蒼い夜の吸血鬼 第七話 画策

ヴェリッヒ♂ 32歳 欲しいと思ったものには忠実に動く。今回も地位と名誉、後は面白そうという理由だけ。
卑屈じみた狂気を帯びている。世間を諦めているが自分なりに満喫している。
痩せ型長身。
ラルトゥール♂ 42歳 野心家で他人を利用することをなんとも思わない。
喋り口調は丁寧だが、嫌味で人を小ばかにしたような雰囲気を醸し出している。
自分の事は棚に上げて人を指摘する典型的な嫌な奴。
セルカ♂ 22歳 ブラッドの執事、彼に心酔している、自分の全ては主のために。
普段は冷静だが、ブラッドの事になると熱くなり易い。
丁寧で真面目な性格。
レイナルド♂ 28歳 粗暴かつ豪快、だが人を騙しおちょくる事にかけては天才的。
相手の苦しむ所や憎悪に満ちた顔を見るのが大好き。
場をかき回して、自分が楽しめれば後はどうなっても良いやと思っている。
ジュリ♀ 53歳(見た目は10台前半) 自分の感情をあまり持たず、居場所があればその人に従うタイプ。
幼い時に吸血鬼に捕まり、酷い扱いを受けていた。
とても無口で最低限の事しか喋らない。
ジュジュ♀ 大振りのナイフ ジュリのいつも持ち歩いているナイフ、ジュリの血を浴び過ぎた為、吸血鬼になっている。
持ち主とは正反対でよく喋り喧しい、主にこっちが会話担当。
ラティスアレ♀ 120歳(見た目は10台前半) 幼さ、無邪気さを装っているが、とても賢く大人な思考をしている。
純血種、今の吸血鬼の体制を生まれたときから退屈に感じている。
その為、面白そうな事には目が無い。





ヴェリ&レイナルド♂:
ラル♂:
セルカ♂:
ジュリ&ジュジュ♀:
ラティ♀:




