箱庭の世界で 第四十三話 裏切りのジェノ

ジェノ♂ 30歳
レリクム♂ 22歳
仮面の男♂ 24歳 (ケイオス)
エィル♂ 33歳 アンナの同僚
アンナ♀ 27歳

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ジェノ♂:
レリクム♂:
仮面♂:
エィル♂:
アンナ♀:




アンナN「とある日、死神に大きな任務が舞い込む、邪教を興(おこ)した危険人物を殺せ、
     というなんて事はない思想犯退治かと思いきや、私やジェノ、その他
     ベテランと呼ばれる死神達も借り出される大事になっていた、
     不吉な気配を感じつつ、私たちはターゲットのいると報告があった
     教会に向かうのだった」


ジェノ「箱庭の世界で 第四十三話 裏切りのジェノ」


エィル「しかし、そうそうたる面々だな、思想犯如きにこれだけの戦力が必要なのか?」

アンナ「それは同感ね、そもそもジェノが集団行動に混ぜられてる時点で
    普通ならありえないもの」

ジェノ「協調性なくて悪かったな」

エィル「チームワークは最初から期待してないから安心しろ、
    戦力としてだけでもいるだけで違うからな、お前は」

ジェノ「へぇへぇ、ったく、めんどくせぇ・・・」

アンナ「もぅ・・・、けど、ジェノだけじゃなくて、エィルやその同期、先輩方も一緒、
    っていうのは何か、恐ろしいものを感じるわね」

エィル「そうだな、なんとしても成功させたい仕事なんだろうさ、過剰戦力だとしてもな」

ジェノ「だろうな、っと、あれ、見えたぜ、あの教会だろ」

エィル「っ、なんだ、あの空気・・・・」

アンナ「触れなくても異様なのが分かるって凄いわね」

エィル「しかも建物越しで、な、これは過剰戦力だなんて言ってられんかもしれんな」

ジェノ「どうするんだ、総指揮官殿」

エィル「どこに何があるか分からんからな、分散しよう」

アンナ「正面切って罠で全滅、なんて洒落にならないものね」

ジェノ「それじゃ、ターゲット前で合流だな」

エィル「では各自、幸運を祈る、散開!」

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アンナ「っ、踏み込むと凄いわね、この気、魔界でもそうそう無いわよ、
    こんな空気の悪い場所・・・・・」

