Arc Jihad(アークジハード)-覚悟、その想い-

ヤマトタケルノミコト♂ 25歳 日本の英雄のパーソナリティをインストールされた男性。
普段はおちゃらけているが、やる時はやる男。
ヌアザ♂ 48歳 ケルトの神のパーソナリティをインストールされた男性。
荘厳かつ威圧的、カリスマ的な重圧を持つ。
デイヴ・エドキンズ♂ 23歳 ミスティオンの構成員、セレスの助手、学者としては同期。
若干落ち着きが無い、力仕事には自信あり。
セレス・カーライル♀ 23歳 ミスティオンの支部長、オカルトマニアな歴史学者。
ノリは軽いが頭の回転が凄く早い、一部からは天才と言われている。





タケル♂:
ヌアザ♂:
デイヴ♂:
セレス♀:





ヌアザ「ようやく行き渡ったか・・・、思いの他時間がかかるものだな、
    後顧の憂いはここらで断ち切らせてもらうぞ、セレス・カーライル・・・」

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セレス「っ・・・!」

タケル「ん、どうしたセレス、変な夢でも見たか?」

セレス「・・・いえ、それは平気、でも何か、嫌な予感が・・・」

タケル「女の勘は当たるからな・・・」

セレス「経験、あるのね?」

タケル「大いにあるぞ、頭の回る女上司はおっかねぇ」

セレス「あら、イヤミかしら」

タケル「いーや、他意はねぇよ、向こうの世界の話だ」

セレス「ふふっ、その人とは仲良くやれそう」

タケル「勘弁してくれ、そこに俊久が加わるんだろ?
    俺は逃げるぞ」

セレス「逃げ切れると思ってる?」

タケル「話術じゃ無理だから物理で逃げる」

セレス「その人も担い手になって来るのよ」

タケル「そうだった・・・、ん?」

セレス「どうしたの?」

タケル「慌しい足音が・・・」

セレス「っ、敵?」

タケル「いや」

デイヴ「セレス!大変だ!」

タケル「こいつ」

セレス「なるほどね」

デイヴ「お、おい!大変だっつってんだろ!少しはお前らも焦れよ!」

セレス「私たちまで焦ったら会話にならないでしょ、という訳で落ち着きなさいデイヴ」

デイヴ「お、おぅ、落ち着く、俺は落ち着くぞ・・・!
    それでだセレス!大変なんだ!」

セレス「はいはい、何が大変なの?」

デイヴ「東北支部の秋観(あきみ)から連絡があったんだよ!」

セレス「忍から?何で今になって・・・!ううん、それよりもなんて?」

デイヴ「グレアムさんが昨日東北支部を出た、そんでこっちに向かってるって・・・!」

セレス「っ、嘘でしょ!?」

デイヴ「こんな嘘吐いてどうすんだよ!」

セレス「だって、グレアムさんが向かったって事はヌアザも一緒でしょ?
    それなのにそんな情報が忍から入るなんておかしいじゃない!」

デイヴ「んな事俺に言われても知らねぇよ!」

タケル「待て待て!お前ら落ち着け!理屈はどうでもいいっての!
    その秋観だか忍だかからそう連絡があった、まずはそこだけ考えろ」

セレス「だから混乱してるんじゃない、忍は私たちとは違う賢さを持ってるの、
    なんの考えもなくこんな事をすると思えない、きっと罠があるはずよ」

デイヴ「お、おい!悩む所はそこなのかよ!」

セレス「だってヌアザが向かってきてるのは間違いないのでしょう?」

デイヴ「あ、いや、多分?」

セレス「何で裏付け取らないのよ!いくらでも方法はあるじゃない!」

タケル「だー!だから落ち着けって言ってんだ!
    もしあいつがあの時の翼で飛んできてたら裏付けなんて取れないし、
    そんだけ賢いなら秋観って奴が上手い事ヌアザを騙してるかもしれないだろうが!」

セレス「・・・タケル賢いわね」

タケル「お前も冷静ならそれくらい考えられるよ」

セレス「そうね、ごめんなさい」

タケル「謝らなくてもいいよ、対策を考えよう」

セレス「えぇ、ねぇデイヴ」

デイヴ「お、おぅ」

セレス「忍は電話でなんて言ってた?」

デイヴ「は?さっき話した通りだが・・・」

セレス「大まかな内容じゃなくて、細かい言い回しは覚えてない?」

デイヴ「んー・・・、グレアムさんがセレスに会うといってこちらを出ました、
    寄り道せず関東支部に真っ直ぐ向かいます、とお伝えください、・・・ちゃんと覚えてるのはここくらいだ」

