箱庭の世界で 第四十二話 殺戮の修行

ジェノ♂ 30歳
フィオ♀ 15歳

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ジェノ♂:
フィオ♀:


フィオN「大好きだったお兄ちゃんを亡くして、赤い悪魔に復讐を誓ったあの日、
     私はジェノの元で修行する事を決めた、これは、その時の、最悪の日々」


ジェノ「箱庭の世界で 第四十二話 殺戮の修行」


フィオ「ここ、どこ?」

ジェノ「俺専用の修練場だ」

フィオ「専用のか、それでいつもいなかったんだ」

ジェノ「あぁ、俺が一般相手に満足できるわけねぇだろうが」

フィオ「それもそうだね」

ジェノ「さてと、始めるとすっか」

フィオ「まずは、何を・・・・」

ジェノ「おぅら!」

フィオ「っ、きゃあ!?」

ジェノ「何ぼーっとしてやがる」

フィオ「げほっげほっ、ちょっと、あんないきなり・・・」

ジェノ「突然の攻撃とかにも反応できねぇと、生き残れないぜ?」

フィオ「くっ、ゲートNo.01 デスサイズ」

ジェノ「ハン、準備はいいかよ、行くぜぇ!」

フィオ「はやっ、ぐぅ!」

ジェノ「おらどうした!あんだけ啖呵切ってその程度か!」

フィオ「待って、ちょっと・・・」

ジェノ「戦闘に待ってもちょっともあるかよ!」

フィオ「きゃあ!」

ジェノ「何へばってんだよ、立てよ」

フィオ「ぐ、ぅ・・・、冗談、じゃない、こんな一方的にぼこられて、何が、特訓よ・・・」

ジェノ「ハッ、口答えできりゃ上等、一方的にやられたくなきゃ、
    一秒でも早く強くなりなぁ!」

フィオ「きゃあ!」

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ジェノ「もう立てねぇか、情けねぇな」

フィオ「あ、ぐ・・・・」

ジェノ「おいフィオ、女が敵のど真ん中で綺麗な状態でぶっ倒れたらどうなるか、
    知ってるか?」

フィオ「づ・・・・、しら、ない、それが、どうしたのよ・・・」

ジェノ「は、まだガキだな、相手にもよるが、一つの可能性を教えといてやるよ」

フィオ「え・・・、っ、きゃあ!い、いきなり服破くとか何考え・・・」

ジェノ「敵兵の慰み者だ、そんで気がすみゃぽいだ」

フィオ「ちょ、っと、まさか・・・・」

ジェノ「アホか、ガキにゃ興味ねぇよ」

フィオ「じゃあ、何のために・・・」

ジェノ「そうなりたくなかったら、どうする、どうすればいい?」

フィオ「強く、なる?」

ジェノ「その通りだ、相手が俺だからこうなった訳じゃねぇぞ、お前より強い奴なんざ
    いくらでもいる、少なくともこういう事を考える下衆よりは強くなれ」

フィオ「くっ、ぅ・・・、言われなく、ても、私の目標は、あいつを殺す事だ、
    強く、なってやる・・・・」

ジェノ「ハッ、まだ立てるじゃねぇの、来いよ、俺に終焉を見せてくれるんだろ?」

フィオ「づ、ぅ、っ、はぁぁぁぁああああああああああああ!」

ジェノ「フン、うぉらぁ!」

フィオ「っ、がぁ!」

ジェノ「今度は完全にへばったか、ハッ、先は長そうだ」

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フィオ「ん・・・・、あ、れ、私・・・、いつっ!」

ジェノ「よぅ、目ぇ覚めたか、んじゃ、始めんぞ」

フィオ「ちょっと、待って、そんなの、体、持たない・・・」

ジェノ「あ?もう弱音かよ」

フィオ「そうじゃなくて、動かない体でぼこられるだけじゃ・・・」

ジェノ「動かなくなってからが本番なんだが、しょうがねぇ、
    なら、精神面の特訓だ」

フィオ「精神、面?」

ジェノ「今から、お前を殺す」

フィオ「っ、何を、言って・・・」

ジェノ「どうした、逃げねぇと、死ぬぞ?」

フィオ「待って、本気、本気、なの・・・?」

ジェノ「この気が、冗談に見えるか?」

フィオ「いや、いや・・・・」

ジェノ「おら、この鎌振り下ろしたらお終いだ、どうした、逃げねぇのか」

フィオ「あ、あぁ・・・・」

ジェノ「行くぜ、はぁぁぁぁぁああああああああ!」

フィオ「いやぁぁぁああああああああああああ!・・・・・え」

ジェノ「どうだ、怖かったか?」

フィオ「あ、あああ、当たり前じゃない!」

ジェノ「これでお前は一回死んだ、も同然だ」

フィオ「ど、どういう事?」

ジェノ「人間って何回死ねると思う?」