ジェノ「おいアンナ」

アンナ「ジェ、ジェノ、どうして一緒に!?」

ジェノ「俺が最善ルート案内してやる、付いて来い」

アンナ「案内してやるって、この場所来た事あるの?」

ジェノ「勘だ」

アンナ「なるほどね、こういう場所なら当てにできるものね」

ジェノ「ちっ、信用されてねぇな、まぁいい、行くぞ」

アンナ「了解」

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アンナ「結構奥まで来たけど、他の人誰も見ないわね」

ジェノ「あぁ、流石に怪しいな」

アンナ「私達が遅れてるだけだと信じたいわ」

ジェノ「このスピードでか?ありえねぇ」

アンナ「分かってる、少しくらい期待させなさいな」

ジェノ「期待なんて戦闘には不要だ」

アンナ「はいはい、分かりました」

ジェノ「なら良い、・・・・あの扉だ」

アンナ「間違いないわね、この空気、あそこから漏れ出してる」

ジェノ「ぶち破るぞ」

アンナ「了解」

ジェノ「うらぁ!」

アンナN「扉を蹴破り中に入るとそこには、
     広い聖堂で対峙する、仮面の男とエィルの姿が」

仮面「ん、新しいお客さんみたいだよ、君の味方だといいね?」

エィル「ん、アンナとジェノか!」

アンナ「エィル、大丈夫!?」

エィル「あぁ、助かった、奴、強いぞ」

アンナ「えぇ、貴方と対等以上に渡り合ってるんですもの」

仮面「クククッ、骨のありそうな奴が来たねぇ」

ジェノ「ったりめぇだろ、あんな迷路くらいで俺が止められるかよ」

仮面「ふっ、あの迷路のおかげで、大分数が減ったけどねぇ、
   あんなに沢山で来てゴールできたのはたった二人だからね」

エィル「二人?三人じゃ・・・・」

仮面「ジェノ、いつまでそっち側にたってるつもりだい?」

ジェノ「はぁ・・・・、分かったよ」

アンナ「え、ジェノ!?」

ジェノ「悪いな、俺はこっち側の人間だ」

エィル「な、なんだと・・・・!」

仮面「そういう事、君と彼女で二人、って事だよ」

エィル「くっ、ジェノ、貴様、いつから!」

ジェノ「さぁ、どっからって言ったらいいかね」

アンナ「まさか、時々連絡取ってた怪しい奴って・・・・」

仮面「ジェノ、気付かれてたの?迂闊だね」

ジェノ「うるせぇよ」

仮面「まぁ良いか、特別障害にもならなかったみたいだし」

エィル「アンナ、お前は違うな?」

アンナ「当たり前よ」

ジェノ「所で、どんな罠仕掛けたんだ?あんだけのレベルをこんだけにするのは
    並の罠じゃ無理だろ?」

仮面「ん、それじゃネタバレと行こうか、レリクム、いるよね、出ておいで」

レリクム「っと、流石にばれてましたか」

ジェノ「なんだ、テメェか」

レリクム「なんだとはなんですか、良い仕事してきたのですから、
     労(ねぎら)い位あってもいいでしょうに」

エィル「なっ、キラー、貴様何故ここに!」

レリクム「はぁ、センスの無い二つ名で呼ばないでくれませんか、
     折角名前を呼ばれて出て来たのだから、判明した本名で呼んでくれませんか?」

エィル「最近貴様の被害者を見ないのはこういう理由だったか」

レリクム「引退、もしくは死んだと思っていましたか?死神の情報網もザルですね」

アンナ「くっ、まずいわね・・・」

エィル「あぁ、最悪の展開だな、キラー、貴様の事だ、他は全員皆殺しだな?」

レリクム「えぇ、もちろん、元よりそういう命令でしたので、ね?」

仮面「そうだね、まぁ、ジェノが一人誘導してきたのは予想外だったけど」

ジェノ「うるせぇ、引き込みたい奴がいれば自由にしろって言ったのはテメェだろうがケイ・・・」

仮面「ジェノ!」

ジェノ「あぁ?」

仮面「君は、なんのために仮面をしてると思ってるんだい?」

ジェノ「顔を隠すためだろ?」

仮面「・・・・・それが分かって何で名前を呼ぼうとするんだい」

ジェノ「あぁ?よく分からんぞケ」

レリクム「ジェノ、顔を隠したいのは何でだと思いますか?」

ジェノ「・・・・・・初対面がいて恥ずかしいからか?」

アンナ「正体を隠したいからに決まってるでしょう!」

エィル「生かして帰す気は無いが、逃がしたとしても抜かりは無いように、か」

仮面「はぁ・・・、理解が早くて助かるよ、全くやりづらい・・・」

ジェノ「悪かったなぁ」

仮面「本当に」

エィル「くっ、ずいぶんと余裕だな、仮面の男」

仮面「事実余裕だからね、君、勝てると思う?この三人に」

レリクム「私一人に手こずっていた死神に聞くようなことじゃないですよ」

仮面「それもそうだね」

アンナ「そんな事よりも!引きずり込みたいって、どういう事?」

仮面「んー?それは、ジェノ、君の口から直接説明してあげてよ」

ジェノ「あ?別にいいけどよ、アンナ、俺と一緒に来ないか?」

アンナ「どういう、事?」

ジェノ「そのまんまの意味だよ」

アンナ「それがどういう意味かって聞いてるの」

レリクム「私達の仲間にならないか、という意味です、我々邪教の、ね」

アンナ「っ!」

ジェノ「おい」

レリクム「ジェノの説明じゃ説明になってないから代弁してあげたんです」

ジェノ「ちっ、そういう事だよ、アンナ、こっちに」

