Arc Jihad(アークジハード)-SideE-
秋観忍♂ | (あきみ しのぶ) | 22歳 | ミスティオン東北支部の幹部、秘密主義で懐疑主義。 アル・アジフを妄信的に愛している。 |
グレアム♂ | 34歳 | ミスティオンの総裁、だが今はヌアザの傀儡と化している。 妄信と洗脳により元の性格はなりを潜めている、本業は歴史学者。 |
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ヌアザ♂ | 48歳 | ケルトの神のパーソナリティをインストールされた男性。 荘厳かつ威圧的、カリスマ的な重圧を持つ。 |
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アル・アジフ♀ | 19歳 | 魔道書に宿った邪悪な生命のパーソナリティをインストールされた女性。 大人しく内向的な性格、忍以外を人と見なしてない節がある。 |
忍♂:
グレアム♂:
ヌアザ♂:
アル♀:
グレアムN「ミスティオン東北支部、セレスからの電話を受けた男は、
手に持った本を眺めながら思考を走らせる」
忍M「聖剣と魔剣の戦い、ね、彼女から聞いてはいたけど、
まさかこうも早く対立構造を目の当たりにするなんてな」
アル「忍、入ってもいい?」
忍「どうぞ、アル」
アル「失礼します、忍、お客さんが来てるよ」
忍「お客さん?それも俺に?」
アル「うん、アメリカから来たって言えば分かるって・・・」
忍「アメリカ・・・、男だった?それとも女?」
アル「男の人、・・・魔剣の契約者だった」
忍「同じ陣営ではあるか・・・、分かった、外行きの格好で行こう、
警戒はしておいた方がいい」
アル「そういうと思って、はい、サングラス」
忍「ありがとう、それじゃ行こうか、レディ」
アル「分かったわ、ミスター」
ヌアザ「Arc Jihad(アークジハード)プロローグ -SideE-」
忍「お待たせしました、って、グレアムさんじゃないですか、
それなら彼女に名前を言って頂ければ良かったのに、
っと、それはさておき、お久しぶりですね」
グレアム「すまないな、意地の悪いことをしてしまって、
久しぶりだな、忍、元気にしていたか?」
忍「えぇ、見ての通り健在ですよ、グレアムさんも元気そうで何よりですね、
それにしても急に連絡も無く来日なんて、どうしたんです?」
グレアム「実は紹介したいお方がいるのと、頼みたい事があったのでな」
忍「まさかとは思いますが、異世界の担い手、ですか?」
グレアム「やはりお前は話が早くて助かる、では紹介しよう、こちらにおわすお方が、
この世の救済に来られた、ヌアザ様だ」
忍「っ、ヌアザ、だって・・・!?」
グレアム「口には気をつけろ忍、神の御前だぞ」
ヌアザ「構わん、あまりの驚きの前では礼儀すら忘却するものだ、
この程度を許容出来ぬ私ではない」
グレアム「はっ、失礼いたしました」
ヌアザ「して忍と言ったな、我々担い手の存在を知っているという事は、
お前も契約者であるな?」
忍「そうなりますね、必要であれば私のパートナーも紹介しますが」
ヌアザ「先程の娘であろう」
忍「やはり担い手同士は分かるのですね」
ヌアザ「当然だ、ましてやあの娘の持つ気よ、あれに気付かぬとなれば相当の節穴よ」
忍「なるほど、であれば隠す必要もなさそうだ、レディ、おいで」
アル「はい、ミスター」
忍「彼女が私の担い手です」
アル「初めまして、それとも先程ぶり、と言った方がいい?」
グレアム「貴様、ヌアザ様に対してなんという口の利き方を・・・!」
ヌアザ「構わぬと言っている、それにその娘も中々の逸材のようだ、
これほどの者であれば無礼にもなるまい」
アル「私が、分かるの・・・?」
ヌアザ「ふん、私を侮るな、ダーナ神族の王、ヌアザなるぞ」
アル「私と貴方に、接点は無かったはずよ」
忍「レディ、相手の口車に乗せられているよ」
アル「・・・ごめんなさい、ミスター」
ヌアザ「ふっ、賢しいな小僧」
忍「すみませんね、人見知りかつ臆病者ゆえにあまり自分の情報を晒したくないんですよ」
グレアム「忍、お前の情報ならば私が持っている、何を隠す必要がある」
忍「だけど彼女の情報はありませんよね、申し訳ありませんがグレアムさんだろうと明かせません、
この騒動は武力のみの物ではない、情報、策略が物を言う戦い、そうですよね、ヌアザさん」
ヌアザ「その通りだ、ならば私がここに来た理由も分かるな?」
忍「えぇそれとなくは、では私が担い手の存在を隠さなかった理由もお分かりになりますよね」
ヌアザ「当然だ、あの女から連絡があったな?」
グレアム「っ、まさかセレスから・・・!」
忍「正しく、その際に貴方がたが侵略者側だと言う事も伺っています」
グレアム「あの小娘、その様なデマカセを流布しているというのか・・・!」
アル「・・・ねぇ、ヌアザさん、それ、どうにかならないの・・・?」
ヌアザ「ふむ、確かに少々煩わしいか、グレアム、フリーズ」
グレアム「っ、イエス、マイマスター」
忍「・・・精神を支配しているのか」
ヌアザ「その通り、何か問題でもあったかね?」
忍「友人の堕ちた様を見るのは気持ちいい物ではない」
ヌアザ「ふっ、それを貴様が言うか、小僧」
忍「なんだと?」
ヌアザ「この言葉の意味はよく分かっていよう、レディ?」
アル「っ・・・」
忍「貴様、彼女が怯えているだろうがぁ!」
アル「ダメ、忍・・・!」
ヌアザ「っと、家畜の分際で神であるこの私に手を出そうとは、
覚悟は出来ているのだろうな?」
忍「知っているぞ、担い手はマージ・ウェイクをしなければこの世界の人間に手は出せないと」
ヌアザ「あぁ、貴様には手出しできぬな、だがそこの・・・」
アル「待って、分かった、だからお願いやめて・・・!」
忍「アル・・・?」
ヌアザ「ふっ、あっははははは!やはり元凶はよく分かっているようだ!
