箱庭の世界で 第四十六話 ターニングポイント

焔♂ 15歳 (ほむら)
火炎♀ 15歳 (かえん) ※最後のナレは18歳
ヴァルド♂ 23歳
レスタ♂ 20歳

簡単なキャラ設定はこちら
世界設定や技説明等はこちら

焔&レスタ♂:
火炎♀:
ヴァルド♂:







焔N「火炎に匿われ始めて数日が起ち、傷もほぼ塞がった頃だった、
  あまりにも何も無かったからだろう、油断していた、間違いなく」

火炎「ねぇ、焔はいつまでここにいられるの?」

焔「本当は一日でも早く出た方が良いんだけど、魔力が回復しきらないと不安が残る」

火炎「そっか・・・、大分回復したように見えるけど、まだなんだね」

焔「あぁ、ちょっと力を使いすぎた、今みたいに、またどこかで休めるとは限らないから」

火炎「そうだね、それじゃ、私はいつまでも平気だから、全快するまでここ使ってよ」

焔「そうだな・・・・、それまで周りにばれなければ・・・な」

火炎「・・・・・・うん」


焔「箱庭の世界で 第四十六話 ターニングポイント」


ヴァルド「なら、休んでられるのはここでお終いだ、残念だったなぁ」

焔「っ、敵!?」

ヴァルド「ここまで接近許すなんて、日和ったんじゃねぇの、赤い悪魔さんよぉ」

焔M「ちぃ、どうする、ここじゃ火炎を巻き込む、場所を変えれば追ってくるか・・・・?」

ヴァルド「あぁ、ちなみに逃げたらその女、殺すぜ?」

焔「っ!」

火炎「え・・・・」

ヴァルド「利用出来るもんは利用させてもらうぜ?民間人だろうとなぁ」

焔「火炎、掴まれ」

火炎「え?」

焔「飛ぶぞ」

火炎「えぇ!?」

ヴァルド「正しい選択肢だ、いいねぇ」

-----------------------------------------------------------

焔「よし、ここまで来れば・・・・」

火炎「大丈夫・・・・?」

ヴァルド「な訳無いだろ?」

焔「周りを気にせず戦えるって意味だよ、火炎離れてろ、エクスプロード」

ヴァルド「っと、あたらねぇよ」

焔「ちぃ、一人で追ってくるだけはあるか」

ヴァルド「そういう事だ、だが、まさか足手まといをそこまで守ろうとするなんざ、
     たった数日で日和ったかよ?」

焔「うるさい、お前には関係ない」

火炎「そ、そうだよ、焔だってまだやらなきゃいけない事が」

焔「お前まで言うのか、助けてもらった礼を返すだけだ」

ヴァルド「ハッ、後悔するぜ、悪魔は悪魔らしく外道でいりゃ良かったってな」

焔「後悔するのはお前だ、ウェイク・デビル」

火炎「っ、始めて会った時の、魔族の姿・・・」

ヴァルド「なら、俺も変えるとするか、よっ」

火炎「翼・・・、天界人!?」

焔「好都合だ、お前からまず血祭りに上げてやる」

ヴァルド「やれるもんならやってみな」

焔「甘く見られたな、行くぞ」

ヴァルド「甘いのは、テメェだよ!」

火炎「っ!?」

焔「なっ、ちぃ!」

ヴァルド「ハッハァ!隙だらけ!」

焔「ぐぅ!」

火炎「焔!」

焔「大丈夫だ、テメェ、どういうつもりだ」

ヴァルド「犯罪者を匿った時点で同罪だ、殺しても何も文句は言われねぇ、
     ましてやテメェを殺すのに利用したのならなぁ!」

焔「ちっ、こいつは抑える、逃げろ」

火炎「う、うん・・・・」

ヴァルド「逃がすかよ、テメェら!」

火炎「っ、囲まれた!?」

焔「逃がす気ゼロかよ、まずいな・・・」

ヴァルド「安心しろよ、手出しするなと言ってある、
     お前らを殺すのは、この俺だ」

火炎「ど、どうしよう・・・」

焔「周りが手出ししないなら好都合だ、思い上がった天使を殺して仕舞いだ」

ヴァルド「あっははは!思い上がってるのはどっちだろうなぁ、スローイングナイフ・オン、
     刃の弾幕を味わいな、そぅら!」

焔「ふん、いくら数が多かろうとそんな直線的な攻撃に当たる訳が・・・」

ヴァルド「直線的?ハッ、舐めるなよ、おらぁ!」

火炎「っ、ひぃ!」

焔「なっ、曲がった?くっ!」

ヴァルド「よく追いついたな、だが、セコンド・オン、追加だ、捌いてみせなぁ!」

火炎「っ、焔!後ろ!」

焔「分かってる!バーンシールド」

ヴァルド「テルツォ・オン、ほれ、お守りがお留守だぜ!」

焔「落すには間に合わないか、ちぃ」

火炎「えっ」

焔「ぐぅ!」

火炎「っ、なんで」

焔「自分を盾にするのが一番確実だったのと、これ位なら戦闘には支障がないからだ、
  気負うな、気負うくらいなら最低限の自衛をしてくれ」

火炎「ご、ごめんなさい・・・・」

ヴァルド「おーおー、美しいねぇ、身を挺してまで守る、
     本当に、何がしたいのかねぇ、お前」

焔「お前みたいな奴には一生分からない」

ヴァルド「分かんなくて結構、興味もねぇな」

焔「そうか、良かった、分かられても困るだけだ」

ヴァルド「言うじゃねぇか、ガキが知った風な口を、クアルト・クイント・セスト・オン、
     そろそろ、本気で行くぜ、はぁ!」

焔「出だしで止める、エクスプロード」

火炎「っ、まだ残ってる!」

焔「ちぃ、どれが、っ、づぅ!」

ヴァルド「ハッハァ!女に気取られて注意力散漫だぜ?狙いはテメェだよ!」

焔「くっ、チェーンプロード!」

ヴァルド「へぇ、上手い減らし方だ、だがな、俺のナイフはそんなに柔じゃねぇ!」

焔「抜けてきた!?エクス、っ、ぐぁ!?」

ヴァルド「この状況で大技撃てると思ったら大間違いだぜ、なます切りにしてやるよ」

焔「ぐぅ・・・、狙われてるのが俺だって分かれば対処だって」

火炎「きゃあああ!」

焔「なっ、火炎!?」

ヴァルド「全部ブラフだ!ちょっと強いくらいで調子に乗るから騙されるんだよ!
     大人舐めんなクソガキ!セッティモ・オッターヴォ・トリプロオン、
     思い上がったまま、世の中に絶望抱えたまま死になぁ!」