フィオ「い、一回に決まってるでしょ!」

ジェノ「じゃあお前はもう死なねぇな」

フィオ「ばっかじゃないの!?私今生きてるのよ、死なない訳、ひっ」

ジェノ「もう一回死ぬか?」

フィオ「・・・・・遠慮しときます」

ジェノ「そうか、それじゃひとまず休憩だな」

フィオ「やっとか・・・・」

ジェノ「あ?まだやりたいか?」

フィオ「だから動けないっての」

ジェノ「あぁ、そうだったな、それじゃ休憩だ」

フィオ「はぁ・・・・、全く、こんな子供相手にあんな無茶なトレーニング、
    よくやるよね・・・・」

ジェノ「上のステージの空気を味わう、いい練習になるぜ?
    それが実戦に近ければ近いほどな」

フィオ「それが一方的にボコられてるだけでも?」

ジェノ「あぁ、俺に慣れとけば俺より弱い奴にゃびくともしねぇぞ」

フィオ「そんなやり方で大丈夫・・・・?」

ジェノ「乗り越えれば強くなれるぜ、間違いなくな」

フィオ「そうだと良いけどね・・・」

ジェノ「ま、それも死ななきゃの話だがな」

フィオ「ふん、死んでたまるもんか、お兄ちゃんの、仇を討つまでは」

ジェノ「目的を忘れなきゃ何とかなる、そんなもんだ」

フィオ「そう、だね・・・・・・」

ジェノ「・・・・・・・・・・・」

フィオ「・・・・・・・・・・」

ジェノ「あー、よし、始めるか?」

フィオ「いや、まだ体動かないんですけど」

ジェノ「あ?鍛え方が足らねぇ証拠だ」

フィオ「あんたと一緒にするな!」

ジェノ「あーそうですかー」

フィオ「全く・・・・・・、あ、そういえば」

ジェノ「あ?」

フィオ「ジェノってさ、殺してみろーとかって言ってる割に戦う時本気だよね?」

ジェノ「あぁ、本気だな、それがどうかしたか?」

フィオ「何で?ワザと受ければ死ねるだろうし、死ぬだけだったら自殺だってあるじゃん」

ジェノ「強いて言うなら後悔しない為、って所か」

フィオ「後悔しない為?」

ジェノ「あそこでこうしとけば良かった、もう一歩踏み込んでりゃ勝てた、
    死ぬ間際にそんな事考えてて成仏出来るか?」

フィオ「・・・・・・死にたいなら、出来るんじゃないの?」

ジェノ「俺は出来ないねぇ、こちとら戦闘狂、いつだって血は滾ってる、
    例え死ぬ為だろうと生き甲斐に手抜きはできねぇ」

フィオ「うわぁ・・・タチ悪・・・・」

ジェノ「悪かったな、けどよ、死ぬ事に対して本気で抵抗してよ、
    それでも死んじまったら、それは俺がそこまでだったって事だろうが」

フィオ「・・・・・うん」

ジェノ「先があって諦めるのはバカのする事だ、俺だって生きてたい訳じゃねぇが、
    単純に死ぬだけじゃ面白くねぇだろうが、なら全力で死んだ方が楽しいだろ」

フィオ「死んだら、そこでお終いだよ、面白いもつまらないも、何も無い」

ジェノ「けど、死ぬ直前までは楽しいぜ、きっとな」

フィオ「・・・・そんなもんかな」

ジェノ「あぁ、人間なんてそんなもんだ」

フィオ「そっか」

ジェノ「・・・・・よし、始めるか?」

フィオ「も、もうちょっとだけ待って」

ジェノ「チッ、軟弱だな」

フィオ「年も性別も違うんだから同じレベルで考えないでくださいー」

ジェノ「分かった分かった」

フィオ「もぅ・・・・、もう一つ、聞いていい?」

ジェノ「今度は何を?」

フィオ「なんで、死にたいの?」

ジェノ「あー・・・・、あぁ、知らない方が人生面白いぞ」

フィオ「えぇー、教えてくれないの?」

ジェノ「あぁ、教えてやらん」

フィオ「そっか、残念・・・・」

ジェノ「十五のガキが知るようなモンじゃねぇよ」

フィオ「私だって、十五で知りたくもないもの、知っちゃったもん」

ジェノ「それもそうだ」

フィオ「・・・・・・・よし、始めよっか!」

ジェノ「おぅ、それじゃ、行くぜ、今度はちゃんと付いて来いよ!おぅらぁ!」

フィオ「ぐっ、っは、受けれた!」

ジェノ「ハッ!その調子だ、ギア落すんじゃねぇぞ!」

フィオ「うん!」

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フィオM「それから数日、ジェノとの特訓は続いた、
     最初の頃に比べて目も、体も多少は付いていけるようになった、
     まぁ、歯が立たないのは相変わらずだけど・・・・・、
     その中で、精神面のトレーニングは、かなりハードな物だった」