だが、この私に懇願するのだ、何か代償は考えているのだろうな?」
アル「・・・・私に決定権はないから、忍・・・、あなたなら、分かるよね・・・?」
忍「俺たちが、負けるっていうのか」
アル「うん・・・、だから、お願い・・・」
忍「・・・・頭を垂れろって言うのか?」
ヌアザ「まだ己の立場が分からぬか」
忍「くっ・・・、畏まり、ました、私、秋観忍は、ヌアザ様の軍門に下ることを誓います、
これより、アインマーシュ派を勝利へ導くことに尽力いたしましょう」
ヌアザ「良かろう、存分に尽くすが良い、だが忠誠にはまだ足らぬ」
忍「彼女を、明かせというのですか?」
ヌアザ「二度言わすな」
忍「・・・・・・」
アル「忍、お願い」
忍「・・・彼女の名はアル・アジフ、武器はネクロノミコンです」
ヌアザ「やはりか、常軌を逸する狂気を孕んだその気配、
その類だとは思うたわ」
アル「自分の存在がどういう物か分かってるよ、彼にどんな影響を与えるのかも、
それでも、彼は受け入れてくれたの、だから私も彼に尽くすの」
ヌアザ「既に共に正気ではなかったか」
忍「己が狂気は自覚している、こちら側に与するのがどういう事かも分かっている、
この道が何処に続くかも、狂気に向き合うからこそ、俺は正気でいられる」
ヌアザ「ふっ、この男も貴様程優秀であれば、もう少し使いようがあったのであろうが、
仕方あるまい、さて、影響のある話は終わったな、グレアム、ムーブ」
グレアム「イエス、マイマスター」
忍「グレアムさんは、もう元には?」
ヌアザ「私が存在する限りは、ない」
忍「そうですか、ならばそういう物として認識します」
ヌアザ「それでよい」
グレアム「ぅ・・・ぁ・・・」
アル「・・・忍も、いつかこうなっちゃうのかな」
ヌアザ「狂い方にも個体差はあるだろう、こやつの場合、
私が無理やり入り込んだ影響が大きいのだろう」
アル「・・・・そっか」
忍「グレアムさん」
グレアム「っ、忍・・・か、久・・・ぶりだな」
忍「えぇ、お久しぶりです、長旅で疲れているみたいですし、少しお休みになっては?」
グレアム「そう・・・か、すまない、な・・・」
忍「案内します、ヌアザ様、詳細な計画は後ほど報告に参ります、
よろしいですか?」
ヌアザ「構わん」
忍「では、行きましょう、グレアムさん」
グレアム「あぁ・・・」
アル「忍、私は後で向かうね?」
忍「分かった、それじゃまた後で」
ヌアザ「どうかしたかね、アル・アジフ」
アル「・・・どういう、つもり?」
ヌアザ「話は聞いていよう、セレス・カーライルがこの国にいる、
奴は危険な存在だ」
アル「そうじゃないよ、なんで、忍なの・・・?」
ヌアザ「グレアムの記憶を読んだ、その中から使えそうな人間を選んだまでよ」
アル「そっ・・・か、うん、分かったよ、それ以外には、ないんだよね?」
ヌアザ「それ以上でもそれ以下でもない、魔剣の契約者は等しく我が駒である」
アル「・・・ありがとう、それなら、私も、そうする」
ヌアザ「ほぅ?」
アル「忍以外は、駒、私が、彼と一緒にいるための、駒なの」
ヌアザ「ふっ、好きにしろ、だが、貴様に決定権はないのだろう?」
アル「ないよ、私の正気は、もう、彼への愛だけだから、
でも、心は、私の物だから・・・、それじゃ、もう、行くから」
ヌアザ「・・・その愛すら狂気に塗れているくせによく鳴くわ、
まぁよい、状態はどうあれ良い駒だ、自重で潰れるまでは使ってやるとしようか、
セレス・カーライル、ヤマトタケル、この国で始末してくれる・・・」
to be continued...
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w
こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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