エィル「裏切り者の言葉に耳を貸すな!」

仮面「本当に利口なのは裏切る事だけどね、ここから生還できるつもり?君」

エィル「くっ・・・」

レリクム「言っておきますけど、エィル、貴方に選択肢はないですよ、
     まぁ、選択するつもりもないでしょうけど」

アンナ「私、は・・・」

ジェノ「俺は、お前を殺したくねぇ、だから仲間になれ」

仮面「死ぬか、生きるか、とても簡単な選択肢だと思うけど、何を迷ってるんだい?」

エィル「・・・・・アンナ、俺はここから生きて帰れん、だが、お前には道がある、
    わざわざ義理立てするような組織でもあるまい」

アンナ「エィル・・・・」

レリクム「へぇ、思ったより柔軟な頭ですね、
     てっきり最後まで引き止めるかと思ったんですが」

エィル「ふん、貴様のような殺し屋には分からんよ」

レリクム「ふっ、そうですか」

仮面「さて、仲間のお許しも出たようだし、君のアンサーを、
   そろそろ聞かせてもらおうか?」

アンナ「私、私は・・・」

エィル「アンナ、自分に素直になれよ」

アンナ「っ、私は、貴方たち三人を全員倒して、ジェノを連れて帰る!」

ジェノ「なっ・・・・」

仮面「・・・・クッ、アッハハハハハ!これは予想外のアンサーだ!
   面白い、君は面白い人間だ!アッハハハハ!」

レリクム「けど、どうするんですか?敵対するのであれば殺すのですよね?」

ジェノ「アンナ、分かってるのか、こいつら相手にして無事で済むわけねぇだろうが」

アンナ「それでも、私は死神であることに誇りを持ってるし、譲れないものだってある」

ジェノ「そうか・・・・、そうかよ・・・・」

仮面「ジェノ、レリクム、男は殺して、けど、女は殺しちゃダメだよ」

レリクム「っ、従いますが、どういうおつもりですか?」

仮面「考えれば分かるよ、人前で言わせるつもり?」

レリクム「申し訳ございません、ジェノ、大丈夫ですか?」

ジェノ「あぁ、大丈夫だ、正気だよ」

レリクム「分かっていますね?」

ジェノ「分かってんよ!エィルだけ殺しゃいいんだろ?」

レリクム「教主様は控えててください、ここは私共が」

仮面「ん、任せよう」

エィル「本当に良かったのか、アンナ」

アンナ「えぇ、あれが、私の本音よ」

エィル「そうか、ならば、全力でサポートする」

アンナ「ダメよ、あいつらは貴方だけを殺そうとしている、
    なら私が止めて貴方は逃げた方が・・・」

エィル「ジェノを取り戻すんだろ、アンナ一人で出来るのか?」

アンナ「・・・・ごめんなさい、感謝するわ」

エィル「ふっ、帰ったら何か返せよ」

アンナ「ふふっ、一杯奢るわ」

エィル「楽しみだ」

ジェノ「くっ、イライラする、終わらしてやるよ、すぐによ!」

仮面「あの馬鹿、レリクム、巻き込みかねん、男を殺れ、今すぐだ!」

レリクム「瞬殺をご所望ですか、あまり、
     殺さない相手がいる場所で本気は出したくないのですが・・・・、行きますよ・・・」

アンナ「っ、消えた!?」

レリクム「どこを見ているのです?後ろですよ?」

エィル「なんだと・・・・っ」

アンナN「振り返ると同時に、エィルの上半身と下半身が離れる、
     そして、落ちると同時に、彼は細切れに、バラバラになってしまった」

レリクム「任務完了」

仮面「お疲れ様、ジェノ、もう終わったよ、鎌を降ろして」

ジェノ「・・・・・・あぁ」

アンナ「エィル・・・・、え、今、何が・・・・」

仮面「ふふん、これで今日の仕事は終了かな」

レリクム「殺すべき相手は全て殺しましたからね」

ジェノ「アンナ、もう一度聞く、こっちに来るつもりは無いか?」

アンナ「・・・・・無いわ、貴方たちが私を殺さないのなら、私が貴方達を殺してあげる」

仮面「抵抗されると面倒だね、レリクム、落して」

レリクム「御意」

アンナN「キラーが再び姿を消すと同時に、頭に衝撃が走る、私は、そのまま暗闇へと
     意識を落した、目を覚ますと、そこは死神の集落だった、
     真意は全く分からない、けど、私は生かされている、それだけは確かだった、
     この事件をきっかけに、私は様々な責を負う事になる、
     裏切り者を見逃し、仲間を失い、一人無傷で帰る、それは不自然そのものだから、
     以降、魔王直接の監視の元、死神の統括をする事になる、それは出世ではなく、
     一生の束縛を約束する事に他ならなかった、
     未だに、私はジェノを探し続けている、きっと、直接会うことは出来ないだろう、
     それでも、私は彼に、戻ってきて欲しいんだ」


仮面「次回予告」

エィル「死神の集落を荒らした赤い悪魔はそのまま南下し、町に向かう」

ジェノ「北区の外れ、小さな住宅街、そこは、かつて氷雪の住む町だった」

アンナ「通り過ぎるだけで全てを薙ぎ払っていく悪魔は、更なる悲劇を生み出していく」

レリクム「次回、箱庭の世界で、第四十四話、氷雪の理由<わけ>」

仮面「連鎖する悲劇は止まらない、これは、人々の心に楔(くさび)を打つ事件なのだ」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w