ラル「失礼します、と、早く来すぎてしまったようですね、誰もいらっしゃらないとは」

ヴェリ「寝言は寝て言えよ、森」

ラル「おや、相も変わらず紛れていて分かりませんでしたよ、影」

ヴェリ「あぁ、それならなんも間違っちゃねぇ、その通りだ」

ラル「でしょうね、さぁ、遊んでないで明かりを灯しましょう」

ヴェリ「あ?夜目が利くだろ、必要ねぇ」

ラル「何をおっしゃってるので、こう闇が多くてはいつ貴方に刺されてもおかしくないでしょう、
   見える見えないの問題ではありません」

ヴェリ「あぁそうですか、テメェがそうしたいならそうすりゃいいさ」

ラル「ふん、言われなくともそうさせていただきますよ」

ジュジュ「なになに、まぁたやってんのー?くっだらない言い争いなんかー」

ラル「あぁ、また騒々しいのが来ましたか・・・」

ジュジュ「しっつれいしちゃうなー、こっちは呼ばれて飛び出ただけだってのに、
     ねぇジュリー?」

ジュリ「・・・・そうだね、ジュジュ」

ラル「相も変わらずですか、その短剣になりきらないと人と話すら出来ないのは」

ジュジュ「これまた失礼な!ジュジュはただの短剣じゃないってのにさぁ!
     世にも珍しい吸血ナイフだってのにさぁ!」

ラル「はいはい、お上手ですね、いっその事、腹話術師に転向してはいかがですか?」

ジュリ「・・・ヴェリ、この人、殺していい?」

ヴェリ「あぁー、やっちまっていいぜ、なんなら俺も手伝ってやらぁよ」

ラル「ほぅ、この私に、勝てるとでもお思いですか」

ヴェリ「テメェこそ、俺ら三人に勝てるとでも思ってんのかよ」

ジュジュ「思ってんのかよー?」

ラル「いいでしょう、ルージュセイヤやブラッドの前に、まずは貴方達を・・・」

ジュリ「っ、この音・・・」

ヴェリ「なんか、殺る気が・・・?」

ラティ「はーい、ケンカはそこまで、仲間とまでは言わないけど目的を共にする同志なんだからさ」


セルカ「蒼い夜の吸血鬼 第七話 画策」


ラル「ラティスアレ・・・、貴方の能力ですか」

ラティ「なんの事でしょ、そんな事より、さっ、座った座った、お話始めるよ」

ヴェリ「チッ、なんか興醒めだぜ」

ラティ「気分が穏やかになったって言って欲しいかな、ね、ジュジュちゃん?」

ジュジュ「いぇーい、さっすがラティ、今の気分を表すのにぴったしな言葉だぁ!」

ラティ「でしょー!」

ラル「はぁ・・・、お話、始めるのですよね?」

ラティ「焦らないの、夜はまだ長いんだし」

ラル「焦ってはいませんよ、急かしてはいますけど」

ヴェリ「余計タチ悪いじゃねぇか」

ジュジュ「間違いなーい、早い男は嫌われるよー」

ラティ「ほらほら、煽らない」

ジュジュ「ちぇ、しょうがないなぁ」

ラル「それじゃ、落ち着いた所で、本題をお願いします、ラティスアレ」

ラティ「はいはーい、もう知ってる人もいると思うけど、カリストが姫派にやられちゃったんだ」

ヴェリ「へぇ、カリストの奴が」

ジュリ「・・・どこで、誰に?」

ラティ「あの子の城で、ナイト様にだよ」

ラル「やはり納得しかねます、その情報は確かなのですか?」

ラティ「そっちでも同じ情報掴んでるんだよね?」

ラル「えぇ、ですが彼ほどの吸血鬼が、あんな新参者に殺された、などとにわかには信じがたい」

ヴェリ「相性の問題なんかもあるんだろうよ」

ジュリ「でも、経験の違いもあるし、1対1なら負けないと思うんだけど・・・」

ラティ「絹のおまけが一緒にいたらしいよ」

ジュリ「・・・そうなんだ」

ラル「それならば納得ですね」

ヴェリ「で、それがどうしたんだ、わざわざ集めたんだ、なんかあるんだろ?」

ラティ「なんかあるっていうか、注意喚起しとこうと思ってね」

ラル「姫派が本気で動き出した、という事ですね」

ラティ「そういう事」

ヴェリ「くだらねぇ」

ラティ「その心は?」

ヴェリ「やる事は変わんねぇってこった」

ジュジュ「刃向かう奴はぶっ殺しちゃうぞー!」

ラル「はぁ・・・、貴方達、事の重大さを分かっていませんね、
   今まで防戦一方だった姫派が攻め始めたのです、
   それも複数人で城主を狙う、今までとは話が全然違います」

ジュジュ「二人で来たら二人ころーす、三人で来たら三人ころーす、
     それだけでっしょー?」

セルカ「それが出来ればの話ですけどね」

ラル・ヴェリ「っ!」

ジュリ「・・・誰?」

セルカ「申し遅れました、僕はセルカ、ブラッド様の忠実な僕です」

ラティ「あれあれ、盟主様の執事がこんな所になんの用かな?」

セルカ「貴方達こそ、こんな所でこそこそ集まって、よからぬ事を画策とは、
    どういうおつもりで?」

ラティ「カリストが殺されたのは知ってる?」

セルカ「もちろん」

ラティ「なら察して欲しいな、弱い者同士寄り添わないとやられちゃーう」

セルカ「純血種であるあな・・・」

ジュジュ「ちょっと!いくらラティでも弱いは心外なんだけどー!」

ヴェリ「ジュジュ、ちょっと黙ってろ」

ジュジュ「ちぇ、ヴェリが言うならしょうがないなぁ」

セルカ「・・・続けても?」

ヴェリ「どーぞ」

セルカ「それでは改めさせていただきます、
    純血種である貴方が、よく弱いだなどと言えましたね」

ラティ「そんなそんな、私なんて所詮120年物、君の王子様とそう大して変わらないよ」

セルカ「それは、ブラッド様を愚弄してると取ってもよろしいので?」

ラティ「受け取り方は君の自由だよ、迷える子執事君」

セルカ「いいでしょう、ならばその挑戦受けて・・・!」

ヴェリ「だぁー!めんどくせぇ!ダブルバインド!」

セルカ「っ!体が、動かない・・・」

ジュジュ「ひゅー!さっすがヴェリ!イカしてるぜぇ!」

ラティ「ちょっとヴェリッヒ?私も動けないんだけど」

ヴェリ「めんどくせぇから両方止めた、俺は早く帰りてぇんだが、
    今すぐ殺されるか良い子に解散するか決めな」

ラティ「私は解散に一票」

セルカ「・・・分かりました、ここは一度退きましょう、ですが次不審な動きをしようものなら・・・」

ヴェリ「俺は!良い子に解散しろっつったよな?なんだ口答えか、悪い子か?
    あ?死ぬか?殺すか?殺されてぇんか?」

セルカ「・・・大人しく退きましょう」

ヴェリ「よーし、そんじゃ解放だ」

セルカ「っと、ふぅ・・・」

ヴェリ「ジュリ」

ジュリ「ん、何?」

ヴェリ「帰んぞ」

ジュリ「分かった」

ラル「っ、まだ話は終って・・・!」

ヴェリ「俺が聞くことねぇんだよ、じゃあな」

ジュジュ「じゃあな!そこで一生おしゃべりしてなー!」

ラティ「しまった、遊びすぎちゃった」

セルカ「なっ・・・!」

ラル「執事さん」

セルカ「セルカです、私は執事という名前ではありません」

ラル「む、分かりました、ではセルカさん、進言させていただきますと、
   彼らに真剣さを問う方が間違いなのです、例え当人は真剣だったとしても、
   貴方と彼らの真剣では程度が違うのですからね」