火炎「つ・・・・ぅ、っ、凄い、数・・・・」

ヴァルド「そろそろ殺すぜ赤い悪魔!フル・バースト!」

焔「火炎の方には・・・・流れてないな、ディスチャージ!」

ヴァルド「っ、放出だけであの火力!?」

焔「エクスノヴァ!」

ヴァルド「っ、ちぃ!」

焔「外したか・・・・」

火炎「凄い火力・・・」

焔「お前に助けてもらったおかげだよ、じゃなかったら最初で死んでる」

火炎「う、うん!」

ヴァルド「ちぃ、まだ死んでねぇよ、ノロケてんじゃねぇよ」

焔「けど、あれだけ出した武器も全部吹き飛んだな、どうする?
  魔力もそう残ってないだろ」

ヴァルド「ハン、甘く見られたものだ、だが、俺もお前を甘く見てた、認めよう、
     赤い悪魔、テメェは強い、俺より遥かにな」

焔「今更弱音かよ、謝ったって許さない、お前はここで殺すぞ」

ヴァルド「謝る気なんてさらさらねぇよ、いくら強かろうと、死ぬのはテメェだ」

火炎「強いのに、負けるわけ無いじゃない!勝つのは焔よ!」

ヴァルド「へぇ、本当かねぇ」

焔「当然だ、それに、何も背負ってないお前に負けるわけが無い」

ヴァルド「いや、何もかも中途半端なお前じゃ勝てねぇよ、俺にはなぁ」

焔「なら、見せてみろよ、お前が俺に勝ってる所を」

ヴァルド「見せてやるよ、スローイングナイフ・オン、ザ・ウィング!」

火炎「翼が銀色に、あれ、もしかして全部ナイフ!?」

焔「まだそんな魔力が残ってたか」

ヴァルド「スローイングナイフ・オン、ザ・ハンド、見せてやるよ、
     アルジェルトアンジェロ、銀の天使と呼ばれたこの俺の超絶技巧!」

火炎「っ、消えた!?」

焔「っ、火炎、後ろだ!」

火炎「えっ!?」

焔「ちぃ!」

ヴァルド「よく間に合ったな」

焔「お前、本気で殺す気だったな」

ヴァルド「当然だ、手加減する理由がないからなぁ、そら、まだまだ行くぜぇ、
     よっ、喰らいやがれ、アルジェルトテンペスタ!」

焔「伏せてろ」

火炎「え、う、うん!」

焔「ディスチャージ!」

ヴァルド「どうした!さっきより出力落ちてんぞ!それで、俺の嵐を止められると思うな!」

焔「くっ、あぁぁぁあああああああ!」

火炎「やった、止まった!」

焔「ぐぅ!」

火炎「・・・・・・え、血?」

ヴァルド「残念だったな、余力を残してた俺の勝ちだ」

焔「ごふっ・・・・」

火炎「焔!」

焔「げほっ・・・、こんな、所で止まる訳には、行かないのに・・・・、
  これじゃ、俺に殺された人が、無駄死に、じゃねぇか・・・」

ヴァルド「あぁそうだ、死神も、この町の連中も、俺たちの戦いに巻き込まれて死んだ奴らも、
     全部無駄死にだ、交通事故、いや自然災害みたいなもんだ、理由も何も無い死だ」

焔「止まる訳にはいかない・・・、こんな所で・・・、魔族に権利を、あいつに救いを・・・」

ヴァルド「ハッ、あんな忌まわしい種族は一生虐げられてりゃいいんだ、
     ガキの癖に、抱く幻想がでか過ぎたな、テメェが背負うにはな!」

焔「ぐぅぅぅ!」

火炎「焔ぁ!」

ヴァルド「くくっ、あっははははは!夢でとどめときゃ良かったのになぁ!
     無駄だって言うのによぉ、あっはははは!」

火炎「焔、焔!」

焔「に・・・げ・・・ろ・・・」

火炎「嫌だよ、焔も一緒に!」

ヴァルド「無駄だ、もう意識なんざ残ってねぇよ、しかし、なんでそうまでして女なんて守ろうとするかねぇ、
     どうせ飽きりゃポイだし、死んでたって穴使う分には困りゃしねぇだろうに、なぁ、ガキ?」

火炎「ひっ」

ヴァルド「お前さえいなきゃ俺が死んでたのになぁ、残念だったなぁ、
     途中で死んでりゃこいつ勝ってたかもしれねぇのになぁ、
     生きてたがために男死なせて、生きてたがためにより苦しむ事になる」