セレス「充分よ!ありがとうデイヴ!」

デイヴ「うぉ!?せ、セレス!?」

セレス「出来る仲間を持って私は幸せよ」

デイヴ「お、おぅ、喜んでもらえたならよかったぜ」

セレス「タケル、ヌアザのルートが分かったわ」

タケル「今の、それだけでか?」

セレス「えぇ、私に会いに来るという事は狙いは私であるという事、
    寄り道せずに真っ直ぐ、つまり最短距離で直線で来る、
    もちろん、公共交通機関なんて使わずにね」

デイヴ「んな馬鹿な事、ありえるのかよ?」

セレス「目の前にタケルという生きた非現実いるのに疑うの?」

デイヴ「そうじゃなくてだな、日本がいくら攻撃のための軍隊を持ってないつっても、
    そんな高速で空飛んでる奴がいたらなんか対処くらいするだろうって話だよ」

セレス「だとしても日本なら警告無しで撃つ事はきっとないわ、
    それこそ発見者の与太話で終わりの可能性の方が高いし」

デイヴ「フライングヒューマノイドが実在したー!っとは、ならねぇか・・・」

セレス「私たちじゃあるまいしね」

タケル「何にしろ、相手さんは大した障害も無くこっちに向かってきてる訳だ」

セレス「そうね、俊久たちに迷惑も掛けるわけにも行かないし、
    ルート割り出して出発しましょう」

デイヴ「・・・地図、用意してくる」

セレス「ありがとう、よろしく、それじゃ私は俊久に挨拶だけ先にしてくるわ、
    すぐ戻ってくるからタケルはここで待ってて」

タケル「分かった、んじゃまた後で」

セレス「えぇ、また後で」

タケル「はぁ・・・、二人とも、自分が死ぬかもしれないっての、
    本当に分かってるのかよ・・・」

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セレス「よし、この道でよさそうね」

タケル「あぁ、直線状で迎撃、戦闘しやすそうなのはここしかない、
    時間的に間に合いそうなのもな」

セレス「そうと決まれば早く出ましょう、後手に回りたくないわ」

タケル「了解だ、急ぐかね」

セレス「それじゃデイヴ、ありがとね」

デイヴ「いや、俺はなんもしてねぇよ」

セレス「そんな事ないわ、ヌアザの動きは全部あなたが教えてくれたんだもの、
    いなかったら何も知らないまま、ここまで攻め込まれてたわ」

デイヴ「・・・あぁ、そうだな、なんてったって馬車馬のように働かされたわけだしな!」

セレス「ふふっ、いつも助かってるわ」

デイヴ「おぅ、・・・時間、ねぇんだったな、引き止めててもあれだ、
    行って来い!」

セレス「えぇ、それじゃ、行って来るわね」

デイヴ「・・・タケル!」

タケル「おぅ」

デイヴ「また後でな」

タケル「おぅ」(にやっとしながら)