ジェノ「おら、もう限界か?手震えてんぞ」

フィオ「う、うるさい、はぁ!」

ジェノ「ハッ、体に気が付いてきてねぇぞ!そんなんで相手を切れると思うなぁ!」

フィオ「ぐぅ!くっ、けど、こんなんどうやって耐えれば・・・・」

ジェノ「もっと本気になれ、練習だろうと本番だろうと構うな、殺す気で来い」

フィオ「殺す気で・・・・」

ジェノ「そうだ、例え相手がそこら辺の雑魚だろうとだ、仇を討つつもりで殺せ!」

フィオ「仇を、討つつもりで・・・・・」

ジェノ「そうだ、殺意に手抜きも本気もねぇ、殺るなら殺る、殺らないなら殺らない、
    生かすか殺すか、0か100かだ!」

フィオ「殺す・・・・、殺してやる・・・・・」

ジェノ「いいじゃねぇか、もっとだ、もっと来い!お前の100%の殺意を見せてみろ!」

フィオ「赤い悪魔・・・、殺す、殺す!」

ジェノ「さぁ来い!俺を殺してみろ!」

フィオ「あぁぁぁああああああああああ!」

ジェノ「フッ、うらぁ!」

フィオ「こっちだ!」

ジェノ「良い動きだ、それでこそだ!」

フィオ「っ、くあぁ!」

ジェノ「っと、嫌な手応えしたな、おいフィオ」

フィオ「ぐ、ぅ・・・・、腕の骨の一本がなんだ・・・・、お兄ちゃんは、もっと痛かったんだ」

ジェノ「クッ、ハハッ、あっははははは!いいぞ、面白い、
    それでこそ鍛え甲斐があるってもんだ!」

フィオ「舐めるな、はぁ!」

ジェノ「よっ、どうした、簡単に止められるぜ?」

フィオ「くっ・・・!」

ジェノ「ハッ、この距離で怯まねぇか、成長したじゃねぇの」

フィオ「っ、舐めやがって、はぁ!」

ジェノ「急所に遠慮の無い攻撃、いいぞ、それで正しい」

フィオ「この!・・・・・・っ、あ、れ・・・・、体、が」

ジェノ「あ?どうした?」

フィオ「なんか、力、入らない・・・・」

ジェノ「なるほどな、その状態、長時間はもたねぇか」

フィオ「え・・・・・?」

ジェノ「心と体が追いついてねぇんだ、ここって所で使いな」

フィオ「うん・・・・、でも、少しでも時間延ばしたいから、まだ、練習、する・・・よ」

ジェノ「はぁ・・・、とりあえず今日は休め」

フィオ「うん・・・・・」

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フィオM「こうして時は過ぎていく、ジェノの教え方が良いのか、私の筋が良いのか、
     職場で横に並ぶ者はすぐに少なくなった、それは強さだけじゃなく、人としても・・・」

ジェノ「ん、もう仕事終わりか、早いじゃねぇか」

フィオ「今日もいなかった、ホシが魔族って聞いてたんだけど、似ても似つかないゴミだったよ」

ジェノ「残念だったな」

フィオ「うん、さぁジェノ、始めよう」

ジェノ「・・・・短い間に、変わったなぁ、お前」

フィオ「こうさせたのはあんたでしょ、ジェノ」

ジェノ「責任転嫁かよ・・・、まぁいいや、それじゃ、行くぜ」

フィオN「気付けば、仲間と呼べるような人は、アンナとジェノだけになっていた、
     赤い悪魔へ対する執念は、友達すら寄せ付けぬほど、強い物となっていたんだ、
     こうして、ジェノが裏切るまで、私は毎日特訓を続けた・・・・・、
     きっと、他人から見たら私は異常なんだろう、それでも・・・・、
     私は、お兄ちゃんの仇を、討つんだから」


ジェノ「次回予告」

フィオ「赤い悪魔の暴走から程なく、ランクの高い死神達に仕事が入る」

ジェノ「それは、邪教を起こした危険人物を追うというものだった」

フィオ「敵が得体の知れないものだという事もあり、かなりの人数の死神が駆り出される、
    その中には、アンナとジェノの姿もあった」

ジェノ「次回、箱庭の世界で 第四十三話 裏切りのジェノ」

フィオ「仕組まれた事柄、そうさせたのは一体誰?」


とぅーびー・こんてにゅーど


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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w