火炎「いや・・・・、止めて、近寄らないでぇ・・・・」

ヴァルド「あぁ、そうだな、死んでても困らないが、生きてた方が反応はおもしれぇか、
     苦労したんだ、いい声で啼いてくれよなぁ?」

レスタ「軍規違反、越権行為だぞ、アルジェルトアンジェロ」

ヴァルド「っ、レスタ!・・・・様じゃねぇですか、どうしたんで、神様自らこんな所に」

火炎「え、か、神様・・・・?」

レスタ「ターゲットを殺す為に利用するならまだしも、どさくさに紛れて手を出そうなんて言語道断、
    どういうつもりだ」

ヴァルド「いやいや、俺は悪魔に囚われていた一般人を保護しようと・・・・」

レスタ「嘘を言うな、会話は聞こえていたぞ」

ヴァルド「・・・・・そうですかー、で、何なんですかー?」

レスタ「お前はマリスの直属の部隊だったな、奴はお前のしている事は知っているのか?」

ヴァルド「だから、何なんだっつってんだよ、何が言いてぇ」

レスタ「独断ならばいい、が、あいつが黙認してるのならば処罰が必要になる」

ヴァルド「・・・・・めんどくせぇ、レスタ、テメェここで殺す、マリス様を神にする」

レスタ「質問にはあくまで答えないつもりか」

ヴァルド「独断だよ!一般人嬲ってんのもテメェ殺そうとしてんのも!
     スローイングナイフ・オン、ザ・ウィング!」

レスタ「そうか、お前が外道で良かったよ、俺も遠慮なく本気を出せる、
    エトワール・シエル・セット、スタンバイ」

火炎「星と虹・・・・?」

ヴァルド「遊びは無しだ、即殺してやらぁ!アルジェルトテンペスタ!」

レスタ「エトワール・フィラント、シエル・ルージュ・ブルー・ヴィオレ、レイ」

火炎「流れ星と、虹から伸びる光、綺麗・・・・」

ヴァルド「ちぃ、届かねぇか、テメェ、こいつがどうなってもいいのか!」

火炎「っ、ま、また私が足手まといに・・・」

レスタ「構わない」

ヴァルド「なっ・・・・!」

火炎「っ、え!?」

レスタ「とまでは言わないが、俺の枷にはならない、やりたければやれ!」

ヴァルド「クソ、舐めやがって、ふざけやがって!」

火炎「っ、あの光の中に飛び込んだ!?」

ヴァルド「ハッ、この程度の弾幕、見切れるんだよ!」

レスタ「その程度ならな」

ヴァルド「何?」

レスタ「コメット、メテオリット」

ヴァルド「っ、くぅ!」

レスタ「これも避けるか」

ヴァルド「だから、舐めるなと!」

レスタ「なら、ヴェガ・アルタイル、レイ!」

ヴァルド「っ、でけぇ、うぉぉぉおおおおおおおお!?」

火炎「当たった!」

ヴァルド「ぐぅ・・・、やっぱあめぇよ、テメェ、敵なんざオーバーキルしてナンボだろうが」

レスタ「そうだな、お前に心変わりを期待する俺が愚かだったな、
    言葉に甘えて、手心加えず殺してやる」

ヴァルド「はっ、はははっ、我が憎しみを糧とせよ、我らは死すら恐れぬじゃきょう・・・・・!」

レスタ「グラン・シャリオ!」

----------------------------------------------------------------------------------