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セレス「そろそろね・・・」

タケル「あぁ、やるとすっか」

セレス「えぇ、マージ・・・!」

タケル「ウェイク!」

セレス「・・・自然の中ですると、全然違うのね」

タケル「感覚が研ぎ澄まされるから色々見えるようになるだろ?」

セレス「えぇ、突っ込んできてる不穏な気配とかね!」

ヌアザ「ぜぇい!」

セレス「はぁ!」

ヌアザ「っほぅ、受けきるか、セレス・カーライル・・・」

セレス「ヌアザ・・・、グレアムさんを返しなさい」

ヌアザ「既に言ったはずだが、この者は進んで身を捧げたのだと」

タケル「よく言うぜ、意識を完全に封じないといけないような状態にさせておきながらよ」

ヌアザ「揃いも揃って小賢しい、だが自覚するがいい、それは己の寿命を縮めるぞ」

セレス「敵を作りやすいタイプなのは分かっているわ、要らないお節介をありがとう、
    でも、今正に自分を殺そうとしてる奴にだけは言われたくないわね」

ヌアザ「フッ、ハハハッ、アッハハハハハ!確かにそれもそうだ、
    ならば、即刻に済ますとしようか」

セレス「っ、クラウ・ソラスを抜いた・・・!?」

タケル「あの技じゃないのか・・・?」

ヌアザ「・・・ライン」

タケル「っ、横に飛べ!」

セレス「くっ!」

ヌアザ「よくもまぁ初見の技をそうも避けられるものだ」

セレス「今の光の線・・・!」

タケル「あぁ、斬撃で間違いねぇ・・・!」

セレス「ノーモーションで攻撃飛ばしてくるのやめてくれないかしらあの人・・・!」

ヌアザ「ふん、意気込んで出てきたからには何か策があるのだろうと思ったのだが、
    買いかぶりか、その程度なら歯牙にかけるまでもないが・・・」

タケル「来るぞ」

セレス「えぇ、異説、草薙の剣」

ヌアザ「手加減は不要、ライン・ツーウェイ」

セレス「ふっ!」

ヌアザ「ほぅ、早い」

セレス「切り裂け、カマイタチ!」

ヌアザ「ディスク」

タケル「ちぃ、なんなんだあの万能武器!盾にもなんのかよ!」

セレス「それなら、吹けよ神風、我に加護を!行くわよ!」

タケル「この速さなら・・・!」

ヌアザ「甘いわ、サークル」

セレス「っ・・・!」

ヌアザ「ライン・アーク」

セレス「まずっ・・・!」

タケル「クソ、だらぁ!」

セレス「金属音!?」

タケル「っと、っぶねぇ・・・、斬撃って言うなら切り結べないかと思ってな、
    なんとかなったぜ・・・」

ヌアザ「忌々しい、思い通りにならぬ物だ」

タケル「その言葉そっくりそのまま返してやるよ、
    攻撃する時くらいこっち見やがれってんだ」

ヌアザ「当たるのであれば不用であろう」

セレス「人と話すときは目を見てって教わらなかったのかしら」

ヌアザ「人を殺す時は目を見ろ、とは聞いた事はないがね」

セレス「今の話をしてるのよ!カマイタチ!」

ヌアザ「ディスク、不要と言っているのが、分からんのか?」

セレス「っ・・・!」

ヌアザ「スラッシュ・オブ・シャイン」

タケル「八咫鏡(やたのかがみ)!」

セレス「くっ!」

ヌアザ「フッ、折角詰めた距離を己で離すか、そんな事ではいつまで経っても終わらぬぞ?」

セレス「っ、大きなお世話よ・・・!」

タケル「大丈夫かセレス?」

セレス「大丈夫、なんなの、あのプレッシャー・・・」

タケル「相手によっちゃ目線だけで殺せそうだな、あいつ」

セレス「そうね、でもあんな物で怯んでたら、どうしようもないわ」

タケル「あぁ、行けるな?」

セレス「当たり前でしょ」

タケル「そうこなくっちゃな、頼むぜ相棒」

セレス「えぇ」

ヌアザ「・・・作戦会議は終わったかね?」

セレス「あら、待っててくれたの?意外と優しいのね」

ヌアザ「折角の強敵だ、このクラウ・ソラス、この力を試しておかねば損であろう」

タケル「試し切りってか、舐めやがって」

ヌアザ「その言葉、そっくりそのまま返しておこう」

タケル「あ?」

ヌアザ「私がただその場から動かずに技を放っているだけだと、
    そう思っていないかね」

タケル「っ、マジかよ・・・!」

ヌアザ「さぁ行くぞ!」

タケル「くっ、変われセレス!」

セレス「っ、えぇ!」

ヌアザ「ぬぅん!」

タケル「くぅ!?」

セレス「タケル!」

タケル「大丈夫だ!」

ヌアザ「ライン!」

タケル「っ、ちぃ!」

ヌアザ「よく凌ぐ、ならばこれでどうかね、ライン・アーク・ツーウェイ!」

タケル「クッソ、八咫鏡!」

ヌアザ「ライン・アーク」

タケル「それそんなに曲がるのかよ、っだぁ!」