セルカ「なるほど、ありがとうございます、肝に銘じておきますね、ですが・・・」

ラル「ですが?」

セルカ「出来ていない貴方には言われたくありませんね」

ラル「なぁ・・・!」

セルカ「ラティスアレ、覚えておいてください、貴方は監視をされている、
    姫派を一掃した後は、貴方の番です、それでは」

ラティ「言われなくても分かってるよ、全く、粋がってくれちゃって」

ラル「あの・・・」

ラティ「ん、どうしたの?ラルトゥール」

ラル「あの若造めが!年上を敬うだの初対面に対する礼儀だとかはないのか!
   あぁ忌々しい、奴がブラッド直属のヴァンパイアでさえなければ今すぐこの手で・・・!
   ・・・んんっ、すみません、お見苦しい所を見せました」

ラティ「気にしてないよ、さて、二人で話してもしょうがないし、解散しよっか」

ラル「それもそうですね、それでは、この辺りで失礼致します」

ラティ「うん、それじゃ帰り道は気を付けてねー」

ラル「子供でもあるまいし、大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます、ではまた」

ラティ「またねー、・・・ふぅ、全く、これでもあんたの二倍以上は生きてるって、
    年上を敬えてないのは君もでしょってね、まぁどうでもいいや、
    さてさて、面白くなってきたな、王子様の耳に入ってどうなるかが楽しみだね、
    エチュードにトラブルは付き物、そうじゃなくちゃ面白くないよね、
    ふふっ、ふふふっ、あっははははは!」

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セルカ「厄介な連中だ、纏まって陰謀を企ててるのかと思いきや、てんでバラバラだなんて、
    一体、何を考えてるんだ、中心はラティスアレで間違いないはず、
    だというのにヴェリッヒのあの態度は何だと言うのだ・・・」

レイナルド「ようセルカ、こんな夜中に独り言しながら外出歩いてんのは相当怪しいぜ?」

セルカ「っ、レイナルド!何故こんな所に!?」

レイナルド「どこにいようが俺の勝手だろうが、テメェの方が場違いだろ、執事」

セルカ「えぇそうですね!全く、皆して執事執事と、私の事を何だと・・・」

レイナルド「ブラッドの執事だ、それ以上でも以下でもねぇだろ」

セルカ「・・・はい、その通りです、貴方は粗暴な癖して確信を付くのがお上手でらっしゃいます、
    私の、苦手なタイプです」

レイナルド「悪かったな、んじゃあさっさと話済ますかぁ、
      ラティからなんか面白い話は聞けたかよ?」

セルカ「レイナルド、貴方どこまで知っているのですか?」

レイナルド「ラティの奴が城主集めてブラッドに牙を剥こうとしてるって所か」

セルカ「何故知っていながら黙っていたのです」

レイナルド「テメェも感付いてたからここに来たんだろ、似たような理由じゃねぇか?」

セルカ「違います、私は確信が持てなかったからここへ来た、しかし貴方は正確な情報として持っている、
    これは大きな違いです、そして先ほどの会話、貴方はあの場に居合わせる資格を持っている、そうでしょう?」

レイナルド「おぉよ、大正解だ、よく出来たなぁ!」

セルカ「茶化さないでください、貴方は、どちら側なんです」

レイナルド「どっちでもねぇよ、俺は面白くなりゃなんでもいい」

セルカ「・・・分かりました」

レイナルド「お、思ったより聞き分けいいじゃねぇか」

セルカ「そうじゃありません、分かったのは、貴方がジョーカーだと言う事がです」

レイナルド「何を今更、そんなんとっくに分かってることじゃねぇか」

セルカ「え?」

レイナルド「あいつらが行動に起こした事の発端、それはこの俺だ、
      俺があいつを殺したから奴らは動いた、俺がジョーカーじゃなかったら誰がジョーカーだってんだ、
      ラティか?あいつにゃ荷が重過ぎる、なら俺しかいねぇだろうが、そうだろ?」

セルカ「えぇ、そうでした、ちなみに、まさかとは思いますが、
    こうなるのを分かってて彼を殺したんじゃないでしょうね?」

レイナルド「そんなん分かってやったに決まってんじゃねぇか」

セルカ「本当にタチの悪い」

レイナルド「褒め言葉だ」

セルカ「そうですか、もう何も言いません、私は帰ります」

レイナルド「おぅよ、夜道は後ろに気をつけろよ」

セルカ「お気遣いありがとうございます」

レイナルド「俺に殺されちまうぞ?」

セルカ「・・・冗談ですよね?」

レイナルド「当然だ」

セルカ「・・・・はぁ、真顔で物騒な冗談を言うのは止めてください」

レイナルド「あっははははは!俺に殺されちまうぞぉ!これでいいか?」

セルカ「えぇ、それで結構です!貴方に期待した私が馬鹿でした!」

レイナルド「おぉ、俺に期待出来るのは戦力だけだ、残念だったな!」

セルカ「本当ですよ・・・」

レイナルド「んじゃお前の珍しい声も聞けたし、おれぁ帰るわ、んじゃあな」

セルカ「それでは、お気をつけて、・・・ラティスアレにレイナルド、
    しばらく気苦労は無くならなそうだ、しかし、ブラッド様が覇権を握るまでの我慢です、
    その為なら、私はなんだってしてみせましょう、そう、なんだって・・・」


(後日 次回予告加筆予定)




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w