レスタ「はぁ・・・・はぁ・・・・、流石に撃ちすぎたか、少し眩むな・・・」

火炎「あ、あの!」

レスタ「ん、あぁ、大丈夫だったかい?」

火炎「私より、焔が、焔が!」

レスタ「っ、まだ息があるのか、流石だな」

火炎「お願い、彼を、彼を助けて!」

レスタ「彼は重犯罪者だ、ただでは助けられない、それに、再犯の可能性だってある」

火炎「でも、彼は根っから悪い人じゃないよ!だって、私を命をかけて助けてくれたんだもの!」

レスタ「・・・・・・そうだね」

火炎「なんだってするから、なにかあったら私が、ううん、何もさせないようにするから!」

レスタ「・・・・・それじゃあ、条件を出そう」

火炎「っ、なに、私に出来る事だったらなんでもする!」

レスタ「まず彼の力を封印する、次に記憶を封印する」

火炎「え、記憶を・・・・、そんなの・・・!」

レスタ「俺は神だ、天界を、地上を守る義務がある、そして彼は天界を、地上を憎む魔族だ、
    万が一、億が一を考えて事を進める必要がある」

火炎「っ・・・・・、うん・・・・・でも」

レスタ「でもは許されない、本来なら極刑でもおかしくないんだ」

火炎「・・・・・・・」

レスタ「君にも協力してもらう事になるよ、もちろん」

火炎「あ、当たり前です、私が助けたんだから責任は!」

レスタ「うん、君には彼の監視役をしてもらう、記憶を失った彼が間違った方向に進まないようにね」

火炎「うん、必ず」

レスタ「後、君にも、今の生活を捨ててもらうよ」

火炎「え・・・・・?」

レスタ「一人匿ったままずっと生活するのは無理だろうからね、
    今まで君に関わった人たちには全てを忘れてもらうし、新しい住まいは用意する」

火炎「・・・・・・・」

レスタ「忘れちゃいけない、彼は殺戮者だ、ヴァルドも言っていたが、君はそれを知った上で匿っている、
    罪がない訳じゃない、彼を救いたいというのであればなおさらだよ」

火炎「・・・・・・それでも、それでもいい、だから彼を助けて!」

レスタ「・・・・・そうか、それじゃ、処置をする、行こう」


火炎M「それから、私と焔は天界に連れて行かれた、そこで彼は力と記憶を封印され、
    私は過去を捨てた、それから、私たちは南区のとあるマンションで新しい生活を始める事になる、
    邪学にも、入学する事が決まっていた、彼が赤い悪魔だという事は、隠したまま、
    そこで、フィオちゃんや氷雪、会長や藍ちゃんに出会った、皆との生活は凄く楽しかった、
    けど、それと同時に凄く後ろめたかった、フィオちゃんに打ち明けられた過去、
    私は、なんて汚かったんだろう、なんてずるかったんだろう、
    全ての人を騙し続けた三年間、その報いが、きっと今・・・・」


焔「次回予告」

ヴァルド「赤い悪魔の正体、それは彼らに激震を与えた」

火炎「当然ながら、それは邪学の他の皆に伝わる事となる」

焔「次回、箱庭の世界で 第四十七話 真実を知って」

火炎「一つの真実に、様々な想いが交差する」



とぅーびー・こんてにゅーど


もどる


シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w