・・」



とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w