ヌアザ「盾など意味がない」

タケル「っ、後ろ!?」

ヌアザ「つまりはそういう事だ」

タケル「ちぃ、マージ・ウェイク解除!」

セレス「っ、タケル!?」

ヌアザ「健気な物だな、ヤマトタケル!」

タケル「っ、ぐぁぁあああああ!?」

セレス「タケル!」

タケル「ぐ・・・、大丈夫だ・・・!」

セレス「そんな訳ないでしょう!背中・・・!」

タケル「っは、大丈夫だ、っつってんだ!」

ヌアザ「ほう、まだ立ち向かう気力があるか」

タケル「へっ・・・、後ろに女がいて、ぶっ倒れてられるかよ・・・!」

ヌアザ「ふっ、体はそうではないようだがな?」

タケル「それは、どうだろうなぁ・・・?」

セレス「・・・グレアムさん!」

ヌアザ「無駄だ、この者の意思は完全に封じた、呼びかけに応える訳が・・・」

セレス「グレアムさん!目を覚ましてください!一緒に帰りましょう、アメリカに!」

ヌアザ「・・・失望した、所詮は女か、策がなくなれば叫ぶしか・・・」

セレス「もうミスティオンなんかやめて、あの小さな事務所に帰りましょう!」

ヌアザ「だから無駄だと・・・!っ、ぐぅ!?」

タケル「まさか、声が届いた・・・?」

セレス「お願いですグレアムさん・・・!」

ヌアザ「黙れ・・・!」

セレス「目を、覚ましてください!」

ヌアザ「黙れと言って・・・!」

セレス「っ、銃声・・・!?」

ヌアザ「ぐ・・・ぅ!?どこ、から、誰が・・・!」

タケル「まさか・・・!」

デイヴ「へっ、翼なら、グレアムさんにはダメージはねぇだろうが!」

セレス「デイヴ!」

デイヴ「おうセレス、ボケっとしてねぇで次だ!まだ動けるんだろタケル!」

タケル「ちぃ、言ってくれるじゃねぇかよ・・・!やって、やんよ!」

ヌアザ「マージ・ウェイク、解除・・・!」

タケル「っ、外した・・・!?」

ヌアザ「枷がなければ手負いの攻撃など・・・、当たらぬわぁ!」

タケル「がっ・・・!?」

ヌアザ「グレアム、ムーブ!」

セレス「あっ、グレアムさん!」

タケル「ぐっ・・・、剣をしまった、まずい・・・!」

デイヴ「話してたアレか、させるかよ!」

ヌアザ「ぬぅ・・・!小賢しい・・・!スラッシュ・オブ・・・!」

タケル「ちぃ、デイヴ伏せろ!」

デイヴ「っ、おぅ!」

ヌアザ「シャイン!」

タケル「八咫鏡・・・!っ、ぐぅ・・・!」

セレス「タケル!?」

タケル「喰らってねぇ・・・!力、使いすぎた・・・!」

ヌアザ「立っているのも辛そうだな、そろそろ終わらせてくれる!」

タケル「クソ・・・!」

ヌアザ「二人纏めて・・・!」

セレス「こんな所で・・・!」

デイヴ「っ、セレス!」

ヌアザ「死ねぇ!」

デイヴ「ぐぁああ!」

タケル「なっ・・・!」

セレス「っデイヴ!」

ヌアザ「この男、尽く邪魔を!」

デイヴ「ぐぅ・・・・・・ごふっ」

セレス「デイヴぅぅうううう!」

タケル「くっ、テメェ・・・!うあぁああああ!」

ヌアザ「っ、ぐぉあ!?腕がっ・・・!くっ、レディ!」

タケル「触手が・・・!?まだいたってのか・・・!」

ヌアザ「ここは預けるぞ!セレス・カーライル、そしてヤマトタケル!」

タケル「待ちやが・・・!ぐっ、クソ、体が言う事きかねぇかよ・・・!」

セレス「デイヴ!」

タケル「っ、クソ・・・!」

デイヴ「ぐ・・・、セレス、タケル・・・、無事かよぉ・・・?」

セレス「無事よ、でも・・・!」

デイヴ「ならよかった・・・」

セレス「・・・そうね、あなたのお陰よ、ありがと、デイヴ・・・」

デイヴ「へへっ・・・、あぁそうだ・・・、帰ったら、ごふっ、渡したいものがあったんだよ・・・」

セレス「渡したいもの・・・?」

デイヴ「・・・わりぃ、体動かねぇんだ・・・、右の、ポケットに入ってんだけどよ・・・」

タケル「右のポケット・・・、っ、これ・・・」

デイヴ「タケル・・・、それ、セレスに・・・」

タケル「あぁ」

デイヴ「どうだ・・・?俺、指輪買ったのなんて初めてだからよ・・・」

(指輪小さくて指にはまらない)

セレス「あなた、これ・・・」

タケル「セレス」

セレス「っ、タケル・・・?」

タケル「似合ってんじゃねぇか」

セレス「・・・そうね、ありがとう」

デイヴ「そりゃ・・・、よかった・・・」

セレス「・・・デイヴ?」

デイヴ「・・・・・・」

セレス「デイヴ・・・!デイヴぅぅうううううううう!」






to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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